2024/2/20

企業が公園ボランティアで地域活動

はなみずき公園(茅ヶ崎市)

各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、企業の地域貢献活動としての公園ボランティア。地元でスイミングスクールや体操教室を経営する企業の皆さんが、公園ボランティア活動を通して地域との関わりを強めていらっしゃいます。

まちの変化を静かに見守り続ける公園

茅ヶ崎市ひばりが丘にある「はなみずき公園」。JR東海道線の茅ヶ崎駅と辻堂駅のちょうど中間あたりに位置する住宅街の中にある小さな公園です。この辺りはかつて企業の大きな社宅があり、はなみずき公園はその提供公園として1987年に整備されました。社宅に住む子どもたちはもちろん周辺の子どもたちにも使われてきた地域の遊び場です。

2022年社宅一帯が再開発され、公園の周りは60軒ほどの新しい戸建て住宅に生まれ変わりました。この再開発により、公園の面積も増え一部が再整備されました。今年2024年1月には長寿命化計画による遊具の改修も行われ、周囲と一緒に公園も生まれ変わったようにピカピカになりました。

公園の周りには新しい家族が続々と住み始めていますが、はなみずき公園は以前と変わらず地域の子どもたちの遊び場として、近所の親子や保育園の子どもたちに親しまれているようです。

(この3年間で周辺の景色は一変、公園の遊具も新しくなりました)

地元のスポーツ教室企業が公園ボランティア

こちらの公園でボランティア活動をしているのは、はなみずき公園愛護会。その主体となっているのは、地元企業ハヤシグループの皆さんです。茅ヶ崎で水泳教室・体操教室・総合型フィットネスクラブを展開するほか、公共民間スポーツ施設やレジャー施設の運営受託なども行う、地域の人々の健康づくりをサポートする企業です。

企業が公園愛護会の主体になるのは、茅ヶ崎市では初。企業の公園愛護会第一号です。(株)林水泳教室取締役副社長の林正洋さん、サステナビリティ推進室室長の小林岳人さんとスタッフの皆さんにお話をお聞きしました。

ハヤシグループの皆さんが公園愛護会活動をスタートしたのは、公園愛護会の担い手を増やしたいと考える市役所公園緑地課からの声がけがきっかけだったと振り返ります。市役所公園緑地課とは、市の屋外プールの指定管理者として以前から関わりがあり、話をする中で公園愛護会として活動してみませんか?という誘いがあり、林水泳教室から徒歩5分の、はなみずき公園での活動が始まったことを教えてくださいました。

また、「この町内は遊び場が少なく、子どもたちには人気の公園になっているので、とても助かっています。」と話してくださったのは、三が丘自治会長の千葉智之(さとし)さんです。

(林水泳教室の林さん(左)と小林さん(右)、地元三が丘自治会の千葉さん(中央))

グループ企業の従業員が交代制でみんな参加

茅ヶ崎で50年以上水泳教室を開いているハヤシグループでは、これまでにも地域活動に関わる事業を複数行ってきたそうで、はなみずき公園愛護会の活動もその一つです。

公園ボランティア活動は、グループ会社を含む5つのチームで毎月順番に行っているそう。毎月部署ごとに日にちや時間を決めて、業務の合間に公園に集まり、ゴミ拾いや除草を行っているとのこと。持ち回り交代制のため、社長や役員、新入社員も含むさまざまな職種や立場の総勢50名ほどの従業員がみんなで少しずつ関わるという仕組みで運用されています。

ゴミ回収の連絡などは、地元の自治会ともこまめに連絡を取りあって活動をされているとのこと。

企業が地域と関わりながら行う社会貢献活動、一部の人たちだけが行うのではなく、多くの人が少しずつ負担のない範囲で関わり続ける仕組みが作られているのが素晴らしいと感じました。

この日参加されていたスタッフの方も、夏の草取りでは大きな袋にたくさんの草を集めたというエピソードとともに「公園がきれいになるのは気持ちがいいし、遊びに来る子どもたちもかわいいんです」と話してくださいました。

(この日の活動はゴミ拾いがメインとなりました)

林水泳教室では、サステナビリティ推進室という部署を設立し、地域活動により積極的に関わっていく体制を整えているとのこと。公園愛護会活動のほかにも、野菜づくりやビーチの清掃活動も続けているほか、市と防災協定を締結し災害時の協力体制の整備、学校の水泳教育への協力など、さまざまな取り組みを行っていることを教えてくださいました。

はなみずき公園でのボランティア活動をはじめてまもなく1年、公園のお手入れの知見もない中、地元の自治会ともコミュニケーションをこまめに取りながら、まずはできることをやってきたと話してくださった林さんと小林さん。子どもたちが元気に遊ぶのはもちろん、幅広い世代が立ち寄ってリラックスしてもらえる場づくりができたら、と今後に向けての思いも語ってくださいました。

自治会と連携して餅つきイベントをやりたいですね!というお話も出るなど、楽しい会話が続きました。

子どもたちも自然にゴミ拾い

2月でも暖かく良いお天気になったこの日は、午前中近所の3つの保育園が次々と遊びに訪れました。公園内はあっという間に子どもたちの声で溢れ、とても賑やかに。

元気に走り回って遊びながらも、ゴミ拾いや清掃をしている大人たちに興味津々の子どもたち。「なにやってるの?ゴミを拾ってるの?」自然と会話が生まれます。

次第に「こっちにもあったよー!」「見つけたよー!」とゴミを見つけて拾ってくる子どもたちの姿がみられました。そんな大きな子の姿をみて、小さな子も真似をして集まっている様子もまた微笑ましく、温かい交流の時間となっていました。

(ゴミを拾ってきて楽しそうに渡す子どもたちの姿も)

公園をより良い場所にしようという活動を通して、地元企業とそこで働く人、自治会をはじめとする住民、子どもたち、いろいろな人が自然につながり、良いコミュニケーションが生まれていました。

そして偶然にもこの日は、公園の入口に自転車置き場を整備する小さな工事が行われていました。倒れやすい子どもの自転車が道にはみ出てしまい危ないという地元の声を受けて、市が自転車スタンドを設置。多くの人の力で公園は日々進化を続けているようです。

(近所の保育園の子どもたちで賑わう公園)
(自転車置き場のスタンド取り付け工事中)
(午前中は保育園児や親子づれ、午後は小学生で賑わう)

【基本情報】

団体名はなみずき公園愛護会
公園名はなみずき公園(茅ヶ崎市)
面積324 m2
基本的な活動日毎月
いつもの活動参加人数3-5人くらい
会の会員数およそ50名
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、施設の破損連絡、利用者へのマナー喚起
設立時期2023年3月
主な参加者職員
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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