2022/4/14

愛護会結成3年、桜を囲んでみんなが集まる愛される公園に

平和町第二公園(茅ヶ崎市)

あちこちの公園ボランティア活動を紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。今回は、地域の人に愛される大きな桜の木を中心に、ささやかな癒しの空間をつくっている、こんな公園愛護会。

桜の木とベンチのある小さな公園

公園ボランティア実態調査アンケートでこんなコメントをいただいていました。

小さな公園ですが大きな桜の木が1本あります。市にベンチを設置してもらい、保育園の子が遊んだり、高齢の方が休んだりします。それを見るだけでうれしくなります。気持ちのいい公園を維持したいと思います。

ちょうど桜の花の舞う4月の活動日に、お話をお伺いしました。

(活動中をお知らせする手づくりの看板)

茅ヶ崎市にある平和町第二公園(へいわちょうだいにこうえん)。1970年代に開発された静かな住宅地の中でも少し入った所にある、小さな公園です。広場と低木とベンチという、シンプルでどこかノスタルジックな雰囲気の園内では、満開を過ぎてハラハラと花びらを散らす大きな桜の木が存在感を放っています。

こちらの公園でボランティア活動をしているのは、平和町第二公園愛護会の皆さんです。藤戸智さん恭子さんご夫妻をはじめ、皆さんにお話をお聞きしました。

(園内は桜のじゅうたん。ハラハラ舞い散りながら、落ちても楽しませてくれる桜)

桜の木があるから、そこに集まるしあわせ

「この桜、とても立派でしょ。今年もよく咲いて、みんなを楽しませてくれました。」と話してくださった皆さん。大きな桜の木の下のベンチで、ひと休みしたり、おしゃべりをしたり。小さな子どもたちはもちろん、小中学生や、ご近所の方々が、桜の時期には自然にここに来て、思い思いの時間を過ごしているようです。

以前は草や木が多く茂る公園だったそうです。市役所主導の年2回の業者除草では追い付かず、草が伸びて子どもたちが遊びにくくなってしまうことも。見通しが悪く、少し暗い雰囲気だったこの公園に、自治会長さんの呼びかけで公園愛護会ができたのが2019年。

公園愛護会のメンバーは、「公園をきれいにしませんか?」という呼びかけで集まった、ご近所の有志の皆さん。まずは市役所と相談しながら、園内の見通しを良くするために、高くなっていた木の剪定や、愛護会倉庫の設置、砂場の砂の入れ替え、ベンチの設置などをしてもらったそうです。

毎月の活動は、主にゴミ拾いと草刈り。そして花を増やすこと。枝が密になった木の中にゴミを捨てる人がいたので、剪定で枝を減らして見通しを良くしたり、こまめに草を刈ったり。花を増やそうと、公園の隅に花壇を作ったり。見えない場所を減らしていったことで、活動を始めた当初よりもゴミが減ってきたとのこと。

(花壇では、チドリソウが元気に芽を出していました)

清掃や除草など、毎月の活動で公園が良い状態であり続けるだけでなく、公園愛護会の皆さんが公園に頻繁に目を向けて、より良い場所にしようと思う気持ちが、長期的な視点での管理や整備に繋がっていることを感じずにはいられません。

今では、近くの保育園の子どもたちが遊びに来るようになったり、親子で遊びに来る人たちも増えたそうです。桜の木の下で記念写真を撮る人や、シートを敷いて桜を愛でながらお弁当を広げる人、走り回る子どもたちも。お話を伺うだけで、それぞれの景色が目に浮かぶようです。

「桜の木があるから。ここに集まって、というのがみんなの楽しみ。しあわせよね。いろんな人が公園を使ってくれることが嬉しいです。」と話してくださった皆さん。犬の散歩コースにしている人も多いとのことで、お話をお聞きしている間にも、何組もの犬連れの方が散歩に訪れていました。

(昔誰かが植えてくれたというスイセンもお手入れ)

YouTubeで草刈り研究

お伺いした日は、草が伸びてきたので今年初の草刈りが行われていました。市から借り受けているガソリンで動く刈払機を使っての作業です。狭い公園での作業になるので、安全のため先に藤戸さんが機械で刈ったあとに、皆さんが集合して草を集めて袋詰めするという段取りになっているとのこと。

慣れた手つきで作業される藤戸さんですが、刈払機の使い方はYouTubeで見て覚えたんだとか!草刈りは春夏の時期は毎月の定番活動。やりながら、日々研究されているようです。

(ガソリンを満タンにして刈払機で草を刈る藤戸さん)
(刈った草を集めて袋詰め、草の匂いにも春を感じます)

少しずつ広げてきた芝桜、もっと咲かせたい

公園愛護会の活動は、普段なかなか交流のないご近所さんとの会話の時間として楽しみになっているそうです。特にコロナ禍での自粛期間中は、外で距離を保てるこの活動は、良い息抜きになったとのこと。

毎月会って、お互いに元気かどうか確認できたり、掃除をすることで公園に愛着が生まれて、一緒に育てる楽しみがあったりするのは、素敵なことだなぁと思います。活動は、無理なく、短時間で終わるようにされているとのことでした。

公園には大きな桜のほかにも、いろいろな花が咲いていました。中でも通りからもよく見える濃いピンク色の芝桜はちょうど見頃を迎えていて、犬の散歩中の人も足を止めて写真を撮っていたほどです。

(ご近所の皆さんの最近のもうひとつの写真スポット、芝桜)

芝桜は生命力が強く、水が少ない場所でも育ちやすい植物とのこと。水道のない公園のため、水のいらない芝桜や、自然に近い草花を植えているそうです。植物は、少しずつ持ち寄って、園内の隅につくった花壇に植えたり、低木の根元に植えたりして増やしていることを教えてくださいました。

芝桜は、土を掘り返して、柔らかく耕して、コツコツ少しずつ植えていて、3年でここまで来たそうです。この日も芝桜エリアの拡大作業が行われ、少し開墾が進んでいました。

(芝桜エリアの開墾中、土の中からイモムシを発見!)

「まずはあのポールまで、願わくばあっちの端まで行けたら。それが夢なんです。」というお話も出ていました。「桜公園」と呼ばれているこの平和町第二公園に登場した、もうひとつの桜、芝桜。地域のみんなの楽しみがまたひとつ増えていきそうです。

【基本情報】

団体名平和町第二公園愛護会
公園名平和町第二公園 (茅ヶ崎市)
面積300 m2
基本的な活動日毎月1回、日曜の朝9時から
いつもの活動参加人数5-6人
会の会員数7人
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、花壇の管理、施設の破損連絡
設立時期2019年10月
参加者イメージその他大人
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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