2024/9/3

「掃除してきれいになったら自分もみんなもいい気持ち」みんなで心を通わせるふれあい公園

加美正北ふれあい公園(大阪市)

大阪公立大学の大学生が、大阪市の公園愛護会の皆さんの活動を取材し紹介する「大阪となりの公園愛護会」。公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する学生の視点で、公園ボランティア活動を紹介します。

今回は、大阪市平野区の加美正北(かみしょうきた)ふれあい公園愛護会。取材日は桜の散り際で、「もう1週間早く来てくれたら桜も満開できれいだったのに!」と美しく咲く桜の様子を教えてくださいました。その美しさが見られなかったのは惜しかったです。今年度から公園愛護会の会長に就任して、「まだまだ新米です…」と謙遜気味の西岡歌寿子さんをはじめ、皆さんにお話を伺いました。

「加美正北」公園の名前が読めへん!由来は?

(公園の入口にある、公園名の入った石盤。その後ろにはアジサイが植えられています)

「加美正北ふれあい公園」。2つの地名がそのまま公園名になったのかな?と思ったら、なんと「加美(かみ)」という地名はあっても「正北(しょうきた)」という地名はありません。初見ではほとんど読めないようなこの公園の名前は、この公園が位置する場所に由来します。

この公園は、「加美正覚寺(かみしょうがくじ)」と「加美北(かみきた)」という町名に挟まれた境目の場所にあるため、加美のあとにそれぞれ1文字ずつとって「加美正北」と名付けられたそうです。ちなみに、西岡さんによると、「ふれあい」というのは「みんなでふれあう、心を通わせる」、つまりみんなの交流を生む公園だから「ふれあい」が公園の名前になっているのだそうです。素敵な由来ですね。

(今年度から加美正北ふれあい公園愛護会の会長になった、西岡歌寿子さん。新米です!とおっしゃっていましたがそれを感じさせないリーダーシップを発揮して活動を仕切っていました)

1999年にできたこの公園、もとは加美正覚寺地域の町会と加美北地域の町会が合同で活動をされていたそうですが、現在は加美北にお住まいの方々がメインになって公園愛護会活動をされているそうです。

(散りかけの桜の下で落ち葉や花びらを掃除しています。この日は落ち葉が多かったため、皆さんテキパキと動いて公園内を掃除していました)

取材日は、加美北町内会の班長さん交代の日でもあったそうで、公園愛護会活動の傍らで、町会活動の軽い引き継ぎや報告などもこの公園で行われていました。この加美正北ふれあい公園が加美北地域で重要な立ち位置になっていることを感じます。

毎月の活動に加えて、毎朝個人で活動する人も!自分のペースで続けています

今回の取材は普段の活動日である日曜日でしたが、愛護会メンバーの中には毎朝公園にやってきて掃除をしたり花壇の雑草を抜いたりする方もいらっしゃるとのこと。この自由度の高さとそれを認め合える関係性が加美正北ふれあい公園愛護会の活動の秘訣かもしれません。

現在のきれいな公園からは想像もつきませんが、かつて草がたくさん生えていて立ち入るのも難しかったような時代もあったそうです。町内会でも草を取り除くような人はなかなかおらず、荒れた公園になっていたところに立ち上がったのが、現在も毎日のように来ている小林久子さんでした。

(毎日お散歩のついでに公園を清掃したり除草したりしている小林久子さん(左)。公園がとてもきれいな理由はこの方のおかげです)

小林さんは当時の愛護会長に毎日来てもよいか許可を取って、健康のために毎日公園へ来て、公園の除草や清掃を始めました。散歩のついでに、あくまで人のためではなくて自分の健康のために行っているそうですが、公園に遊びに来た小さな子が、「おばちゃん!お花きれいやね!」と言ってくれるのが嬉しく、やりがいにも繋がっているようです。小林さんの健康のための行動が周囲の人々の幸せな感情にも繋がっているのだとわかります。

当時の愛護会長で町会長でもあった小出保さんは、「掃除して公園がきれいになったら自分も他の人もいい気持ち」とおっしゃっていて、まさにその通りだと感じました。小出さんは、体調の都合で現在活動はなかなかできないものの、公園の様子を見によく公園を訪れているようです。

毎日コツコツ続ける美化活動のおかげで公園がきれいになりました。ベンチの下の草なども根っこから丁寧に削り取っています。この日も、ツリーサークルベンチの下に生えている草をザッザッとテンポよく取り除いていらっしゃいました。

この公園では集めたごみ袋を一箇所にまとめているのですが、重たい物を持つのが少ししんどい小林さんは、遊びに来ている子どもたちに頼んでごみ袋を置き場所まで持って行ってもらうことがあるそうです。

公園内のお花は、小林さんがお世話をしておられます。丁寧なお世話の甲斐あって、とても綺麗に咲いています!しかし、公園入口の花壇に植えられているユリが、もうそろそろ咲きそうなタイミングだったところで取られてしまったという残念なお話も。きれいなお花はみんなで見て楽しみたいですね。

西岡さんも小林さんも、お話をお聞きしていると「この公園はとてもきれいでしょう?」と誇らしげで、地域の公園が心地よい空間であることが愛護会の方にとっては自慢になっているようです。

(小林さんが管理しているお花たち。丁寧にお世話をされているのでとても元気に、きれいに咲いています)

愛護会でなくてもごみは拾う!

愛護会に参加していなくても、愛護会の活動時間中に公園を通ったお散歩中の方などが公園内に落ちているごみを拾ったり、愛護会が活動していなくてもごみを拾う人が増えたりと、よい連鎖ができているというエピソードも教えていただきました。

公園をきれいにするのは誰かがやればいい、という考え方ではなくて、みんなの公園をみんなできれいにするという意識が地域に広がっている素敵な地域コミュニティだと感じました。

(4月の取材日はこれだけの落ち葉や花びら、ごみが集まりました!あとで市にごみ回収をしてもらうために一箇所にまとめます)

しかし、犬の散歩でやって来た人が、花壇や植え込みにフンを放置してそのままになってしまっていたり、ごみの管理をきちんとするのが難しかったりというお悩みもあるそうです。

「ごみをほかして(関西弁で「捨てて」)行くような人もいてたから〜」と西岡さん。ごみに関することだけでも悩んでおられる事がたくさん出てきました。

西岡さんによると、地域では子どもが減っているものの、この公園には連日多くの子どもたちがやって来て、ドッジボールをしたり遊具で遊んだりしているそうです。

子どものためにも過ごしやすい、遊びやすい空間を。小さい子たちも遊びに来る公園だからこそ、みんなが安心して使えるきれいな公園を維持したいという思いが伝わってきます。

(公園敷地の中央には、シンボルツリーのようなケヤキとツリーサークルベンチ、その横に子どもが遊びやすそうな複合型遊具が設置されています)
(今年も地域のみなさんを楽しませていた桜、園内をぐるりと囲むように植えられています)
(子どもたちのためにも、みんなが安心して遊べる公園にしたいという思いが温かです)

【基本情報】

団体名加美正北ふれあい公園愛護会
公園名加美正北ふれあい公園 (大阪市平野区)
面積2,127 m2
基本的な活動日第4日曜日 午前8時頃~
いつもの活動参加人数10人程度
会の会員数25人
活動内容ごみ拾い、除草、落ち葉かき、花壇の管理
設立時期1999年10月
主な参加者アクティブシニア(加美北町内会メンバーが中心)
活動に参加したい場合は活動日に直接お越しください!
取材・執筆
取材・執筆
今村 麻菜美

大学ではランドスケープを専攻し、公園の利活用や維持管理に関することに興味をもっている。中学高校と吹奏楽部でオーボエを担当し、大学生になった今も休日は吹奏楽に明け暮れている。生まれも育ちも大阪やけど全然地元のこと知らんやん!と気づき、レポーター活動を通して大阪の公園についてより多く学ぶことを目標にしている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

大学ではランドスケープを専攻し、公園の利活用や維持管理に関することに興味をもっている。中学高校と吹奏楽部でオーボエを担当し、大学生になった今も休日は吹奏楽に明け暮れている。生まれも育ちも大阪やけど全然地元のこと知らんやん!と気づき、レポーター活動を通して大阪の公園についてより多く学ぶことを目標にしている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

取材・執筆
山森 千紗

大学ではランドスケープを専攻し、公園のデザインから利活用まで幅広く勉強している。幼い頃からよく公園で遊んでおり、自分の身近にある公園がどのように運営されているのかを知りたいと思い、レポーター活動を始めた。10歳の時に公園で出会った方とご縁があって10年以上文通しており、レポーター活動を通してまた公園で素敵な方々と出会えたらいいなと思っている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

大学ではランドスケープを専攻し、公園のデザインから利活用まで幅広く勉強している。幼い頃からよく公園で遊んでおり、自分の身近にある公園がどのように運営されているのかを知りたいと思い、レポーター活動を始めた。10歳の時に公園で出会った方とご縁があって10年以上文通しており、レポーター活動を通してまた公園で素敵な方々と出会えたらいいなと思っている。大阪府立大学 生命環境科学域 緑地環境科学類 緑地計画学研究グループ所属。

みんなの公園愛護活動レポートに戻る