みんなの公園愛護会では、地域の人々や公園ボランティアとともに、公園をより良くしようと頑張る行政の取り組みにも注目しています。
以前、「だれでもお掃除セット」と「バイオネスト」の取り組みをご紹介した江戸川区。今回は、地域住民が主体的に公園を活用していくための事業「地域で育む みんなのこうえんプロジェクト」(以下「みんなのこうえん」)について、お話をお聞きしました。
「みんなのこうえん」を通して”住み続けたいまち”へ
東京23区内で公園面積No.1を誇る江戸川区では、緑化運動スタートからの50年を経て、身近な公園が「地域の庭」として活発に使われ、地域のみなさんの日常や暮らしの中に溶け込むことを願って「みんなのこうえんプロジェクト」立ち上げました。地域住民が公園で活躍するきっかけをつくり、公園への関わりを増やす仕組みづくりを進めています。
「みんなのこうえん」は、身近な公園を「地域の庭」として愛着を持っていただき、地域の皆さんが「ゲスト」から「キャスト」として公園を活用していくことでコミュニティを育み、住み続けたいまちづくりにつなげていく取り組みです。(みんなのこうえんガイドライン概要版より)
この事業について、江戸川区環境部水とみどりの課 南地区公園づくり連携係 係長 植松丈詞さん(冒頭の写真中央)、荒金由美さん(同 右)、北地区公園づくり連携係 伊達さん(同 左)にお話をお聞きしました。
さまざまな試みにチャレンジしてきた4年間
区内には500以上の公園があり、人口減少に伴う担い手不足や管理費不足に向けた、新しい仕組みづくりが求められていました。そこで、地域主体の公園運営を地域の人たちと一緒に考えていこうと、令和3年度から始まったのが「みんなのこうえんプロジェクト」です。
日常的な公園の利用はもちろん、地域の人が清掃や花壇づくりなどのボランティアをしたり、地域のイベントを行うなど、公園に関わる人を増やすことで、公園を拠点とした地域コミュニティの活性化や住み続けたいまちづくりに繋げていこうというもの。
まずは、情報発信のInstagramと、公園占用電子化システムによる申請手続きのオンライン化をスタート。
さらに、公園でやってみたいことを語り合う「パークミーティング」や、地域住民が主役の公園活用イベント「パークカフェ」、公園でできる遊びを広げる「プレーリーダーの巡回」など、4年間でさまざまなチャレンジが行われました。
公園のプレーリーダーは、現在も継続中。子どもたちと楽しく遊ぶプレーリーダーの様子や子どもや保護者の声、公園ごとのスケジュールは区のホームページに掲載されています。
この一連の取り組みは、東京都の「子供・長寿・居場所(3C)区市町村包括補助事業」に採択され、都からの補助を受けて実施されました。4年間の取り組みは、動画つきで区のホームページに掲載されています。

NPOや企業との協働で地域の力を掘り起こし
「パークカフェ」の取り組みについては、令和3年度の第1回目から4年間、東京を拠点にみどりのまちづくりや公園づくりを進めるNPO法人のNPO birthとの協働で進めてきました。
公園に関わるプレイヤーを増やしていくために、公園で何かやってみたいと思う地域住民の掘り起こしや、地域の方への声かけなど、きめ細やかなサポートを積み重ねてきたというみなさん。
「行政だけでは難しいことも、NPO birthさんがワンクッションとなり、地域の方が主体的に公園を活用する雰囲気を作ってくれたことが大きかったですね」と、行政だけでなく外部団体と連携することのメリットについて話してくださいました。
東葛西さくら公園では、マルシェや青空ヨガ教室、ダンスパフォーマンス、クイズ大会など、住民発の企画アイデアが形になったパークカフェが、3年間の伴走を経て、4年目となった今年度からは、地元の方々が活動を続けていく準備をしており、成果が上がりつつあるとのこと。(地域主体で初めて開催された東葛西さくら公園のイベントの様子は、こちらの記事でご紹介しています)
区立公園で最も大きい総合レクリエーション公園で指定管理者の企業が中心となって毎月開催しているパークミーティングも、地域の人々が公園に積極的に関わるきっかけになっているようです。

自分のペースにあわせた3つの関わり方
「みんなのこうえん」では、より多くの人が公園での活動に参加しやすいように、以下のように大きく3つの活動の中から、自分のペースにあった活動スタイルを選べるようになっています。

1)体験ボランティアは、お試し体験。手続きなしで気軽に始められる活動で、ごみ拾いやだれでもお掃除セットを使った落ち葉掃きなど、いつでも、だれでもOK!の関わり方です。
2)登録ボランティアは、花壇のお手入れや公園清掃など継続的なボランティア活動。登録することで、活動の目印となる緑色のバンダナや花苗支給などのサポートが受けられます。個人でも団体でもOK。
20年続く既存の公園ボランティアはここにあたり、町会・自治会や保育園、企業など、466(令和8年3月現在)の団体や個人が活動をしています。
3)みんなのこうえんサポーターは、協定書を締結し、定期的に清掃を行うボランティア活動。令和7年度新設されました。清掃活動とあわせて、地域活動やイベントを実施する際に区のサポートを受けられるなど、より柔軟で自由な公園の活用ができます。支援の詳細は、みんなのこうえんガイドラインで公開されています。
制度づくりにあたっては、公園清掃の実証実験やイベント開催を通して、サポーター候補となる人々の声を聞きながら、清掃道具やごみ袋の支給、倉庫の設置、地域のためのイベントの占用料免除、周知のための掲示板設置といった支援内容を考えていったそう。
緑色のビブスを着て、週2−3回公園の清掃や見回りをしているというサポーター。子どもたちと一緒にごみ拾いをしたり、バイオネストのお世話や、公園を使った地域交流イベントなども積極的に企画しています。
みんなのこうえんサポーターが拓く、公園利活用の可能性
活動の幅は人それぞれで、多様な関わり方がある「みんなのこうえん」。公園に掲示したポスターを見てサポーターに手を挙げた人もいるとのこと。
このほかにも、区内の各地の公園では、キッチンカーやフリーマーケットイベント、子ども食堂、歌やダンスに携わる人、子育て関連団体や高齢者施設、元引きこもりの方など、多様な個性とバックグラウンドを持った人々がサポーターとなり、公園を舞台に地域交流をしているそうです。
初年度のサポーター協定締結は、なんと20公園。これは予想を上回る数とのこと!
活動へのモチベーションも、地元を盛り上げたい、子どもたちとの交流が楽しい、いつもサポートされる立場だけど人の役に立てるのはうれしいなど、みなさんそれぞれなんだそう。
横のつながりづくりにも積極的で、区主催の交流会も開かれているほか、公園同士のコラボもスタートしています。地域を盛り上げるさまざまな活動をする人がサポーターになることで、公園の利活用の幅が広がっていることを教えてくださいました。
多様な人が多様な関わり方をしながら、公園清掃と公園の利活用を通して、社会参加や地域の交流を生み出しています。パークカフェなどの地域イベントのサポートを通じて、活動をさらに広げていきたいと話してくださいました。
みんなのこうえんサポーターが主体となったイベントの様子や、個性的で多様なサポーターのみなさんへのインタビューはこちらの記事をご覧ください。
【基本情報】
| 取り組みの名称 | 地域で育む みんなのこうえんプロジェクト |
| 実施自治体 | 江戸川区(東京都) |
| 事業の概要 | 身近な公園を「地域の庭」として愛着を持っていただき、地域の皆さんが「ゲスト」から「キャスト」として公園を活用していくことでコミュニティを育み、住み続けたいまちづくりにつなげていく取り組みです。(みんなのこうえんガイドライン概要版 より) |
| 取り組みの詳細 | 江戸川区のホームページをご覧ください |