2021/8/20

外来種の繁殖する池を再生。地域に愛される約5000輪の蓮池に:桜小路公園

各地で活動する公園ボランティアを紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。皆さんにお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしています。第12回は、2つの蓮池管理をしている珍しい愛護会があるということで、早速活動を伺いに行きました。

1年中、池を管理する愛護会!?

神奈川県藤沢市にある桜小路公園(さくらこうじこうえん)。江ノ電の柳小路駅から住宅街を歩くこと約10分の場所にあります。道路を挟んで敷地が広がるユニークな形の公園です。一方はブランコや滑り台といったベーシックな遊具がある遊び場で、もう一方には「第一はす池」「第二はす池」と呼ばれる池が2つあります。春には池周りに桜が咲き、初夏には大きな蓮の花がたくさん咲くので、地域の人たちには花の名所として知られています。また、サギやカルガモ、カメ、ザリガニといった多様な生き物を観察できるので、貴重な自然と触れ合える場所として子ども達からも人気です。

(取材中も常に池を気にかける武井さん)

こちらの公園ボランティアをしているのは、ご近所の有志の皆さん。代表の武井さんにお話を伺いました。

基本的な活動は、はす池の管理や園内清掃など。定例活動は最終日曜日の月1回で、あとは出来る人が平日に個人で活動しています。

はす池周りの植栽を剪定する作業から、蓮の花が沢山開花するような世話を1年を通して行っています。例えば、開花を終えた枯蓮を除去する冬場の作業。腰や胸まである防水作業着、ウェーダーを履いて冷たい池に入り、枯れた茎(柄)を一本一本手作業で抜き取って陸揚げし、乾燥させ袋詰めし廃棄するんだそう。第一はす池だけでも約2万本もの茎や葉があり、寒い中大変な作業ですが毎年蓮の花を開花させるために必要不可欠とのこと。想像を超えるはす池管理の奥深さに驚きますね。

地域の人々に愛される美しいはす池、一時は環境悪化で危機的状況にあったと言います。そしてこのハードなはす池の管理も、実は池の環境再生からスタートしていたことを教えてくださいました。

(池から揚げた枯蓮を袋詰めする作業)

池の再生、きっかけは地域の子どもからの一言

武井さんがはす池での活動を始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「ある日、ザリガニが釣れなくなったと池に遊びにきていた小学生から言われました。見ると池に浮き草が大量に繁殖して水面が真っ赤になっていました。調べてみると、それは特定外来生物の植物アゾラ・クリスタータでした。」と武井さん。

何とかしないと、という気持ちで網を買って浮き草をすくって取り除き始めたそう。お仕事が近くで自営業ということもあり、朝、お昼休み…とすきま時間を見つけては少しずつ作業したとのこと。

1人で始めた作業でしたが、武井さんが所属していた近隣の小中学校の父兄によるボランティア団体「おやじパトロール隊」の他のメンバーに手伝いをお願い、また遊びに来る小学生たちも手伝ってくれたそうで、活動は徐々に広まっていきました。はす池の異常を察知し、1人でも行動する武井さんの池を守りたい!という強い気持ちと、はす池が地域でとても大切にされているのがよく伝わってきます。

(当時のアゾラ駆除の様子)

公園愛護会としての歩み

作業を続けていると、当時草刈りや清掃を行っていた公園愛護会から声がかかり入会することに。公園愛護会は1987年の公園設立後すぐにでき、草刈り・清掃活動を中心に続けられてきていたとか。当時の愛護会はシニアの方々が中心メンバーで活動していたこともあり、これを機に武井さん達へ世代交代となりました。

現在の公園愛護会のメンバーは「おやじパトロール隊」のメンバーや近所にお住まいの有志の方々。夏場は暑さを考慮して定例活動が朝の6時半からとかなり早朝ですが、皆さんはす池を守りたいという気持ちで参加されているとのこと。日中の個人活動時には遊びに来ていた子どもが手伝ってくれることもあるということですし、いつかは小学生がメンバーになりたい!と言ってくれる日も近いかもしれませんね。

(見通しが良くなるよう剪定作業)

地域に住んでいるボランティアだからこそ出来るふるさとを守る活動

武井さんにとって昔から馴染みのある池とはいえ、特定外来生物の駆除となると専門的な知識が必要なのでは、と疑問が湧きます…。

それに対し「アゾラ・クリスタータは乾燥に弱いのでひたすらに掬って、水ごと吸える掃除機で吸って、さらに掬い続け、最終的には燃焼駆除もしました。市の公園課とも相談、協力し作業しています。完全に駆除しないとまたどんどん増えていってしまうので根気よく向き合わなければなりません。やっつけ仕事ではできない、ボランティアだからこそできることだと思います」と武井さん。

その後、第一はす池は約6年、第二はす池は約3年かけてアゾラ・クリスタータの完全駆除を行いました。その年月から作業がいかに地道で根気のいるものなのか想像できます。

基本的には自分たちで試行錯誤しながら作業しているそうで、それは大変だったと振り返ります。ブログでその様子を記録されていますが、駆除の実績を見て、他の自治体の公園管理をする担当者から相談や問い合わせがくることもあるそうです。地道でハードな作業も多いですが、世話をしたらその分だけ花が咲いてくれるのでそれがとても嬉しく、何にも変え難いやりがいにつながっているんだそう。

(第一はす池には透明感のある白にほんのり桃色が美しい舞妃蓮という品種の蓮が咲きます)
(第二はす池には色濃いピンクが特徴の誠蓮という品種の蓮が)

12年かけて池を再生、環境再生はまだまだ続く

そもそもこの池は、1954年頃に藤沢市を流れる境川の洪水で、周辺の蓮田を飲み込んで池ができ、「はす池」と呼ばれるようになったそう。数年間は蓮の花が咲いたそうですが、その後は葉も出なくなっていました。それから数十年の時を経て、2014年アゾラ・クリスタータ駆除後に第一はす池に舞妃蓮という品種が新しく植えられることに。当初は3輪の開花でしたが、今や3000輪を超える花が開花し、人々を楽しませています。武井さんが池の環境再生を取り組み始めて、12年。12年前とは全く違った風景が広がっています。

また境川に生息していた藤沢メダカを守ろうと蓮池に試験放流区もつくられました。「最近は第二はす池の水が綺麗になってきたので、今後蛍とか見れたらいいなーと思ってます。まあ10年ごとのプロジェクトかな。」とも笑って語ってくれた武井さん。地域のふるさとの姿を守ろうと今も日々活動を続けていらっしゃいます。

(はす池で孵化したカルガモの赤ちゃん。この姿にみんな癒されています)

生の蓮を楽しむユニークなイベントも

地域ととても密接な桜小路公園。公園近くの本鵠沼商店街とは昔から深い繋がりがあるそうです。公園名にも入っている桜は、商店街の出資で植えられてきました。第二はす池周辺で毎年きれいに咲いています。

また地域の方による「はす池の自然を愛する会」という団体もあり、観蓮会というイベントも行われているそう。大人には蓮の葉の上にお酒やお茶を入れて、茎を通じて飲む中国由来の行事を。子どもたちには茎をストロー替わりとしてシャボン玉遊びをしてもらったりとはす池ならではのユニークなイベントです。

こういったことがより地域の人々と公園の関わりを増やし、愛され親しみのある公園にしていっているのでしょうね。

【基本情報】

団体名桜小路公園愛護会
公園名桜小路公園 (藤沢市)
面積4,335m2
基本的な活動日毎月1回
いつもの活動参加人数6-10人くらい
会の会員数30人
活動内容ゴミ拾い, 除草, 低木の管理, 花壇の管理, 植物の水やり, 施設の破損連絡,池の管理
設立時期1987年(昭和62年)
参加者イメージ子育て世代 / その他大人 

(取材・執筆:高村南美、写真:桜小路公園愛護会、高村南美)

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