2026/10/6

心があったかくなる 地域をつなぐ「お掃除力」

港南公園(大阪市)

大阪公立大学の学生が、大阪市の公園愛護会の皆さんの活動を紹介する「大阪となりの公園愛護会」。公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する学生の視点で、公園ボランティア活動を紹介します。

今回は、大阪市港区にある港南公園(こうなんこうえん)を訪れました。 

凍えるような寒さの中で、朝から元気に活動開始!

港南公園はOsaka Metro中央線の朝潮橋駅から歩いて10分程度の場所に位置し、三先天満宮(みさきてんまんぐう)や港南中学校に囲まれた小さな公園です。

三先天満宮のお祭りでは獅子舞の笛や太鼓の練り歩きの練習場所になり、災害時には避難場所に、初期消火の防火水槽もあるため火災時にも地域と密接に関わる、大切な場所だそうです。

この港南公園でボランティア活動をされているのは、港南公園愛護会のみなさんです。会長の山岸恵津子さんをはじめ、みなさんにお話をお聞きしました。

山岸さんによると、早朝は犬の散歩のみなさんのお散歩コース、8時頃の登校時間は港南中学校の通学路にもなっているそう。午前中は幼児のお砂遊びやブランコ遊びで穏やかな笑い声が聞こえ、お昼時間は外回りのお仕事をされている方のランチ休憩所、夕方からは小学生の子どもたちのにぎやかな声が響き、すぐ隣の港南中学校の体育館からはクラブ活動の掛け声も聞こえてくるなど、一日中地域の様々な人に利用され愛されている公園の様子が伝わってきました。

(会長の山岸恵津子さんが、公園の隣にある三先天満宮を紹介してくださいました)

取材を行ったのは気温が低く風の強い2月の朝でした。集合時間の少し前に公園へ到着すると、すでに山岸さんが作業を始めていました。

時間になるとメンバーが続々とやって来て、それぞれの作業を始めます。冬季の活動のため落ち葉が多く、みなさんがごみばさみや箒、ごみ袋を手に公園の隅に溜まった落ち葉を集めていました。風があまりにも強いので、落ち葉やごみを掃いてもすぐに飛ばされてしまいます!二人一組になって手早く落ち葉をごみ袋に集めていました。

(公園内を隅々まで掃除します)

また、道具も積極的に使い分けているとのこと。大阪市の公園愛護会交付金で軍手や長靴を購入し、雨の翌日などに足下が悪くても作業できるようにしているのだそうです。また、帽子や蚊除けの網のような暑い日の作業に欠かせないものを用意したり、100均で購入した小さい下草を刈る道具を家から持参したりして、日々の活動を充実させています。

(砂場の落ち葉をふるいにかけて取り分けているようす。さまざまな道具が活躍します)

メンバーの中には何人か黄緑色のエプロンを着用されている方がいらっしゃいました。かつて市の環境美化イベントで配布されたものなのだそうです。

「このエプロンで作業をすると、怪しい者じゃないってアピールできるので1人で作業するときも身につけています」と冗談めかして話す山岸さん。他のメンバーから「山岸さんはいつも公園で活動しているし地域のみんなが覚えているから、そんなんせんでも怪しくないよ〜!」とフォローが入ります。

(おそろいのエプロンには「美フレッシュ大阪」と書かれています)

活動の終盤には「あと1袋だけやろう!」と声をかけあって落ち葉を集めました。凍てつくような強風の中での作業でしたが、多くのごみ袋に落ち葉が入っています。

(終盤になると、集まって重点的に落ち葉を集めます)
(1時間でこの量の落ち葉が集まりました!)

みんなが大事なメンバーです

港南公園愛護会では、メンバーのアイデアを日々の活動に取り入れています。例えば、公園内のごみ箱にセットされているごみ袋に雨水が溜まってしまい、ごみ袋を処理する際に水を廃棄する手間がかかっていました。そこで、メンバーからごみ袋の下端を少し切って勝手に水が捌けるようにし、ごみ袋の中に雨水が溜まらないような工夫を行いました。

(端を切ったごみ袋。メンバーのアイデアを積極的に取り入れます)

さらに、ごみかごがカラスに漁られてしまうことの対策として、ごみかごの上に網を設置してふたの代わりにしています。しかし、ごみかごの横からカラスが漁ってくることがあり、その対策も考えたいのだと教えてくれました。山岸さんは、アイデアを出してくれる人、毎月活動に来てくれる人、いろいろな人が活動に関わることでこの愛護会が続いており、どのメンバーも大事なのだと語ります。活動を続けるための大切な心構えを知ることができました。

(ごみ袋の端を切り、上からは網で蓋をした完全装備のごみかごのできあがりです)

犬の散歩から子育て世代まで!広がる参加のきっかけ

メンバーの中には、犬の散歩でこの公園を使うからと活動に参加された方もいらっしゃいます。お話をお聞きすると、日頃から散歩で通っている公園で活動がしたいと自ら参加を申し出て、愛護会活動に加わったそうです。犬の散歩ついでにちょっとした清掃をやっているとのことで、きれいな公園を保つためにはありがたいのだと山岸さんもおっしゃっていました。

さらに、子育て中だという現役世代の男性もいらっしゃいました。お父さんから愛護会を勧められて始めたとのことで、ご自宅とご実家の両方から近いここ港南公園で活動をされています。「夏には草がすねの高さまで伸びてくるので、草刈りが大変です」と話してくださいました。活動の終わり頃には、ちょうどお子さんが公園に遊びに来ました!「パパ~!」とはしゃぎながらきれいになった公園で遊ぶようすを見て、山岸さんも「きれいになりたてで値打ちあるから遊んで!」と嬉しそうに声をかけていました。

山岸さんによると、近年は一緒に活動する人数も少なくなったそう。以前は主に地域の町会の婦人会、女性会の皆さんがメンバーとしておられましたが、ご高齢になりお亡くなりになられたり、施設に移られたりされているとのこと。若い世帯も共働きが多く日曜日の早朝の参加は難しいようです。

現在一緒に活動されているのは、ご自身の心と身体の健康のため、社会貢献やボランティア精神のため、と積極的に清掃活動をされているみなさんです。

「ワンちゃんのお散歩道だから。通学路だから。自分の地域をキレイにしたい。と優しいお心に頭が下がります。」と山岸さんはメンバーのみなさんへの感謝の気持ちを話してくださいました。

(活動終わりに集合写真を撮影させていただきました。寒い中ですがみんなで手を繋いでポカポカです)

「お掃除力」でみんなが幸せに

山岸さんから、大阪市の発行する緑の広報紙「ひふみ」を見せていただきました。港南公園愛護会が令和5年1月号に掲載されています。港南公園愛護会が力を入れているお掃除についてフォーカスされています。「地域も自分も幸せになるお掃除力」とはなんとも素敵な言葉選びです。

(大阪市の公園緑化普及啓発広報紙「ひふみ」冬号 令和5年1月発行 より )

紙面を見ると過去にみんなの公園愛護会で取り上げた北鶴ふれあい公園も掲載されていました。筆者が取材した公園がこんなところで出会うなんて!と取材活動を続けてできたご縁を感じます。

恩返しの心が育む公園の未来

活動終了後、山岸さんが公園愛護会活動への思いを語ってくださいました。それは、山岸さんにも、子どもの頃によく遊んでいた児童公園の思い出と繋がっています。「今思うと、地域の大人の人が美化清掃を行ってくださっていて、そのお陰で気持ちよく遊べていたのですね」と当時を振り返ります。同じ公園ではありませんが、今住んでいる近くの公園で幼少期の恩返しをと思って活動しているそうです。

山岸さんは、ご自身の経験と今の活動を踏まえて、「今、公園で遊んでいる子ども達にもっと公園で沢山遊んで、公園を大好きになってもらって、また次の子どもへと公園を愛する気持ちをつないでほしいですね」と公園の未来に期待を寄せています。

今後の意気込みについても、メジャーリーガーの大谷翔平選手を例に、ご自身の清掃への思いを語ってくださいました。「大谷翔平選手はよくごみを拾うそうです。きっと人に優しく謙虚で自分に対してもキチンとしている人だと思います。そんな立派な大人になれるように、自己成長の一つとして、周りも自分も幸せになる『お掃除力』をつけられるように、皆さんと一緒に清掃活動を続けて行きたいと思っています。」

朝の厳しい寒さもほぐれるような温かい「お掃除力」は、公園だけでなく、この街で育つ子どもたちの未来も優しく育んでいるのだと感じる取材となりました。

(整理された清掃用具庫。収納用の引き出しにラベリングがされています)
(使い込まれたトラの遊具。公園と地域を見守ってきたのかもしれません)

【基本情報】

団体名港南公園愛護会
公園名港南公園 (大阪市港区)
面積1,651 m2
基本的な活動日毎月第2日曜日朝8時~9時(サマータイムは朝7時~8時)
いつもの活動参加人数7-8人(夏になると家族が助っ人に来てくれることもあります!)
活動内容ごみ拾い、除草、落ち葉かき、施設の破損連絡、利用者へのマナー喚起、愛護会活動のPR、協議会
設立時期1997(平成9)年9月
主な参加者三先一丁目にお住まいのみなさん、婦人会、犬のお散歩から
活動に参加したい場合は活動日の朝8時(サマータイムは朝7時)にお越しください!
取材・執筆
取材・執筆
今村 麻菜美

大学ではランドスケープを専攻し、公園の利活用や維持管理に関することに興味をもっている。中学高校と吹奏楽部でオーボエを担当し、大学生になった今も休日は吹奏楽に明け暮れている。生まれも育ちも大阪やけど全然地元のこと知らんやん!と気づき、レポーター活動を通して大阪の公園についてより多く学ぶことを目標にしている。大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究グループ所属。

大学ではランドスケープを専攻し、公園の利活用や維持管理に関することに興味をもっている。中学高校と吹奏楽部でオーボエを担当し、大学生になった今も休日は吹奏楽に明け暮れている。生まれも育ちも大阪やけど全然地元のこと知らんやん!と気づき、レポーター活動を通して大阪の公園についてより多く学ぶことを目標にしている。大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究グループ所属。

取材・執筆
早川 喬士

大学では幼いころから興味があったまちづくりに関わることのできるランドスケープを専攻し、そのデザインや計画策定を学んでいる。先輩から引き継いだこのレポーター活動で関わる方々との交流を通じて、公園への新たな気づきを得ること、維持管理の知識を深めることを目標としている。大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究グループ所属。

大学では幼いころから興味があったまちづくりに関わることのできるランドスケープを専攻し、そのデザインや計画策定を学んでいる。先輩から引き継いだこのレポーター活動で関わる方々との交流を通じて、公園への新たな気づきを得ること、維持管理の知識を深めることを目標としている。大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究グループ所属。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護活動レポートに戻る