2026/6/12

種から育てて20年。多様なテーマでつくる13の循環型花壇

中目黒公園(目黒区)

各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回訪れたのは、目黒川の桜並木からほど近い、「中目黒公園(なかめぐろこうえん)」。一歩足を踏み入れると、色とりどりの美しい花々や、ふんわりと漂うハーブの香りに包まれます。

ここで2002年の公園オープン以来、20年以上にわたって「完全無農薬・有機栽培」にこだわり、地球にやさしい循環型の花壇をつくり続けているのが「さーくる・ガーデン・クラブ(CGC)」の皆さんです。

現在33人のメンバーで育む花壇は、全部で13箇所!数えきれないほどのハーブと花々に囲まれた、CGCのみなさんの活動を取材してきました。

公園の歴史とともに歩む「みんなが住みやすい環境づくり」

「中目黒公園」は、計画の段階から区民の声を取り入れて作られてきた公園。開園前から、たくさんの人たちの手によって大切に育てられてきました。

「農薬や化学肥料に頼らず、植物も昆虫もみんなが住みやすい環境にしたい」

そんな開園当初からの公園全体のあたたかい想いを、20年以上にわたって現場で体現し続けているのが、さーくる・ガーデン・クラブのみなさん。今回は、さーくる・ガーデン・クラブ 代表の中村玲子さん、2代目代表の飯沼満里子さん、関宏一さん、松本務さんをはじめ、みなさんにお話をお聞きしました。

(左から、松本さん、飯沼さん、中村さん、関さん。お揃いのエプロンがお似合いです!)

市販の苗を買うのはごく一部。20年間ずっと試行錯誤を繰り返しながら「種から苗を育てる」ことにこだわり、無農薬・有機栽培を徹底しています。

(種から苗になるまでは、バックヤードにある温室で大切に育てられています)

「種から育てているので、どれくらいがちゃんとした苗まで育ってくれるか、事前にはわからないんですよ。だから、ある程度まで苗が育った段階で『よし、今年はこういう植栽計画にしよう!』って、みんなで話し合って決めるんです」

自然のペースに合わせるからこその、ちょっとしたハプニングも楽しんでしまう。そんなしなやかさが素敵です。

(コンポストの箱も関さんお手製です)

ちなみに、花壇の土づくりに欠かせないコンポストは、メンバーの関さんが「こだわりを持って」熱心に管理をされているのだとか。自らペンキ塗りをした3つのボックスを活用して、かき混ぜた日付を記録しながら、土づくりをしていました。また、同じく中目黒公園で活動し、堆肥を作っている「有機クラブ」からも土を分けてもらっているそうです。

(芽を出したばかりの苗を丁寧に植え替え)

自分で選んだ「推し花壇」を、それぞれのペースで

さーくる・ガーデン・クラブが手入れをする13の花壇は、「白」「青」「黄」「赤」といったテーマカラーや、「ハーブ」「アレンジメント」など、それぞれ個性が豊かなのが特徴。「この花壇をやってみたい!」と、メンバーが自分の好きな花壇を「立候補制」で選び、花壇ごとに分かれて作業を行っています。

(セージ」だけでも数種類。今年初めて栽培したハーブも。)
(咲き終えた春の花を取り除き、土づくり。奥に見える紫の花の木は公園のシンボルツリー的存在の「ジャカランダ 」)

取材に伺ったこの日も、それぞれの担当花壇に分かれて作業がスタート。無理なくそれぞれのペースで、おしゃべりをしたり、ハーブの香りを楽しんだりしながら、お手入れされている姿が印象的でした。

(タネを採るのに、水切りネットが大活躍!)

「困ったら聞く!」外とつながり、学び合う文化

長く活動を続けていると、もちろん悩みもあります。現在は33人のメンバーがいますが、近年は少しずつ減少傾向にあり、高齢化も進んでいるのだそう。

そこで皆さんが取り入れたのが、ローメンテナンス(手入れの負担を減らす)の工夫です。

(大きく育ったハーブたち)

「少しでも作業を楽にできるように、宿根草(毎年花を咲かせる植物)の割合を増やしてきているんです。あと、雑草が生えにくくなるバーク堆肥も導入しました。これは、他の団体さんから教えてもらったんですよ」

東急株式会社が地域のまちづくり活動や緑化活動に対して支援する『みど*リンク』にも参加しているCGC。そこから他の団体とつながって花壇についての情報交換をすることもあるそうです。また、宿根草を活用した花壇を対象とした『東京パークガーデンアワード』も情報収集の参考にしているとか。そのほか、公園内にある「花とみどりの学習館」のスタッフさんも心強い味方。花壇づくりで困ったことがあれば、いつでも相談しているそうです。

(奥に見えるのが「花とみどりの学習館」)

常に学びながら、花壇を作り続けてきた土壌にあるのが、クラブ内での勉強会の時間。園芸を専門的に学んできたメンバーが、クラブ内で毎月勉強会を開いていた時期があったそうです。その膨大な資料はホームページにも掲載されています。

勉強会や活動を通じて積み重ねてきた知識は、作業を通じて継承。「生き字引のような先輩からたくさん学んでいる」と話されていた方もいました。

(2026年1月「東京都都市緑化基金賞」(公益財団法人東京都公園協会)の「花壇・庭造り部門」で入賞)

また、目黒区が毎年開催している1年間の連続講座「花みどり人(すと)講座」を受講してメンバーになる人も多く、「学び」を通じて地域や行政と深くつながっていることが、20年続く大きな原動力になっています。

(花壇のあちこちに立てられたマップを見ながら、ハーブを探すのも楽しい)
(アーティチョークなど、珍しいハーブもたくさん!)

お手入れの後は、ハーブの香りに包まれてクラフトづくり

花壇のお手入れ終了後、「花とみどりの学習館」に集まった皆さんが始めたのは、翌週に開催されるワークショップ「ラベンダーのスティックづくり」の準備。収穫したばかりのラベンダーに、みんなでワイワイおしゃべりしながらリボンを巻いていきます。

(ラベンダースティックの作り方は、代々、作業しながら受け継がれていきます)

作業のお供は、今日収穫したばかりのフレッシュハーブを使ったハーブティー。「あぁ、いい香り」「癒やされるわね」と、一気に笑顔が広がりました。

(収穫したハーブが窓一杯につるされていました)
(みなさんお揃いのエプロンに付けられたバッジも手づくり。中にはラベンダーのポプリが入っているそうです)

ここで育てられたハーブや花たちは、ワークショップで使われるほか、毎年10月に開催される「中目黒公園祭り」でも大活躍。公園で活動する他の5団体と一緒に盛り上げるこのお祭りでは、クラフト作品として販売されたり、花束づくりの材料になったりして、地域の人たちへと手渡されていきます。

種から育ったみどりが、花壇を彩り、クラフトになって人の手に渡り、最後はコンポストで土へ還る――。 中目黒公園の中に流れる、優しくて温かい「みどりのサイクル」は、メンバーの皆さんの笑顔とともに、これからもゆるやかに紡がれていきそうです。

(お祭りやイベントに向けて着々と準備。どんなクラフトになるのか楽しみ)

【基本情報】

団体名さーくる・ガーデン・クラブ
公園名中目黒公園(目黒区)
面積22,074 m2
基本的な活動日第1・3・5金曜日と第2・4土曜日の9:30~12:00
会の会員数33名
活動内容花壇の管理、種からの花育て、ハーブ育て、植物の水やり、コンポスト、花やハーブを使ったクラフト、地域のイベント、他団体と連携したイベント
設立時期2002年
主な参加者花好きのご近所さんや区民の方、花みどり人講座の卒業生 など
活動に参加したい場合はホームページ や Instagram をご覧ください
取材・執筆
取材・執筆
武石 ちひろ

子どもの頃好きだった遊びは、公園での蝉取り。一人で木に登って、狩りのような気持ちで挑んでいたことを覚えています。知らない子と友達になって、その子を追いかけて迷子になったことも。今は人見知りなのに不思議です。現在は、地域で”はたらく”をテーマに対話の場をつくりながら、ライターのお仕事も。地元の寺子屋活動にも参加し、地域活動にも興味津々。

子どもの頃好きだった遊びは、公園での蝉取り。一人で木に登って、狩りのような気持ちで挑んでいたことを覚えています。知らない子と友達になって、その子を追いかけて迷子になったことも。今は人見知りなのに不思議です。現在は、地域で”はたらく”をテーマに対話の場をつくりながら、ライターのお仕事も。地元の寺子屋活動にも参加し、地域活動にも興味津々。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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