2025/6/2

女性部と老人会が公園愛護会として交互に活動、子どもたちに人気の小さな公園

森小路南公園(大阪市)

大阪公立大学の学生が、大阪市の公園愛護会の皆さんの活動を紹介する「大阪となりの公園愛護会」。公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する学生の視点で、公園ボランティア活動を紹介します。

今回は、大阪市旭区で40年以上の長きにわたり地域のみなさんで公園美化活動に励んでいらっしゃる森小路南公園(もりしょうじみなみこうえん)愛護会。大学院を卒業した社会人レポーター中元菫さんがお届けします。

住宅地の中にある森小路南公園

大阪市旭区にある森小路南公園。大阪メトロ 千林大宮駅からは歩いて5分ほどのところにあり、古い商店が並んでいた名残がある住宅地の一角にある公園です。「大阪三大商店街」の一つと言われ100年以上の歴史を持つ千林商店街もすぐ近くにあり、公園を囲む道路の交通量も多いです。

公園を訪れると、角に植えられているハナミズキの白い花が満開になっていて、とてもきれいでした。

(森小路南公園。遊具が並び、気軽に来られる規模感の公園です)
(大阪市の公園名物・鳩時計と並ぶハナミズキが満開でした!)

みんなで和気あいあいと掃除!

森小路南公園愛護会は、町内会の老人会・女性部の皆さんが中心となって活動しています。月2回の活動は、第1日曜日が老人会で、第3日曜日が女性部で、ごみ拾いや落ち葉かき、草抜きなどを行っています。

この日は女性部の活動日に伺いました。集まったメンバーは6名、活動が始まると皆さんほうきやちりとりを手に、手分けして掃除を始めます。

(まずは仲良く一緒にごみを掻き出していきます)
(公園の外周まで丁寧にほうきで掃きます)

皆さん2人1組になったり1人になったりしながら、手際よくごみや落ち葉を掃き、公園外周の側溝の掃除もします。1人がくまでを使って掃きながらもう1人がちりとりを持ってきたり、1人が雑草を抜きながらもう1人がちりとりを手に抜いた雑草や他のごみを集めて回ったりと、さすが皆さん連携がとれています。

途中で「足が痛いけど来ている」、「この植物の名前なんやろうね」といったように、自分の体調や公園に生えている植物など世間話が弾みます。皆さん和気あいあいとした雰囲気で掃除されていたのが印象的でした。

(1人が抜いた雑草を、もう1人がちりとりに入れていく手際の良さ!)
(植物の話をしながらだと掃除も楽しくなりますね)

この日はもう4月の下旬ということもあり、早くも雑草が茂ってきていたため、最後にはメンバー総出で素手で雑草を抜いていました。最後の草抜きだけでもごみ袋いっぱいになりかかっていましたが、これでもまだまだマシな方だそうで、夏場はやはり雑草が多いのが悩みの種なのだとか。

(最後は総出で雑草に挑みます…!)

本日活躍した女性部の皆さん

活動後、メンバーの方たちに森小路南公園やここでの愛護会活動についてお話をお聞きしました。今回のメンバーは、興津恭子さん、前野恵美子さん、徳永峯子さん、田中博子さん、吉尾佳枝さん、樽井美智子さんです。

(女性部の皆さん。左から順に前野さん、興津さん、樽井さん、田中さん、吉尾さん、徳永さん)

この森小路南公園愛護会の活動は、今は老人会と女性部の2グループで構成されていますが、元々は1つの町内会の活動として始まり、40年以上の歴史があるのだとか。

女性部の皆さんが活動を始められたきっかけは、町内会の子ども会で活動に参加したこと。子ども会が解散になった後も婦人会に入って活動を続けられていましたが、数年前にいよいよ婦人会も解散。町内会とは別で「女性部」を立ち上げて今も7名ほどで活動されているそうです。

なお、老人会は5~6名おられるそうで、こちらは今も町内会の中に位置づいています。メンバーの年齢は最年少でも70代で、平均すると80歳を超えるのだとか!メンバーの高齢化はどの愛護会でもよく課題として挙げられていますが、80歳を超えてもここまでみんなで元気に活動されていることには驚きです。

とはいえ、活動に参加するきっかけとなっていた町内会も最近では若者が入会することもなくなり、町内会も愛護会も活動が継続できなくなりそうなことが課題となっているそうです。

また、緑が多いことは良いことでもあるのですが悩みの1つでもあり、公園内と外周に植えられているヤブランが生い茂りすぎてしまい、間引いたり葉先を剪定したりとお手入れするのが大変なのだとか。初夏から夏ごろには青紫色のきれいな花を咲かせるのですが、近年暖かくなった影響なのか、今すでにもりもりと元気に茂っています。

(ヤブランがもりもり元気です!)

にぎわいはみんなに愛されている証

そんな森小路南公園ですが、地域では子どもたちを中心に愛されています。

普段から近くに住む小学生や子ども連れの方、保育所から子どもを連れてみんな遊びに来るそうです。また9月の初めには、公園の東側にある森小路商店街のお祭り「森小路商店街祭り」のメイン会場にもなっていて、地域の小学生たちが子ども店長になり、公園内で食べ物やスーパーボールすくいなどの屋台を出すそうです。

子どもたちがたくさん遊ぶぶん悩みもあるそうで、フェンスに登ったり、かくれんぼで茂みの裏に隠れたりするので、けがをしないか心配だとおっしゃっていました。それだけ地域の大人の目があるということは頼もしいことでもありますね。

変わっていく公園、変わらずこれからも大切に

今、森小路南公園の中央には複合遊具があり、違う形の2種類の滑り台とうんていがくっついた形になっていますが、これは15年以上前に新しく更新されたのだそうです。他にも、小さい子どもでも遊びやすいブランコや、ご高齢の方がストレッチや筋トレをするのに使える健康遊具も設置されています。昔は近所の人たちが酒盛りをしていたという藤棚も今は撤去され、丸太の形をしたスツールが置かれました。

(新しくてきれいな遊具たち。複合遊具で遊ぶのもブランコで遊ぶのも楽しそうです)
(ストレッチや筋トレができる健康遊具も充実しています)

森小路南公園に対する地域の人たちのあり方も年を経るごとに変わっています。

かつて、ハトにエサやりをする人がいたため、隣にある古市会館の屋根の上にたくさんのハトが止まり、フンに悩んでいたそうですが、今ではハトの群れも去りました。

先ほど書いたメンバーの高齢化は森小路南公園愛護会でも進んできており、植物への水まきもホースが重いため最近は行わず、夏場の活動も大変なため町会長さんと相談して、去年から熱中症予防で8月の活動は休むことにしたそうです。

近くにある公園では高齢化のため、数年前に愛護会が解散になったとのことで、訪れてみるとやはり砂場やすべり台の周辺にも雑草が目立ってきていました。

そんな中、森小路南公園では活動内容や夏場のお休みを設けるなど柔軟に対応しながら、根気強く愛護会活動を続け(それも月2回も!)、きれいな状態を維持しています。やはり、こまめな掃除をするのとしないのでは、こんなに違いが出るのですね!

また、愛護会メンバーではない近所の方も月2回ほど草抜きに来てくださっているそうで、活動の支えになっています。

小さな公園ですが、これからも地域の人たちに大切にされると嬉しいものです。

(丁寧に雑草を抜くと隅々までこんなにピカピカに!)
(ふんわりマフラーを巻かれたお地蔵さんと誰かが忘れたボールに、どこか愛着を感じます…)

【基本情報】

団体名森小路南公園愛護会
公園名森小路南公園 (大阪市旭区)
面積491 m2
基本的な活動日毎月第1日曜(老人会)・第3日曜(女性部)
活動内容ごみ拾い・ 除草 ・ 落ち葉かき・花壇の管理 ・ 植物の水やり
設立時期40年以上前(町内会が設立したあたり)
主な参加者町内会の有志、老人会、婦人会
活動に参加したい場合は?町内会にお声がけください
取材・執筆
取材・執筆
中元 菫

学生の時に公園愛護会の存在を知り、レポーター活動を始めたことをきっかけに公園を見る目が変わりました。レポーター活動を通じて、愛護会の皆さんと肩を並べて同じ目線に立っているような感覚になれて嬉しいです。活動レポートが読んだ人の楽しみや励み、新たな気づきになればと思います。大阪公立大学大学院 緑地計画学研究室卒。現在はとある市の職員として、公園や街の緑を守っています。

学生の時に公園愛護会の存在を知り、レポーター活動を始めたことをきっかけに公園を見る目が変わりました。レポーター活動を通じて、愛護会の皆さんと肩を並べて同じ目線に立っているような感覚になれて嬉しいです。活動レポートが読んだ人の楽しみや励み、新たな気づきになればと思います。大阪公立大学大学院 緑地計画学研究室卒。現在はとある市の職員として、公園や街の緑を守っています。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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