2022/2/14

ゴミ袋の寄付で地元企業が公園サポート:茅ヶ崎市緑化事業協同組合

茅ヶ崎市(神奈川県)

みんなの公園愛護会では、公園ボランティアの活動はもちろん、地域の公園を良くしようと活動する企業の取り組みにも注目しています。

そんな中、茅ヶ崎市のゴミ有料化に伴い、市内造園業者7社で構成される「茅ヶ崎市緑化事業協同組合」が、市に公園・緑地清掃用のゴミ袋を1万枚寄付したという知らせを受け、茅ヶ崎市役所 公園緑地課の吉野さんと、茅ヶ崎市緑化事業協同組合の清水さんにお話をお聞きしました。

市内の公園を長い目で共に育てる「緑化事業協同組合」

市内の造園業社7社が集まって作ったという「茅ヶ崎市緑化事業協同組合」とは、一体どんな組織なのでしょうか?

お聞きしてみると、同業の交流や情報交換だけでなく、台風などの際にパトロールをして倒木などの被害が発見されればその場で処理する「災害時における応急復旧にかかる協定」を結んでいたり、市内の公園の植栽管理を一手に引き受けている組織だということが見えてきました。

組合との契約となる以前、市内の公園の除草や剪定などの植栽管理は、地区ごとに単年度入札で業者が選定され、毎年バラバラの異なる業者が行っていたそうですが、より効率的な管理運営と計画的な植栽管理を行うため、提案型民間活用制度を使って5年前にやり方を変更。組合を作って複数年一括受注にすることで、組合の内部で担当を割り振って、ひとつの公園の植栽を同じ業者が長く見続けるという仕組みに変わったということでした。

ひとつの公園に同じ業者が複数年関わることで、計画的な剪定ができたり、地域の人が公園で大切に育てている植物のことや、周辺環境への理解も深まり、共に育てるといった視点も強まり、よりきめ細やかな植栽管理ができるようになった、と話してくださいました。

造園業のプロだからこそ、できる仕事を

組合で仕事として受けるのは、市民ボランティアでは行えないような木の剪定や、愛護会のない公園での年3回の除草作業とのこと。

「愛護会が増えることで造園業社の仕事が減る、という考えは全くないですよ。みんなでできる草取りなんかは、みんなで愛着を持って楽しくやってもらえば、その分、例えば高木の剪定とか、我々にしかできない仕事に使える予算が増える。限られた市の予算だから、効果的に使われる方が良いでしょう。愛護会の皆さんの活動は応援したいですよ」と話して下さった清水さん。

街路樹でも公園でも、まちの緑にみんなが関わって愛着を持てるような雰囲気づくりや、子どもたちでも親子でも、楽しく活動する人を増やす裾野を広げる雰囲気づくりが大切。そのために地域の人たちとも会話をしながら、造園業のプロとしてできることをしていきたいと話してくださいました。

組合としては、これまでにも中央公園横の「フラワーロード」の花の植え替えや管理、公園での簡単な看板づくりサポート、公民館での刈り込みの方法や草刈機の使い方講習などもしてこられたそうです。

(フラワーロードには、2月の寒さにも負けずビオラがきれいに咲いていました)

ゴミ袋寄贈の背景

「茅ヶ崎市では今年の4月からゴミ有料化が始まるのですが、それはひとつのきっかけではありました」と話してくださったのは公園緑地課の吉野さん。

公園清掃など地域のゴミは、有料後も変わらず無料で出せますが、回収が金曜のため、愛護会活動が多い週末から金曜までの約1週間の間に、ゴミがゴミを呼んで、別の不法投棄ゴミが増えてしまうのではないか、ということが問題でした。

公園以外のゴミが混ざることのないよう公園清掃用のゴミ袋が必要。そんな時、組合でも新たな社会貢献活動を検討しているということで、相談の結果、今回の寄付に繋がったということでした。

組合からは90リットルのゴミ袋を1万枚が寄付されました。加えて市役所でも45リットルの袋を作り、3月に配布、4月から運用開始する予定とのこと。

寄付されたゴミ袋は、茅ヶ崎市内の公園愛護会や、緑地や公園清掃をする自治会など約40団体に配布されるそうです。2年くらい使えそうな見込みとのことですが、まずは始めてみて、色々な人の話を聞きながら調整していかれるそうです。

「有効に使ってもらえたら良いよね」と清水さんは話してくださいました。これをきっかけに、公園清掃の認知が上がって関わる人が増えたり、ゴミ袋や他のアイテムを寄贈する企業や団体なども増えていく、なんてことが起こるといいよね、などと話は盛り上がりました。

(寄贈された90リットルのゴミ袋。厚手でしっかりしています。)

企業が地域の公園をサポートすることへの思いと今後

今後は、プロとしての知識や経験を生かして、公園愛護会との協働にも意欲を持っていらっしゃった清水さん。必要があれば講習会や愛護会活動へのアドバイスなんかも出来るといいかもしれないね、という話になりました。

これまでにも、公園愛護会に限らず、地域の人と一緒に公園の芝生の管理を行う取り組みをされてきたそうです。枯れたから、新しく買って入れ替えよう、ではなく一部をプロの力で復活させる。数ヶ月間そのやり方を横で見て、学んで、他の部分は自分たちでやってみる。実際に復活していく様子を見ながら、やり方を教わることができるし、困ったことがあれば相談できる。

業者に全部やってもらうのではなく、教わって一緒にやるというスタイルは、多くの人がより愛着を持って活動するきっかけになるだけでなく、その後の持続可能なメンテナンスにも繋がりますね。

そのほかにも、剪定の時期や方法をレクチャーしたり、道具の使い方やお手入れを講習したり、剪定バサミの研ぎ方なども。可能性は広がります。

愛護会や公園を使う地域の人たちが、『この公園はこんな風にしたい!』という思いを持っていれば、それを実現するために応援したいと話してくださった清水さん。

「たとえ1社じゃできないことも、組合ならできることも増える。何かあったら相談してもらえれば、協力は惜しまないですよ。」という言葉が、とても頼もしく、輝いていました。地域にこういうプロがいてくれるというのは、心強いですね。

愛護会の担い手からも感謝の声

茅ヶ崎市内で公園愛護会活動をしているスマイルパークこわだ愛護会の雫石さんに、今回の緑化事業協同組合からのゴミ袋寄贈について、コメントをいただきました。

茅ヶ崎市緑化事業協同組合の皆さん、ゴミ袋の寄贈ありがとうございます。
大切に使わせていただきます。

スマイルパークこわだ愛護会さんでは、ゴミ回収の変更に伴って、4月から活動日を変更することにしたそうです。地域の燃えるゴミとして一緒に回収してもらっていた第1月曜日から、公園緑地課の金曜回収に合わせて第1木曜日にされるとのこと。

そして、前回の取材後の公園の近況もお知らせくださいました。

スマイルパークこわだは「みんなに愛される公園」を目指し、見通しが良く、花がいっぱい咲き誇る公園を目指しています。その為に冬の間に低木を植えかえて、「新おはなばたけ」のスペースを確保しました。ここには、愛護会メンバーが家から咲き終わった後の種を持ち寄り撒く様にします。そこにも、公園を訪れた人々が、備え付けたじょうろで水まきしてもらえれば最高です。

スマイルパークこわだ愛護会の皆さんの活動の様子はこちら

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みんなの公園愛護会では、公園ボランティア活動をサポートする企業や自治体の動きにも注目しながら、引き続き公園ボランティアの皆さんを応援していきます。

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