各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回訪れたのは、目黒川の桜並木からほど近い、「中目黒公園(なかめぐろこうえん)」。一歩足を踏み入れると、色とりどりの美しい花々や、ふんわりと漂うハーブの香りに包まれます。
ここで2002年の公園オープン以来、20年以上にわたって「完全無農薬・有機栽培」にこだわり、地球にやさしい循環型の花壇をつくり続けているのが「さーくる・ガーデン・クラブ(CGC)」の皆さんです。
現在33人のメンバーで育む花壇は、全部で13箇所!数えきれないほどのハーブと花々に囲まれた、CGCのみなさんの活動を取材してきました。
公園の歴史とともに歩む「みんなが住みやすい環境づくり」
「中目黒公園」は、計画の段階から区民の声を取り入れて作られてきた公園。開園前から、たくさんの人たちの手によって大切に育てられてきました。
「農薬や化学肥料に頼らず、植物も昆虫もみんなが住みやすい環境にしたい」
そんな開園当初からの公園全体のあたたかい想いを、20年以上にわたって現場で体現し続けているのが、さーくる・ガーデン・クラブのみなさん。今回は、さーくる・ガーデン・クラブ 代表の中村玲子さん、2代目代表の飯沼満里子さん、関宏一さん、松本務さんをはじめ、みなさんにお話をお聞きしました。

市販の苗を買うのはごく一部。20年間ずっと試行錯誤を繰り返しながら「種から苗を育てる」ことにこだわり、無農薬・有機栽培を徹底しています。

「種から育てているので、どれくらいがちゃんとした苗まで育ってくれるか、事前にはわからないんですよ。だから、ある程度まで苗が育った段階で『よし、今年はこういう植栽計画にしよう!』って、みんなで話し合って決めるんです」
自然のペースに合わせるからこその、ちょっとしたハプニングも楽しんでしまう。そんなしなやかさが素敵です。

ちなみに、花壇の土づくりに欠かせないコンポストは、メンバーの関さんが「こだわりを持って」熱心に管理をされているのだとか。自らペンキ塗りをした3つのボックスを活用して、かき混ぜた日付を記録しながら、土づくりをしていました。また、同じく中目黒公園で活動し、堆肥を作っている「有機クラブ」からも土を分けてもらっているそうです。

自分で選んだ「推し花壇」を、それぞれのペースで
さーくる・ガーデン・クラブが手入れをする13の花壇は、「白」「青」「黄」「赤」といったテーマカラーや、「ハーブ」「アレンジメント」など、それぞれ個性が豊かなのが特徴。「この花壇をやってみたい!」と、メンバーが自分の好きな花壇を「立候補制」で選び、花壇ごとに分かれて作業を行っています。


取材に伺ったこの日も、それぞれの担当花壇に分かれて作業がスタート。無理なくそれぞれのペースで、おしゃべりをしたり、ハーブの香りを楽しんだりしながら、お手入れされている姿が印象的でした。

「困ったら聞く!」外とつながり、学び合う文化
長く活動を続けていると、もちろん悩みもあります。現在は33人のメンバーがいますが、近年は少しずつ減少傾向にあり、高齢化も進んでいるのだそう。
そこで皆さんが取り入れたのが、ローメンテナンス(手入れの負担を減らす)の工夫です。

「少しでも作業を楽にできるように、宿根草(毎年花を咲かせる植物)の割合を増やしてきているんです。あと、雑草が生えにくくなるバーク堆肥も導入しました。これは、他の団体さんから教えてもらったんですよ」
東急株式会社が地域のまちづくり活動や緑化活動に対して支援する『みど*リンク』にも参加しているCGC。そこから他の団体とつながって花壇についての情報交換をすることもあるそうです。また、宿根草を活用した花壇を対象とした『東京パークガーデンアワード』も情報収集の参考にしているとか。そのほか、公園内にある「花とみどりの学習館」のスタッフさんも心強い味方。花壇づくりで困ったことがあれば、いつでも相談しているそうです。

常に学びながら、花壇を作り続けてきた土壌にあるのが、クラブ内での勉強会の時間。園芸を専門的に学んできたメンバーが、クラブ内で毎月勉強会を開いていた時期があったそうです。その膨大な資料はホームページにも掲載されています。
勉強会や活動を通じて積み重ねてきた知識は、作業を通じて継承。「生き字引のような先輩からたくさん学んでいる」と話されていた方もいました。

また、目黒区が毎年開催している1年間の連続講座「花みどり人(すと)講座」を受講してメンバーになる人も多く、「学び」を通じて地域や行政と深くつながっていることが、20年続く大きな原動力になっています。


お手入れの後は、ハーブの香りに包まれてクラフトづくり
花壇のお手入れ終了後、「花とみどりの学習館」に集まった皆さんが始めたのは、翌週に開催されるワークショップ「ラベンダーのスティックづくり」の準備。収穫したばかりのラベンダーに、みんなでワイワイおしゃべりしながらリボンを巻いていきます。

作業のお供は、今日収穫したばかりのフレッシュハーブを使ったハーブティー。「あぁ、いい香り」「癒やされるわね」と、一気に笑顔が広がりました。


ここで育てられたハーブや花たちは、ワークショップで使われるほか、毎年10月に開催される「中目黒公園祭り」でも大活躍。公園で活動する他の5団体と一緒に盛り上げるこのお祭りでは、クラフト作品として販売されたり、花束づくりの材料になったりして、地域の人たちへと手渡されていきます。
種から育ったみどりが、花壇を彩り、クラフトになって人の手に渡り、最後はコンポストで土へ還る――。 中目黒公園の中に流れる、優しくて温かい「みどりのサイクル」は、メンバーの皆さんの笑顔とともに、これからもゆるやかに紡がれていきそうです。

【基本情報】