2022/2/18

20年以上続く「親子で一緒に鳥の巣箱づくり」イベント

鴨池公園(横浜市)

様々な公園ボランティアの活動を紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。今回は、公園を利用する親子と一緒に楽しいイベントを行っている、こんな公園愛護会!のこぎりやトンカチを使っての「親子で巣箱づくり」です。

鳥の巣箱づくり!?

公園で愛護会が主催する「親子で鳥の巣箱づくり」イベントがあるという情報をTwitterで見つけました。公園内にある施設「こどもログハウス」と公園愛護会の共同イベントで、毎年恒例のようです。鳥の巣箱をみんなで作るなんて素敵!ということで、見学にお伺いしました。

(イベントは、こどもログハウスの横の広場で。寒いけどいいお天気!)

横浜市都筑区にある鴨池公園(かもいけこうえん)。横浜の港北ニュータウンにある大きな公園で、広い園内には、こどもログハウスや広場のほか、水鳥が棲む鴨池や竹林など、自然もたくさん。緑道や大きめの公園も多い自然豊かな住宅地にあり、さまざまな鳥が見られるそうです。

こちらの公園でボランティア活動をしているのは鴨池公園愛護会の皆さん。ゴミ拾いはもちろん、竹林の整備や、雑木林の手入れ、池の保全・管理など、活動はかなり本格的な作業のようです。会長の市川さんにお話をお聞きしました。

(参加者に巣箱の作り方や、シジュウカラの雄と雌の見分け方などをお話する、市川さん)

地域の自然を守り続ける愛護会

このあたりは昔水田だったそうで、港北ニュータウンの宅地造成がされた時期に、池と公園ができたことを教えてくださいました。森林や緑道など周辺一帯を広域で活動する自然愛護団体を始め、ボランティア団体は地域に多くあり、別の森林愛護会でも活動していた市川さんは、鴨池公園が作られる時からこの場所の自然と関わってこられたとのこと。公園ができた昭和61年、公園愛護会として登録。当初はみんな親子でワイワイ活動されていたそうです。

鴨池公園が出来たばかりの頃、名前の由来にもなっている鴨池の水辺は、石積みで水草も無い殺風景な池だったそうですが、愛護会の皆さんで湿地を作り、水草を植えて、多くの生き物が棲める自然に近い池に環境を整えていったのだとか。

また、ホタルの棲む環境復元を目指して、湧水のある林縁に水路を整備して、水槽で孵化させた幼虫を春に放流し、夏の夜にみんなで見て楽しんだこともあったそうです。ホタルの森、ロマンチックです。

池の改修に、森の整備。地域の人みんなが楽しめる自然は、皆さんの手で作られ、守られてきたものでした。

(水鳥も棲む鴨池、冬の寒い朝は氷が張るそうです。)

春にはみんなでタケノコ掘り大会も

竹林の整備や池の保全の作業は、かなり本格的。竹は放っておくと、どんどん伸びて広がり周囲に侵入していくので、定期的なメンテナンスが必要です。育ち過ぎた竹を伐採したり、枯れた竹を除去したり。春に行う「タケノコ掘り大会」は、竹林整備の大切なイベント。竹の増えすぎを防ぐことはもちろん、みんなでやることで地域の交流や、愛護会活動を知ってもらう良い機会にもなっているようで、毎年150人ほどの参加があるそうです。地域のみんなで自然の恵みを楽しく分かち合うって素敵ですね。

池の作業は、主に池の周囲のヨシ刈り。生物の保護や池の栄養状態も考えながら、年2回:6月と12月に行っているそうです。竹の伐採や、雑木林の枯れ枝除去など、技術が必要な活動も。講習を受けたメンバーがチェーンソーを使用したり、さまざまな道具を使って、毎月幅広い活動をされている皆さん。

活動の様子は、鴨池公園愛護会のブログでも紹介されています。作業の様子、たとえば竹の伐採の段取りなども、たくさんの写真と一緒に詳しく書かれているので、読んでいるだけでもとても面白いです。ブログでの情報発信は、メンバーのお一人の吉川さんが2007年頃から行っているそうで、愛護会の活動と合わせて、続けることの重みと大切さを感じます。

「ある種一つの使命感かな。始めた以上はね。」と市川さん。愛護会活動を終えて、みんなで飲むビールの味は最高だと教えてくださいました。

(公園内には、竹林や雑木林など自然がたくさん)

イベントは人が繋がるきっかけ

今回は「鳥の巣箱づくり」ということで、シジュウカラにピッタリの巣箱を親子で作るイベント。これは、愛護会として20年以上続けている毎年恒例のイベントだそうです。4年前から鴨池公園こどもログハウスでやるようになってからは、参加者の幅が広がって新鮮だと話してくださいました。

鳥の巣箱づくりイベント以外にも、「森のまつり」として、自然の材料での工作や、竹でパンを焼いたり、さまざまな自然遊びが体験できる地域イベントを行ったり、区民祭りで愛護会のPRを兼ねて、竹のリースや松ぼっくりのリースづくりをしたことなど、いろいろなイベントのお話もしてくださいました。

以前は、夏にボートを出して池のプランクトンを観察する自然教室なんかもやっていたそうで、自然を使った楽しい遊びのアイデアが豊富な皆さん。

「地域にこういう風景があるのは良いですよね。人の繋がりが出来る機会を提供できれば。」と、市川さんは優しい笑顔で話してくださいました。

公園にある屋内遊び場「こどもログハウス」

「こどもログハウス」とは、木の温もりを感じながら自由に遊べる屋内施設。横浜市内の公園に18箇所あり、鴨池公園のこどもログハウスは「かもいけランド」と呼ばれています。

展望台や地下迷路など、室内全体がアスレチックのような遊び場になっているほか、トイレや読書スペースもあり、イベントなども行われていて、地域の子どもたちや親子に人気のスポットのようです。

広い空間でいろんな遊びを楽しめる)

鴨池公園愛護会とは、毎年の「鳥の巣箱づくりイベント」のほか、七夕の季節に笹飾り用の竹を切り出してもらったり、自然工作の材料を提供してもらったり、といった繋がりがあることを、こどもログハウスのスタッフリーダーの的場さんが教えてくださいました。公園愛護会と公園内の施設、そして公園利用者の繋がり、良いですね。

ノコギリとトンカチで巣箱づくり

さてさて、鳥の巣箱づくりです。申し込みは当日の先着順。予定より参加枠を拡大して、鴨池公園やこどもログハウスを利用する、小さな子から小学生までの親子15組が参加。

シジュウカラのこと、そして巣箱の作り方の説明を聞いて、材料と道具を受け取ったら、いざスタート!

(板をどう切っていくか、説明書を見ながら真剣に話を聞く皆さん)
(ノコギリに挑戦!動かし方や力の入れ方はこんな感じかな)
(斜めに切る部分など難しいところもありましたが、どんどん切っていきます)
(トンカチでトントン組み立てていきます。釘はまっすぐ入るかな。)
(巣箱の形になってきました!)
(かわいい巣箱が完成!)

参加者親子の作業を見守ったり、支えたり、助けたり、終始フォローする愛護会メンバーの皆さんでした。

この巣箱は、サイズや穴の大きさなど、シジュウカラにピッタリの設計とのこと。出来上がった巣箱は、皆さん持ち帰っておうちの庭の木につけたりするそうです。

公園の木につけたい!という子の巣箱は、愛護会の方が高い木の上につけてくれました。公園に来て観察するのが楽しみになりそうですね。

(風や太陽、周囲との関係を見ながら設置場所を選びます。高い所の作業も慣れたご様子!)

参加者の中には、リピーターの方も。巣箱をおうちの庭の木にかけておいたら、本当にシジュウカラが来たそうです!卵を産んで、ヒナが巣立っていったのが感動で、また新しい巣箱をつけたくて!と話してくださいました。

参加していた方に少しお話をお聞きしました。

参加は初めてです。お友達の家に巣箱があって、そこに来ている鳥を見てとってもステキで、「いいな〜!」と思って。去年は申込が間に合わず、今年リベンジできました!公園愛護会のことは知っています。公園愛護会には入っていませんが、町内の緑道の川の清掃などには参加したことがあります。

友達に誘ってもらって参加しました。参加は初めて。巣箱はおじいちゃんの家に置こうかな。公園愛護会のことは、知りませんでした。そういう活動、ありがたいですね!

一昨年も参加して、今回2回目です。巣箱が猫に襲われたこともあったのですが、守りました。ピヨピヨ小鳥の鳴き声も聞こえてきて、巣立ちも見れたのが感動的で。みんなで作ると楽しいので、またイベントに参加しました。子どもがノコギリを使う機会もなかなかないので、うれしいです。

参加は4年目です。インコを飼っているのですが、去年はインコがこの巣箱を使って卵を産みました!今年もインコ用になりそうで、インコの絵を描きました。とても楽しいイベントです。

当日の様子は、鴨池公園愛護会のブログと、鴨池公園こどもログハウスのホームページでも紹介されています。

本当に素敵なイベントで、皆さんの笑顔で温かな気持ちになりました。ありがとうございました。

(鴨池公園愛護会の皆さん、いつものリヤカーと一緒に!)

【基本情報】

団体名鴨池公園愛護会
公園名鴨池公園 (横浜市都筑区)
面積87,619  m2
基本的な活動日毎月第1日曜
いつもの活動参加人数20人くらい
会の会員数約 130家族
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、竹林の管理、施設の破損連絡、愛護会活動のPR、新メンバーの募集や勧誘、地域のイベント、子ども向けイベント、他団体と連携したイベント、池の保全、雑木林の枝落としや枯れ木除去
設立時期1986年
参加者イメージ子ども / 子育て世代 / その他大人
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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