2021/2/18

みんなで花に水やりできるジョウロ「愛のひとかけ」

井田杉山町公園(川崎市)

公園ボランティアを紹介するコーナー「となりの公園愛護会」はじめます!

愛護会アンケートでは、本当にたくさんの方に様々なコメントをいただきました。その中で私たちが「これは!」と思った団体にお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしようというコーナーです。

愛のひとかけ!?

アンケートでこんなコメントをいただいていました。

花だんへの水やりの任い手を増やすため、公園内にジョウロを常設したところ、親子で水やりをしてくれるようになったこと。「愛のひとかけ」と呼んでいます。

花だんの水やりは結構大変だという声も多かった中、「このアイデア、とってもいいね!」ということで、お話を伺いに行ったのでした。

川崎市中原区にある井田杉山町公園。駅から15分ほど歩いた住宅地の中の平坦で見通しの良い公園です。こちらの公園のボランティアを行っているのは、井田協友会という町内会。井田杉山町公園管理運営協議会として活動されています。会長の竹井さんご夫妻にお話を伺いました。

基本的には、毎月第1日曜、第3日曜に、子ども会と町内会が定期的にそれぞれ公園清掃を行っているほか、ご近所の有志の方が気づいた時に清掃されているとのこと。そして6月と10月の年に2回、市の緑化制度で花苗の提供を受けて花だんの活動をされています。お伺いした日も花だんにきれいな花がたくさん咲いていました。

ジョウロを設置しようとしたきっかけは?

「花を植えるときは、皆さんに声をかけて大勢で楽しくやっているのですが、日々の水やりは1-2人ではやはり大変で。公園にジョウロがあれば、やってくれる人も増えるかなということで、設置しました。」

フラワークラブという花のお世話をするサークルがあった頃もあるけれど、今は町内会で管理。特に夏場は毎日気にかけていないといけないから、本当に大変。係をつくって頼んだこともあったそうですが、「みんなの花を枯らしてはいけない」と、みなさん責任を感じてしまい、負担が大きいとのことで、継続が難しく断念。

公園にジョウロがあれば、空いた時間にやってもいいよ、という町内会の人の声もヒントになり、公園にジョウロを常設することにしたそうです。

愛のひとかけ、名付け親は?

ジョウロを設置した竹井さんご本人が名付け親でした。雪の富山を旅されたとき、みんなひとかきずつ雪かきをしていってねという「愛のひとかき」を見て、これだ!とピンと来て、こちらは「愛のひとかけ」とされたそうです。愛は、富山から川崎の公園のジョウロに広がっているのですね。

気をつけたことは?

「はずしやすいこと、戻しやすいこと、それくらいかな。」

ジョウロは公園内の、水道と花だんに近いフェンスに設置されたフックに、きれいに並んでかかっていました。「井田協友会」と名前の書かれた大小さまざまなジョウロを使って、遊びに来た子どもたちが、次々と花にお水をあげています。

そして、ジョウロの近くの掲示板には、手づくりのお知らせが。ひとつはジョウロの紹介で、もうひとつは最近の公園のニュース。2ヶ月に1回くらい更新されているそうです。読んでいるだけで、暖かい気持ちが伝わります。花植えのときも、ここのお知らせだけで、たくさんの人が集まって作業ができたそうです。

「このジョウロ、2年以上やってますが、行方不明になったのは1つだけ。壊されたりしたこともないし、結構みなさん大切に使ってくれているんですよ。」

そうおっしゃっている隣で、子どもたちが代わる代わる「愛のひとかけ」をしているのでした。公園の常連さんはもちろん、初めて公園に遊びに来たという親子も、楽しそうにジョウロで花にお水をあげていて、このシステムの偉大さを感じます。

愛のひとかけを始めて変化したことは?

「水やりに対する安心感ですね。みなさんやってくれるので、冬場は私たちがやらなくてもOKなくらいです。」

みんなが見てくれて、参加してくれているのは、心強いですね。それでも夏場はホースを出してきて水撒きをしているそうですが、ホースを持ってきて、出して、水やりして、しまって、の一連の作業はやはり大変。気軽に参加できるような、管理のしやすさは大事だとおっしゃっていました。

そのほかにも、集めた落ち葉でたい肥づくりをしたり、公園の周りのごみ収集所がカラスに荒らされないよう気を配ったり、ごみ収集のカゴが危険な遊び道具にならないように注意したり、はたまたFacebookで情報発信をしていたり、様々な工夫をしながら、日々活動されています。

自分から情報発信をしないと人は来ないからね。そうおっしゃっていたのが印象的でした。

【基本情報】

団体名井田杉山町公園管理運営協議会(井田協友会)
公園名井田杉山町公園 (川崎市中原区)
面積1,190m2
基本的な活動日毎月第1、第3日曜日
いつもの活動参加人数毎回 20人ずつくらい(町内会は8班に分かれて当番制で毎月実施)
会員数650世帯(約2000人)
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、花壇の管理、
植物の水やり、施設の破損連絡、利用者へのマナー喚起、地域のイベント、子ども向けイベント、遊びの見守り
設立時期1990年代(平成2-11)
参加者イメージ子ども / 子育て世代 / その他大人 
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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