みんなの公園愛護会では、地域の人々や公園ボランティアとともに、公園をより良くしようと頑張る行政の取り組みにも注目しています。
既存の公園愛護会活動に加え、より多くの市民が公園づくりに参加できるような仕組みを検討しているという川崎市のみなさんに、『公園等における持続的な協働の取組 ~「みんなが気持ちよく、いきいき過ごせる公園」の実現~』について、お話をお聞きしました。
管理者の「してほしい」から、市民の「したい」の実現へ
川崎市では、令和4年度から『公園等における持続的な協働の取組 ~「みんなが気持ちよく、いきいき過ごせる公園」の実現〜』(通称:いきいき協働)に取り組んでいます。また、市制100周年に開催した全国都市緑化かわさきフェアから「みどりで、つなげる。みんなが、つながる。」をテーマに、新たなプレイヤーの参加を促す仕組みづくりを進めています。
既存の公園愛護会の制度のリニューアルや、様々な試験的な取り組みを通して、公園の利活用や管理運営の新しい協働の形が生まれているといいます。
この協働推進事業について、川崎市グリーンコミュニティ推進室 公園緑地・協働推進担当 係長の中原由勝さん(上の写真右)、田中雄大郎さん(同 左)にお話をお聞きしました。

1977年に公園緑地愛護会、その後2006年に管理運営協議会制度をスタートさせた川崎市では、現在928の公園で地域の人による維持管理が行われています。その多くは地元町会が主体で、高齢化と新しいメンバーの参加が少ないのが課題という状況です。
この事業が始まった当初は、高齢化が進む公園愛護会に代わる「新たな担い手」の発掘と育成に重点が置かれていました。
しかし、実証実験を進める中で、公園の管理を行っている道路公園センターや地域の代表者から「既存愛護会への支援も必要ではないか」という重要な指摘を受けたといいます。そこから、既存愛護会の支援と新しいプレイヤーの参加促進という両輪のスタイルができたことを教えてくださいました。
令和4年度末から6年度は市役所本庁主導の実証実験、7年度は各区の道路公園センターにバトンタッチしながら運用という形で進んできました。
取り組みの全体像については、川崎市のホームページで紹介されています(まちづくり委員会報告資料)
既存の制度の見直し:負担軽減のための引き算
既存の公園緑地愛護会や管理運営協議会が無理なく活動を続けられるよう、事務手続きの見直しによる負担軽減を図りました。
・書類の廃止と簡素化:負担となっていた「活動計画書」を廃止し、報告書も手書きからチェック方式へと変更しました(今後はスマホでの報告も検討)。
・支払いの集約:年2回に分かれていた報奨金の支払いを年1回に統合し、手続きの回数を減らしました。
「お金を上げることよりも、負担を減らしてほしい」というボランティアの方の声に耳を傾け、書類の数や手続き回数の削減といった「制度の引き算」を実行。支払い方法の変更の過渡期に当たる年には、一時的に愛護会に我慢をお願いすることもありましたが、せめてものサポートとして消耗品のゴミ袋を配付したところ、「こんなんじゃ足りないよ」と笑いながらも、寄り添おうという役所の姿勢に、信頼関係が深まったといいます。
既存の活動団体への支援では、このほかにも活動PRのためのベストや活動中であることをお知らせする三角看板の配付、ボランティア募集ポスターの雛形の配付、公園緑地愛護会と管理運営協議会の集まる合同連絡会での情報提供(こちらにみんなの公園愛護会も呼んでいただきました!)なども行われています。

身近な公園でやってみたいを実現する「イドバタパークデイ」
負担を減らす「引き算」を進める一方で、市民等の「公園でやってみたい!」に伴走する新たな試みも始まっています。その中心にあるのが、地域の小さな公園を舞台にした『イドバタパークデイ』です。
これまで市内各地の公園で、生き物観察・ペンキ塗り・ばったランドづくり・ハーブの剪定体験・クリスマススワッグづくり・ボランティア体験会・クイズラリーなど、様々な催しが行われました。
愛護会がある公園では愛護会が自らイベントを行っていけるよう、公園ごとにイベントのやり方をレクチャーし、子どもを集める方法(=学校へのチラシ配付や地域のこども文化センター[児童館]への協力依頼など)などのサポートを実施。
既存の公園愛護会と公園を利用する親子などの交流の場となり、愛護会活動を知ってもらうための入り口にもなったというこの取り組みは、引き続き各区の道路公園センターが中心となって継続されていくそうです。

LINEで問い合わせ「公園活動サポート窓口」
新しい層が公園に関わる入り口として心強いのが、気になった時にいつでも気軽に問い合わせができる「公園活動サポート窓口」です。
「公園でこんなことやってみたいんだけど、どこに問い合わせたらいいんだろう?」というアイデアを、市役所の開庁時間を気にせず、LINEで問い合わせることができます。
登録数は61(6/17現在)。これまでに24件の問い合わせがあり、それぞれの声に寄り添い、実現に向けて着実に動いているとのこと。たとえば、以前お伺いしたこすぎ公園で活動するこすぎこんぽすと部のみなさんは、このLINEがきっかけで、こすぎ公園での活動に繋がりました。
相談窓口では、「ロケットを打ち上げたい」という突飛な相談にも、中間支援業務を請け負っているNPO birthと連携し、実現可能な形を一緒に模索しています。このように部署や管轄を超えて「したい」に寄り添うコミュニケーションを続けた結果、下町ロケットの子ども向け打ち上げ教室イベントが、この窓口を通じて公園での実施に繋がったというエピソードも教えてくださいました。(ロケット打ち上げイベントは6月に大師公園で開催予定とのこと!)

きっかけづくりや少人数活動支援の実験、伴走支援も
そのほか、まずは知ってもらうための普及啓発事業として、人が集まるイベントでブースを出してPRする「公園使いこなしカフェ」を実施したり、個人や少人数での活動を支える取り組み「ParkUP LifeUP」の実証実験も行ってきました。これらの取り組みは、引き続き検証を続けながら、適切な形を模索していくそう。
多様な団体の活動をサポートする「伴走支援」も継続実施。花壇づくりを始めたい、かわいいチラシを作りたい、イベント情報を子どもたちに届けたいといった、市民等の「したい」へのサポートを各区の道路公園センターと連携して進めていくとのことでした。
実証実験から本格実施へ、地域の個性や温度感に合わせて展開
3年半のさまざまな実証実験を経て、取り組みは実験から実践していくステージに移りました。これまでつくってきた支援メニューやプログラムをもとに、これからは各地域の熱意や公園の個性に合わせて、各区の道路公園センターが現場で進めていく動きが始まっています。
一連の取り組みにより、新たに7団体が公園緑地ボランティアの担い手になったといいます。
全国的に人口も予算も減っている状況の中、適切に運営していくには、市民との協働が欠かせないといいます。「公共のものだから行政だけがやるのではなく、みんなのものだから自分たちでやる!にしたいですね」と話してくださった中原さん。
やっていることは地道なことの積み重ね。行政が維持管理をお願いするのではなく、地域住民が自分たちの庭だと思って、楽しく活用し、その結果として日常のお手入れもやっていく、そんな流れにしていけたらと語ってくださいました。
【基本情報】
| 取り組みの名称 | 公園等における持続的な協働の取組 ~「みんなが気持ちよく、いきいき過ごせる公園」の実現~ |
| 実施自治体 | 川崎市(神奈川県) |
| 事業の概要 | 本市においては、「川崎市緑の基本計画」(平成30年3月改定)に基づき市民、民間企業及び教育機関等の多様なステークホルダーとの協働の取組を推進してきたことにより、樹林地等の保全管理、緑化及び公園等の管理運営に関する活動が全市的に拡がってきました。 しかしながら、活動団体の高齢化や世代交代の停滞の問題が生じているところもあり、活動の持続性が危ぶまれています。 こうした状況を踏まえ、本市の貴重な財産である市民と築いてきた「協働の取組」を次の世代へと引き継ぎ、更に発展させていくための事業として、公園等における持続的な協働の取組~「みんなが気持ちよく、いきいき過ごせる公園」の実現~を進めています。 |
| 取り組みの詳細 | 川崎市のホームページをご覧ください。 Instagramでの情報発信も行っています。 |