2021/2/24

公園そうじで地域のオヤジがつながっていく

蟹ヶ谷往古滝公園(川崎市)

あちこちで活躍する公園ボランティアを紹介するコーナー「となりの公園愛護会」愛護会アンケートでいただいた、たくさんのコメントの中で私たちが「これは!」と思った団体にお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしています。第2弾は、こんな楽しい愛護会。

オヤジ飲み会!?

アンケートでこんなコメントをいただいていました。

公園清掃を通じて町内会の人々が顔見知りになり、普段なかなか顔を合わす事ができないパパ達が清掃後に『オヤジ飲み会』をするようになりました。小さな公園ですが、町内会のみんなで楽しく清掃できています。

これは公園そうじを通して知り合いが増えた好事例。子育て世代が楽しく活動するヒントがあるかも!ということで、お話を伺ってきました。

川崎市の高津区にある蟹ヶ谷往古滝公園(かにがやおうこだきこうえん)。坂や行き止まり道のある住宅地の中の、小さな公園です。こちらの公園のボランティアを行っているのは、町内会が母体の蟹ヶ谷往古滝公園愛護会。愛護会担当の河野さんはじめ、町内会長さん、愛護会を立ち上げた前会長さん、そしてオヤジ飲み会のメンバーやご家族の皆さんに、お話を伺いました。

基本的な活動は、春と秋、年に2回の町内会の公園大そうじ。町内の全世帯に声をかけ、子どもも一緒に家族で参加。コロナ前は大人だけで50人以上が参加する、町内会の親睦を兼ねた大イベントだったそうです(昨年はコロナ対策で各家庭から1名ずつ+時短で実施)。それ以外の時期は、気づいた人が気づいた時にゴミ拾いなどをするスタイル。

5年前に愛護会がスタートしたきっかけは?

「町内で顔見知りになったり交流をするきっかけにできたら、と町内会の役員で検討しました。昔からの小さな集落に、新しい家がどんどん建ち始めて、町内に新しく若い家族が増えてきた、そんなタイミングでした。」

もともと古い家が38世帯だけだった小さな町内会に、新しく家が建ち83世帯まで増えて、若い夫婦や子育て世代など新しい人の方が多くなってきたのが、ちょうど公園愛護会を立ち上げた5年前くらいで、町内に1つだけある小さな公園を交流の場にと考えたそうです。

草むしりやゴミ拾いも、町内の全員でやれば1時間ほどで終わります。終わった頃にはちょうどお昼、町内会でちょっとしたお弁当を用意して、きれいになった公園にシートを敷いて、みんなで食べたんだとか。ご近所さんと仲良くなれたらいいな、そんな思いで生まれた活動、愛が深いですね。

それから毎年、春と秋に町内の全世帯で公園の大そうじを行っているそうです。

オヤジ飲み会のきっかけは?

「公園そうじに来てみたら、思ったより若い人が多かったんです。子育てするにも、地域に顔見知りがいると安心だし、この先自分が年を取っても歩いて飲みに行ける仲間がほしいなと思って、声をかけました。」

SNSでゆるやかに繋がりませんか?と名刺を作って配ったという河野さん。そしたらすぐに反応してくれる人がいて、オヤジ飲み会が実現したそうです。

公園そうじでお弁当が配られたことも、ひとつの大きなヒントになったそうです。ただ作業をして終わったら帰るだけでなくて、来ている人と話すきっかけにもなったし、話をするともっと繋がりを深めたいという気持ちにもなります。

「反応してくれる人がいて、うれしかったです!」「自分から声をかけるタイプではありませんが、自分の住む地域で周りの人と仲良くなれたらいいなという思いはあります。だからすぐに賛同しました。」声をかける人、そこにすぐに反応する人、それぞれの行動が素敵です。

どんな変化がありましたか?

「友だちが増えました。長い時間をかけてゆるく繋がれる、近所の友だち。」

平日遅くまで仕事をしていると、住んでいる地域に繋がりも知り合いもできにくかったりするけど、この繋がりのおかげで楽しみが増えたそうです。台風や大雨の時にも、オヤジLINEグループで、近くの川の増水の状況や避難についての情報がやりとりされていたそう。ご近所さんならではの貴重なやりとりですね。

年に2回の公園そうじが、自然と定期的に会う機会となっていることも、とても良いというお話でした。またオヤジが中心であるものの、オヤジに限定せず、子どもたちが一緒にごはんを食べたり、参加できる人で楽しくやっているとのこと。町内で会話が増えたり、町内会活動にパパ達が積極的に参加してくれることは、ご家族の皆さんも、町内会の皆さんも大歓迎とのことで、とても良い雰囲気でした。

地域の活動に参加する楽しさ、喜びって何ですか?

「やっぱり友だちが増えること。そして、自分の暮らしている地域についての情報を深められること。また、こういうのって防犯上もいいですよね。」

「目標は餅つきですかね!」とおっしゃる河野さん。すると会長さんから「それなら、あの山の上の家に臼ならあるわよ」という情報なんかも飛び出してきました。ほかにも、あの場所には昔、本屋があったんだとか、こんな道具があって借りられるんじゃないかとか、いろいろな情報が発掘されていきます。住んでる場所の、こういう古い情報がいろいろ聞けるのがまた面白いんだそうです。

ご近所が顔見知りだと、子育てにも安心で、防犯の上でもとても効果的ですね。

これから地域の公園活動や、ご近所さんとの繋がりづくりのようなことを、やってみたいと思う人に何かメッセージはありますか?と聞いてみると、「やってみるといいですよ。でもきっかけがなかったら、まずここに来てもらえたら。」と笑顔で答えてくれたオヤジ飲み会の皆さんでした。

【基本情報】

団体名蟹ヶ谷往古滝公園愛護会
公園名蟹ヶ谷往古滝公園 (川崎市高津区)
面積217m2
基本的な活動日春と秋の年2回は大規模清掃、それ以外は気づいた人が気づいた時に
いつもの活動参加人数大規模清掃は全世帯が参加
会員数83世帯(約300人)
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、施設の破損連絡
設立時期2016年(平成28)
参加者イメージ子ども / 子育て世代 / その他大人
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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