2025/12/3

若い会長を全力でバックアップ!温かな地域の連携

会津公園(松山市)

各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、初めての四国、愛媛・松山からお届けします。

松山市の公園を守り育てる地域のみなさんが集まる「公園管理協力連絡協議会」の全体研修会にお呼びいただき(その活動報告はこちら!)松山を訪れた機会に、市内の公園にお伺いしてお話をお聞きしました。

松山市の公園管理協力会

松山市では「公園管理協力会」という制度のもと、市内の多くの公園で地域のボランティアのみなさんが公園の日常の維持管理を行っています。

市内にある351公園のうち、県営公園や、総合公園など市の直営や指定管理者のいる公園を除く329公園が地域の公園管理協力会に委託され、351団体が活動をしています。公園管理協力会の担い手は、町内会、PTA、婦人会、老人会、子ども会など、地域の方々が多いそうで、暮らしの身近にある小さな公園はほぼすべて地域の人たちの手で守られていることがわかります。

また、協力会同士の横のつながりをもつ「公園管理協力連絡協議会」が設置されているのも、松山市のユニークなところです。1969年の設立から56年続く連絡協議会では、研修会や表彰、遊具の一斉点検などを行いながら、公園間での情報共有や管理技術の向上を目指して活動をされています。

(「大切にしよう みんなの公園」と書かれた公園管理協力会の看板、レトロでかわいい!)

町内会と地元の人の手で守り続けてきた会津公園

ということで、この日お伺いしたのは、松山市にある会津公園(あいづこうえん)です。JR予讃線 三津浜駅から歩いて5分ほど、松山城のある市の中心部からも車で20分ほどの住宅地の中にある街区公園です。

園内には、砂場やブランコのほかちょっと個性的な遊具があるゾーンとボール遊びもできそうな広場があり、ベンチやあずまや、トイレもあります。見通しが良くきれいな会津公園は、子どもたちを安心して見守りやすいことから、小さな親子連れが多く遊びにこられるそうです。お伺いした日も近くの保育園からお散歩に来ている姿がみられました。

グランドゴルフを楽しんだり、幼稚園の運動会の練習があったり、年に一度小学校区全体のペタンク(フランス発祥のボール投げスポーツ)の大会が行われるなど、さまざまな世代の人々に愛されているようです。

会津町には2つの公園(会津公園・すみれ公園)があり、町内会が主体となってみなさんでお世話をされています。会津公園管理協力会 会長の林法子さん(冒頭の写真左)と菊地絹代さん(同 右)にお話をお聞きしました。お2人は町内会の公園管理担当で、副会長の和田さんとも協力しながら、3人で公園が気持ちよく使えるよう日々活動をされているとのこと。(和田さんはご都合が合わずお会いできませんでした)

(会津公園、立派な看板ですね。桜の木がたくさんありました)
(大きな砂場の中心には土管と木でできた個性的な遊具が!奥にはトンボのスプリングシーソーも)

40代の会長さんを70代が熱くバックアップ

日々公園を見回っていらっしゃる元気な菊地さんは、会津公園のお世話を始めて2年目。お仕事を退職されてから、より熱心に地域のことに取り組まれているそうで、公園の端から端までコツコツと草引きをして、見違えるようになったというお話を聞かせてくださいました。

毎日のように公園で草引きをしたり、トイレに不具合がないか確認したり、何かあったら市役所に電話をしたり、咲き終わった花を切り戻して次の季節を迎える準備をしたりと、活動にバイタリティー溢れる菊地さん。「地域のために、少しでも公園をきれいにしよう!」という思いと責任感で活動を続けていらっしゃいます。

「そんな菊地さんがいるなら!」と今年手を挙げたのが、現在の会長、林さんです。ご自宅でもガーデニングを楽しんでいて、菊地さんとご近所で顔見知りの林さんは、「高齢化社会にあって、若い世代が引き継いでやっていかないといけないという意識もありましたし、知ってる菊地さんだから一緒にやってみようと思いました」と立候補の理由を教えてくださいました。

「若い人がやってくれるなら、全力でバックアップしますよ!」と菊地さん。平日お仕事をされている40代の林さんをサポートしながら、ますます活動に熱が入ります。「こんなに嬉しいことはないですね!」と笑顔で話してくださいました。

(落ち葉集めも良いコンビネーションの会長の林さん(左)と菊地さん(右))

毎月の公園清掃は町内会の組ごとで順番に

町内会でも、毎月第二土曜日に町内のみなさんで公園清掃を行っています。組ごとに当番表が組まれ、市民大清掃や町内全体清掃のほか、年3回ほど回ってくるようになっています。

「昔は町内に子どもが120人もいて、子ども会の行事と合わせてみんなで公園掃除をしてたんですよ」とかつてを振り返ります。今は子どもの数も4分の1に減り、子ども会も解散。子ども会がなくなってから公園が寂しくなった時期もあったそうですが、町内会で公園管理担当の役をつけたり、ご近所の有志の方々の力で、公園は守られてきました。

毎月の公園清掃の日には、夕方5時からの公園清掃の30分前に町内放送でアナウンスも行われるそう!

(公園掃除当番表を見せてくださいました:年1回は班長も回ってきます)

グランドゴルフのメンバーもトイレ清掃の強力なパートナー!

会津公園の広いグラウンドでは、月・水・金曜の朝、グランドゴルフが行われています。このグランドゴルフのメンバーもまた、公園清掃の強力なパートナーだといいます。

グランドゴルフのみなさんは、プレイの前にまずグラウンドのゴミ拾いや小石拾い、そしてトイレ清掃をされているそう。トイレの手洗いには掃除用のかわいいスポンジも置かれていて、いつもきれいに掃除してくれている人の存在を感じます。

グランドゴルフのない日は、菊地さんが見回りをしたり、夏の暑い時期グランドゴルフがお休みの時期は町内会のLINEでトイレ清掃のヘルプを募集したりと、地域のみなさんの努力で、トイレはいつもきれいに保たれています。

「公園に来たら、まずトイレのチェックをしていますね」と話してくださった菊地さん。トイレを清潔にしておくことで、公園がより安心で気持ち良い場所になるんですね。

(グランドゴルフのみなさんと一緒にいつもきれいにしている会津公園のトイレ)
(トイレへのこだわりを紹介してくださいました)

愛情を持ち寄ってきれいな公園づくりをしています

会津公園には花壇もあります。あずまやの横の花壇は、3人でちょうど1週間前に冬の花を植えたところで、今は毎日の水やりが大事だと話してくださいました。この冬はパンジーと、春に向けてネモフィラのタネを蒔いたそうです。扇形のかたちをした花壇にどのように花を植えるか、デザインにも工夫が光ります。

花苗を買ったり、タネから育てたり、よく育った花を株分けして増やしたり、お庭で育てた花を持ち寄ったりしながら、公園にはいろいろな花が育てられています。

前に10年くらい公園管理を担当されていた方が、たくさんの花を植えられたそうで、扇形の花壇のほかにも、公園の入口やフェンスの近くなど、季節ごとに花を楽しめる場所が多くありました。

「3人集まるとコミュニケーションが密になっていいんですよ」と笑顔で話してくださった菊地さん。何かあった時に「手伝って〜」と言える関係性ができたそう。公園管理も町内会も、会長だけに負担をかけずに、周りがサポートし合えることが大事だといいます。

公園にみんなが遊びにきてくれること、そして「ありがとう」と言ってもらえることが、大きなやりがいにつながっています。先日も近くの小学校の5年生が授業で公園を訪れ、「いつも公園をきれいにしてくれてありがとうございます!」と言ってクラス全員で公園清掃をしてくれたという嬉しいエピソードも。

「来年は防災をやりたいですね。公園で炊き出し練習や芋煮会なんかできたら。」と次なる目標も語ってくださいました。

公園を舞台に、地域の人たちが世代を超えてつながり、できることを持ち寄って、地域づくりをされている様子に、心が温まりました。

(ご近所さんのリクエストで残しているマリーゴルドの奥には植えたばかりのパンジーが)
(小石も落ちていないグラウンド、奥にはあずまやがあり屋根の下でゆっくりできます)
(レトロなトンボのスプリングシーソーが公園を見守っています)

【基本情報】

団体名会津公園管理協力会
公園名会津公園(松山市)
面積2,196 m2
基本的な活動日ほぼ毎日、町内会の公園清掃:毎月1回、グラウンドゴルフの公園とトイレ清掃:週3日
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、花壇の管理、植物の水やり、トイレ清掃、施設の破損連絡、利用者のマナー喚起、地域のイベント
設立時期1973年(昭和48年)頃
主な参加者ご近所の有志、お花好きのご近所さん、町内会、グランドゴルフサークル
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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