2022/12/19

公園掃除は私たちの貴重なコミュニケーションの場です!!

東小橋北公園(大阪市)

このたび、みんなの公園愛護会では、大阪公立大学と協働で、大阪市の公園愛護会の皆さんの活動を取材し紹介するという取り組みをスタートしました。

公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する大学院生の視点で、さまざまな公園愛護会の皆さんの活動を紹介していってもらいます。

記念すべき第1回目は、公園掃除が地域のコミュニケーションの場になっているという、東小橋北公園(ひがしおばせきたこうえん)愛護会です。

取材をしたのは、大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究室の中辻魁人さんと中元菫さん。大阪市の公園を管理する大阪市役所 建設局 公園緑化部の職員さんと、公園事務所の職員さんにもご一緒いただきました。

東小橋北公園愛護会の皆さん

公園ボランティア実態調査アンケートでこんなコメントをいただいていました。

コロナ禍の中で、地域の方々となかなかお会いできない中で、公園掃除活動を通してコミュニケーションが取れる場になっております。

大阪市東成区の東小橋北公園愛護会の皆さんにお話をお聞きしました。

(緑も遊具も充実した街中のオアシス・東小橋北公園)

東小橋北公園は、JR・大阪メトロ玉造駅のすぐ近くにあり、周りには飲食店やマンションが並びます。木や藤棚の下には木陰で休めるベンチ、すべり台やブランコといった遊具も充実しており、トイレや自動販売機も揃っているので多くの人が訪れます。

私たちが伺った時は、お昼休憩に訪れるサラリーマンや子ども連れでいっぱいでした。公園に植えられたヤシの木の雰囲気も相まって、まるでまちなかのオアシスのようです。

こちらの公園でボランティア活動をしているのは、東小橋北公園愛護会の皆さんです。公園に隣接する3つの町会が合同で活動しています。第1町会の宮本悦治さん、第2町会の荒木孝雄さん、第3町会の西岡利夫さんにお話をお聞きしました。

(左から宮本さん、荒木さん、西岡さん。公園に向き合うまっすぐな姿勢が眩しい。)

功を奏したごみ対策

愛護会のメインの活動となるごみの清掃は、25年前に始まり今でも継続されています。

当時から公園をきれいに保つのは不法投棄されるごみとの闘いだったそうです。この東小橋北公園では、以前は家庭ごみが捨てられることが多く、何とテレビが捨てられていたこともあったのだとか。公園にごみ箱を置いていたのですが、1日2回回収しないとあふれるぐらい家庭ごみが持ち込まれていました。

そこで、大阪市の職員の方と相談し、ごみ置き場をトイレの横に移動させたり、公園内にあったごみ箱や灰皿を撤去したりと試行錯誤しました。

すると、初めはごみ箱のあった場所にごみが置かれることもありましたが、こまめに回収することで段々ごみの投棄がなくなったそうです。「ごみ箱や灰皿を置くなど、便利にしすぎてもダメなんだよ。」と宮本さんは話してくださいました。

(ごみ置き場の位置が変更になったことを知らせる看板)

コツコツ継続がきれいの秘訣

第2町会で愛護会会長の荒木さんは、愛護会で活動するよりも前から、何と30年以上も公園でのごみの清掃を続けられているそうです。

きっかけは定年してから気が付いた公園の汚さやマナーの悪さ。どの公園にもごみが捨てられていました。そこからいくつもの公園をはしごし、1人で黙々と掃除をされていたのだとか。

他のお二人いわく、「今となっては愛護会になくてはならない人」なのだそうです。

そんな荒木さんに活動のやりがいを伺うと、「掃除をやってみたら、きれいになって楽しいし、気持ちいいんです。」と笑います。

また、今回お話を伺った皆さんが口をそろえて語ってくださった公園をきれいに保つ秘訣は、「いつもきれいにしていること」とのこと。

「ごみがごみを生む」との格言もいただきました。

この東小橋北公園の多くの人で賑わう居心地の良い空間は、こうした継続的に清掃活動をしていただいている方々なしでは成立しないのだろうと強く感じました。

(「この辺りをね……」と、はしごしていた公園を説明してくださいました。)

若者の活動参加者増加への期待

東小橋北公園愛護会で、特に今、課題となっているのがメンバーの高齢化。

70〜80代の方ばかりが掃除し、若い人がなかなか来ないのだそうです。活動の参加人数も減るばかりで、出来る活動も限られてくるのが悩みとのこと。若い人は町内会にも入っていないため、町内での活動や行事にも参加する人はいないのだそうです。

そんな中、若者集めに期待できるのがネットでの活動紹介の拡散。以前に1度、地域のある若い方がインターネットで公園での清掃活動の呼びかけをしたところ、友達から友達へと、何と20人ほどの若者が集まったそうです。

年1回だけでも多くの若者が来てくれる機会をつくれればと、愛護会の皆さんは期待を寄せます。

いつもの清掃活動がコミュニケーションの場に

アンケートでいただいた、「公園掃除が地域の人々とのコミュニケーションの場になっている」との回答について、お話を聞きました。

普段の活動が、役員の方が連絡事項を伝えたり、掃除後にモーニングやお茶をしに行ったりと、コミュニケーションの場になっているのだそうです。

また、活動中のメンバー同士の声かけも欠かさず、声をかけながら公園掃除をしたら意気投合できるとのこと。時にはコーヒーの差し入れをしてくれる人がいたり、他の愛護会の人が挨拶やホームセンターで買った道具を差し入れに来てくれたりすることもあったそうです。

こうした普段の活動が参加者のみならず、他の地域の方々とのコミュニケーションの機会になっているのもまた活動の魅力の一つなのかなと思いました。

また以前は、大阪市内の各地で活動する2万人のボランティアが集う大会やイベントがあり、公園愛護会もそこへ参加されていたそうで、今無くなってしまったのが惜しいと語ってくださいました。そこではパネル展示の場やボランティア同士の交流の場となっており、大会で表彰されたこともあるのだとか。

「コミュニケーションや励ましのためにも、このような大会やイベントを是非やってほしい。」と熱く訴えます。

(かつて行われていたボランティアの集いのチラシ(左)と、そこで展示されていたパネルの写真(右))

今後は、今の活動を長く継続したいとのことで、その秘訣もまた「コミュニケーション」なのだそうです。

「美化」、「防犯」、「健康維持」の3つの目的意識を持って頑張りますと力強く語ってくださいました。

(後日いただいた活動の様子の写真。朝から皆さんで協力して公園掃除をします。)

【基本情報】

団体名東小橋北公園愛護会
公園名東小橋北公園 (大阪市東成区)
面積2,163 m2
基本的な活動日毎月第1、第2、第3日曜の朝
いつもの活動参加人数7-15人
会の会員数40-50人
活動内容ごみ拾い、除草、落ち葉かき、利用者へのマナー喚起、遊びの見守り、トイレ掃除
設立時期1987年頃
参加者イメージアクティブシニア / その他大人
活動に参加したい場合は第1、第2、第3日曜に公園に来てください
取材・執筆
取材・執筆
中辻 魁人

学生時代に始めたレポーター活動にやりがいを感じ、社会人になった今も継続。卒業論文、修士論文ともに公園の利用ルールについて研究し、どうすれば誰もが自由に使いこなせる公園になるか日々考えている。大阪公立大学大学院 緑地計画学研究室卒業。大阪府堺市出身。現在は関西に基盤を置く不動産会社に勤務。

学生時代に始めたレポーター活動にやりがいを感じ、社会人になった今も継続。卒業論文、修士論文ともに公園の利用ルールについて研究し、どうすれば誰もが自由に使いこなせる公園になるか日々考えている。大阪公立大学大学院 緑地計画学研究室卒業。大阪府堺市出身。現在は関西に基盤を置く不動産会社に勤務。

取材・執筆
中元 菫

学生の時に公園愛護会の存在を知り、レポーター活動を始めたことをきっかけに公園を見る目が変わりました。レポーター活動を通じて、愛護会の皆さんと肩を並べて同じ目線に立っているような感覚になれて嬉しいです。活動レポートが読んだ人の楽しみや励み、新たな気づきになればと思います。大阪公立大学大学院 緑地計画学研究室卒。現在はとある市の職員として、公園や街の緑を守っています。

学生の時に公園愛護会の存在を知り、レポーター活動を始めたことをきっかけに公園を見る目が変わりました。レポーター活動を通じて、愛護会の皆さんと肩を並べて同じ目線に立っているような感覚になれて嬉しいです。活動レポートが読んだ人の楽しみや励み、新たな気づきになればと思います。大阪公立大学大学院 緑地計画学研究室卒。現在はとある市の職員として、公園や街の緑を守っています。

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