2026/3/9

街の公園が“資源循環”の拠点に!コンポストが繋ぐ地域の暮らし

こすぎ公園(川崎市)

各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、まちの中の公園のコンポストを使って地域の生ごみの資源化と循環づくりを実践している、こちらのみなさんです!コンポストと花壇のお手入れをする3月の活動日にお伺いしました。

再開発で変化し続ける武蔵小杉エリアにできた公園

川崎市中原区にある「こすぎ公園」。JRや東急の武蔵小杉駅から歩いて10分ほど、学校や商業施設・住宅が立ち並ぶ街の中にある街区公園です。おとなりに移転した日本医科大学の跡地に、小学校と一体的に整備された公園の周辺では、今もタワーマンションや日本医科大学病院が建設の真っ只中、まさに再開発で変化し続ける地域の中にある公園です。

こちらで活動するのは、こすぎこんぽすと部のみなさんです。コアメンバーの村上美紀さん、手塚千里さん、中川敦子さんをはじめ、活動に参加中のみなさんにお話を伺いました。

(左から会計の中川さん、部長の村上さん、副部長の手塚さん、オリジナルTシャツがかわいいですね)

こすぎ公園では、地元の町内会で構成される管理運営協議会が清掃活動などをしていますが、こんぽすと部のみなさんは、こすぎ公園管理運営協議会の一員として、公園コンポストの管理運営と花壇のお手入れ活動をされています。

地域での資源循環を目指して。3人の出会いから始まった「こすぎこんぽすと部」

3人の出会いは、生ごみの減量化や資源化に取り組む川崎市が、2021(令和3)年度に企業との共同プロジェクトで実施したフードサイクルプログラム「eco-wa-ring Kawasaki(エコワリング川崎)」だったといいます。

環境省の食品ロス削減・リサイクル推進モデル事業として行われたこの取り組みは、武蔵小杉東急スクエアの屋上につくられた菜園に、家庭のコンポストでつくった堆肥を持ち寄って、食の循環を地域みんなで体験するという単年度の実験的なものでしたが、ここで出会い意気投合した3人は、暮らしの中で出る生ごみを資源に変えて地域で循環させるべく、2022年こすぎこんぽすと部を立ち上げました。

川崎市の市民団体として、地元のイベントへのブース出店やコンポスト講座を開催しながら、LINEグループでの情報発信やつながりづくりを続けてきたというみなさん。

「公園で、できたらいいな!」を応援する市の公園活動サポート窓口を通して、公園花壇の担い手不足の課題を持っていたこすぎ公園と、堆肥を活用して花壇づくりがしたいこんぽすと部の想いがつながり、循環型花壇の管理モデルとしての活動がスタートしました。(LINEで気軽に問い合わせができるという「公園活動サポート窓口」については、また改めて取材したいと思います!)

誰でも参加できるコミュニティガーデン活動として、昨年6月のイドバタパークデイ花植え体験イベントを皮切りに、毎月花壇のお手入れやコンポスト相談会を開催しています。住民参加型のイベントとして、花植えやコンポストのミニ講座も開催。公園に遊びにきた子どもたちや親子で毎回賑わっているそう。

そして8月には公園に堆肥箱が試行設置されました!

(花壇の花植え体験イベントやコンポスト講座、堆肥箱づくりの様子:写真提供 川崎市・こすぎこんぽすと部)

家庭で熟成した生ごみ堆肥を集めて使う「コミュニティコンポスト」

こすぎ公園の循環型花壇は、家庭の生ごみを自宅のコンポストで堆肥化したものを集めて、公園の堆肥箱(コミュニティコンポストと呼んでいました)で2次熟成し、花壇に入れて花を育てるというもの。

勝手にごみなどを入れられないよう堆肥箱のフタは施錠されていて、活動のある日のみ開かれます。家庭のコンポストで既に堆肥化したものを持ち寄っているので、生ごみの嫌な臭いは一切しません。

公園の景色や緑に馴染みながら、温かみのある堆肥箱は、防腐塗装が施され、しっかり地面に固定されています。なんと中川さんの旦那さんがDIYで仕上げたそう!前の板は1枚ずつ取り外し可能で、中の様子を覗ける小窓がついているなど、工夫が光ります。

この活動は、川崎市環境局の生ごみリサイクル活動を行う市民団体への助成金の対象にもなっています。

(こすぎ公園のコミュニティコンポスト:みんなで育てていくための工夫がたくさん)

地域みんなで育てるコンポストと花壇づくりの工夫

毎月の活動日は、コンポストや花壇のお手入れのほか、家庭でつくった堆肥の受け入れとコンポスト相談会も行われています。自宅のコンポストの種類や、持ち込む量の指定はなく、誰でも大歓迎。この日も、活動中にご自宅でつくった生ごみ堆肥を持ち込むご近所さんの姿がみられました。

普段カギがかかっている箱のフタが開くと、子どもたちが興味津々で集まってきます。フタを開けて見てみると、森の土のような香りがしました。「カブトムシの匂いがする〜!という子もいますよ」と笑顔で話してくださった村上さん。

この日は、コンポストの中の堆肥の切り返しや、持ち寄られた堆肥の受け入れ、発酵を促すために米ぬかを入れて混ぜたり、中に入ってみんなで踏み踏みしたり、といったお手入れが楽しく行われました。

時々まだ分解されていないチキンの骨なども混ざっていて、「ホネだ〜!」と盛り上がる子どもたちに、「ホネも土の栄養になるんだよ」と優しく答える大人たち。好奇心や会話から、体験を通して自然に学びが深まっていく、そんな時間が生まれています。

(持ち込んだ家庭の生ごみ堆肥をコミュニティコンポストに投入!)

公園の入口を彩る花壇は、6区画に分かれていて、近隣の保育園など6つの団体が花植えをして、みんなでお世話をしています。この日は、参加者のみなさんで、花がらつみと花のまわりに堆肥をあげるお手入れ作業が行われました。春と秋の植え替えの前には、コンポストの堆肥を土に混ぜ込む作業もみんなでするそうです。

(こちらは花がらつみの作業中。花のまわりに堆肥をあげて、摘んだ花がらはコンポストへ)

活動を知ってもらい、参加してもらうことが循環づくりの一歩

まだまだ試験的な取り組みなので、まずは地域の人々に活動を知ってもらい、楽しく関わってもらうことを大切にされているみなさん。たまたま公園に遊びにきて活動に興味を持った親子にも「やってみる?」と優しく声をかけていました。

堆肥箱につけられた小さな窓も、お知らせの貼り紙も、この箱がなんのためにあり、中はどうなっているのか?を、公園で遊ぶ子どもたちや地域の大人たちと共有し、みんなで一緒に育てていきたいという思いから。

普段土に触れる機会はほとんどないという大学生さんも「楽しくて癒されました」と笑顔。よく公園に遊びにきているという親子も、コンポストが開いているところを初めて見て興味津々。中を覗いてかき混ぜたり、花壇のお手入れに挑戦したり、すっかりハマっているようでした。

(みんなで踏み踏みすることで、発酵を促進!ふかふかの感触も楽しい)

また、この日は駅前のコーヒーショップの店長さんとスタッフさんも参加されていて、産業廃棄物となってしまうコーヒー抽出後の“コーヒーかす”を、コンポストに入れることで、資源として循環させながら、地域とのつながりを作れないか?という素敵な相談も。なんだか良いことが始まりそうな予感です。

初参加の人や家庭でつくった生ごみ堆肥を持ってきた人とも、さりげなく会話を重ねて、活動の輪が自然に広がっていく姿がとても印象的でした。仲間は着実に増えているようです。

こすぎこんぽすと部では、Instagramで毎月の活動のお知らせなどの情報発信もしています。

(コンポストの横に新しい手づくり紹介看板がつけられました!知ってもらうための工夫がここにも)

行政は心強いパートナー。現場担当者と二人三脚で進む“超特急”の活動展開

地域の資源循環の拠点となる公園のコミュニティコンポスト。この取り組みが実現できているのは、市職員との連携があってこそです。この日も中原区の道路公園センター 協働利活用推進担当の久保さんが、活動を支えていらっしゃいました。

これまでこすぎ公園で行われてきた花壇づくりやコンポスト講座などのイベントや、ここでつくられた堆肥で育った花の元気さ、住民参加の脱炭素や協働の経過など、たくさんの資料とともに教えてくださった久保さん。

こんぽすと部の取り組みが継続し、しっかり定着していけるようにと、地元町会主体のこすぎ公園の管理運営協議会との連携やコミュニケーション、堆肥箱の公園への設置や運用の手続きの整理、活動を周知するための看板の設置など、明るく心強いサポートが活動を支えています。

さらに、川崎フロンターレのスタジアムへ歩く人たちにも行きと帰りに活動を知ってもらえるよう追加で新しい看板をつけるという話や、コミュニティコンポストの増設など、豊富なアイデアと行動力で活動は超特急に広がっています。

(活動日や内容など、タイムリーな情報を差し込める看板、ナイスアイデアです)

生ごみは資源、多くの人が暮らす街だからこそ資源循環をつくりたい

「家庭から出る生ごみは90%以上が水分。これを、エネルギーを使ってトラックで運んで燃やすのではなく、堆肥化して栄養として土に還す循環づくりをしたいんです」と話してくださったみなさん。

これは多くの人が暮らす都市部だからこそ取り組んでいきたい課題だといいます。生ごみをそれぞれの家庭で堆肥化して、それを集めて、まちの緑を豊かにするという循環ができたら。一人一人の小さな取り組みも、多くの人の暮らす街では大きな積み重ねとなります。

子どもたちのふるさとづくりに。そして、資源循環を考えることは、子どもはもちろん大人にとっても学びの機会になります。家族や親子で参加することで、暮らしの中に楽しく取り入れていくこともできそうです。

「たとえば、この町内では、生ごみは資源として循環しています!という地域があったら、すごくないですか?そんな地域の循環づくりをここからしていきたいというのが大きなゴールです」と熱く夢を語ってくださいました。

ごみを減らし、環境にやさしくありたい、と誰もが願っているものの、具体的なアクションに結びつきにくい現代の暮らしの中で、まちの中の身近な公園で循環づくりに触れ、関わるきっかけがあることは、素晴らしいことです。こすぎこんぽすと部のみなさんの情熱に刺激を受けて、私も少しお休みしていた自宅のコンポストを再開させました。

(堆肥箱の中は森の香りがしました)
(花壇では地域の子どもたちが植えた花が元気に育っていました)

【基本情報】

団体名こすぎこんぽすと部(こすぎ公園管理運営協議会)
公園名こすぎ公園(川崎市中原区)
面積3,105 m2
基本的な活動日毎月第1日曜 10:00-12:00
いつもの活動参加人数5-15人くらい
会の会員数18人(大人・子ども)
活動内容コミュニティコンポストの管理、花壇の管理、植物の水やり、施設の破損連絡、利用者のマナー喚起、活動のPR、地域のイベント、他団体と連携したイベント
設立時期2022年7月
主な参加者ご近所のみなさん、資源循環に関心のあるみなさん、子ども、子育て世代
活動に参加したい場合は活動日に直接公園にどうぞ!Instagramもチェック!

取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフトしたのち、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフトしたのち、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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