2023/11/29

夏芝と冬芝を混ぜることで一年中緑色の芝生広場に

イクシバ!プロジェクト

フカフカの芝生を地域に根付かせ“緑と人の輪”を育てることを目的とするNPO育てる芝生イクシバ!プロジェクトの尾木和子さんによる公園芝育て連載、今回は第4回です。

(これまでのお話はこちら▶️ 第1回第2回第3回


みなさんこんにちは。長かった夏が終わり、一気に季節が進みましたね。

今回のコラムでは、秋の深まるこのシーズンに特筆したい芝生のお話をします。

近所の公園に芝生がある皆さん、今どんな状態ですか?「茶色で枯れてきた」とお答えになる方が多いのではないかと思います。

自慢するわけではないのですが(自慢するのですが)今イクシバ活動の公園芝生は一年で1、2を争う最高に気持ちの良い時期です。天国芝生。癒され度100%。柔らかな緑がふかふか育っています。先日は気持ちいいからみんなでピクニックも実施。

水やりしたり芝刈りしたりの苦労(と思ってはいないけど)の後の癒しは最高だねぇぇ気持ちいいねぇぇぇと皆笑顔でした。自慢が過ぎますね。失礼しました。

(最高に気持ちの良い芝生でみんなでピクニックをしました)

なんでこの時期も緑なの?枯れないの?

それは冬芝の種を10月初旬にまき育てたからです。しっかり根を生やして活着させるため、お世話係の私たちは、種から新芽が出て赤ちゃん芝生、幼児芝生、青年芝生、と大事に水と肥料をやり育て上げました。

まだ幼い葉は根っこも浅く、弱々しい状態なので、養生柵で立ち入り制限をします。公園での利用制限は心底申し訳ない気持ち、心苦しいですが、全面ではなく一部はタネを蒔かずにいますので、公園を利用するみなさんは遊具や周辺部分で遊んでくれています。

毎回訪れる度に緑が濃くなってる様をご覧になって新たな命の成長を街のみんなで見守り、この緑で遊べる日をワクワクしながら柵開けを待ってくれてくれていました。

(冬芝の育ち具合を観察!)

芝の種類や特徴の違い

冬芝の種を撒くってどういうこと?と、思われた皆さんに芝草の話をしますね。

今は数えきれない芝草が人によって開発されています。開発のきっかけは、もっと病気に強いものを、もっと人の踏む力に耐えられるものを、もっと水を撒かなくて済むのを、もっと日陰に強いものを、もっと暑さに強いものを、もっとほったらかしでもいいものを等の”もっともっと”のニーズに合わせて日々研究がなされています。

そんな芝生ですが基本的にはカテゴリー分けをしてその性質を見ます。こんなグループ分けです。

◾️「日本芝」と「西洋芝」
まずは生まれの違いで分類します。日本の芝草といえば古くから野芝という芝草が利用されてきました。これは日本全国(北海道では一部)で見られます。日本芝と呼ばれるものには野芝、高麗芝などがあり、西洋芝はバミューダグラス、ライグラス、ケンタッキーブルーグラスなどがあります。

◾️「夏芝」と「冬芝」
次の分け方は、生育の気温による分類です。日本は南北に長い列島なので、生育温度の観点から北と南では使う芝生は違ってきます。夏の暑さに耐えられて冬の寒さで枯れるのが暖地型芝生(夏芝)、その逆で冬の寒さには生きられるけれど、夏の暑さにはやられてしまうのが寒地型芝生(冬芝)です。

◾️「多年草」と「一年草(二年草)」
一旦枯れたように見えて実は地中の根っこは生きているのが多年草です。生きにくい季節は休眠しますが、生きやすい季節になればまた目覚めます。一年草は生きにくい季節になるとそのまま枯れてしまいます。

◾️増やし方の違い
増え方では、節を植えて育つ芝と、種から生まれている芝があります。ホームセンターでパネルカーペットのように四角く切り出し売り出されているのは前者の芝生です。

◾️伸び方の違い
伸び方は匍匐するタイプと株になるタイプに分かれます。匍匐するものは地面の上・下の片方または両方で蛇が這うように横に伸びていきます。一方株になるものはその場で根を下ろし、グーにした手のひらをパーと広げるように株に育っていきます。伸びてゆく様の違いは明らかですが、お互いを補い合い一緒に芝生を作ることもあります。ここも本当に芝生育ての面白いところです。種から生まれて匍匐する種類もあります。

東京の気候で通年緑にするには

イクシバの活動は東京都で行われています。東京は気温的にはちょうど、夏芝と冬芝どちらも使える場所です。逆説で言うと2種類使わないと夏か冬には緑ではなくなる気温帯です。

イクシバが黎明橋公園で使っているのは大きく2種類です。

① 夏芝
芝草の種類:ティフトン419(80%)、セレブレーション(15%)、高麗芝(3%)、ビクトール(2%)
性質:夏芝/ 西洋芝(高麗芝は日本芝)/ 多年草/ 匍匐茎で節で増える
(4種類もあるのはこの地に合致するのは何かな?と何度か試した結果こうなっています)

② 冬芝
芝草の種類:ペレニアルライグラス(100%)
性質:冬芝/ 西洋芝/ 1年草/ 種をまき株になって成長する 

①は多年草なのでずっと公園に存在し続けています。でも冬の寒さには弱く、冬になると地上の茎は枯れます。しかし根っこは生きているので、冬を越し春に芽吹きます。これを毎年繰り返します。

みなさんの近所の芝生が冬になると枯れてしまうのは①だけだからですね。枯れたーといっても見た目だけ。本当は根はちゃんと生きています。春が待ち遠しいですね。

②は、①が枯れた冬の時期に緑の葉っぱを元気に生やします。どの季節もどちらかの芝は健在で生きているので一年中緑の芝生広場が完成します。

春に①の夏芝が芽吹く頃、まだ弱々しい赤ちゃんの時にも、②の冬芝があることで盾になり、人からの踏まれ圧からも守ってくれています。

込み入った話になってしまい少し退屈でしたか?

芝草と芝生の違い

そうそう、私はずっと説明で「芝草」と書きました「芝生」とは書きませんでした。芝草はイネ科の植物。そのまま水をあげ肥料を与えているだけでは、稲のようにぐーーんと太陽の光を求めて、ヒョロヒョロと上に伸びていきます。人が人為的に短く刈り揃え、ヒョロヒョロさせることなく、密に育ててゆくと・・・・ここで呼び名を「芝生」と言うそうです。

「芝草」は自然のままであっても、「芝生」は人が刈ったり、草食動物に食べられてこそ芝生になるんですね。みなさんの近くの芝生公園は芝草になってませんか?ちゃんと手入れされていますか?ぜひみんなで芝生に育てていきましょうよ。楽しいですよ。

このように個性豊かな芝生です。置かれた場所できちんと根付くためには、その場所に合ったものを入れて育てることが大事です。

そしてそして、芝生の他にも、夏に強い雑草、冬に強い雑草も相まって、芝生広場は1年中楽しく賑やかなんです。


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