2022/4/7

日本一のスイセンの町を目指し、スイセンでいっぱいの公園に!

さむかわ中央公園(寒川町)

あちこちの公園ボランティアのさまざまな活動を紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。今回は、「寒川町の町の花」となっているスイセンを町中に植えている、こんな公園愛護会!

年間6000球のスイセンを植えています!

先日のアンケートでこんなコメントをいただきました。

町の花はスイセン。町中をスイセンで一杯にしたい。6000球/年の植栽を続けたい。

年間6000という数の球根を植えているのに驚いていたところ、ちょうどスイセンが見頃を迎え始めているということなのでおじゃましてみることになりました。

寒川町宮山にある、さむかわ中央公園。町役場の隣にあり、ひらけた芝生広場がなんとも開放的で気持ちの良い公園です。ブランコやジャングルジムなど遊び要素はもちろん、寒川総合体育館が併設していたりBMXのトラックがあったりスポーツも色々楽しめます。貯水槽や防災備蓄倉庫等もあり防災公園としての役割も担っています。町民はもちろん、近隣の市から遊びに訪れる人も多いそうで、町を代表する人気の公園のようです。

そんな公園で活動しているのは、非営利型一般社団法人 住みよい町・さむかわにする会 (通称サンエスの会)の皆さんです。サンエスの会は、住民主体のボランティア団体で分野を問わず様々な活動を行っています。さむかわ中央公園で活動するのは、自然守(しぜんもり)活動のメンバー。自然守活動は公園活動だけでなく寒川駅周辺でも清掃、花壇の造成や環境整備を行っています。サンエスの会事務局の杉山光生さん、自然守活動会長の澤田久さん、サンエスの会メンバーであり、日本一のスイセンの町にする会(通称スイセンズ)会長でもある鶴岡義彦さんにお話をお伺いしました。

パッと華やかに咲くまちの花

スイセンは公園の入口にあたる街角広場正面、芝生広場で丘になっている築山の花壇、またサブアリーナ棟近くと園内のさまざまなところに植えられていました。種類により開花時期が少し異なるとのことで、訪れた3月上旬には築山花壇の黄スイセンが綺麗に開花していました。

(曇天をもパッと明るくする黄スイセン!)
(街角広場でも一足早く咲いてる子がいました)

それはとても鮮やかな黄色で、遠くからでも一目でわかる存在感です。公園に植わっているものは多くが黄スイセンだそうですが、白い花びらの和スイセン、丈の小さいミニスイセンもありました。「黄スイセンはパッと華やかでいいですよね、和スイセンとの対比も綺麗です。」と杉山さん。

毎年10月頃に6000球を植え、1月に和スイセン、続いて黄スイセンと開花。枯れた後、6月頃に掘り起こし作業を行い、掘り起こした球根は日陰に干して保存するというのを繰り返していらっしゃるとのこと。

大変なのは球根を掘り起こす作業だそうで、人手が必要なので色々な方にお声がけして、通常時より多い30名ほどで行うんだとか。1番嬉しい瞬間っていつですか?とお伺いすると、「冬を超えてみどりの芽が土から出てきた時は、なんとも頼もしく嬉しいですね。」と嬉しそうに鶴岡さんが答えてくださいました。雪国育ちの鶴岡さんは、雪が降る厳しい寒さの冬を超えて植物が芽を出すかつての記憶を思い出す瞬間なんだそう。

(時にはふるさとを思い出して作業する鶴岡さん)
(この日の活動は落ち葉などの清掃や花壇のメンテナンスでした)

スイセンを植え始めたきっかけ

そもそもどうしてスイセンを植え始めたのでしょうか。

きっかけは2014年に始めたサンエスの会の寒川町の表玄関であるJR寒川駅周辺の清掃活動。ゴミ拾いや樹木の剪定などを行っていたところ、駅北口に面した道路脇の荒れた花壇を何とかしようと話し合いが行われ、まちの花スイセンが選ばれたんだとか。そして2016年にスイセンが初めて植えられました。

その後、2019年に日本一のスイセンの町にする会(通称スイセンズ)が発足。サンエスの会とメンバーの重なりはありますが、よりスイセンの植栽に特化した団体です。スイセンズは、宮山バックヤードと呼ばれる場所を公園とは別で借り、まちに植えるスイセンの球根の管理を行っています。日本各地にある、まちの花がスイセンの町へ視察に行ったり、近隣のスイセン公園から球根を譲り受けたりと、精力的に活動中。2021年度から「寒川町みんなの協働事業」にも採用され、自治体とも連携しています。スイセンズ会長の鶴岡さんは寒川町ならではの街並みをスイセンと共につくろうとしている熱い思いを私たちに語ってくださり、「寒川町みんなの協働事業」としての支援期間が終わった後も、行政と一緒になって取り組んでいきたいと話してくださいました。

(寒川駅を出ると見事に咲いたスイセンが出迎えてくれました)

姉妹提携都市 寒河江市と寒川町をつなぐ「ギボウシ」

築山花壇にはスイセンと一緒にギボウシという植物も植えられていました。例年スイセンの後に出てくる、もりもりっとした大きな葉が特徴的な植物です。寒川町の姉妹提携都市である寒河江市の「市の緑」であり、寒河江市を訪問した際に譲り受けてきて、築山花壇に植えたんだとか。他の地域のことも積極的に調べ、参考にしたり、外部との関わりも大切にする活動をたくさんしていて、とても素敵だなと感じました。

3月上旬にはまだまだその面影もありませんでしたが、6月以降には紫色の爽やかな花が開花します。昨年の開花の様子は、寒川の地域情報誌でも紹介されました。

(3月上旬にはまださっぱりしているギボウシ)

活動終わりのお楽しみ

活動は毎週火曜の朝8時から9時。公園と駅前を交互に行っています。お伺いした日には「私、これからテニスしに行くの」と意気込む方もいらっしゃいました。みなさん1日の始まりに気持ちよく参加していらっしゃるようです。

花壇での作業が終わったあとは、いつもテーブルベンチにみんな集合。さあ温かいものを飲みましょう!と出てきたのは3つのポット。なんとカフェオレ、コーヒー、お茶が準備されていました。皆好きな飲みものとクッキーなどのお菓子をつまみながら談笑。こうした差し入れは参加メンバーの持ち寄りなんだとか。

取材した私もいただきましたが、風が強く寒かったので温かい飲み物がとても沁みました…!

(作業終わりの楽しいひととき♪)

楽しみながら、まちをより良くしよう

サンエスの会は有志のボランティア団体。公園や駅前での自然守活動以外にも、公民館で地域の中高生向けに塾を開いたり、不定期で音楽会を開催したりしています。

(サンエスの会では毎月こういった広報物を作成してるんだとか!すごい!)

会員の年会費は活動の資金に当てられ、会員は自分に合った活動を選んで参加。自然守活動に参加するメンバーは杉山さんいわく地に足のついた活動が好きな人達が多いそう。活動の姿やその後のお茶時間の様子をみていると、おしゃべりを楽しみに参加されている方もいらっしゃるかもなと思いました。

団体名の通り、地域をよりよくしたいという思いからの参加ながらも、地域とつながるよい機会となったり純粋に自分自身が楽しめる活動として参加しているみなさんの姿がとても生き生きとしており、印象的でした。

【基本情報】

団体名非営利型一般社団法人住みよい町・さむかわにする会
公園名さむかわ中央公園、JR寒川駅前広場 (寒川町)
面積47,655 m2 (さむかわ中央公園)
基本的な活動日毎週火曜日の朝(第2,4週は公園で、第1,3週は駅前で活動)
いつもの活動参加人数15〜20名ほど
会の会員数236名
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、花壇の管理、植物の水やり、愛護会活動のPR、新メンバーの募集や勧誘、地域のイベント、他団体と連携したイベント、高齢者など地域の声がけ 
設立時期2014年 (愛護会としての登録は2020年)
参加者イメージシニア中心 / その他大人
取材・執筆
取材・執筆
高村 南美

大学生の時に公園の魅力に気がつき、豊島区南池袋公園マルシェに運営キャストとして参加していました。広くて開放的な公園も好きですが、小さくて生活に身近な公園に興味があります。行ってみたい公園は、ニューヨークにあるペイリーパーク!

大学生の時に公園の魅力に気がつき、豊島区南池袋公園マルシェに運営キャストとして参加していました。広くて開放的な公園も好きですが、小さくて生活に身近な公園に興味があります。行ってみたい公園は、ニューヨークにあるペイリーパーク!

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