2021/3/24

近所の家族でおしゃべりしながら気軽に楽しく

鯉ヶ淵公園(藤沢市)

公園ボランティアの皆さんを紹介するコーナー「となりの公園愛護会」愛護会アンケートでいただいた、たくさんのコメントの中で私たちが「これは!」と思った団体にお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしています。第3弾は、子どもも大人も楽しんでる、こんな愛護会。

公園そうじは貴重なおしゃべりの時間!

アンケートでこんなコメントをいただいていました。

公園の遊具のペンキがはげていたのが気になって、近所の3家族が相談して発足しました。公園掃除は平日働く私やママ友にはとても貴重なおしゃべりの時間です。子どもたちも10〜20分くらい手伝ってからドッジボールなどをやって楽しんでいます。あまりしっかりやろうとしすぎると大変なので、できるところで楽しくやってます。

公園ユーザーである子どもとその家族が中心になって立ち上げた愛護会。自治会の所属だけど、やりたい人がやりたい時にと、わりと自由に活動しているそう。おしゃべりが目的で楽しくやってるという声に、「これは子どもと子育て世代が活動するヒントがあるのでは!」と思い、お話を伺いに行きました。

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藤沢市にある鯉ヶ淵公園(こいがふちこうえん)。住宅地の一区画、広い砂場と遊具やベンチ、走り回れる広場もある、近所の子どもたちに愛されている感じの、少し懐かしい雰囲気の公園です。

こちらの公園ボランティアをしているのは、自治会が母体の鯉ヶ淵公園愛護会。3月の活動を見学させてもらい、会長の豊田さんや参加されていた皆さんにお話を伺いました。

基本的な活動は毎月1回、第2日曜の朝9:00から。連休になっている時などは前後に調整したりして、毎月活動しているそうです。ゴミ拾いに、花だんのお世話、夏は草取り、落ち葉の季節は落ち葉掻きなどを基本にしながら、スイカ割りやクリスマス会など、季節のお楽しみ企画も行っているんだとか。公園の掲示やホームページfacebookなどで参加を呼びかけながら、近所の親子や小学生が自由に参加されています。

公園愛護会を始めようとしたきっかけは何ですか?

「遊具のペンキがはげているのが気になって、地域の市民センターに問い合わせたところ、公園愛護会という制度があることを教えてもらいました。」そこから自治会や子ども会など、いろいろな所に相談しながら、ご近所の3家族で立ち上げたそうです。やりたい人がやりたい時に始めた方が良いと言われて、自治会に所属しつつも、ほぼ自由にやっているとのことでした。

活動しているメンバーは、どんな人たちですか?

「はじめは小さな子どもを持つ近所の3家族でしたが、自治会総会で話したり、チラシを配ったり、公園で遊んでいる人に声をかけたりしながら、今はいろいろな家族が参加しています。」この日も、いろいろな家族が参加されていて、小さな親子連れや、元気な小学生もたくさんいました。お父さんと、またお母さんと、家族みんなで参加、子どもだけで参加、ご近所の顔見知りなので、皆さん和気藹々とした雰囲気です。

だれもが楽しめるような工夫がたくさん

この日の公園そうじでは、小さな子も積極的に参加していました。自分で道具を選んで楽しくゴミ拾いができるよう、小さなトングやバケツも用意されています。確かに大人用のトングは握力が要るし扱いが難しいから、パン屋さんのような小さなトングは子どもにはピッタリです。そして、つかんだゴミを手元で集めておけるような小さなバケツ。誰もが楽しく参加できるような工夫が、あちこちにありました。

公園を楽しむためのイベントも工夫が凝らされています。夏はスイカ割りをしたそうですが、なんとスイカを割らずにビーチボールをたたくスタイル!「そのあと食べることを考えたらね〜」なるほど。目隠しして割る楽しみはビーチボールで満喫して、スイカはきちんと切って全部美味しく食べる。そして片付けも断然ラク。その母親目線の工夫、大きな共感!

この日も、そうじ後さくっとおやつタイムを経て、バドミントン大会が企画されていました。大きなカレンダーの裏にトーナメント表をつくって、いざ勝負開始。大人vs子どもの対戦もあり、楽しむための工夫があちこちにありました。

公園をより気持ちよく使うための工夫も

毎月の活動をより楽しいものにするための工夫以外に、公園での時間をより充実したものにしようという工夫もあります。

「子どもが家に帰ってきたと思ったら、時計を見て『お!あと10分遊べる!』と言ってまた走って出ていくようなことが多くて、公園に時計をつけました。」というのは、この日ちょうどつけなおしていた時計のお話。市役所に時計の希望を話したところ、時計は全体的に撤去する方向にあるとのことで、愛護会の報奨金で購入して設置したそうです。見やすい場所にはこの時計、時計が読めない子のために倉庫の横にデジタル時計をつけているのも、優しさですね。

そのほかにも、季節ごとの変化を楽しめそうな花だんが4つありました。花苗を植えた花だん、球根を植えた花だん、タネを蒔いた花だん、、それぞれ、毎回子どもたちと一緒につくっているそうです。花の配置やデザインを考えたり、苗を植えたり、タネを蒔いたり、看板をつくったり。子どもたちの自由な雰囲気に、公園を訪れる大人もほっこりします。

活動を続けている楽しみ・モチベーションって何ですか?

「平日仕事があるので、週末ご近所の友だちとおしゃべりするこういう時間が貴重で、楽しいんですよね。」子どもたちや、ご近所の人たちとの時間。学校のことや、地域のことを話して、情報交換したり、いろんな子の様子を見たり、ゆるく繋がり続ける機会。

この活動を始めたときに3歳だったという息子さんは、現在小学6年生。毎月一緒に愛護会活動を楽しんでいるようです。

途中、町内のシニアの方向けに公園体操教室を企画してやっていた時期もあったそうで、いろいろな工夫を常にされているんだなあと思わずにはいられません。

お子さんの成長に伴って活動に変化はありますか?

「やっぱり子どもの習い事や部活なんかで、日曜の朝参加できなくなる人はいますね。でもそれぞれ心地よい距離感での繋がりは続いています。」できる範囲で関わることが、大切なのですね。

小学生は、例えばタイマーで時間を決めてその間集中してそうじをする、というのをやってみたりもしているそうです。ゲーム感覚で楽しめそうですね。小さな子のいる家族が新しく参加するようになったり、初めは親子で参加していた家族も、子どもだけで参加するようになったり、小さな変化は常にあるようです。

楽しく続けていく秘訣は?

「無理をしないで、楽しんでやることだと思います。」毎月の公園そうじを通して、ご近所の友だちとおしゃべりをしたり、家族や地域ぐるみで楽しい企画を考えたり。常にいろいろな工夫をされている様子に、学びが多い時間でした。「これからやってみたいことですか?お花をきれいにしていくことですかね」とおっしゃっていた豊田さんはじめメンバーの皆さん。お子さんたちと一緒に創られていくこれからの活動も、楽しみにさせていただきます。

【基本情報】

団体名鯉ヶ淵公園愛護会
公園名鯉ヶ淵公園 (藤沢市)
面積2,008m2
基本的な活動日毎月2日曜日(連休の場合は前後の週)
いつもの活動参加人数20人くらい(うち子どもが半数かそれ以上)
会員数会長・副会長・会計以外は自由参加、LINEグループあり
活動内容ゴミ拾い, 除草, 落ち葉かき, 低木の管理, 花壇の管理, 植物の水やり, 利用者へのマナー喚起, 子ども向けイベント
設立時期2012年(平成24年)
参加者イメージ子ども / 子育て世代 / その他大人

取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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