2026/1/28

環境・生物・人に優しく。バイオネストで実現する循環型管理

江戸川区(東京都)

みんなの公園愛護会では、地域の人々や公園ボランティアとともに、公園をより良くしようと頑張る行政の取り組みにも注目しています。

以前、清掃道具を常設する「だれでもお掃除セット」でご紹介した東京都江戸川区。同区では今、公園で出た落ち葉や刈り草をその場で堆肥化して土に還す「バイオネスト」の設置が進んでいます。

今回は、東葛西さくら公園で行われたバイオネストづくりのワークショップを取材。資源循環とコミュニティ形成のヒントを探ってきました!

バイオネストとは? 剪定枝を編んでつくる「緑の資源循環拠点」

バイオネストづくりと、区民参加型の緑の循環管理について、江戸川区環境部水とみどりの課 南地区公園づくり連携係 係長の植松丈詞さんと荒金由美さんにお話をお聞きしました。

(左から荒金さんと植松さん:なんでもまずはやってみようと明るく前向きに挑戦されています)

「バイオネスト」とは? 剪定枝を鳥の巣のように丸く編んで囲いを作り、その中に落ち葉や草を入れて堆肥化させる場所のこと。自然の風景に馴染むデザインが特徴です。

落ち葉や刈り草をその場で堆肥化させるバイオネストには、メリットがたくさんあると荒金さんはいいます。たとえば、以下のようなことを教えてくださいました。

バイオネストの利点:
脱炭素・コスト削減: 植物廃材の運搬や焼却が不要になる
生物多様性の向上: 昆虫など生き物の住処になる
土壌改善: できた堆肥が周辺樹木の栄養になる
環境教育: 子どもから大人まで楽しみながら「循環」を学べる

街路樹の枝を、公園へ。区内で広がる「緑のリサイクル」

江戸川区では、緑のリサイクルや循環型管理のモデルとして、令和2年度からバイオネストづくりを開始しました。初年度は、穀倉公園と清新町緑地の2公園に3基を試験的に設置、その後も毎年少しずつ増やし、現在は区内6つ公園に8基まで拡大。みどりの基本計画にも循環型社会の形成に向けた施策として明記されています。

以前から「落ち葉庫」を公園内に設置して落ち葉や刈り草のリサイクルを進めていた江戸川区。緑のリサイクルはもちろん、生き物の住処となり、子どもたちも含めた住民参加で楽しくつくれて、デザイン性も良いバイオネストにシフトしているとのこと。

面白いのは、材料の調達方法です。今回お伺いした東葛西さくら公園のバイオネストの材料は、同じ葛西地区の街路樹の剪定枝。公園内の剪定枝だけで材料を集めるのは大変ですが、街路樹の剪定枝も有効活用することで、まちの中での緑のリサイクルに繋げています。

(近くの東葛西けやき公園にある落ち葉庫、こちらも現役で活躍中)

実践!子どもたちとつくるバイオネスト

この日、公園には造園業者さんによって運ばれてきた街路樹のイチョウの枝がどっさり用意されていました。この日の材料はイチョウです!

(街路樹のイチョウの剪定枝が、この日のバイオネストの材料です。大量!)

バイオネストづくりは、それぞれの公園ボランティアさんと一緒に行われます。東葛西さくら公園のみんなのこうえんサポーターひなぼこ楽団さんの姿と大量の枝を見つけると、公園で遊んでいた子どもたちが次々に集まってきました。

「何してるの〜?」「これからバイオネストをつくります!手伝って!一緒にやろう!」

まずはバイオネストについての説明からスタートです。落ち葉のリサイクル、SDGs、虫たちのおうちにもなるというお話に、子どもたちも興味津々。

【バイオネストづくりのステップ】
1)土をほぐす: 堆肥化を促すため、底になる部分の土を柔らかくします
2)枝を並べる: 円形に枝を置きます。向きを揃えるのがきれいに仕上げるコツ
3)編み込む: 枝の両端を差し込み、編むように積み上げていきます
4)看板設置: 取り組みを周知するための看板を立てて完成!

(荒金さんからみなさんにバイオネストの説明と作り方の紹介がありました)
(まずは土を柔らかくほぐします。木の根っこに注意しながら、掘るだけで楽しい!)
(円形に枝を並べていきます。この時、枝の細い方が左側に来るように向きを合わせるのがポイント!)
(向きを揃えながら、どんどん置いていきます)
(ある程度土台ができてきたら、両端を差し込んで、編むように!)
(だんだん形ができてきました!)
(もうすぐ完成!)

子どもたちは、「枝を運ぶ係」「剪定バサミで枝を整える係」など、自分たちで役割を見つけて夢中で作業していました。「楽しい!地球にいいことしてるよね!」と目を輝かせる姿が印象的でした。

1時間ほどの作業でできあがり!たっぷりあった材料と、みんなのこうえんサポーターさん、遊びに来ていた子どもたち、職員さんの力で「江戸川区最大のバイオネストになったかも!?」という声も。最後にバイオネストを紹介する看板を設置しました。

(最後に、公園利用者や地域の人たちにバイオネストを紹介する看板を設置しました)

「つくって終わり」にしない。地域の人たちとの二人三脚

バイオネストは完成がゴールではありません。日常のお手入れで集めた落ち葉や刈り草を入れて、乾燥する時期には水を撒いたり、2ヶ月に1回かき混ぜたり、といった継続的な「お世話」で、良い腐葉土ができるそう。

こうしたお世話が必要だからこそ、現在はみんなのこうえんサポーターやボランティア団体がいる公園を優先して設置を進めています。つくる時もできるだけ地域や子どもたちに広く声をかけて、みんなでつくるようにしているそう。

「職員だけで推進していくよりも、地域の人たちと一緒に進めていくことが大切」

植松さんたちはそう話してくださいました。「自分たちの手でつくった」という経験は愛着を生み、イタズラ防止など公園の防犯・美化にもつながっています。

(たくさんの子どもたちが大活躍!ありがとうございました!)

落ち葉清掃の作業効率UP+ごみを出さない公園管理へ

バイオネストのある公園では、清掃で集めた落ち葉は随時バイオネストに入れればOK!袋詰めするよりも、作業がうんとラクになります。さらに、輸送コストや環境負荷も低減。

バイオネストづくりのタイミングを合わせて、造園業者さんに公園の樹木や街路樹を剪定した枝を近くの公園に運搬してもらう必要はありますが、日々の清掃で集めた落ち葉や刈り草を袋詰めして回収・輸送するコストも下がり、持続的に良質な堆肥ができるので、長期的なメリットがあります。

緑のリサイクルや循環型管理の先駆的な取り組みとして行われているバイオネスト。将来的には、剪定枝や落ち葉をすべて循環させ、できるだけごみを出さない公園ができることが目標だと話してくださいました。

地域住民が公園運営に幅広く参画できる「みんなのこうえん」プロジェクトの「みんなのこうえんサポーター」も今年度からスタートしている江戸川区。東葛西さくら公園でも、公園で歌やクイズを通して子どもたちと交流するひなぼこ楽団さんが、みんなのこうえんサポーターとして活動しています。

みんなのこうえんサポーターについても、またの機会にお話をお聞きしたいと思います。

当日の様子は、江戸川区のinstagramでも紹介されています!

【基本情報】

取り組みの名称みどりのリサイクル(バイオネスト)
実施自治体江戸川区(東京都)
事業の概要樹木の剪定枝や落ち葉、草等の発生材を園内で循環できるサステナブルな堆肥づくり。バイオ(bio)生命、ネスト(nest)巣という意。
取り組みの詳細江戸川区のホームページをご覧ください
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフトしたのち、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフトしたのち、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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