2024/9/30

代わる代わるみんなで守る緑いっぱいの公園

天下茶屋公園(大阪市)

大阪公立大学の学生が、大阪市の公園愛護会の皆さんの活動を紹介する「大阪となりの公園愛護会」。公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する学生の視点で、公園ボランティア活動を紹介します。

今回は大阪市西成区の天下茶屋公園(てんがちゃやこうえん)愛護会。緑豊かな公園を守り続けている活動の様子を取材してきました。

天下茶屋公園愛護会の皆さん

大阪市西成区に位置する天下茶屋公園は、昔ながらの住宅地に囲まれている約8千m2の比較的広い公園です。公園内にはたくさんの緑があり静かな雰囲気を感じる一方で、広場には砂場や滑り台、ブランコなどの遊具が充実していました。取材の日も朝早くから、健康遊具を利用している方やベンチで座って休憩している方など様々な方が訪れていました。

(広場にはたくさんの遊具があります)

天下茶屋公園愛護会は、公園愛護会長の堀正親さんを中心に公園周辺にある3つの町会(岸里連合振興町会の第3、第4、第5・6振興町会の皆さんが愛護会員として活動をされています。

愛護会活動の仕方が特徴的で、1つの町会が2ケ月続けて活動を行い、また次の2ケ月は別の町会が行うというように決めているそうです。

取材の日は、月に1回、第2日曜日に行う定期的な清掃活動を行っているところでした。活動されていたのは第5・6振興町会の皆さんで、代表の松岡五一郎さんとメンバーの皆さんにお話を伺いました。

(第6振興町会代表の松岡さん)

歴史ある天下茶屋公園

天下茶屋公園は元々個人の土地を市に寄付し、昭和26年に天下茶屋公園になったそうです。昔、公園の近くに紀州街道が通っていてアクセスが良かったため、豊臣秀吉が立ち寄ったという逸話があったり、明治天皇が休憩されたことを示す石碑が公園内にあったりと、歴史を感じさせられる公園となっています。歴史あることを裏付けるかのように、公園内にはかなり大きな樹木がたくさん植わっていました。

そんな天下茶屋公園で愛護会が結成されたのは昭和55(1980)年だそうです。前公園愛護会会長の寺田さんも含め、参加しているメンバーは、町内会の役員を務めるなど「今まで地域に貢献されてきた方が多い。」と松岡さんが教えてくださいました。

(園内には、文化財や石碑もある。大きな木が多く、霊木のようなものも!)

気持ちよく使える公園を維持するための工夫

広い公園内に30人~40人もの方々が散らばってごみ拾いを行います。天下茶屋公園にはたくさんの木々が植わっているので「落ち葉の量が多くて大変やねん。」との声もありました。

天下茶屋公園では定期的な清掃に加えて、西成区主催で年に1回~2回開催される「西成大そうじ」の時も集まって掃除をされるそうです。

また、毎朝40人~50人ほど集まってラジオ体操を行うそうですが、その前後で有志の方がごみ拾いなどの掃除を行っており、このような日々のこまめな掃除の積み重ねで、西成区の中でもトップクラスに美しい公園が保たれているとおっしゃっていました。

(みんなで協力して落ち葉をかき集めていきます)
(こんなにもたくさんのごみが集まりました!)
(皆さんのおかげで美しい公園が保たれています)

公園の周囲に設置されているプランターのお花の植え替えも、愛護会の方々が行っています。自転車の不法駐輪などへの対策で、公園の改修と同時にプランターを設置して花を植え、愛護会で管理をされることで、地元の人が気持ちよく使える公園になったそうです。

プランターには6月と12月の年2回、季節に合わせたお花を植えることで公園に彩りを添えています。取材時は12月に植えた葉ボタンが成長していました。このプランターの水やりも町会ごとに週替わりで行うそうです。

(色とりどりのお花が咲いています)
(プランターの周りも綺麗に掃除していきます)

公園の草刈りも行っているそうですが、いかんせん敷地が広い!植栽帯の割合が比較的高い公園なので、夏になると雑草の伸びも激しくなり、大変そうです。

春には満開の桜がお出迎え

そんな天下茶屋公園で一番美しい時期は春です。公園内には40本近い桜の木が植わっていて、満開を迎えるとそれはもうとっても美しいのだそう。

そこで地域の人々がもっと桜を楽しめるように、毎年3月末に桜まつりを実施するそうです。先着300名に甘酒やお菓子を配り、飲み食いしながらお花見を楽しむのだとか。

愛護会の皆さんが口をそろえて「ここの桜は本当に綺麗」とおっしゃるので、私も桜の時期に訪れてみたいなと思いました。

(公園内にはこんな石碑もありました!西成区にゆかりのある花で「区の花」である「ハギ」の石碑)

活動の原動力はお世話になった地域への感謝

松岡さんは「(地域にとって)天下茶屋公園はなくてはならない公園だ。」とおっしゃっていました。木々が多くて四季折々の花々が楽しめて、広くて美しい公園は貴重だと感じているそうで、特に桜は守るべき存在だと思っているそうです。

一方で喫煙マナーやごみのポイ捨てなどの問題を抱えており、ルールの整備が必要だと感じているとも教えていただきました。

松岡さんは「ここで生まれてお世話になったからこそ、この公園の活動を通じてみんなに喜んでもらって、この地域へ還元していくことが活動の原動力!」と笑顔で語ってくださいました。

(地域の皆さんが一丸となって、緑いっぱいの天下茶屋公園を守っています!)

天下茶屋公園愛護会の皆さん、貴重な活動を取材させていただき、ありがとうございました!

【基本情報】

団体名天下茶屋公園愛護会
公園名天下茶屋公園 (大阪市西成区)
面積8,052 m2
基本的な活動日毎月第2日曜 8:00頃〜
いつもの活動参加人数30~40人
活動内容ごみ拾い、除草、落ち葉かき、プランターの管理、植物の水やり、利用者へのマナー喚起、子ども向けイベント
設立時期1980年
主な参加者地元の町会の皆さん

取材・執筆
取材・執筆
山森 千紗

大学ではランドスケープを専攻し、公園のデザインから利活用まで幅広く勉強している。幼い頃からよく公園で遊んでおり、自分の身近にある公園がどのように運営されているのかを知りたいと思い、レポーター活動を始めた。10歳の時に公園で出会った方とご縁があって10年以上文通しており、レポーター活動を通してまた公園で素敵な方々と出会えたらいいなと思っている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

大学ではランドスケープを専攻し、公園のデザインから利活用まで幅広く勉強している。幼い頃からよく公園で遊んでおり、自分の身近にある公園がどのように運営されているのかを知りたいと思い、レポーター活動を始めた。10歳の時に公園で出会った方とご縁があって10年以上文通しており、レポーター活動を通してまた公園で素敵な方々と出会えたらいいなと思っている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

取材・執筆
今村 麻菜美

大学ではランドスケープを専攻し、公園の利活用や維持管理に関することに興味をもっている。中学高校と吹奏楽部でオーボエを担当し、大学生になった今も休日は吹奏楽に明け暮れている。生まれも育ちも大阪やけど全然地元のこと知らんやん!と気づき、レポーター活動を通して大阪の公園についてより多く学ぶことを目標にしている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

大学ではランドスケープを専攻し、公園の利活用や維持管理に関することに興味をもっている。中学高校と吹奏楽部でオーボエを担当し、大学生になった今も休日は吹奏楽に明け暮れている。生まれも育ちも大阪やけど全然地元のこと知らんやん!と気づき、レポーター活動を通して大阪の公園についてより多く学ぶことを目標にしている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

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