各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は名古屋市昭和区で、緑道と公園を舞台に、タネから育てた花でまちを彩る活動を20年以上続けている「ゆめ緑道ごきそ」のみなさんをご紹介します。
タネから育てた花でまちを彩る「ゆめ緑道ごきそ」
名古屋市昭和区の川名公園(かわなこうえん)と、区内の主要な道路のひとつである山王通の歩行者・自転車専用の緑道「ごきそ緑道」が今回の舞台です。
花壇は緑道沿いに約30カ所。名古屋市営地下鉄 御器所駅のある御器所交差点から、JR中央線の線路まで、およそ1.5kmと広範囲にわたります。そこに植える花は、川名公園の圃場でタネから育てたもの。川名駅前にある川名公園は、防災公園にもなっている区内で人気の公園です。
「ゆめ緑道ごきそ」のみなさんは、名古屋市の緑のパートナーとして活動をされています。

「ゆめ緑道ごきそ」のみなさんの活動は、大きく2つ。ごきそ緑道の花壇やプランターのお手入れと、川名公園での花苗育成で、それぞれ活動日やメンバーを分けているとのこと。
まずは会長の岩田秀明さんにごきそ緑道の花壇をご案内いただきました。岩田さんは、活動全体の取りまとめをされているほか、御器所交差点の花壇を担当されています。後日、川名公園での花苗育て活動にもおじゃましました。

好きな時間に、好きな活動をする、花好きさんのまちづくり活動
川名公園で花苗をつくって、ごきそ緑道の花壇に植えるという「ゆめ緑道ごきそ」の活動は、2004年にスタート。環境カウンセラーの篠田陽作さんが火付け役となって、「きれいな花と緑があふれる歩道をつくることで、住みたくなるまちにしたい」と有志が集まり、20年以上続いているといいます。
会員はおよそ100名。個人会員と団体会員があり、個人はご近所の花好きの有志や民生委員のOBなど、団体は地域の女性会や高年大学卒業生の有志が集まる昭和鯱城会などのグループがいらっしゃるそうです。
主要メンバーによる毎月の役員会に加え、隔月で会報「ゆめ緑道ごきそだより」を発行し、活動内容や予定、交流会のお知らせなどの情報共有をされています。
会報づくりでは、事務局長の蟹江治恵さんもご活躍されています。蟹江さんは、活動誕生時からのメンバーで、20年以上会員を続けられているそう。

広範囲にわたる緑道花壇のお世話は担当制。活動時間も決まっておらず、好きな時間に一人でフラッと花壇に来て黙々と作業することが多いそうで、個人単位で活動するのが得意な方がよく参加されるとのこと。
花の水やりや花がら摘み、草取りなどの普段のお世話から、年2回の花の植替え時には、前の花を抜いて、土を掘り起こして堆肥を入れる土づくりを含む植替え作業を、それぞれの花壇で行っているそうです。毎日水やりが必要になる夏のこの時期も、朝や夕方にみなさんそれぞれのペースで水やりをされているそう。
メンバーのみなさんそれぞれが、自分の好きなスタイルで好きな活動に参加できるのも、多くの人が関わっている秘訣なのかもしれません。


周辺企業も水やりで協力
ゆめ緑道ごきその活動には、企業の協力もあるそうで、毎日の水やりで協力してくれる企業のお話も聞かせてくださいました。
たとえば、御器所交差点には4つ角に花壇がありますが、水を持ってくるのも、持ってきた水を持って交差点を渡るのも大変!ということで、それぞれの角にある企業や区役所の外の水栓を借りて水やりをしているとのこと。この企業の水やり協力は、スポンサー花壇活動として認定・登録されています。
御器所交差点の花壇は、このように企業との連携の場にもなっているほか、花苗は名古屋市みどりの協会からの提供、昭和土木事務所のサポートもあり、市民・企業・行政の協働の場にもなっています。

公園の圃場でタネから花苗を育てるグループ活動
緑道の花壇に咲く花々をタネから育てているのは、川名公園グループです。川名公園には「ゆめ緑道ごきそ」の活動場所としての圃場があり、皆さんはそこで花苗づくりをされています。花壇担当さんたちがリレーのようにそれぞれ活動するのとは逆に、川名公園での花苗づくりは、毎週木曜日の午前中にみんなで集まって作業をするので、誰かと一緒に活動するのが好きな方が多いそう。
木曜の活動日にお伺いして、リーダーの森康子さんと榎本千佳子さんをはじめ、みなさんにお話をお聞きしました。


春と秋に2000ポットの花苗を育てて、まちの花壇へ
川名公園の圃場では、ごきそ緑道の花壇に植えるための花苗をタネから育てています。種まきは春と秋の年2回、タネは昭和土木事務所から提供されています。毎回3000粒ものタネをまき、約2000ポットの花苗を育てているそうです。
育てる花の種類は毎月の役員会で話し合って決めるそう。タネから育てやすいもの、花壇に植えた後に強く長持ちするもの、希望の色合いなど、花壇担当さんの意見も交えて決められているとのことで、暑さに強いニチニチソウや千日紅、ジニア、マリーゴールドなどが、この夏の緑道を彩りました。
4月初旬に種をまき、5月の連休頃にポット上げをして、6月に花壇に植え込むといったスケジュールで今年の春も多くの花苗を送り出したみなさん。花苗ができると、岩田さんが取りに来られて緑道の花壇に配ってくださるんだとか。そのほか、川名公園の周辺の花壇にもプレゼントして、喜ばれているというお話も聞かせてくださいました。

川名公園の圃場にはいくつもの花壇があり、タネから育てた花々が元気に咲いていました。お伺いした日はちょうど朝から久しぶりの雨が降り、花たちもイキイキと潤っているようでした。
ごきそ緑道と同じタネから育てた花の花壇が5つと、そのほかにもこぼれ種から育てた花や宿根草など、たくさんの種類の花々があちこちの花壇で咲いています。また、育苗スペースのそばには2本の桑の木が気持ち良い木陰をつくり、みなさんのひと休み処になっていました。桑の木は、発芽に必要な日陰をつくるために植えられたそう。
駅に向かう通りに面しているため、多くの人がこの花壇に元気をもらっているようです。この日も、道ゆくお知り合いの方が何人も声をかけ会話をしていかれる姿が見られました。

タネから育てて増やす楽しみを地域にもおすそ分け
ここでは、緑道花壇に植える花のほかにも、さまざまな花を育てています。こぼれダネや、メンバーのみなさんが持ち寄ったタネ、公園などで咲いている花のタネから育てたものなど、タネから増やすことを楽しんでいらっしゃいます。
こうして増やした数々の植物は、ポット苗にして地域のイベント(八事の森の春まつり・秋の昭和区民まつり)で無料配布するそうです。ゆめ緑道ごきその花苗コーナーは、毎回大勢の人が並ぶ名物コーナーになっていて、すぐになくなってしまうほど人気があるんだとか。

敷地内にあるヒマワリやケイトウの仲間のセロシアなどの花はもちろん、秋の七草のオミナエシや夏に鮮やかなピンクの花をつけるサルスベリ、ハイビスカスの仲間のローゼル、白とピンクの2種類のワタ、秋の紅葉が美しいコキアなど、すべてメンバーのみなさんがタネから育てたものだそう!
「タネはすごいと思う。小さなタネから大きく育つからね」と笑顔で話してくださった森さん。「ほら、こうやってタネを採っておくの」とマメのような実をつけてるハナズオウからタネを採って見せてくださいました。あちこちでタネを見つけては採っておくのが趣味だそうで、タネの世界に魅了され、日々の楽しみが広がっているようです。


9月からはパンジーやビオラなど、冬の花苗の種まきが始まります。タネをまき、発芽させ、ポット上げをして、花壇に植えられるまで、毎日のお世話は欠かせません。わが子のように大切に育てて送り出すような緊張感と喜びが毎回あるようです。ここで生まれた花が各地の花壇で育ち、まちに彩りを添えています。
ゆめ緑道ごきその活動のこだわりをお聞きすると「会員が活動を通して笑顔になることと、昭和区に花をいっぱい咲かせることですね。その順番が大事です」と話してくださった会長の岩田さん。
公園と緑道を舞台に、タネから育まれた花と笑顔の輪が、このまちを彩り続けています。

【基本情報】
団体名 | ゆめ緑道ごきそ |
活動場所 | 山王通、川名公園(名古屋市昭和区) |
基本的な活動日 | 川名公園での花づくりグループは毎週木曜、花壇管理はそれぞれのペースで |
活動内容 | 花壇の管理、花苗の育成、種まき、水やり、移植、植物の管理、地域のイベント出店 |
設立時期 | 2004年 |
主な参加者 | 地域の有志メンバー、花好きのご近所さん、企業など |
活動に参加したい場合は | 昭和区役所区政部地域力推進課地域の魅力の向上・発信担当へお問い合わせください |