連載コラム
2023/8/25

芝生は自分で育ててこそ!人任せなんてもったいなーい!

イクシバ!プロジェクト

はじめまして!コラム執筆者の仲間入りしましたNPO法人育てる芝生イクシバ!プロジェクトの尾木和子です。(上の写真の後ろ列右が筆者)

私は公園や公開空地など身近な場所にある”芝生”を育てる活動をしています。といっても芝生管理業者というわけではありません。近隣に住む地域のみなさんに声をかけ、みんなで芝生を育てよう!という活動をしています。主に東京都中央区の晴海にある黎明橋公園で芝生育てをしています。

皆さんの周りの公園はどんな公園ですか?遊具だけがある公園? 広い土の公園?芝生があったけど今はなくなっちゃった・・・という公園もあると思います。誰も足を踏み入れない、居心地悪く敬遠される公園は悲しいですが、そこに芝生がなくてもどんな公園でも人が出入りして、子どもが遊べたり、近隣の人が集えたり、憩う場であれば素敵ですね!

この活動を始めて10年たち、芝生を近隣住民で育ててゆくと、参加する人に、芝生に、公園に、それだけでなく、参加しない人にも環境にもいいことが沢山あることがわかってきました。なかなか芝生を導入するのはハードルが高いと思われるかもしれませんが、読者の皆様に、その、”いいこと”や”楽しみ”を1つでも多く伝えたいです。どうぞよろしくお願いします。

芝生が昔はあったけどなくなっちゃったという公園。できた当初は美しくて気持ち良くて、最高の公園になった!わーい!と喜んでいたのに、3年したら所々土になって雑草の塊もあって気持ち良さ半減になってしまってる・・・これ、芝生公園あるあるです。

これには訳があります。

おそらく、最初綺麗な芝生が敷かれたけれど、その後十分な維持管理がされずに芝生が雑草に駆逐されてしまった、たくさん使用され芝生が擦り切れてしまい、それきり再生できなかったなどが考えられます。

実は・・・芝生は世話がかかる子なのです。いえ、これには語弊があります。
元々芝生は
①芝草を頻繁に短く刈り込むと
②根を地中に張り
③どんどん密に葉っぱが増え
④絨毯のような面を形成する植物 です。

その用途のために品種改良をされた植物です。その密な状態までゆくと雑草はそう簡単には入り込めませんし、単一植物による緑の絨毯を形成できる植物です。これは他にはないことです。他の草で緑の絨毯をしようと思ってもなかなか難しい。でも芝生ならそれができるのです。芝草の魅力です。

こういう訳で適切な育て方をしてこそ、その魅力を最大限享受できるものなのですが、この育て方を理解されず(あるいは予算がなく)芝刈りさへもままならないケースがよくあります。その結果どうなるか・・・残念ながら芝生独特の効果を得る前に芝生自体が弱く育ち雑草に駆逐されてしまうのです。

ここでは「芝草」「芝生」と2つの単語を使いました。”芝草”は芝生を形成する植物そのもの。イネ科植物でそのまま放っておくとヒョロリと上に伸びてゆきます。芝草を短く刈り込みし、地表面からたくさん葉っぱを分けつさせて絨毯状態を目指しているのが”芝生”です。一方で芝草以外でも雑草でもなんでも短く刈っておけば芝生だ、という見解もあります。どちらもOKです。芝生とは人によって為されるものです。

芝生作業のあれこれ

では芝生のお世話ってどんなことをするのでしょう。

お花や木々、雨の水だけで生きる他の公園の植物とは全然違い、ほったらかしにはできないのが芝生です。人間の赤ちゃんのように頻繁にお世話を求めています。芝刈り、雑草とり、肥料をあげる、水をあげる、時には踏まれないように守ってあげる時期も必要、さらに、芝生を貼るともう剥がせません。農作物のように収穫の後鍬を入れて土壌を天地逆さまにしたりもできません。その代わりに穴を開けたり、砂を上げたりします。

芝刈り楽しいよ!

まず芝生育ての一丁目一番地は芝刈りです。芝刈りは芝生作業の中でも花形作業だと思っています。お庭のあるお家にお住まいですと芝刈り機を自前で持ってるご家庭もあると思いますが、マンション生活ではありえないことです。カッコいい芝刈り機を押す作業はそれだけで非日常の特別な体験です。

黎明橋公園は2000m2の芝生広場。ここを手動の芝刈り機を使い毎週芝生を刈っています。そして作業する人はプロではない全員素人の住民です。ボランティア活動と言うよりも、それよりも自分の余暇のような、趣味のような・・・そんな自分の大事な時間を過ごしています。

そしてそして、芝刈りってとても楽しいのです。ここは強調してお伝えしたいところなのですが、イクシバ!ではみんなの力を合わせて刈ることにこだわっています。到底一人や二人では無理ですので、人が集まってくれることが尊い。コミュニティが生まれる素地がすでにここにあります。

芝刈り作業は人を芝生好きにさせちゃいます。その時間は忙しい日常生活のPC、スマホから解放される時間です。そんな大袈裟な!と思われるかもしれませんが、実際そうなのですよ!芝生は刈ってるそばから五感をくすぐられます。まずその香り!緑の香りが良い気持ち。手触りもふかふかして気持ちいい。そしてどんどん刈り揃えられると、芝草1本1本ツンツンしていた芝生の光景が変わってきます。ムースの表面のような滑らかな緑の一面になってゆきます。その光景は本当に本当に美しく、『わーキレイ・・・』って思わずつぶやいてしまいます。

この気持ちは作業してる人が共有できる気持ちです。小さな手押し芝刈り機をみんなで押し同じ作業してる時間、一緒の時間を過ごすみんなに、芝生からのちょっとした感動を毎回プレゼントされているのです。うふふ。この気持ち良さは病みつきになりますよ。

作業をしながら現在進行形でどんどんキレイになる公園が形成される様は誇らしげな気持ちにさえなります。

(老若男女みんなで楽しく芝刈り!)

さらなる芝生からのご褒美

ムースのような気持ちいい芝生ができあがれば、作業の終わりに『芝吸い』タイム。

みんなが集まり、靴脱いで、靴下脱いで、膝立ち姿勢から両手を前にして芝生にダイブ!最初はうつ伏せで寝ます。芝生にほっぺすりすり、いい香りを吸い込みます。しばらくして体の裏面、背中をつけてゴロン。芝生が一週間の疲れをぐんぐん吸い取ってくれる。なんとも言えない至福な時間です。あーん、ここで2時間くらい寝てゆきたいよ・・・こんな気持ちいい場所が家の近所にあるなんて最高!

どうですか?芝生は手間をかけないといけない子ですが、言い換えればその手間こそが、みんなが集まる理由です。便利になりすぎてる世の中で、部分部分しか見えない世の中で最初から最後までその過程を手作りするこんなアナログな集まりも良いものですよ!めーーーっちゃ気持ちいいですしね!一週間に一度、みんなで1時間の力を持ち寄り、少しづつ芝生育てをする時間です。

あ、今わたし、1時間って言いましたね。

この時間にも秘密があります。

次回はボランティア活動を続けるヒントをお送りしますね。​​

(作業の終わりにみんなで『芝吸い』タイム)

取材・執筆
取材・執筆
尾木 和子

NPO法人育てる芝生イクシバ!プロジェクト代表理事。芝草管理技術者。芝生大好き。雑草も好き。人生を教えてくれるのが芝生と雑草。好きが高じて芝生資格を取得。誰かと一緒に芝生育てをすることが好きなので、一人でもコツコツ芝生育てするのか?と問われるとNO。人が好きだけど、『仲良くしようね!』と親睦自体が目的の場所は苦手。こんな私にとって、いろんな人と一緒に芝生を育て、自然に仲良くなって、気持ちいい環境を作るのは最高の喜び。みんなー!芝刈りしようぜ!

NPO法人育てる芝生イクシバ!プロジェクト代表理事。芝草管理技術者。芝生大好き。雑草も好き。人生を教えてくれるのが芝生と雑草。好きが高じて芝生資格を取得。誰かと一緒に芝生育てをすることが好きなので、一人でもコツコツ芝生育てするのか?と問われるとNO。人が好きだけど、『仲良くしようね!』と親睦自体が目的の場所は苦手。こんな私にとって、いろんな人と一緒に芝生を育て、自然に仲良くなって、気持ちいい環境を作るのは最高の喜び。みんなー!芝刈りしようぜ!

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