2026/3/12

宿根草ガーデンの先駆者!ベテランたちが育む「花の小径」

代々木公園(東京都)

公益財団法人 東京都公園協会「2025 年度公益事業推進課 ボランティア活動レポート作成業務委託」として、一般社団法人みんなの公園愛護会が取材・執筆を行った記事です。

面積も広く、利用する人も多い都立公園。活動している公園ボランティアの方々の活動テーマも多彩。まさに「推しの公園」活動として行われている公園ボランティアのあり方を知っていただければと思います。


都会のオアシス、代々木公園。その一角にある「花の小径(こみち)」で、20年以上にわたって活動を続けているのが「代々木公園ガーデニングクラブ」です。近年注目されている宿根草中心のナチュラリスティックガーデンの先駆者でもあります。多くの人を惹きつけ、長く活動が続く秘訣はどこにあるのでしょうか。秋晴れの気持ちのいい日、活動中のみなさんにお話を伺いました。

継続の秘訣は「ゆるやかな」関係性

クラブの設立は2002年。当時「花の小径」に整備された46カ所の花壇の維持管理を、ガーデニング講座で出会った方々が担ったのが始まりでした。

それから20年余り。現在は10カ所の花壇で活動をしています。LINE登録メンバー25名で手入れを続けています。活動日には10人ほどが集まります。

(ホワイト花壇と名付けられた花壇。白い花が咲く植物で構成しているそうです)

活動が長く続いている理由を尋ねると、誰もが「ゆるいから」「自由なところがいい」と笑顔で答えてくれます。

このクラブは、毎回、朝集まった時に「あそこの土が乾いているな」「この花は植え替え時期かな」「宿根草の切り戻しをしよう」などと気づいたことを相談して、その日の作業を決めて一緒に進めていきます。

「義務でもないし、当番や上下の関係もない。毎回の出欠確認もないから、来られる時に無理なく参加できるんです」と、あるメンバーは話します。

活動の最後には、小屋の前で「お茶タイム」。コーヒーや手作りのお菓子を片手に交わされるおしゃべりが、作業後の楽しみ。この自由でフラットな関係性こそが、クラブの心地よい雰囲気を作り出しているようです。

参加しているボランティアのみなさんは他の公園ボランティアなどでも活躍するベテランであり、それぞれの分野のプロフェッショナルでもあります。だからこそ、お互いのスキルや知識への信頼があるため、自由なスタイルが向いているのかもしれません。

(活動の後のお茶タイム。木漏れ日の中、持ち寄ったお菓子を味わいながら語り合う大切な時間です)

近隣の方もいらっしゃいますが、電車に乗って代々木公園のガーデニングクラブに通い、そこでできる活動を楽しみに集まっている方が多いことも印象的。それぞれの場所で得た知識や技術を生かして、ここ「花の小径」で試してみることもあるのだとか。

「昔はパンジーなどの一年草が中心だったけど、だんだんと宿根草が増えてきたわね」

「ここは、みんなのノウハウを活かせる場みたいなもの。楽しみながらやっています」

「みんなで集まって、花壇で作業をしている中で、次のイメージややりたいことがでてきて、話し合いながらやっています」

こうして花壇は年々彩りを増していきます。花壇ごとにコンセプトを決めて、名前を付けているのも素敵です。お互いに教え合い、学び合いながら、花壇もメンバーも一緒に成長してきました。

(南国花壇と名付けた南の植物を集めて育てている花壇。一番日当たりのいい花壇)

やりがいは、来園者の笑顔と「ありがとう」

「花の小径は公園の端っこにあって、昔は工事の廃材が置かれているような場所だったんです」と設立当初からのメンバーは振り返ります。土壌改良から始め、20年かけて育ててきた花壇です。

今では、多くの人が足を止め、季節の花々を写真に収めていきます。公園を散歩する人から「いつもきれいにしてくれてありがとう」と声をかけられることもあるそうです。

「来園者の方に喜んでもらえるのが、やっぱり一番の励みになりますね。学生さんが『参加させてください』と来てくれるのも嬉しいですし、小さな子どもたちとの交流も活動の原動力になっています。」

この日も公園を散策する男性が咲いている花に気が付き、立ち止まり写真に収めていました。「この花を育ててくれている人たちなんですか! いつもきれいで写真撮ってます!」と喜んでいらっしゃいました。舗装されていない花の小径は、気持ちのいいコースでなのだそうです。

(咲いている花に気が付き、立ち止まり写真を撮影する人も)

助成金や企業との連携の工夫も

代々木公園ガーデニングクラブでは、東京都公園協会の助成金を活用して球根や花苗を購入しています。また代々木公園近くにある球根輸入会社から、球根をいただくこともあります。

他にも、毎年国際アースデイに合わせて、TimberlandやVANSなどのブランドを扱うVFジャパン株式会社の従業員30人強のボランティア参加の受け入れにも協力しています。

「パワーと人手が必要な掘り返しなど、私たちではできない作業をやってもらえるので助かる!」と両者にとってよい機会になっているようです。

(2024年アースデイの取組としてVFジャパン社員の方が活動に参加したときの様子 ※写真提供 代々木公園ガーデニングクラブ)

公園と共に、これからも

楽しい活動の一方で、課題もあります。現在進行中の代々木公園の改修工事により撤去を伝えらえた花壇もありました。

「20年余り育ててきた土や植物を、どうにかして移植したい」と掛け合い、土を掘り上げてもらったり、植物は、自分たちで他の花壇へ移植することもできたそうです。

(撤去された花壇から救出してきた土たち。長年育ててきた土も大切な資産)

代々木公園サービスセンターの河原さんにお話を伺いました。

「代々木公園ガーデニングクラブのみなさんは自立されていて、いつも前向きに解決策を考えてくださいます。公園の歴史やこれまでの経緯を話していただけるので大変勉強になります。また、地域の中学校の職業体験プログラムとして、代々木公園ガーデニングクラブのみなさんと協力し、ボランティア体験の場を提供しました。中学生が公園ボランティアを通じて、世代間交流や社会貢献を経験してくれたことを、私自身もとても嬉しく感じています。」と話していました。

経験豊富なみなさんだからこそ自発的に、主体的に、お互いのリスペクトと信頼感を大切にする。そして、何よりも「楽しむ」ことを大切にする。代々木公園ガーデニングクラブの「ゆるやかな」活動スタイルは、これからの公園ボランティアのあり方の一つのヒントになるのかもしれません。

■取材後記

他の公園やグリーン関連のベテランたちが集まっているだけあって、お互いの知識や経験を活かしてこだわりの花壇を作っているのが印象的でした。市民のスキルが活かされ、それで来園者が喜んで写真を撮っている風景は、「文化的な豊かさ」を実感できる瞬間でした。(跡部)

代々木公園のホームレス対策として整備された「花の小径」は園内の端の木立の中。花と緑のプロフェッショナルなメンバーが経験や技術を持ち寄って、楽しみながら続けている活動は、豊かな景色をつくっています。「私たちは20年かけて土を育ててきた」という言葉が印象的でした。(椛田)

団体情報

公園名代々木公園
団体名代々木公園ガーデニングクラブ
設立2002年
活動内容「花の小径」の花壇管理と手入れ
活動日毎月第2水曜日と翌々週の木曜日10:00~
メンバー数約20名(うち、毎回参加は約6〜10名)
ボランティア活動に参加するには?活動日に代々木公園花の小径に来ていただくか、もしくは代々木公園サービスセンターにご連絡ください
助成金情報公益財団法人 東京都公園協会では「都立公園事業に参加協力する都民への助成金」を設けています。詳しくは以下のリンクをご確認ください
https://www.tokyo-park.or.jp/public/volunteer/about/
取材・執筆
取材・執筆
跡部 徹 理事

自宅は公園の前。住民運動でできた公園のため「自分たちの公園感」が強く、お世話しながら遊び尽くす喜びに目覚めた一人。公園にはまだまだ伸び代がある!株式会社空気読み代表・メディアコンセプター(事業戦略から媒体制作・運用まで。リクルートでメディアプロデューサー、編集長、事業開発を経て独立)/手書き地図推進委員会(2020年GOOD DESIGN賞受賞)/一卵性双生男児の父/著書:「空気読み」企画術/前に進む力/顧客に愛される会社のソーシャル戦略/手書き地図のつくり方、等。仙台市生まれ、東京在住。

自宅は公園の前。住民運動でできた公園のため「自分たちの公園感」が強く、お世話しながら遊び尽くす喜びに目覚めた一人。公園にはまだまだ伸び代がある!株式会社空気読み代表・メディアコンセプター(事業戦略から媒体制作・運用まで。リクルートでメディアプロデューサー、編集長、事業開発を経て独立)/手書き地図推進委員会(2020年GOOD DESIGN賞受賞)/一卵性双生男児の父/著書:「空気読み」企画術/前に進む力/顧客に愛される会社のソーシャル戦略/手書き地図のつくり方、等。仙台市生まれ、東京在住。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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