2023/10/20

公園でのイベント実施を市がサポート

武蔵野市(東京都)

みんなの公園愛護会では、地域の人々や公園ボランティアとともに、公園をより良くしようと頑張る行政の取り組みにも注目しています。

武蔵野市では、市民ボランティアによる公園でのイベント開催を市役所がサポートしています。以前ご紹介した体験型ハーブガーデン緑の創作園で行われている、毎年200人が参加するオープンガーデンもそのひとつ。どのような枠組みでサポートが行われているのか、「緑ボランティア制度」についてお聞きしました。

武蔵野市の「緑ボランティア」

緑ボランティアとは、市立公園等を拠点として、緑の保全、緑化推進及び公園等の維持に関するボランティア活動を行う団体で、公園等での活動について市と協定を締結しています。団体の活動を支援するために市では団体活動経費の一部を助成しています。

2000年からスタートしたこの制度で活動中の緑ボランティアは26団体(2023年10月現在)。日々の公園の清掃や維持管理などの活動のほか、市民も公園に親しみ緑を楽しめるよう、季節や各公園の特色を活かしたイベントなどを実施しているそうです。

緑ボランティアは、市役所から、ゴミ袋の提供やゴミの回収、市HPの掲載、緑ボランティアパンフレットの配布、活動PRのための「武蔵野市緑ボランティア活動中」の旗の支給、表彰、イベント企画支援、1団体当たり20万円を限度とした活動経費助成といったサポートが受けられます。

清掃や緑の維持管理に関するサポートに加えて、「イベントの企画支援」や「活動経費の助成」といったユニークな支援が行われており、市のホームページでも複数の公園でのイベントの様子が写真とともに掲載されています。

緑ボランティアのイベントの企画や実施について、武蔵野市緑のまち推進課緑化係さんにお聞きしました。

市民主体の企画を市が共催でサポート

緑ボランティアによる公園でのイベント企画に関しては、緑ボランティア団体が主体で企画を考え、市役所へ共催願い・器材設営願い・市報原稿等を提出して進めるという流れで行われているそうです。

緑ボランティア団体の企画や考えを尊重しながら、市民に対する幅広い緑化への理解と啓発等を行うことを大切にされているとのこと。また安全に実施する事も重要です。

「共催」という形を取る理由やメリットとしては、それぞれの役割を割り振り運営する方が柔軟な企画や運営ができ多くの方に喜ばれるイベントになるということがあるそうです。

市は、市報やホームページでの広報、市関連施設でのチラシ配布やポスター掲示、設営業者への委託や調整、当日の設営及び撤去の確認、イベントの記録写真撮影や、市長の来園調整及び対応、1団体当たり20万円を限度とした活動経費助成を実施。テントや机等の運搬及び設営・撤収等は委託業者が行い、緑ボランティア団体は、イベントの準備と運営を行うという役割分担になっているそうです。

公園使用申請の受付から、緑ボランティア団体・設営業者・市の三者での打合せ、報告書の作成や活動経費助成金報告書の確認まで、スムーズに行われているようです。

イベントが緑ボランティア活動の周知にも

このようにして、これまでいくつもの公園でイベントが行われてきました。

緑の創作園では、今年も「オープンガーデン」が5月20日に行われました。当日は約200人の来場者があったとのこと。緑ボランティア団体により育てられた花苗・ハーブ苗の配布などにより、緑や花を通した人と人とのコミュニケーションを図り、市民に対する幅広い緑化への理解と啓発及び小さな緑、身近な緑の創出に貢献しているそうです。

農業ふれあい公園では、「コミュニティファーム夏まつり」が7月2日に行われ、約300人の来場者があったそうです。また、10月28日には「コミュニティファーム秋の収穫体験会」を実施予定。冒頭の写真もこのコミュニティファームイベントの様子ですが、このように緑ボランティア団体が育てた農作物の収穫体験会等を通じ、市民の都市農業や緑に対する理解と啓発を図っているそうです。

両団体のイベントを通して、緑ボランティア団体の存在や活動を知ってもらい、会員加入にも繋がっているということでした。

多様なイベントはこれまでも、そしてこれからも

昔から武蔵野市の緑の基本計画に市民が関わり緑を大切にする施策があり、公園開設には周辺市民とのワークショップ等を行っているそうです。そのワークショップ参加者が緑ボランティアになり活動している公園も多いとのこと。

過去には、七夕飾りや笹竹の配布、公園内の防災設備の説明や竹ぼっくり遊び等を行う「七夕まつり」や、近隣の小学校の吹奏楽演奏やさつま芋苗・花苗植付け等を行う「春の公園まつり」、鈴虫のプレゼントもあった「鈴虫の鳴き声を聞く夕べ」、近隣の幼稚園児の合唱や大根掘り体験等を行う「秋の収穫祭」、AEDや消火器の実演・防災品展示・防災食の配布等を行う防災に関するイベント、緑ボランティア団体主催の講演会なども行われたそうです。

こういった制度のもとで20年以上にわたって、市役所とボランティアが協力しながら、市民が緑や公園に親しめる多様なイベントが行われてきたというのは素晴らしいことだと感じます。

武蔵野市では引き続き、緑ボランティア団体と協力して市民に緑化・緑を啓発するイベントを実施することに力を入れていくとともに、新規ボランティアの獲得や既存ボランティアの新規参加者の獲得に関する方策の研究にも取り組んでいくとのことです。


【基本情報】

取り組みの名称緑ボランティア
実施自治体武蔵野市 緑のまち推進課
事業の目的緑ボランティアとは、市立公園等を拠点として、緑の保全、緑化推進及び公園等の維持に関するボランティア活動を行う団体です。団体の活動を支援するために市では団体活動経費の一部を助成しています。
取り組みの詳細武蔵野市のホームページをご覧ください
自治体からのメッセージご興味のある方は武蔵野市緑ボランティア団体で一緒に活動しませんか
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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