公益財団法人 東京都公園協会「2026 年度公益事業推進課 ボランティア活動レポート作成業務委託」として、一般社団法人みんなの公園愛護会が取材・執筆を行った記事です。
面積も広く、利用する人も多い都立公園。活動している公園ボランティアの方々の活動テーマも多彩。まさに「推しの公園」活動として行われている公園ボランティアの様子をお届けします。
江東区の憩いの場、木場公園。総面積24ヘクタールの公園の中にある「都市緑化植物園」と「六角花壇」で、25年にわたって活動を続けているのが「木場公園友の会」です。
活動場所である「都市緑化植物園」は広い木場公園の約1割に当たる広さで、植物園内には、日本で唯一の帰化植物見本園をテーマにしたエリアもあります。
都市緑化植物園内は、植物の種類も多く活動内容も実に多彩。さらに、専門性の高い植物もあることから手入れの方法なども複雑になりがちです。それでも25年間活動が続いてきた理由はどこにあるのでしょうか。6月の役員会の日に、木場公園友の会の皆さんにお話を伺いました。
前団体から引き継ぎ2000年に結成
友の会が設立されたのは2000年ですが、それ以前から活動が行われていたそうです。
1992年に「江東植物愛好会」と東京都が協力し都市緑化植物園の整備が開始されたことからスタート。その後、1997年に木場ミドリアムにあった緑の相談所を拠点に「木場ミドリアム友の会」が誕生。1998年~1999年には都市緑化植物園が整備されました。2000年に緑の相談所の閉鎖に伴い、名称を現在の「木場公園友の会」に変更し、サービスセンターとの協働で再出発したそうです。
木場公園友の会となってから25年。現在の会員は48名。メンバーには高校生もいますが、活動の中心は60代〜80代です。江東植物愛好会でも活動され、30年以上活動を続けているメンバーも現役で活躍しています。
都市緑化植物園の準備段階では、木場公園の真下に地下鉄大江戸線の地下車庫が計画されており、関連する公園基盤整備工事も実施されていました。その工事後の庭園づくりが大変だったそうです。工事により土が混じったことで、植物や茶碗の欠片なども土に混ざりこんだため、ふるいで取り除くところから始められました。「ゼロから作ったのですねとよく言われるけれど、実のところはマイナスからのスタート。4年かかったよ。」と開園当時からボランティアをしている初代会長の吉田外志夫さん(写真中央赤いポロシャツ)が教えてくれました。木場公園の歴史を知る方がいるのもこの団体の強みです。

5つのグループに分かれて活動。役員会は月に1回
広大な敷地内で多様なテーマの庭園を維持するため、現在は5つのグループに分かれて活動しています。具体的には、「帰化植物」「ガーデニング」「和風」「洋風」の各エリア、さらに都市緑化植物園外の「六角花壇」をそれぞれ専任のグループが担当。各班に班長を置き、活動時間もグループごとに設定されています。決まった活動日だけでなく、メンバーが自分の都合や空模様を伺いながら、自主的に植物のケアに足を運んでいるのも、この会の特徴です。
二代目の代表を務めるのは、設立時より活動を支える吉野弘子さん(集合写真左から3番目)です。以前から野山の観察会などに親しんでいたそうですが、園芸品種や帰化植物といった専門分野は、ここでの実践を通じて習得されました。「種類ごとに性質が異なり、とりわけ帰化植物は原産地の環境を理解しなければ育てるのが難しい」と、その奥深さを語ってくださいました。
運営面では、月に一度の役員会が各グループやサービスセンターとの情報共有の場となっています。さらに、年に2回発行される会報も情報共有の場として機能しているそうです。
また、活動日には自家製のお弁当を囲む光景も見られます。「料理上手な仲間が多くて、おかずを分け合いながらのお喋りが何よりの楽しみなんです」と、和風グループの清藤勝子さんが笑顔で教えてくれました。

面積も広く、庭園のテーマも多様。それには理由が……。
広大な園内にこれほど多様なテーマの庭園が揃うのには、ある理由がありました。この植物園は開園当初から、東京都とボランティアの皆さんが手を携えて築き上げてきた場所。その根底にある目的は「都市緑化の普及」です。近隣住民の方々が自宅で緑を楽しむ際の「見本」となるよう、多彩な庭のあり方を提案する施設として誕生しました。その志が、「都市緑化植物園」という名称にも込められています。
ここからは、多彩なテーマを持つ庭園や花壇の数々を、写真と共に巡っていきましょう。最初に紹介するのは、都市緑化植物園の外に位置する「六角花壇」です。公園の象徴である木場公園大橋を渡り、バーベキュー広場を目指して北から南へ進むと、ちょうど正面で来園者を迎えてくれるのが、この印象的な花壇です。

木場公園ミドリアムの横にある「都市緑化植物園」の入口すぐにあるのが「ガーデニング広場」です。

ガーデニング広場の奥、三ツ目通り側にあるのが「洋風庭園」。その中に下の写真のようなハーブに特化したエリアがあります。

同じく洋風庭園にある「ウッディ」エリア。このウッドデッキの設置から木場公園友の会の皆さんが行いました。

写真奥の洋風庭園内にはバラエリアもあります。バラの手入れは始めた当初は分からなかったものの水やりと肥料に気をつけて育てているそうです。

洋風庭園の隣にあるのが、「和風庭園」。このエリアも木場公園友の会がお手入れをしています。

そして最後に、珍しいコンセプトなのが「帰化植物見本園」です。
約300種類の帰化植物を育てる帰化植物見本園
人の営みによって海を越えてやってきて、日本の風土に根を下ろした帰化植物。この見本園では、私たちが日々目にするお馴染みの種から、滅多に出会えない貴重なものまで、約300種類ほどの多様な種類を大切に育んでいます。

開園した当初より帰化植物の育成に励んでいた「江東植物愛好会」をはじめ、全国各地の愛好家や専門家の方々から譲り受けた種を大切に育ててこられました。最盛期には400種を超えていたそうですが、現在でも約300種類の植物が、この場所で息づいています。
初代会長の吉田外志夫さんが、以前、帰化植物について言われて心に残っていることがあるそうです。「植物たちは外国から勝手に連れてこられたもの。環境も違うんだから、それぞれの元いた場所の気候を学び、それに合わせて手入れしてあげなくちゃかわいそう」と。見本園のそれぞれの植物の看板には原産エリアについても明記してあります。
また、木場公園友の会では、お世話をするだけでなく毎月の生育調査として記録を残しています。このような日々の活動の甲斐あって、全国農村教育協会が出版している「日本帰化植物写真図鑑」に掲載されている写真のうち、いくつかはこちらで撮影されたものだそうです。
来園者の方からの声がけが一番の栄養!
メンバーは近所の方から電車でやってくる方まで様々で、どなたも植物に対する愛情が深いのが共通点です。みなさんのやりがいについて伺いました。
「きれいねと声をかけてもらったり、小さな子どもたちにこの花なぁに?と聞かれると嬉しい」と六角花壇グループの中沢幸子さんと杉村三重子さん。
「土の上で日差しを浴びるのが心地いい。きれいな花でいっぱいにしたい。自分の健康のためになるしね」ガーデニンググループの塩野文子さん。
「手を入れれば入れるほどよく咲いてくれる」洋風グループの隠善貞子さん。
「伝統を絶やしちゃいけないなどプレッシャーはあるけれど、土の上にいると風が気持ちよくて、ここが私の居場所になった気がする」帰化植物グループの山内より子さん。
「植物は手をかけると応えてくれる。健康のリズムにもなる」と洋風グループの林一雄さん。
来園者を楽しませつつ、自分たちも楽しみながら活動されていることが伝わってきます。
サービスセンターとの連携も
木場公園友の会は、東京都公園協会の助成金を活用して帰化植物以外の球根や苗の購入をしているほか、公園サービスセンターとも連携して活動しているとのことです。公園サービスセンターのお二人に木場公園友の会について聞きました。

約8年にわたり活動を見守ってきた職員の齊藤千晶さんは、「非常に自立した組織で、皆さんが主体的に動いてくださっています。一方で、お身体を労っていただくことも大切。特に夏場は熱中症対策のためにこまめに声掛けをしています。」と語ります。欠席者がいれば仲間を通じて体調を気遣うなど、家族のような繋がりができています。日頃から積極的に現場へ足を運び、樹木の剪定をサービスセンターと協働で作業するなど、密な連携を心がけているそうです。
木場公園サービスセンター副園長の土屋英行さんは、「皆さんの活動への熱意には頭が下がります。何より楽しんで取り組まれている様子が、ひしひしと伝わってくるんです。」と目を細めます。「ボランティアの皆さんの力でこれほど美しく維持されているのですから、私たち公園側もその情熱に負けないよう、常に園内を磨き上げなければと身が引き締まる思いです。」と、会員たちへの深い敬意を語ってくださいました。

来園者を楽しませ、仲間で育てる活動をこれからも
木場公園友の会の歩みは、単なる植物の管理にとどまりません。大地と向き合い、同志と語らい、訪れる人々との交流を楽しむ。こうした心の通い合うサイクルこそが、四半世紀にわたる活動を支える原動力となっているようです。
四季折々に移ろう草花と同じように、この会もまた、多様な人々が寄り添う「かけがえのない居場所」として、これからも彩り豊かに存続していくことでしょう。公園を慈しむボランティアの方々の熱意が、今日という日の木場公園をより一層輝かせています。
■取材後記
2008年に「緑化推進運動」の功労者として内閣総理大臣表彰を受賞された木場公園友の会。式典には当時の天皇皇后両陛下もご臨席されたという、輝かしい歴史があります。初代会長の吉田さんが上皇后さまと直接言葉を交わされた際、「緊張のあまり何も覚えていない」と語る微笑ましいエピソードも。この活動が歩んできた誇り高い物語の一部として、大切に語り継がれていくことでしょう。(跡部)
日本で唯一の「帰化植物見本園」は、海外から運ばれてきた材木についた植物の種が上陸・生育しやすいこの地だからこそ生まれたユニークな場所。研究者や愛好家、そして日常のお世話をする地域の人たちの熱意で、30年以上の長きにわたって定期調査や種の保存などが続いているのは貴重ですよね。ウッディと呼ばれる庭にDIYでつくったウッドデッキも「木場」だから。地域の歴史との深いつながりを感じました!(椛田)
団体情報
| 公園名 | 木場公園 |
| 団体名 | 木場公園友の会 |
| 設立 | 2000年 |
| 活動内容 | ・都市緑化植物園の花壇の手入れ ・樹木の剪定 ・都市緑化植物園外の花壇の手入れ(六角花壇) |
| 活動日 | 班ごとに設定。もしくは各自が来られるときに自主的に実施 |
| メンバー数 | 約48名 |
| 受賞歴 | 「みどりの愛護」功労者として国土交通大臣表彰受賞(2005年) 「緑化推進運動」功労者として内閣総理大臣表彰受賞(2008年) |
| ボランティア活動に参加するには? | 来園し活動しているボランティアに問い合わせいただくか、もしくは木場公園サービスセンターにご連絡ください |
| 助成金情報 | 公益財団法人 東京都公園協会では「都立公園事業に参加協力する都民への助成金」を設けています。詳しくは以下のリンクをご確認ください https://www.tokyo-park.or.jp/public/volunteer/about/ |