フカフカの芝生を地域に根付かせ“緑と人の輪”を育てることを目的とするNPO育てる芝生イクシバ!プロジェクトの尾木和子さんによる公園芝育て連載、今回は第3回です。
(これまでのお話はこちら▶️ 第1回・第2回)
みなさんこんにちは!お元気ですか。すっかり秋ですね。
10月の芝生だより
イクシバ!プロジェクトでは10月1日に寒地型芝生(略称:冬芝)の種を蒔きました。
蒔いた日は気温30度、一週間後には20度。ようやく秋にシフトチェンジです。今冬芝くんは一斉に芽生え二週間で初めての芝刈りをしました。通常芝生は絶えず刈り続けるので葉の先端は地面の平行に切られていますが、芽吹いた赤ちゃん芝生はツンツンとがっています。このシーンは1年に1度だけ。綺麗な黄緑色で地面を覆い尽くす姿はとても幻想的でとても美しいです。芝生なんて緑か茶色の原っぱ、という大多数の人のイメージがガラリと変わる光景ですよ!
まだ冬芝生の新生児はヒョロっとしていますが、少しずつ芝刈りをし、上に伸びようとする力を根っこからの枝分かれ(葉っぱ分かれ=分蘖(ぶんけつ)といいます)されて同じ場所から3本葉っぱが出たら大人になった証拠。11月初旬には踏んでも大丈夫な状態になります。その後株が大きくなり密に密に芝生を形成していきます。
芝生の作業1回1時間まで
さて、今日の本題は『ボランティで取り組む芝生育て1時間マデ』という話をしたいと思います。イクシバでは集合からさよならまで1時間を目標にしています。
毎回の作業の流れ
集合→道具出し→今日の作業→道具洗い(途中で集合・芝吸い・記念写真・お茶)→片付け
作業が終わり、道具を洗う所までくると、水栓や道具の数が少ないので手持ち無沙汰になる人も出てきます。そのあたりで一旦集合して、みんなで芝吸いして(刈りたての芝生にみんなでダイブして寝転びのんびりする時間のこと)集合写真を撮ります。全体作業として、ここまでで1時間。その後は都合次第。そのまま帰る人もいるし、最後まで片付けしてくれる人もいます。そこから倉庫に格納して鍵を締めるまで20分くらいです。
お分かりのように1時間、といってもメイン作業(例えば芝刈り)そのものが1時間ではありません。前後の準備・片付け写真撮影、お茶飲んでブレイク、芝吸い含めて1時間。メイン作業時間は35-40分程度です。
40分ってまだまだ動けます。楽しくなってきてもうちょっと作業しようかな、という感じです。でもそこで終わり。あーもうちょっとやりたかった。と思ってもらえる時間です。それを狙っています。そう思ってくれたら、また来週も来たい!って思ってくれるのではと期待しての時間設定です。持ち寄るモチベーションは人それぞれ、もし作業がしんどかった・・・大変。と思うとどうでしょう?もう懲り懲りと思ってしまうと次に芝生を育ててくれる人がいなくなるのです。
芝生から見ると、全ては芝生を持続させるため。ボランティアする人から見ると、いい時間だった!楽しいから続けたいと思ってもらえるための時間設定です。
ボランティアって自分自身の人生を豊かにするものだと考えます。義務も義理もないことです。自分の大切な余暇時間を費やすのですもの。お互い来てよかった。楽しかったと思う時間づくりを心がけたいものです。決して来『なければならない』ものにしないでくださいね。人に来てもらう工夫は当番表を作り負担を按分するのではなく、もっと来たい!と来てる人が楽しめる事をする事です。イクシバのボランティアの呼び込み係は芝生そのものが担っていますよ。芝生を育てる事自体がすでに楽しみが満載なのです。
1時間作業を可能にする影の立役者
とはいうものの、このスキームを支えるには影の立役者もいます。それは道具です。イクシバで使用している道具は、芝生への作業に効果のある物はもちろんですが、ボランティアにとって使い勝手の良いもの、作業の前後、運搬や片付け、作業性、効果時間短縮を兼ね備えたものを使っています。
例えば、
- 雑草とり:しっかりしたテコがついて、大物雑草から小さい雑草まで軽い力で取れる雑草とり器具。10年以上使っても金属部の変形も全くなく丈夫なもの。グリップは握りやすく軽い力で使用できる優れもの。みんなで使う箱にはいろんな種類の雑草とり器具がありますが、その中でこれが一番人気があり、毎回早い者勝ち。使えない時もあるのでイクシバメンバーは自分専用に購入し、マイ雑草とりを持参する人も多くいます。
- ホースリール:水栓までホースリールを担いでゆくのは大変です。帰り道はホースに水が入ってるのでかなり重たい。女性や子どもなら負担感のあることです。そこでドイツ製の車輪がついてるホースリール。ホースの巻き取りで手が汚れないようなガイドもついてるので、ハンドルをくるくる回すだけ。ホースを片付けるストレスからお陰で無縁です。
- スプリンクラー:芝生に効果的な雨の雫のようなスプリンクラー。
- 芝刈り機:いくら刈ってもグラつかない。刃こぼれもない日本製の芝刈り機。
- 肥料散布機:20キロ以上入る容量で車輪が大きく錆びにくい。
- ゴミカート:ゴミを入れた後の袋の重たさよ。車輪がついてゴミ袋をセットできるものを使用しています。大きく口が空いて、ゴミも捨てやすいのです。
- テント:真夏の雑草とり用。真夏でも日陰は快適な芝生です。作業は快適に。
- キャリーワゴン:子どもたちもこれがあれば重い荷物も運べます。時には交代で中に乗ってバスごっこにも使われています。
これらは芝生作業を支える優れもの道具です。とかくプロ仕様のものは大きすぎたり重たかったりします。老若男女が使用するものなので性能が良くても、使い勝手の悪いものはやがて使われなくなってゆきます。イクシバもここに至るまで買い物の失敗もたくさんしてしまっています。もったいなかったです。。皆様は同じ轍を踏まれることがありませんように!もしよければどうぞお尋ね下さい。限られた予算を無駄にしないように。皆さんの会で選び抜かれた道具を揃えてみてくださいね。