2021/5/10

みんなで遊具のペンキ塗り

松が丘第二公園(茅ヶ崎市)

様々な公園ボランティアを紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。皆さんにお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしています。第7回は、「遊具のペンキ塗りをする!」という話を聞きつけ、見学させてもらった、こんな愛護会。

DIYで遊具のペンキぬり!?

連携協定を結んだ茅ヶ崎市さんのところで、こんな話を耳にしました。

「公園の遊具のペンキがかなり剥がれてきているから、今度愛護会のみんなでペンキ塗りやろうかなぁ?」
「お、ありがとうございます。じゃあペンキ用意しますね。」

公園愛護会の方と市役所の担当さんで、そのままペンキの色や種類などお話が展開。会話の感じからは、すっかり慣れた様子だったのですが、お聞きすると、実は愛護会としても、市役所としても、遊具のペンキ塗りを愛護会がするのは初めてとのこと。「公園の遊具のペンキ塗り。これはとってもユニークで面白そうな活動では!」ということで、お話を伺ってきました。

(茅ヶ崎市の松が丘第二公園愛護会のみなさん)

茅ヶ崎市にある松が丘第二公園。住宅地にある団地の中の公園です。園内には、すべり台・ブランコ・砂場という、いわゆる三種の神器の遊具をはじめ、広場や植え込みもある、平らな公園。パンダの遊具があることから、地元の人たちには「パンダ公園」として親しまれているとのこと。どこか懐かしい感じがするのは、1977年に建物とともに公園ができた時から、44年間ほとんど変わらず、地元の人たちに愛され続けているからでしょうか。

こちらの公園ボランティアをしているのは、マンションの自治会の男性たち。市役所からペンキが届いたという連絡をもらい、ペンキ塗りが行われるという4月の活動日に訪問。作業を見せてもらいながら、代表の若林さんと参加されていた皆さんにお話を伺いました。

(パンダ公園の主役(?)の開園当初から人気というパンダ)

基本的な活動は、公園の清掃と除草、落ち葉かきなど。低木の刈り込みも積極的にされています。2時間の活動時間の間に、休憩を兼ねた「お茶の時間」を作っているそう。公園内に花だんはありませんが、10棟あるマンションの各棟にステキな花だんがあり、こちらは自治会に所属するフラワークラブで管理されているとのことでした。

(自分の住む棟の横をそれぞれが担当しながら楽しむフラワークラブの花壇)

遊具のペンキ塗りをすることになったきっかけは何ですか?

「ほら、この通りで。前から気になっててさ、今年のテーマに設定したの。」そう話してくださった若林さん。遊具のペンキ塗りは初めてだそうですが、マンションの花だんの柵の塗装は何度もされているとのことで、その写真も見せてくださいました。

毎年ひとつずつ大きなテーマを決めて活動されているそうで、今年は遊具のペンキ塗り。ちなみに昨年は、大きな木の剪定。そのほかにも自転車置き場を整えて看板を設置したり、発足初年度は、生垣を刈り込んで、公園内の見通しを良くしたそう。安全に子どもを遊ばせられるようになったと利用者から感謝され、幼児の利用も増えたのだとか。

(愛護会スタート初回で刈り込んだという生垣)

遊具のペンキ塗り、塗料や道具は?

塗料は、市役所で用意してくれたもの。油性のペンキです。うすめ液や刷毛・手袋・やすりは、事前に購入しておき、ペンキを小分けにするバケツは、湿気取りの容器をリサイクル。ちょうどいいサイズ感です。

まずは所々ヤスリをかけ、ペンキの定着を良くします。あとは塗るだけ!はみ出たところは、別の色で補足の修正。皆さん「こんなのはじめてだよ〜!」と言いながら、手際よく作業をされていました。一度塗りで見違えるほどキレイになっていく遊具たち。

(赤く塗り直されていくブランコ)

ブランコ、ブランコの柵、すべり台、鉄棒、あずまや、ベンチ、、、。次々に塗り替えられ、まるで若返っていくかのよう。塗り進めるうちに、皆さんそれぞれ、ペンキの薄め具合や、塗り方のコツを掴んでいっているようで、意見やアドバイスが飛び交います。ご自宅から持参のDIYの便利アイテムも大活躍。協力作業も阿吽の呼吸。

(あずまやの屋根と柱はチョコレートのような茶色に)

どんどん塗っていくと、残っている部分が逆に目立ってきて「ここも!ここもやろう!」と、作業が進みます。鉄棒のにぎり棒部分も、電灯の柱も塗られていき、砂場の枠もきれいなクリーム色になりました。

途中、公園に遊びにきた小さな子も、散歩中の大人も、みんな興味津々で作業の様子を見ています。ご近所さんが「いつもきれいにしてくれて、助かってます」と話してくれました。

(鉄棒のにぎり棒もクリーム色に)
(砂場の枠は、ブロワーで砂をきれいに吹いてから)

活動の醍醐味って何ですか?

「みんなで集まってやってると、楽しいんだよね。」コロナでなかなか外出できず家で座ってばかりの毎日、たまに外に出て、身体を動かして、みんなとしゃべって。仕事をリタイヤしてもなお、こうして楽しく社会活動に関われるっていうのは、嬉しいことだよ。と皆さん口々に教えてくれました。

「草はね、花が咲いて実をつける前に取っておくと、翌年増えにくいんだよ。」春の草が伸びてくる時期なのに、あまり伸びていない様子に驚いていると、そう教えてくださった若林さん。いつも小まめに見回って、小さなうちから草を取っているそうです。

こだわりの雑草取りで、いつもきれいで快適に遊べる公園。いくつもの保育園や、たくさんの小学生が、みんな喜んで公園を利用しているとのことでした。

(雑草は花が咲いてタネが飛ぶ前にこまめに抜くのがこだわり)

地域の男性たちのコミュニティ

もともと、防災のためにも「お互い顔見知りになろう」ということで、16年前に自治会内にフラワークラブを立ち上げられたという若林さん。花だんづくりは、自分の住む棟の横をメンバーが各自担当するという分担システムで、住人の女性たちを中心に続けているとのこと。それぞれの花だんはとても丁寧に管理されていて、花がきれいだから引っ越してきた、という人もいるんだとか。

公園愛護会は、茅ヶ崎市が制度を整備した初年度に参加してスタート。フラワークラブが女性中心だから、公園は男性中心で声をかけていかれたそうです。実際公園は、木の剪定など力の必要な作業もあり、丁度良いようです。

長年の経験や培った知識で、いろいろな活動をすすめる皆さん。自転車置き場の看板も、愛護会活動の旗も、何でも自分たちで手作り。自治会の防災イベントで使うという、カセットコンロで動く発電機もあり、道具もいろいろ揃っています。

メンバーのほとんどが、40年以上ここに住み、ともに年を重ねてきた人たち。忙しい仕事生活を終えた今、こうして楽しく参加できる場所を持ち、元気に活動されているのは、素晴らしいことです。

ペンキ塗りを終え、乾くまでの間ロープを張りながら「小学生が遊びに来る頃には乾いてるかな?」と話していた皆さん。「4月なのにもう今年のテーマが実現しちゃったな〜。」と笑いながら、後片付けをされていました。子どもたちが、どんな反応だったのか、気になりますね。

【基本情報】

団体名松が丘第二公園愛護会
公園名松が丘第二公園 (茅ヶ崎市)
面積1,300m2
基本的な活動日毎月第2月曜(雨天の場合は火曜)午前9:00 – 11:00
いつもの活動参加人数11人
会の会員数13人
活動内容ゴミ拾い, 除草, 落ち葉かき, 低木の管理, 植物の水やり, 施設の破損連絡, 利用者へのマナー喚起, 愛護会活動のPR, 遊びの見守り
設立時期2015年(平成27年)
主な参加者アクティブシニア

取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

みんなの公園愛護活動レポートに戻る