皆さんの身近な芝生は、春を迎えてどんな様子でしょうか。
冬の間に枯れていた芝生から、少しずつ緑の芽が出てくる季節です。黎明橋公園の芝生は二毛作のため、今の時期は冬芝がぐんぐんと気持ちよく成長しています。
ところで、春の公園で芝生の上に寝転んだことはありますか?
靴を脱いで、少しひんやりした感触を足の裏で感じる。
そのまま空を見上げると、思っていたよりもずっと視界が広くて、少しだけ気持ちがゆるむ。

そんな時間を、もっと多くの人に味わってもらえたら。
そう考えて、私たちは毎年「芝フェス」を開催しています。
今年で第4回目。5月10日に開催予定です。(詳細はこちら!)

芝生キャストが支える、長らえるための一日
当日は、いつも日曜朝に1-2時間ほど芝生の手入れをしているメンバーたちも、芝生キャストとして運営に入ります。ふだんの作業とは少し違って、この日は一日、どっぷりチームワークで芝生の場を支える日です。
多くの人が芝生の上でくつろいだり、裸足になったり、音楽を聴いたりしている姿を見るのは、私たちにとってとても幸せなことです。「この芝生を育ててきてよかった」と思える瞬間でもあります。
また、今年も、イクシバ直営ブースでは「雑草取りチャレンジ!」を行います。初めて雑草を取る人に対して、イクシバキッズたちが先生役となり、きっと嬉々として雑草の取り方を指南してくれることでしょう。
夢中で雑草を取ると、意外なほどスッキリする。
そんな感覚に気づいてくれる人が、また少し増えると嬉しいです。

問いはいつも「どうすれば長らえさせられるか」
ただ、このイベントの根っこにあるのは、「にぎわい」そのものではありません。
私たちの出発点は、いつも一つの問いです。
『この芝生を、どうすれば長らえさせられるのか』
芝生は、「つくる」よりも「守る」ほうが難しいものです。
人が増えれば増えるほど負荷がかかり、放っておけば衰退してしまいます。立ち並ぶビルの日陰で光合成がおぼつかない環境で頑張る芝生はアシストなしでは難しいです。
では、どうすればいいのか。
フェスに関わったきっかけ
もともと私たちは、芝フェスの前身として、近所の芝生のない駅前公園でフリーマーケットを行っていました。当時の目的はシンプルで、出店料を活動資金に充てること。団体の資金面を支えるための取り組みでした。
そのフリーマーケットがなくなったことをきっかけに、場所を自分たちが芝生を育てている黎明橋公園へと移しました。
ここからイベントの意味を大きく変えてゆきました。
黎明橋公園での芝フェスは、フリーマーケットに加えて、芝生の上でヨガをしたり、寝転んで音楽を聴いたりと、芝生の上で過ごす時間そのものを楽しむ内容に広がっています。
そしてそれらはすべて、「芝生を長らえさせる」という視点のもとに組み合わされています。

好きになってもらうことが、長らえる力になる
まず一つ目は、「好きになってもらうこと」です。
ここに芝生があってよかった。
そんなふうに本当に感じてもらえることが、芝生を長らえさせるための大きな力になると、考えます。
芝フェスでは、裸足になること、芝生の上に寝転ぶことをおすすめしています。
とはいえ、大人が人前で靴を脱いだり、芝生にゴロンと寝転んだりするのは、案外ハードルが高く少し恥ずかしい。きっかけがないと、なかなかできません。
だからこそ芝フェスではのんびりゴロンのイベントです、と、「裸足になってみませんか」「寝転んでみませんか」と、あえて前面に出しています。誰かが先に寝転ぶと、少しずつ周りの人も試してみる。そんな空気が生まれます。
実際に寝転んで空を見上げてみると、思っていたよりも気持ちがゆるむ。
「これ、気持ちいいですね」と笑ってくださる方を見るたびに、芝生の良さは、説明するよりも体で感じてもらうのが一番なのだと感じます。
高層マンションが立ち並ぶこのエリアでは、同じ地域に住んでいても、自然に顔を合わせる機会が多いとは限りません。だからこそ、芝生の上で同じ時間を過ごすことが、住民同士がゆるやかにつながるきっかけになることもあります。
芝生は、ただ眺める緑ではなく、人が少し足を止め、くつろぎ、隣にいる誰かの存在に気づく場所にもなる。芝フェスが、そんな時間を生み出すきっかけになれたらと思っています。

使い方を知ることが、長らえる力になる
次に大切だと感じているのが、「使い方を一緒に考えてもらうこと」です。
どれだけ手入れをしても、使い方によって芝生は傷んでしまうことがあります。切実なのは犬のおしっこハゲと縄跳び、レジャーシート。通気性のないシートが芝生を蒸らし、弱らせてしまうことがあります。砂場のようにスコップで掘り起こされることもあります。どれも壊滅的に芝生がなくなります。根があり生きてる芝生です。
一方で、芝生にやさしい使い方を知り、少し意識してくださる人が増えれば、それは大きな支えになると感じています。
その一つの実践の場が、フリーマーケットです。
一般的なフリーマーケットでは、レジャーシートを敷いて商品を並べることが多いと思います。芝フェスでは、出店者の方々に、通気性のよい布やタオル、紙の上に商品を並べていただくようお願いしています。
出店者の方々は、芝生を直接管理しているわけではありません。それでも、芝生にやさしい使い方を知り、実際に協力してくださることで、この場所を守る大きな力になっていると感じます。
いわば、フリーマーケット全体が「芝生にやさしい使い方を一緒に試してみる場」のようになっています。

簡単で小さな気配りが、芝生を長らえさせる
そして、ここで終わりではありません。
フリーマーケットをきっかけに、買い物してる人もレジャーシートが敷かれていない様子に最初は違和感を持ち、やがて理由を知ってくれるようになります。
芝生との付き合い方を知る人が少しずつ増えていく。その人たちが日常の公園利用の中でも、ほんの少し芝生を気にかけてくださるようになれば、それは芝生を長らえさせる大きな力になるのではないかと思っています。
芝生を守ることは、芝刈り機を押すことだけではありません。そこを使う人が、少しだけ芝生のことを気にかけること。その小さな心がけが、街の憩いの場を守る、温かな気配りになっていくのだと思います。

資金を確保することも、長らえるために必要
そして三つ目は、変わらず「資金を確保すること」です。
この点は、芝生のない公園でフリーマーケットを行っていた頃と、本質的には変わっていません。フリーマーケットの出店料は、芝生の維持管理に充てられています。
最近の黎明橋公園を取り巻く人口の急激な増加(13年で4倍)、日陰(高層ビル)は、街の発展とともに輝かしい賑わいです。一方で芝生にとっては環境は厳しさとなっていて、長らえるための日々の作業の手数は大幅に増えています。これまでもその多くを自己資金でまかなってきましたが、一つの団体だけで支え続けるには限界が見えてきています。
しかしこの問題は深刻で、芝フェスだけで即好転するまでには至らないので、コツコツ積み上げます。
非営利の活動ではありますが、芝生を守り続けるための最低限の維持管理費については、資金調達の苦労からできるだけ解放されたい、というのが正直なところです。いつかフラファンで皆さんにお願いする日が来るかもしれません。その節はどうぞよろしくお願いいたします。
芝フェスは、芝生を未来へ長らえさせる試み
芝フェスは、「気持ちよさ」「使い方」「資金」の三つを重ねながら、この芝生を未来につないでいくための試みです。
もし機会があれば、ぜひ一度、芝生の上に座ってみてください。
シンプルに気持ちいい、こんな環境が長くここにあってほしい、そう思ってもらえると思います。

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芝フェス!2026 @黎明橋公園(イクシバ!プロジェクトのサイトへ)