2024/7/3

公園も自分の家のようにきれいに!

梅香公園(大阪市)

大阪公立大学の学生が、大阪市の公園愛護会の皆さんの活動を紹介する「大阪となりの公園愛護会」。公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する学生の視点で、公園ボランティア活動を紹介します。今回は大阪市此花区の梅香公園(ばいかこうえん)愛護会。普段の清掃活動にお邪魔して、その工夫を伺ってきました。

梅香公園愛護会の皆さん

(エントランスより:樹種に富んだ、緑豊かな公園です)

梅香公園は此花区梅香3丁目、最寄りの阪神なんば線千鳥橋駅から徒歩10分程度の住宅地内にある公園です。

4月の晴れたこの日は、午前から子どもや散歩客を中心とした利用がみられました。利用客が快適に過ごせるように公園が保たれているのは、普段から丁寧に管理をしてくださる愛護会の皆さんのおかげ。

梅香公園愛護会の会長を務める石橋洋一さんに、普段の活動について詳しく伺いました。

(会長の石橋洋一さん。後ろに見える梅香小学校の卒業生です!)

梅香公園愛護会は、月二回週末に来られる人で清掃活動を行っていますが、多くの方が有志でその他の日も活動しています!この日は、愛護会には入っていないけれど散歩の途中で来たときはメンバーとともに掃除を手伝っているという方もいらっしゃり、協力して清掃を行っていました。

落ち葉集めがとても大変だそうで、クスノキが生え変わる春の時期にはごみ袋20袋にもなるそうです!取材に伺った日も、来られていた10人のメンバーが手際よく分担して作業を行っておられました。

(落ち葉の袋はすぐにいっぱいに)
(梅香公園は半分が芝生、半分が広場)

子どもが遊びやすいように

梅香公園は梅香小学校が隣にあることから、特に子どもの利用が多くみられます。取材に伺った日も、朝から遊びに来ている子どもを見かけました。

近隣の幼稚園・保育園の小さな子どもも遊びに来るので、芝生を走り回るときに邪魔になるような雑草は丁寧に取り除いています。芝生のエリアは短く刈り込み、園路は草に埋もれないように根っこから削っています。同じ芝生でも、遊び場や園路など場所ごとに丁寧な対応をしています!

雑草の成長はあなどれず、夏場は腰まで伸びるほど!業者による除草では間に合わないので愛護会でも除草を行っているそうです。押すタイプの芝刈り機は楽だと話してくれました。

(すぐ雑草に埋もれてしまう園路を、丁寧に整えています)
(夏場はすぐ雑草が伸びて大変!)

梅香小学校と連携した取り組み

梅香公園に入ってまず目を引くのは、白い大きな立て看板。近づいてみると、ポイ捨てへの注意喚起の手作りポスターがたくさん貼ってあります。

これは梅香小学校の校長への依頼で始まった取り組みで、今年で3年目になるそうです。愛護会・小学校・扇町公園事務所の三者が連携して、立て看板を設置しました。

公園を利用する人に向けてはもちろん、普段公園を利用している子どもたち自身にも、遊んでいる公園を大切にしようという思いを持ってもらう意図があるそうです。

公園への心無い落書きに悩まされることもあるそうですが、この立て看板には落書きされることがなく、感心しているとか。子どもたちの公共心を育てる良い取り組みであると同時に、公園を訪れる人たちを温かい気持ちにしてくれる効果もあるのですね。

(梅香小学校の児童とともに作成した啓発ポスター)

梅香公園でも、弁当がらなどのごみや犬のフンなどが放置されて困っています。植木の中まで刺さっていることもあり、奥まで取り除くのは特に大変。中には酒瓶や粗大ごみの不法投棄など、愛護会では危険で対処しきれないものもあり扇町公園事務所に随時報告しているそうです。

石橋会長は、「公園は社会の縮図であり、人の行動が現れる」とおっしゃっていました。「子どもがしないポイ捨てを、大人がやるのはいかがなものか。自分の家は綺麗にするのに、みんなが使う公園になると大事にしないのは残念だ」という言葉が印象的でした。利用者のマナーが問われています。

花壇の土いじりは日課になっています

もうひとつ梅香公園で目を引くのは、こちらの鮮やかな花壇。愛護会メンバーのご夫婦が担当されているそうで、ご主人がほぼ毎日お手入れをしているそうです!黙々と土いじりをするのが好きで、日課として家で育てた苗を公園に植え替えているのだそう。ご夫婦の努力で、花壇周りは常に綺麗に保たれています。

「お花が咲いてくるのを見るとかわいい、でもそのお世話は大変。赤ちゃんや動物と一緒やね」と話してくださいました。

水やりは愛護会の皆さんで当番表を作成し、来られる人で分担しているそうです。

(細やかな手入れで、美しく保たれています)
(蝶も遊びに来ていました)

街のみんなの公園だから。

梅香公園愛護会ではトイレの清掃も行っています。毎回の活動で公衆トイレの掃除を担当されている方にお話を伺いました。毎回欠かさず参加されており、活動に来るのが遅れると、今日は来ないのかと連絡がくるほどだそうです!

写真に写っている自転車に、自宅から掃除道具を積んで持ってきています。ヘラやブラシ、歯ブラシなど、細かなところまで掃除できる道具を使っています。

やりがいとか、花を植えるといった達成感とは異なり、主婦の仕事としてトイレを掃除しているとおっしゃっていました。「みんな家では掃除しているのに公園では掃除したがらない、家でするかここでするかの違いだけやのにね」との言葉が印象的でした。

普段は散歩で少し遠くまで行くときには梅香公園を利用されているそうで、自分が使う公園のトイレだからというよりは、街のみんなの公園だから掃除を続けていることを話してくださいました。

(公衆トイレが綺麗に保たれているのは、掃除してくださる方がいるから!こだわりの道具は全部自転車に載せて来ます)

公園だけでなく、周りも!

公園の周りの道路まで掃除をされている方を見かけました。お話を伺ってみると、やはり公園の外であっても、ごみが目につくと拾いにいくそうです。コロナ禍からは、マスクのごみが多くなっていると感じておられました。捨てる心無い人と拾う側のいたちごっこになってしまっています。

12、3年もこの活動に参加されているそうで、やりがいは近所の人が通って「大したもんだ、ありがとう」など声を掛けてくれることだと話してくださいました。世の中で近所付き合いが希薄になっていく中、このような活動を通じて顔見知りになり挨拶をするようになることが嬉しいそうです。

若いころは清掃活動に全く興味が無かったけれど、歳をとるほどに、自分の住む地域を綺麗にするものだという思いが湧いてきたそう。

最近では梅香小学校と連携して、餅つき大会や避難訓練などの行事に裏方として参加されています。「裏方としての活動をもっとやりたいですね、清掃活動も今後ずっと続けていくつもりです。継続は力なり!」とおっしゃっていたのが印象的でした。

(公園の周りの道路も掃除。平日はお仕事をされており、休日に愛護会の活動に参加されているそうです)

活動後のミーティング

その日の活動の終わりには、全員で集まってミーティングを行います。次回の活動予定や、その日あったことなどの連絡を行います。最後にお茶をみんなで飲んで解散という流れ。

皆さんが解散した後に、石橋会長に少しお時間を取っていただきました。

愛護会の活動はどのようなものかと伺うと、「愛護会活動は、ボランタリーな務めですね。本来は行政が管理をするべきだが、行政も細かいところまで手取り足取りはできない。その部分を補完するのが我々愛護会の役割だと考えています」と話してくださいました。愛護会の皆さんは、地域を大事に、綺麗に保ちたいという思いからこの会を続けてらっしゃいます。

嬉しかったことは、昔暗かったこの公園を綺麗にしたいという思いから会長を請け負い、活動が軌道に乗り出すにつれて明るくなり、公園に来た人から「最近綺麗になったね」と声を掛けてもらったこと。そして活動に参加する人は義務感ではなく楽しんで来ていることがなによりだそうです。自分の運動も兼ねてやっていることがみんなの役にたっているということが達成感となっているようです。

後継者不足など課題はありますが、公園の居心地が良いのは気持ちのいいことである、その思いから今後もこの活動をずっと続けていかれるそうです!

梅香公園愛護会の皆さん、貴重な活動を取材させていただきありがとうございました!

(石橋会長が全体連絡をされています)
(活動中は看板を立てています)

【基本情報】

団体名梅香公園愛護会
公園名梅香公園 (大阪市此花区)
面積4,189 m2
基本的な活動日第1日曜と第3土曜 朝8:00〜 1時間程度
いつもの活動参加人数10人前後
会の会員数15-16人程度
活動内容ごみ拾い、落ち葉かき、花壇の管理、施設の破損連絡、除草、植物の水やり、トイレ清掃、利用者へのマナー喚起、新メンバーの募集や勧誘
設立時期1987年発足、現在の会は2018年10月から
主な参加者アクティブシニア、ご近所の有志の方
活動に参加したい場合は活動時間にお声掛けください
取材・執筆
取材・執筆
早川 喬士

大学では幼いころから興味があったまちづくりに関わることのできるランドスケープを専攻し、そのデザインや計画策定を学んでいる。先輩から引き継いだこのレポーター活動で関わる方々との交流を通じて、公園への新たな気づきを得ること、維持管理の知識を深めることを目標としている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

大学では幼いころから興味があったまちづくりに関わることのできるランドスケープを専攻し、そのデザインや計画策定を学んでいる。先輩から引き継いだこのレポーター活動で関わる方々との交流を通じて、公園への新たな気づきを得ること、維持管理の知識を深めることを目標としている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

取材・執筆
北西 愛

地元をより良くしたい!という思いから町づくりに興味を持ちました。現在は大学でランドスケープを専攻し、緑地の利活用やデザインについて勉強しています。そんなに公園でで遊ぶ子どもではなかったのですが、大学での学びやレポーター活動を通して目を向けるきっかけになりました。公園を舞台に、人々の活動やストーリーをお伝えできたらと思います。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

地元をより良くしたい!という思いから町づくりに興味を持ちました。現在は大学でランドスケープを専攻し、緑地の利活用やデザインについて勉強しています。そんなに公園でで遊ぶ子どもではなかったのですが、大学での学びやレポーター活動を通して目を向けるきっかけになりました。公園を舞台に、人々の活動やストーリーをお伝えできたらと思います。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

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