2023/12/25

芝生も、コミュニティも、葉っぱや土も、持続可能に

イクシバ!プロジェクト

フカフカの芝生を地域に根付かせ“緑と人の輪”を育てることを目的とするNPO育てる芝生イクシバ!プロジェクトの尾木和子さんによる公園芝育て連載、今回は第5回です。

(前回を読む▶️ 第4回:夏芝と冬芝を混ぜることで一年中緑色の芝生広場に


先日今年の芝生納めをしました

冬になると、毎週毎週の活動もいよいよシーズンオフ。1月と2月は月に一度、3月が隔週、4月が隔週+αという感じです。12月に入ると、冬芝は緑のまま成長を一旦ストップさせるので、もう芝刈りはありません。

12月は倉庫の掃除をしたり、公園の樹木の葉っぱを集めるのがメインの作業です。毎年芝生作業納め日はスーパーで焼き芋を買って、それを落ち葉の山に忍ばせて、子ども達が一斉に取り出す!というのが一年最後の締めのイベント。

落ち葉があるけど都心の公園で焚き火というわけにもいかず、都会っ子は味気なくてなんかかわいそうだなぁ・・・と思いますが、当人たちは、大人の気の毒に思う価値観ではなく、目の前のことを思い切り楽しんでくれます。みんなで落ち葉を集めて、落ち葉の感触、シャカシャカという音を全身で満喫してくれている姿を見ると、自分が恥ずかしくなるような、今を精一杯楽しむことを教えられたような嬉しい時間でした。

(みんなで落ち葉を集めます!)
(倉庫の中のものを全部出して大掃除)
(棚もきれいに拭き上げてピカピカに)

コンポストを再開しました

夏の芝刈りでは45Lのゴミ袋20袋以上の芝カスが発生し、2年前までは毎週大量の芝カスを焼却処分をしていました。このことに忸怩たる思いが拭えませんでした。

イクシバ!活動は ”埋め立てられてほぼ集合住宅住まいのこの町の子どもたちに郷土愛を”、”地域の緑を保とう”、”芝生をみんなで育てて仲良くなろう・・・”等々の美しい目的を掲げていますが、その目的達成に欠かせない芝刈りに発生する芝かすの焼却処分に甘んじてることに対して後ろめたい気持ちがそうさせていました。子どもたちにも「みんな協力すると良い感じ!という姿を見てね!」と言いつつ、(でも、ここは見ないで!)と目隠ししてるような気持ち。

この大量発生する芝カスを再利用しよう!との思いからコンポストの導入をしました。

芝生も、コミュニティも、持続可能にしてゆくことは今日的命題です。

実はコンポストの装置自体はあったのです。ずっと以前に町会のおじさま達がチャレンジし、立派なコンポストの装置を区役所が作ってくれて置いてありました。しかしなぜか断念されて、しばらく放置された状態でした。断念の理由を聞くと、芝カスや落ち葉を発酵させるつもりが、ある日、コンポストの中に家庭の植木鉢の土や台所のゴミが無造作に投げ入れられていて、ぐちゃぐちゃになってしまった。「もう(怒!)俺やる気無くした!」とのこと。誰が入れたかなどは不明なまま。そのままになっていました。(でもきっとコンポストだからだと、良かれの気持ちもあって生ゴミを入れられたのでしょう・・・)

では今度は本格的にイクシバ!も参加し、1回目の同じ轍を踏むまいと看板つけたり、鍵をつけたり、屋根をつけたり、発酵の燃料となる米糠は築地のお米屋さんに提供してもらう約束を取り付けて、区役所にも認めてもらい昨年リスタート。

意気込んで始めましたが昨年は全て順調!というわけではなく、夏場はウジがわいたり・・・(初めて見ましたがすごいの一言)、匂いも腐敗臭がすごくて・・・(慌てて近隣のコンビニさんでコーヒーカスのご提供してもらって臭いを消したり、、、)思ったようには進みませんでした。試行錯誤を繰り返します。

どうやら芝カスはイキのいい成長期の葉っぱ(=水分が豊富)なので、それが良くない感じかも、と今年は一旦カスを乾かしてから、米糠と混ぜ合わせました。これは、いつもの芝生育てと並行して、専従のように取り組んでいるメンバーが2人います。リーダーは3シーズン目にして貫禄アリ。ここで少し水をまこう、米糠はこのくらいの量にしておこう、ここはカスを天地逆さまにして、など司となってくれています。

そして出来上がったのがこれです!

(乾かした芝カスをコンポストに入れ、こんなにふかふかの土ができました!)

米糠と芝カスだけでふかふかな土が出来上がりました。不思議!

そしてコンポストの地面にバケツを埋め込んだところには液肥が出来上がりました。これは昨年のものから生まれたものです。悪臭とウジを経て、結果出来上がりました。

(こちらは出来上がった液肥、こんなにたっぷり)

これがどのような成分で、どんな効果があるのかはきちんと成分分析をしていないので(お金もないし・・・)未知数ですが、きっと良いに違いない!と、少しづつまいてゆきます。捨ててなるものか!今芝生界でも、土壌の微生物を活発化させようという研究が多く行われています。私たちの現場の試みも今後磨かれてゆくといいなと思います。

そしてイクシバの中でも、いつもの芝生育て(芝刈りしたり雑草とったり)するように、コンポストも含め、当たり前に誰もがこの芝カスの循環の営みを理解して執り行われるようになってほしいと思います。芝生も、コミュニティも、持続可能にしてゆくことは今日的命題、芝生は生き物、カーペットが古くなったら捨てる、なんてことはちょっと恥ずかしい。みんなで長く命を育ててゆきましょう!今日的命題をクリアしてゆきたいです。

芝草は二酸化炭素をたくさん吸収するんですよ!

刈っても刈ってもまた伸びる、旺盛な芝草。そんな葉っぱが密に生えている芝生は、表面積が大きく、そこではCO2を吸収します。せっかく吸収した芝生のカスを焼却してまた大気にCO2を戻しては元の木阿弥!ですものねコンポストで循環させる姿を子どもたちに見てもらう事ができて嬉しいです。

しかし手間はかかるし面倒(実際は楽しんでやってますが)!しかし時間がかかる!
暮らしそのもの、目先の便利さのその背景を考えるきっかけになりますね。

(表面積の大きい芝生は多くのCO2を吸収してくれます)

ボランティアだからできること?

イクシバ!、白状すると失敗をたくさんしてます。さかのぼることコロナ禍前の出来事。

イクシバが活動を始めた2012年12月の晴海地区の人口は7656人*でした。それから周辺にタワマンが建ち始め、今月の人口は​​18750人*です。さらに黎明橋公園より海側の土地はオリンピックの選手村になり、その跡地にこの冬からマンションの入居が始まり1万人以上増える場所です。小学校も新設予定がある高度成長期のような土地柄。
(* ​中央区町丁別世帯数男女別人口データより抜粋)

そこの玄関口に位置するのが黎明橋公園です。何が言いたいかというと、非常に激しく芝生が使われる場所、ということです。

この公園が出来たときに採用された芝草は高麗芝でした。高麗芝くんは公園でよく使われている芝草ですが、性格がおっとりさん。あまり伸びない。利用の少ない場所には向いていますが、よく使われる場所には向いていません。

つまり、人口の多い場所で、利用制限なしで擦り切れるほど使われ(踏まれ)すぎるような場所では、のんびり伸びようとするので、伸びる前にまた踏まれて、早かれ遅かれ裸地化し失くなる芝種です。

この事態を想像できたので、裸地になる前に手を打ちませんか?と町会、区役所の方と一緒に話し合い、来るべき人口増に備え、成長の早いスポーツターフ種への切り替えをしてゆくことになりました。2016、2017、2019と3年かけ1/3づつの範囲に分けて行うことになりました。失敗だ、と思っているのは3回目の工事の時です。

過去2回は植え替え時にある程度土をさらい砂地の入れ替えを行えましたが、3回目は予算の関係で、できないとのことでした。「ならば無しでやります」と、砂の入れ替え無しで工事をしました。工法は筋植えというもので、砂に線状に切れ目を入れて、芝生の節を地面に植え混むやり方で行いました。近隣の人も集まってくれてみんなで。イベント化して地域の皆さんで植えてゆきました。

予定ではそこから芽が出て・・・どんどん芝生が広がって・・・というストーリーになるはずが、あっという間に伸びたのは最強雑草ハマスゲでした。

しまった!!

すでに地面に撒かれた種、地中に眠る地雷のような根塊が、芝生の筋植えの刺激で一気に勢力を拡大してしまったのです。植え替えの後、芝生でなくハマスゲ園となってしまった広場。おーい芝生はどこにいるんだい!という状況でした。最悪!!!

せっかく皆さんの手を借りて補植イベントを成功させたのに、水の泡です。芝生の代わりにわさわさとハマスゲが繁茂する姿に、立てないくらい呆然としたものです。もうだめだこの場所・・・ハマスゲに狙われたらおしまいだ・・・と、何日も眠れなくなりました。

「お願い神様、もう一度やり直しさせて。やっぱりここの地面を入れ替えてください!」と何度願ったことでしょう。でもそんな予算はどこにもありません。

・・・
当時を思い出すと感情が揺さぶられてしまいます。
この窮地救いはあったのか!?続きはどうなるのか!
長くなりそうなので、このお話は雑草のお話と一緒にまた次回に持ち越したいと思います。

皆様どうぞ良いお年をお迎えください。

(みなさん今年も一年おつかれさまでした!)

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