各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、横浜みなとみらい地区で公園を中心に地域がつながる機会づくりをしているこちらのみなさんです。
みなとみらい地区の子どもたちの遊び場「タカチュー」
横浜市西区みなとみらいにある高島中央公園(たかしまちゅうおうこうえん)。横浜からみなとみらい線で1つ目の新高島駅から歩いて5分ほど、横浜アンパンマンこどもミュージアムやKアリーナなどの商業施設のほか、いくつものタワーマンションが立ち並ぶエリアにある開放的な雰囲気の公園です。
見通しの良い広い園内には、芝生広場や、遊具エリアのほか、舗装された広場エリアもあり、トイレやシェアサイクルのポートもあります。砂場やすべり台で遊ぶ小さな子、元気に走り回る小学生、ボール遊びをする家族、ダンスの練習をする中高生、おしゃべりを楽しむ大人のグループなど、多くの人で賑わっています。

こちらの公園でボランティア活動をされているのは、高島中央公園愛護会の皆さんです。暖かな陽気の3月の活動日にお伺いし、会長の松本道雄さん、山下順三さん、田中孝一さん、田中来実さんほか、メンバーの皆さんにお話をお聞きしました。
高島中央公園は、みなとみらい地区にタワーマンションが建ち始めた2007年に開園。この辺りで遊具がある公園はここだけ、マンション住まいの子どもたちにとっても人気の遊び場だそうです。地元の子どもたちの間では「タカチュー」という愛称で親しまれているんだとか。

まち普請で公園を充実、公園を舞台に地域交流
高島中央公園愛護会の活動のはじまりについて、会長の松本さんが教えてくださいました。マンションができて入居した当初、公園はあったものの少し殺風景な感じだったと当時を振り返ります。そこで住民たちにアンケートを取ってみると、公園に遊具や花・木陰がほしいという声が集まったそうです。2009年ヨコハマ市民まち普請に応募したところ、見事コンテストを通過。地域住民主導で花壇や砂場、園路、藤棚、掲示板などの追加整備を行うことになりました。
定期清掃や花壇での花植えイベントなど、高島中央公園ガーデニングクラブとして始めた活動は、その後高島中央公園愛護会と名前を変えながら、今もなお継続しています。
また、ゴミ拾いや花植えだけでなく、様々なお楽しみイベントを行っているのも、高島中央公園愛護会の皆さんのユニークなところです。
高島中央公園愛護会の活動やイベントは、公園の掲示板とホームページでお知らせしています。メーリングリストに登録するとメールでの案内も届きます。メール登録は現在65名ほど。
情報発信では、告知案内だけでなく活動報告も合わせてすることを心掛けているそう。「写真を見て、楽しそうだから行ってみよう!と思ってくれたら」と松本さん。実際、楽しそうな雰囲気が写真で伝わるから、初めてでも安心して参加することができたという声もありました。

毎月のゴミ拾い前のラジオ体操は、地域ケアプラザと一緒に10年以上継続。2016年から年4回行ってきた「みなとみらいでポニーと遊ぼう!」イベントは、9年間でのべ1500人もの子どもたちが参加して楽しんだそうです(ポニーイベントは、今年度で終了)。
そのほかにも、みなとみらい秋まつりや、ハロウィーン、キャンドルナイトなど、公園を楽しむイベントもこれまで数多く行ってきました。これまでの活動はホームページでも見ることができます。
タカチューでのイベントは、マンションの垣根を超えて、地域の人たちが楽しくつながりあう場になっているようです。とくに子どもたちは、イベントがあると自由に行き来するので、楽しいことがあると子どもたちの口コミであっという間に情報が広がっていくのだそうです。
夏休みのラジオ体操は、口コミで気づけば毎朝100人集まる夏の恒例イベントになり、マンションの自治会や公園愛護会の枠を超えて、みなとみらい地区の地域活動として定着しているそうです。夏休みラジオ体操の様子は、横浜市西区の「にしく通信!」や、ブリリアみらいコミュニティで楽しそうな様子を見ることができcます。
ラジオ体操のごほうびは、みんなが持ち寄ったお菓子やおもちゃ。大人も子どもも、誰かのために少しずつ持ち寄って、ほしいものをもらっていくスタイルで運営。誰かのために持ち寄る喜びや、誰かが大切にしてきたものを今度は自分が譲り受けるシェアの文化を子どもたちが体験する場にもなっているそう。深い!

子どもたちが大活躍のゴミ拾い!
3月のこの日の活動は、ゴミ拾い。時間になるとあちこちから人が集まってきて、受付でベストを受け取り、子どもたちも慣れた様子でベストを着ています。この日は49名の人が参加。戸部本町地域ケアプラザ主催のラジオ体操タイムでは、大人も子どももみんなで第一と第二を行いました。


ラジオ体操で体を温めたら、ゴミ袋とトングを受け取り、いざ、ゴミ拾いタイム!
公園の中と周囲の道に落ちているゴミを拾います。
「ここはいつもタバコがいっぱいあるんだよ」
「トイレの近くはゴミが多いんだよね」
「あ、植え込みの中にゴミが隠してある〜」



小学1年生の女の子は、小さなゴミも見逃さないゴミ拾い名人。年中さんからずっと参加しているそうで、この日もお友達と一緒にたくさんのゴミを拾いながら「空き缶は一度逆さにして中身を出してから袋に入れるんだよ!」とコツを教えてくれました。すごいベテラン!
小さな2人のお子さんを連れたお母さんは、社会貢献と子どもの体験の機会になればと3年くらい前から参加。ゴミ拾いをしたあとそのまま公園で遊べるのもちょうど良いようです。
小学5年生の男の子はお父さんと参加。もう5年以上続けているそう。「ゴミ拾いは楽しいよ!お菓子ももらえるしね!」と笑顔です。「ここは子どもたちがみんな楽しそうで良いですよね」とお父さん。
あっという間にたくさんのゴミが集まりました。おつかれさまのお菓子や飲み物をもらって、集合写真を撮ったらこの日の活動は終了。お菓子は子どもたちのために有志の方から差し入れがあるそうです。



マンションを超えた気楽な地域のつながりの場
それぞれお近くのマンションにお住まいのメンバーの皆さん。公園での活動では、仕事や住んでいる場所など利害関係を気にせず人間関係を作れることも魅力のひとつだと話してくださいました。
セキュリティーがしっかりしたタワーマンションでは、別のマンションの人と話す機会もなければ、気楽に集まれる場所もないという中、高島中央公園での活動が地域をつなぐ場になっているようです。
山下さんは近くのマンションの自治会長で「子どもたちのふるさとを作りたい」と立ち上げ当初から活動されています。「新しいまちでも子どもたちにとってはここがふるさと。地域のつながりを大切にしたい」と話してくださいました。地域の大人たちと一緒に公園でゴミ拾いをしたり楽しいことをした子ども時代の体験はきっとそれぞれのふるさとの思い出になることでしょう。
田中さんは、公園のポスターを見て娘さんと参加したのがきっかけで、今では親子で運営メンバーとして活躍しています。積極的に動かないと繋がれない町中でも、ゆるやかに楽しい人間関係を作れる公園愛護活動に「同じ目的に向かって汗を流すことが大事なんですよね」と話してくださった田中さん。
小2から始めたという娘の来実さんは、現在中2。道具一式を運ぶリヤカーの扱い方や畳み方がまるで職人さんのようです。「自分たちの公園だからきれいにしたいと思うんですよね。お世話になったし公園が好きだから」と話す頼もしい姿に大人たちも笑顔が溢れました。

会長の松本さんは、横浜市の様々なまちづくり活動にも積極的に関わっていて、公園公民連携推進委員や小学校の学校運営協議会の委員などもされています。ある時、小学校2年生のクラスで、クラスの半分以上の子がタカチューでの活動に参加したことがあると言っていたエピソードも話してくださいました。公園を歩いていると子どもたちから声をかけられることもあるんだとか。公園での活動が地域の子どもたちにしっかり根付いていることがわかります。
来たい人が来ればOK。義務感なく参加ができるよう意識しているという高島中央公園愛護会の活動。「楽しくないと続かないんですよね。楽しかったから、また来よう!という活動にしていきたいです」と話してくださいました。
みなとみらい地区で育つたくさんの子どもたちが地域活動を体験しながら育つ場として、これからも様々な取り組みが行われていきそうです。



【基本情報】
団体名 | 高島中央公園愛護会 |
公園名 | 高島中央公園(横浜市西区) |
面積 | 約 14,000 m2 |
基本的な活動日 | 毎月第1日曜 10:00- |
いつもの参加人数 | 30-40人ほど |
活動内容 | ゴミ拾い、除草、花壇の管理、植物の水やり、施設の破損連絡、利用者へのマナーかんき、愛護会活動のPR、地域のイベント、子ども向けイベント、他団体と連携したイベント |
設立時期 | 2009年 |
主な参加者 | 地域の有志、子ども、子育て世代 |
活動に参加したい場合は | 活動日に来てください!(日程はホームページでチェック!) |