各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、横浜市南区で保育園と一緒にタネから花育てを楽しんでいるこちらのみなさんです。しかもその花壇は、もともと砂場だったところをリニューアルして作ったものだとか!南土木事務所の職員さんもお越しくださり、花壇のお手入れ作業にお伺いしてきました。
老人会で元気に仲良く活動中
横浜市南区にある六ツ川四丁目公園(むつかわよんちょうめこうえん)。JR横須賀線の東戸塚駅から歩いて30分ほど、坂道や階段など高低差の多い住宅地にある公園です。南区の西端で戸塚区との区境にあるため、戸塚区の住民や子どもたちも遊びに訪れます。
園内は、すべり台やブランコなどがある遊具エリアと、広場エリアの2つに分かれています。地元では「四丁目公園」として親しまれ、広場では子どもたちがボール遊びをしたり、地域の人たちがグラウンドゴルフを楽しんでいるほか、夏には恒例の地域の夏祭りが行われるそう。夏祭りは、広場いっぱいに出店が出て、盆踊りや太鼓などを楽しみに、地域の人はもちろん隣の区からもあわせて4000人の来場があるなど、毎年とても盛り上がるそうです。

こちらの公園でボランティア活動をされているのは、六ツ川四丁目公園愛護会の皆さんです。六ツ川四丁目町内会の老人会「長寿クラブ」が中心となり、皆さんで和気藹々と楽しく活動されていらっしゃいます。
長寿クラブの会員は91名、なんと皆さんLINEで連絡しあっているそう!13名の役員を中心に活動されています。関口幹夫さん、桐山庄平さんほか、メンバーの皆さん、そして南区の公園愛護会コーディネーターの荒井英子さんにお話をお聞きしました。(横浜市の公園愛護会コーディネーターは、公園に関する相談ごと、技術支援を受けたい、イベントをしたいなど、公園愛護会活動をする皆さんの相談窓口で、とても頼りにされています)

砂場を花壇にリニューアル
六ツ川四丁目公園でまず目につくのは、公園の中央にある円形の大きな花壇です。この花壇、実はもともと砂場だったそう!
ネコのフン問題で、ネットをかけるなどの対策をしていた時期もあったそうですが、木の根っこも多く、使われなくなっていた大きな砂場。いっそ砂場をなくしてほしいという要望まで出たものの、撤去するのも大変なこと。
そんな中、コーディネーターの荒井さんのサポートで、関口さんたちは横浜市みどり環境局職員による公園愛護会への技術支援を利用して砂場を花壇にリニューアルすることに。町内会で話し合って地域の合意を取り、自分たちも作業に参加して、砂場はステキな花壇に生まれ変わりました。お手入れ作業の際に足場となる枕木やブロックも配置され、砂場時代からある中央のテーブルを生かした使いやすいデザインになっています。


そしてこの花壇のステキなところは、もうひとつ。花壇が、公園のお隣にある保育園の子どもたちと地域の長寿クラブの皆さんの交流の場になっていることです。
砂場を花壇にリニューアルするタイミングで、こちらもコーディネーター荒井さんの計らいで保育園と愛護会の協働が始まりました。
保育園と一緒にタネから花を育てて植える
六ツ川四丁目公園では、春と秋の年2回、六ツ川西保育園の子どもたちと愛護会の皆さんで花植えをしています。しかも植える花は、子どもたちと一緒にタネから育てたもの。
この冬花壇を彩ったノースポールやカレンデュラの花も、9月〜10月頃に愛護会の皆さんが保育園に出向いて種まきのレクチャーをして、牛乳パックを使って子どもたちが保育園で1ヶ月半ほど育てた苗を、11月に花壇に植えたもの。この冬は雨がとても少なかったので、乾燥がひどく花壇での育ちが悪くて残念だったそうです。
今年の春は4月に種まきをして、6月に花壇への植え付けを行う予定。種まきや花植えはとても楽しい交流の時間になっているそうで、完成するとみんなでハイタッチで盛り上がるんだとか。いいですね!
「子どもたちがかわいいからね、元気をもらえますよ」と口々に話してくださいました。
六ツ川西保育園の小尾園長も、園児たちの公園での活動について「ご近所で馴染みのおじいちゃんおばあちゃんが来てくださるので地域交流にも良いですし、公共心の育成にも役立っているのではないでしょうか」と話してくださいました。
保育園の隣にある四丁目公園は、園児たちが一番よく行く公園。自分たちが育てた花があることで、公園がより身近になり、関心を持って見ることができるのは良いことだと教えてくださいました。公園花壇の花の種まきと花育ては、子どもたちはもちろん職員も含めて楽しみにしているそう。年長クラスの子どもたちは、公園花壇のほか園庭でも花や野菜を育てているそうですが、小さい子たちからも年長さんの憧れの活動の一つになっているようです。

この日は、土木事務所で用意した花苗の植え付け作業が愛護会メンバーの皆さんの手によって行われました。花苗が届くと、シャベルを手に、皆さん楽しい会話とともに手際よくサクサクと作業を進めていました。
花苗を植えたあとは、横浜市内の公園・街路樹の剪定枝・刈草をリサイクルした堆肥「はまっ子ユーキ」を撒いて、お水をたっぷりあげたら完了です。(はまっ子ユーキにてついては、横浜市青葉区のNPO森ノオトさんが詳しくレポートされています→『緑のリサイクル「はまっ子ユーキ」で ふかふかの土づくり』)



いろんな人が公園清掃、あじさいロードの活動も
六ツ川四丁目公園は、グラウンドゴルフのメンバーが毎週日曜日の活動時に清掃をしています。話してくださったのは、長寿クラブ会長の片山さんです。六ツ川四丁目地区の住民のほかにも、お隣の戸塚区平戸地域の有志の方も積極的に清掃活動に協力されているとのこと。公園が多くの人に愛されていることがわかります。
また皆さんは、四丁目公園の愛護会活動に加えて、道路の清掃美化活動をするハマロード・サポーターに登録し、町内を走る平戸桜木道路で「あじさいロード・サポーター」の活動もされています。
活動は、毎月第2・第4土曜日。家庭や学校から提供されたアジサイを道路の両側に植えお手入れを続けること6年、今ではアジサイの咲く季節になると遠くから見にくる人もいるほど有名になったそうです。町内会館で「あじさい祭り」として写真展を行い、とても盛況だったそう。

印象的だったのは、皆さんの仲の良さです。集まると笑顔で会話をしながら自然にゴミ拾いや落ち葉掃きが始まり、花壇のお手入れ作業中も楽しいおしゃべりが続きます。愛護会活動や保育園との花育て、あじさいロードでの活動、グラウンドゴルフ、夏祭りにあじさい祭り。とても意欲的に活動しているメンバーの皆さんが、それぞれ色々なお話を楽しく聞かせてくださいました。
公園愛護会コーディネーターの荒井さんは、南区は横浜の中でも高齢化が進んでいる地区なので、子どもたちと組んだ活動や地域コミュニティづくりにつながる活動が増えるようサポートされているそうです。保育園としても地域とつながる良い機会になっていることを教えてくださいました。
南区南土木事務所 下水道・公園係長の山崎さんも、このような活動で、公園が魅力的になり幅広い人に使ってもらえるようになるのでとても助かっていると話してくださいました。
長寿クラブと保育園の子どもたちや先生、隣の地区の住民、さまざまな人が公園に関わることでつながり、ともに楽しみながら、公園を魅力的な場所にしていました。そしてそれは皆さんの健康づくりにもつながっているようです。




【基本情報】
団体名 | 六ツ川四丁目公園愛護会 |
公園名 | 六ツ川四丁目公園(横浜市南区) |
面積 | 1,526 m2 |
基本的な活動日 | 第2第4土曜(あじさいロード)、毎週日曜(グラウンドゴルフ) |
いつもの参加人数 | 10名ほど |
活動内容 | ゴミ拾い、除草、花壇の管理、植物の水やり、施設の破損連絡、利用者へのマナー喚起、愛護会活動のPR、地域のイベント、子ども向けイベント、他団体と連携したイベント |
設立時期 | 1979年3月 |
主な参加者 | 町内会、老人会メンバー、保育園、ご近所の有志 |