各地の公園ボランティアの活動を紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。公園ボランティア団体の中には、地域の小学校と連携して、授業の支援をしている方々もいます。
地域の営みに光を当てるローカルウェブメディア「森ノオト」さんとのコラボレーション第3回です。
横浜市青葉区とNPO法人森ノオトは、花と緑を通じた対話(=ダイアログ)を通して、花と緑の活 動を始めるきっかけや、活動をしている人同士のつながりをつくる、「フラワーダイアログあおば」 事業を協働で行っています。この活動の一環として、NPO法人森ノオトが地域のボランティアの みなさんを取材した記事をご紹介します。
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荏田猿田公園愛護会のみなさん
横浜市青葉区内で花や緑と関わる活動をしている方々にスポットを当てて、点在する活動を面的にネットワークしていくシリーズ。今回取り上げるのは荏田猿田公園愛護会のみなさんです。町内にある荏田西小学校と連携して、公園の花壇に花の苗を植えるイベントの様子や、普段の活動についてご紹介します。
東急田園都市線江田駅から徒歩約10分、東名高速道路に隣接した荏田猿田公園は、歴史が好きな人には有名です。なぜなら、はるかむかし、この辺りが武蔵国都筑郡だった時には、政治の中心地、役所があった場所だからです。
土地区画整理の際に、公園含め道路を挟んだおよそ200メートル四方に、「郡衙(ぐんが)」の遺跡が発掘されました。
地域メディア『ひろたりあん通信』の連載「歴史探偵・高丸の地名推理ファイル」2002年8月号によると、郡衙は、今でいう市役所のようなもので、租(そ)や調(ちょう)といった都へ納める税(特産品)を集積し、検査したあと国府に運ぶのが仕事であるとのこと。
沿線の駅で比較すると、ちょっと寂しげな江田ですが、実は、江田から市が尾のあたりは縄文の遺跡も残っていて、古くから人が住みやすかったエリアと考えられます。
律令国家の時代には、街道が集中し、人や文化が交流する重要拠点だったと言われています。なお、「江田」なのか、「荏田」なのか?にも様々な推論があるようです。
荏田猿田公園では、毎月第2第4火曜日に愛護会活動が行われています。荏田西二丁目自治会の環境部の下部組織という位置付けで、2010年に発足して今年で9年目、現在29名の会員がいます(取材当時)。
活動日には毎回15名ほどが集まり、通路や排水溝の掃除や、草刈り、落ち葉や枯れ草の処理、竹林や花壇の手入れなどを行なっています。
愛護会活動が始まったきっかけは、年に一度の業者による草刈りだけでは草が伸び放題で荒れており、治安の悪さにもつながっていたこと。
「子どもたちが安心・安全に遊べる公園にしよう」をモットーに、活動にかかる経費は、横浜市から愛護会への補助金と自治会からの支援、それから新年会やお花見、暑気払いなどの会費でまかなって、継続してきました。
荏田西の住宅街はできてから25年ほど、二丁目の自治会が発足したのも12年前ほどと、青葉区の中では比較的新しい、若いまちです。しかし、愛護会には、農家を営む古くからの住民の方が参加してくれていて、そのおかげで最初の資材が揃いました。
愛護会会長の武内和雄さんは「草刈機の扱いなんかも教えあいながらね。花のことも全然知らなかったから、ここで手入れの仕方を覚えていきました」と語ります。
2015年からは、荏田西小学校の授業の支援として年に1、2回、生徒たちと共に樹名板を作ったり、花の苗を植えるイベントを行ってきました。
また、自主イベントとして、町内に呼びかけて、夏の夜にセミの羽化の観察会を行うなど、地域との連携を積極的にしています。青葉区の土木事務所とも良好な関係を築いています。
手慣れた様子でテキパキ作業を終えた子に声をかけると「家でも野菜とか、花とか、お母さんと色々植えているよ」との返事が返ってきました。普段、土をさわることのない子は、戸惑いながらも、愛護会のおじさんや引率の先生、友達の声がけで、無事植え付けを完了することができました。
思わぬ愛護会人気には、みなさん苦笑しつつ、とても嬉しそうでした。実際に、荏田猿田公園では絶賛会員募集中ですので、ご近所の方は火曜日の午前中に公園を覗いてみてください。今後は、月2回ではなく、毎週火曜日に活動を増やすそうですよ!
荏田猿田公園は、こうして地域の方が丁寧に手入れを重ねることで、人々の憩いの場所に育ってきたのですね。駅方面へ行く人の通り道にもなっていて、取材中もスーツを着たサラリーマンから主婦、学生まで様々な人が行き来していました。
斜面地だったり、エリアごとに趣が違うのも面白く、古代の記憶が息づいていると知ると想像力も刺激されて、さらに楽しい、無限に遊べる場所でした。子どもたちが作った花壇のその後も、ぜひ見に行ってみてください。
【基本情報】
団体名 | 荏田猿田公園愛護会 |
公園名 | 荏田猿田公園 (横浜市青葉区) |
面積 | 8,817 m2 |
(取材:梅原昭子(森ノオト))
*この記事は2018年6月に取材されたものを転載・再掲載しています。
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