2024/3/5

パークハウスから広がるコミュニティ、花壇整備もサークル活動で

田隈中公園(福岡市)

みんなの公園愛護会では、公園ボランティアの活動や、それをサポートする行政の取り組みを紹介しています。今回は、地域の公園の積極的な利活用を応援する「福岡市のコミュニティパーク事業」制度を使ってパークハウス(地域がつくる、魅力的な公園づくりと地域コミュニティの活性化を目的とした建物)を建設し、パークハウスを中心に多世代にわたる地域コミュニティを広げているこちらの皆さんです。

長年住民から親しまれてきた公園

福岡市早良区にある田隈中公園(たぐまなかこうえん)は、市営地下鉄七隈線の賀茂駅より徒歩15分ほどの閑静な住宅街の中にある公園です。公園には、すべり台・ブランコなどの遊具や、テニスコート、グラウンド、日差しよけの屋根がついたベンチなどのほか、パークハウスも設置されています。お伺いした日には、朝からグラウンドゴルフをされているグループや、キャッチボールをしている少年野球チームの子どもたちもいて、とても賑やかでした。昔から近所の子どもたちの遊び場だったそうです。

(グラウンドゴルフができるほど、とても広いグラウンドがある公園です)

こちらの公園でコミュニティパーク事業運営委員会に携わっているのが、公園がある田隈二丁目町内会の現役役員や、子ども会、民生委員と、かつて町内会の役員だった10名の方々。町内会会長で、運営委員会会長の半田晴男さんと、花壇サークルの責任者をされている久保倉宏一さんにお話を伺いました。

(左が半田さん、右が久保倉さん:とても気さくな優しい笑顔のお二人)

多世代が集まれる”場”をつくるため、コミュニティパーク事業に参加

田隈中公園が福岡市のコミュニティパーク事業に参加したきっかけは、今まで町内に集会所がなく、みんなで集まれる”場所”が欲しかったから。それまでは、小学校の空き教室などを借りて町内の集会を実施していましたが、悲願の集会所を建設する計画で、1991年より町内会予算から年間30万円ずつ積み立てを開始しました。

そんな折、2016年に福岡市よりコミュニティパーク事業の実施が発表されます。パークハウスは公園内に設置するため、建設のための土地探しが必要なく、土地を借用したり購入したりする必要もありません。福岡市から建設費の補助金も出るということもあり、田隈中公園ではコミュニティパーク事業に参加することを決め、同年に運営委員会を発足し、2019年にパークハウスが完成しました。「””ミュニティ ””ーク ハウ””」の名称から頭文字等をとり、パークハウスは「こぱす二丁目」と名付けられ、地元の方に「こぱす」の愛称で親しまれています。

完成後、パークハウスを利用してマルシェや「熟年学びの会」など、地域の方が楽しめるイベントを多く実施してきました。

(第2回田隈中公園マルシェの様子。キッチンカーが来たり、子どもたちが楽しめるような金魚すくいがあったりと、とても賑わっています(写真提供:田隈中公園コミュニティパーク事業運営委員会))
(「熟年学びの会」の回覧板。他にも山岳図書の魅力を学ぶ回など毎回趣向が凝らされたテーマになっています。地域住民の孤立を防ぎ、集まって語り合うことを目的に会を開催しているそうです(写真提供:田隈中公園コミュニティパーク事業運営委員会))

公園のルールは、住民みんなで話し合い決めました。公園の入り口には「田隈中公園地域ルール」という看板が立てられています。例えば、以下のようなルールが記載されていました。

・夜21:00~朝8:00は静かに公園を利用すること
・公園内は禁煙
・公園内は飲酒禁止
・バーベキューやたき火は禁止
・花火を行う場合は保護者が同伴すること。ただし、打ち上げ花火は禁止
・自転車・バイクは乗り入れ禁止(ただし保護者同伴の自転車の練習は除く)

公園の清掃は、町内会のメンバーが交代で月2回行っているとのこと。

(公園入り口に設置された「田隈中公園地域ルール」の看板。小さな子どもでも読めるようにルビが振ってあります)

サークル活動で花壇整備

パークハウス完成後、イベントを開催するほか、町内外の方がサークルをつくり、グラウンドゴルフ、将棋、ハンドメイド、花壇整備といった活動をされています。伺った日は、花壇サークルの活動日ということで、16名ほどの方が朝9:00にパークハウス前に集まってきました。まずは、ラジオ体操から始まり、花壇サークル責任者の久保倉さんから活動内容を聞きます。植える苗については、サークルメンバーに意見を聞き、責任者が用意しているそうです。花壇整備のための予算は、「福岡市緑のまちづくり協会」で行っているみどりの助成金を申請し充当しているとのこと。助成金制度を上手く利用し、活動されています。

(青空の下、元気にラジオ体操をする皆さん。朝から体を動かすと気持ちがいいですね!)
(この日は、ネモフィラの苗を植え、雑草などをとった後に赤玉土や腐葉土をまいて、雑草などの予防をするとのこと。みなさん手際よく作業されています)

この日の活動には、専門学校生や小学生など若い世代の方々も来ていました。お話を聞いてみると、もともと植栽が好きで、回覧板で花壇活動のことを知り、活動に参加されたそうです。小学生の親御さんは、なかなか子どもが植栽に関われる場面がないので、よい機会だと思っているとお話してくださいました。

サークルメンバーでなくても、グラウンドゴルフをしている方々や通りかかった地域の方がふらっと活動に参加することもあるとのこと。この日も、サークルメンバーのお知り合いの方が活動に参加されていました。メンバーでなくとも公園に来た方なら誰でも参加できるオープンな雰囲気が、ゆるやかに活動が続いている秘訣なのかもしれません。

花壇は公園内に10区画あり、3~4名で1区画を担当しています。花壇サークルの活動は、月2回(冬季は月1回)、第1日曜日と、第3土曜日に朝9:00から1時間ほど。

「毎回来なくてもいいんだけど、(担当区画が決まっているから)手入れしないと分かっちゃうから来るんだよね」と参加者の方が教えてくださいました。「夏の活動が一番大変なのよ」との声も。夏は月2回の活動では水分不足になってしまうため、区画の担当者同士で話し合い、活動日以外に週2~3回、交代で花壇の水やりに来るそうです。花壇サークル活動は、区画の担当者同士の交流にもつながっています。

(”ボランティア歓迎”の言葉と、各花壇の区画に植わっている植物の名前が記載されたプレート。花壇サークルのメンバーの手作りなのだそうです)
(活動終了後は飲み物が配られ、ベンチでひとときの休息タイム)

パークハウスを中心に広がるコミュニティ

パークハウスは、多くの方が公園を訪れる時間帯に開放しており、運営委員会のメンバーが交代で見守りをしています。誰でも利用することができ、夕方は近所の子どもたちが遊びに来るそうです。「はじめは子どもたちが勉強する場になればと思ったけど、元気にパークハウスの中を走りまわっていますよ」と目を細めてお話してくれました。パークハウスは子どもたちを含む多世代のコミュニケーションの場にもなっているようです。

(パークハウス内には、椅子とテーブルが常設されており、とても広いです)

パークハウスでは、月1回、第1水曜日の10:30~12:00に「カフェコパス」をオープンしています。来られるのは、70代から90代の方が多いとのこと。カフェコパスの運営は、地域の民生委員2名で行っており、無料でコーヒーが飲めるほか、「いきいきセンターふくおか」(福岡市地域包括支援センター)から職員に来てもらい、健康相談などもできます。ほかにも、絵の得意な方が制作された絵を飾ったり、自宅で栽培している野菜を持ってきたりと、カフェは得意分野や趣味を披露する場にもなっているようです。

(カフェがオープンする日程はパークハウスの外壁に設置されている掲示板にも貼ってあります。公園に来る方に広くお知らせができますね)
(カフェオープン日前に出している案内状(写真右)は毎回民生委員の方の手書きなのだそう。イラストもかわいく、素敵です)

また、パークハウス完成後、ハウス前のデッキに集う70~90代の集まりが自然にできたそうです。その名も「公園に集まろう会」。毎日午後3時ごろに近所の年配者層が10名ほど集まってきて、健康づくりを目的におしゃべりや体操、時にはパークハウス内にあるカラオケ機材を使い、見守りをしている運営委員の方も一緒に合唱をしているのだそう。

(合唱をしている「公園に集まろうの会」の皆さん(写真提供:田隈中公園コミュニティパーク事業運営委員会))

パークハウスを中心に、子どもから年配層まで多世代が公園に集まり、地域にゆるやかな交流が広がっています。

現在、田隈中公園は町内会の皆さんと協議しながら再整備事業を進めており、新たなコミュニティの輪が広がりそうな予感です。

(毎年4月に福岡市で開催される一人一花スプリングフェスの花壇コンクールに参加しているそうです)
(左はハンドメイドサークルの作品。右はグランドゴルフ大会のトロフィーなど。いずれもパークハウス内に飾ってあります)
田隈中公園のブログ。花壇サークルの久保倉さんが管理されており、花壇活動以外も公園のイベントなどの告知や開催報告などこまめにアップし、情報発信されています)

【基本情報】

団体名田隈中公園コミュニティパーク事業運営委員会
公園名田隈中公園 (福岡市早良区)
面積5,582 m2
基本的な活動日(花壇サークル)毎月第1日曜、第3土曜 9:00-10:00
(カフェコパス)毎月第1水曜日の10:30~12:00
いつもの活動参加人数(花壇サークル)15名ほど
会の会員数(運営委員会)10名
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、花壇の管理、植物の水やり、トイレ清掃、施設の破損連絡、利用者へのマナー喚起、愛護会活動のPR、新メンバーの募集や勧誘、地域のイベント、子ども向けイベント、遊びの見守り、高齢者など地域の声がけ、公園再整備に関する活動
設立時期2016年
主な参加者地域の皆さん
活動に参加したい場合はサークルに参加したい場合には、各サークルの活動日にいらしてください
取材・執筆
取材・執筆
栗原 香小梨

子どもの頃からTHEインドア派だったのですが、自身の子どもが生まれたことをきっかけに公園に遊びに行くようになりました。"子どもの遊び場"というだけではなく、よく会う知り合いができたり、そこから会話が生まれたり、公園を中心に広がるコミュニティに関心あり。現在は、子ども関連のNPOで活動をしながら、地域の仕事、文化を引き継ぐ方々をテーマにライター活動もしています。

子どもの頃からTHEインドア派だったのですが、自身の子どもが生まれたことをきっかけに公園に遊びに行くようになりました。"子どもの遊び場"というだけではなく、よく会う知り合いができたり、そこから会話が生まれたり、公園を中心に広がるコミュニティに関心あり。現在は、子ども関連のNPOで活動をしながら、地域の仕事、文化を引き継ぐ方々をテーマにライター活動もしています。

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