2022/12/16

担い手同士のつながりを作る公園愛護会交流会

名古屋市(愛知県)

みんなの公園愛護会では、地域の人々や公園ボランティアとともに、公園をより良くしようと頑張る行政の取り組みにも注目しています。

名古屋市で公園愛護会の担い手同士の情報交換の場である愛護会交流会が行われ、一緒に参加して皆さんとお話する機会をいただいたので、その様子をレポートします。

愛護会の担い手同士が繋がる愛護会交流会

名古屋市の公園愛護会の歴史は古く、1970年から50年以上続いているという伝統ある活動です。愛護会交流会は、公園愛護会の取り組みが始まった頃から、愛護会同士の横のつながりを作る場としてスタートしたとのこと。愛護会同士、また市役所と愛護会の間で、困り事の共有をしたり、より良い活動への対話をすることを目的としています。

ということで、名古屋市の公園愛護会の皆さんにとっては、毎年恒例イベントとなっている交流会。今年は、市内1,158団体ある公園愛護会の中から、設立5年以内の団体を対象に、鶴舞公園の中にある名古屋市公会堂で行われました。

「皆さんに、楽しくやりがいを感じて活動してもらうきっかけになれば、また皆さんの困り事がひとつでも解決できればと思い、企画しました。」と笑顔で話してくださったのは、名古屋市緑政土木局緑地部緑地利活用課の伊藤文美さんです。

コロナ禍で交流の機会があまりなかった皆さんに、改めて制度の紹介や活動のヒントとなる情報をお届けしたいということで、私たちみんなの公園愛護会にお声掛けをいただきました。

(交流会には、愛護会の皆さんに加え、各区土木事務所の担当職員さんも市内各地から参加されていました:名古屋市提供)

参加者の声に寄り添うプログラム

参加された公園愛護会の皆さんには、名古屋市役所からの事前のアンケートが配布されていました。交流会では、制度や保険の紹介に続いて、アンケート結果の共有が行われました。

1つ目の質問「やりがいや楽しさ」については、仲間や地域との交流ができること、地域への貢献ができること、地域の人や公園を利用する人からの感謝の声が、やりがいや楽しさに繋がっているという声が多かったというお話がありました。

やりがいや楽しさについては、みんなの公園愛護会のアンケートでも同様の声が多く上がっていました。やはり地域を問わず、また活動継続年数なども問わず、共感する部分があるようで、皆さん頷いていらっしゃいました。

2つ目の質問「活動で大変なこと・困っていること」については、活動の人数集めが大変、年齢層が高くなっているが若い人が入ってこない、ゴミやペットのフン問題、草取りや落ち葉の清掃が大変という声が多かったというお話がありました。

これらの困り事に関連して、みんなの公園愛護会でこれまで取材し紹介してきた、いろいろな団体さんの取り組みや知恵を、参考事例としてご紹介していきました。

人集めが大変という課題に対しては、たとえば、町内会の中での参加者層を増やす取り組みや、SNSを活用しながら地域を問わず誰でも歓迎で活動している団体、地元企業と一緒に取り組んでいる団体や、地域の障がい者施設と協働で公園清掃を行っている団体がいること、また落ち葉や草取りが大変なら管理の方法自体を見直そうという取り組みがあることなどをお話しました。

(みんなの公園愛護会の椛田から、これまで取材してきた各地の団体の知恵や活動のヒントをご紹介しました:名古屋市提供)

3つ目の質問「今後やってみたいこと」については、花壇づくりをして花を植えたい、季節を感じるイベントや茶話会・地域の行事をしたいという声が多かったというお話がありました。

それに関連して、球根や多年草を使った年中美しくて作業負荷の少ない花壇づくりの事例やミックス球根の取り組み、親子で鳥の巣箱作りイベントなどの事例をご紹介しました。

そのほかにも、普段公園を使う人やご近所さんにも参加を呼びかけるための活動日と内容の公園掲示や、公園活動に気軽に参加する人を増やす誰でも使える道具の常設、おまけのお楽しみタイムを作るといった、明日からできそうな小さな工夫についても、いくつかご紹介しました。

質問もいただきながら、皆さん熱心に聞いてくださっていました。

花壇づくり体験でリラックス

交流会の後半は、鶴舞公園内の緑化センターへ移動して、花壇づくり体験です。この日はちょうど、とても良いお天気で、紅葉も美しい公園での作業は、気持ち良い時間になりました。

鶴舞公園の指定管理を行っているスタッフの皆さんが、花壇づくりの基本的な考え方や、花の紹介、植え付けの手順について紹介していきます。またまた熱心に耳を傾ける皆さん。

(手袋もして準備OK!座学だけでなく外での作業があるのは楽しいですね)

緑化センター前の花壇、今回のテーマは「冬の噴水と春の噴水」。色や高さを計画しながら、冬から春にかけての季節の変化も楽しめるデザインになっています。この日は、ストックやビオラ、シロタエギク、アリッサムなど、スタッフの皆さんがきれいに配置した花苗を、愛護会の皆さんが定植するという実習体験。

グループに分かれて、エリアごとに、いざ作業!初心者さんには丁寧な説明やサポート付きで、皆さん真剣な眼差しで花を植えていました。慣れた手つきのお二人にお聞きすると、これまでお仕事で花植えの作業は長年やってきたという経験者の方。愛護会活動の担い手さんは、やっぱりお花や緑が好きな方が多いんですね。

あっという間にキレイな花壇が完成しました。春になると、チューリップが出てきたり、また素敵な変化があるそうです。

(ポットから花苗を出す時のコツを紹介するスタッフさんと、一緒にやってみる皆さん。やさしく、やさしく。)

この日は、12の区から26団体36名の方が参加されていました。コロナ対策で愛護会同士が直接交流する時間は設けていなかったものの、多くの皆さんがお互いの公園での活動にとても興味を持って、参加されていました。

終了後のアンケートでは、参加された皆さんの85%の方が「愛護会活動への意欲が高まった」と回答されていました。

(交流会参加者のアンケート結果より一部を紹介:名古屋市提供)

公園ボランティアを支援する取り組み、いろいろ

名古屋市では、やる気のある公園愛護会が、さらに充実した活動ができるよう、公園愛護会の上位の位置付けとして特定愛護会制度を設け、活動内容の拡充や報償金の上乗せなどもされています。

また、情報誌「愛護会だより」を発行し、愛護会活動の参考になる情報や、表彰団体の紹介、講習会の報告やお知らせなどを、公園愛護会活動の担い手に届けています。

さらに「なごやグリーンアンバサダー」という新しい取り組みもスタート。市民レポーターが、公園愛護会などのボランティア活動や緑のイベントをYouTubeやSNSなどで紹介するというもの。

この日は、グリーンアンバサダーの皆さんの研修会にもお呼びいただき、どうしたら公園愛護会などのボランティア活動をより多くの人が知り、活動に参加したくなるだろう?など、市民それぞれの視点や立場から自由に意見交換やディスカッションをしました。

なごやグリーンアンバサダーの取り組みは、これから「なごや緑のまちづくりchannel」で発信されるそうで、公園ボランティアを応援する仲間の皆さんの活躍が楽しみです!

(グリーンアンバサダーの皆さんと名古屋リビング新聞社の皆さんでYouTubeの撮影中、アツイ!)

【基本情報】

取り組みの名称公園愛護会交流会
実施自治体名古屋市 緑政土木局 緑地部 緑地利活用課
事業の目的普段は別々の場所で活動をされている愛護会の皆さんどうしの情報交換の場、愛護会と行政の連携を深める場ととして、愛護会交流会を開催しています
取り組みの詳細名古屋市ホームページをご覧ください
自治体からのメッセージ愛護会をはじめ公園でボランティア活動をしていただく皆さま、いつもありがとうございます。これからも皆さまとのパートナーシップで公園をより楽しく魅力的な場所にしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
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