2025/11/4

マンション住民も繋がる場に、“自分にできること“を持ち寄った活動

金塚ふれあい東公園(大阪市)

大阪公立大学の学生が、大阪市の公園愛護会のみなさんの活動を紹介する「大阪となりの公園愛護会」。公園の利活用やランドスケープ設計を学び研究する学生の視点で、公園ボランティア活動を紹介します。

今回、取材に訪れたのは、大阪市阿倍野区にある金塚ふれあい東公園(かなづかふれあいひがしこうえん)です。

大都会の中の公園

金塚ふれあい東公園があるのは、天王寺駅から徒歩わずか10分の場所。高層ビルやマンション、商業施設などが建ち並ぶ大都会の中にある公園です。取材にあたってインターネットやSNSで公園を調べてみると、桜がきれいという書き込みが多数。実際に訪れてみると、数々の桜の木にぐるりと取り囲まれた広場がありました。また春にも来てみたくなるほど、立派な木々です。

金塚ふれあい東公園は、タイルが敷き詰められた円形の広場と、大部分を占める土に覆われた遊び場の2エリアからなります。遊び場では休憩や子どもの遊びなど、人が多く賑わっているのに対し、広場は落ち着いた雰囲気で、日陰のベンチでゆったりとお話をしている人が見られました。

(桜の木が立ち並びます。これは春になると圧巻でしょうね…!お花見してみたいです)

こちらの公園で活動をされているのは金塚ふれあい東公園愛護会のみなさん。代表の福井正樹さんをはじめ、みなさんにお話を伺いました。

(会長の福井正樹さん)

夏は早朝、冬はゆっくり、季節に対応した活動を

この日は、朝8:30活動開始でしたが、5分前にはすでに至る所で活動が始まっていました。お話を伺うと、各々早めに来て、暑くなる前に掃除を始めているとのこと。特に早朝は、周りをビルで囲まれた公園内は大部分が日陰になります。日が昇って日陰が小さくなってしまう前に、そして涼しいうちに活動をやってしまおうという工夫です。8月は熱中症対策のため活動は控え、逆に冬は朝9時から、日が昇って暖かくなってからのスタートにされているそうです。

(日陰は比較的涼しい!体調に気を付けながら作業を進めます)

チームワークが光る分担術!

活動は主にごみ拾いや雑草抜きが中心です。雑草抜きでは、抜く人と集める人で分担している姿が印象的でした。まず抜く担当の人がスコップなどを用いて雑草を抜き、抜いたものは山にしてまとめておきます。そして集める人はトングを使って、雑草の山を回収して回ります。こうすることで立ったり座ったりという動きを減らすだけでなく、メンバーの方それぞれに合わせた役割分担をすることができるようです。「自分にできることを頑張っている」というお話をしていただきました。

(ごみや抜いた雑草を集めておくと…)
(拾う担当の方がごみ袋に入れていきます)
(楽にごみを集めるため工夫をした道具も登場)

近くには金塚ふれあい中央公園、金塚ふれあい西公園と「金塚ふれあい」の名称がつく公園がほかにもあります。西公園は保育園が近くにあることから保育園の園児たちで賑わいをみせ、中央公園ではボールで遊ぶ子どもたちで賑わうなど、利用に違いが見られるそうです。

東公園は最も大通りに近く、地域の人だけでなく、買い物客や近隣で働く人なども利用する公園とあって、人の利用が多いそうです。取材当日も、ベンチに座って休む人や、ご飯を食べる人の姿が見られました。しかしその分、空き瓶や空き缶、タバコといったごみが多いようです。他にも、「とにかく広い!」「抜いてもすぐに草が生えてくる」と作業の大変さを語ってくださいました。

それでも「きれいな公園だと声をかけてもらって嬉しい」ということが活動のやりがいになっているようです。

多様な緑と花が寄り添う、憩いの空間

福井さんが意気揚々と案内してくださったのは入口にあるふれあい花壇。区役所から6月、12月に苗がもらえるため、愛護会で管理し、育てているそうです。取材日にはコリウス、キンギョソウ、ぺチュニア、センニチコウの4種類が植えられており、それぞれの花が彩り豊かに並んでいました。日が昇ってくると、花壇周辺で休憩や食事をとる人も見られるようになり、憩いの場となっていました。

(かわいい花を咲かせているふれあい花壇。まさに公園の顔です)

 金塚ふれあい東公園には、冒頭で紹介した桜以外にもたくさんの木があります。中でも特徴的なのが、道路沿いに一列に並ぶ植栽です。 10本ほどの木が植えられていましたが、なんとすべて樹種が違うんです!モクレンやヤマボウシなど、花を咲かせる様々な木々がズラリと並んでいました。

(道路沿いに並ぶ様々な種類の樹木。サルスベリがピンクの花をつけています)

公園の中央にはドングリをつける木々も。秋にはこのドングリで地域の子どもたちがよく遊んでいるのだと教えていただきました。都会にありながら子どもが自然に触れ合いながら遊ぶことができる場所となっていたのが印象的でした。「ドングリや土のような自然のものがあると、子どもたちの遊ぶ幅が広がる」ともおっしゃっておられて、自然がもたらす豊かさを改めて感じました。

樹木の剪定は公園事務所が行っていますが、落葉や桜の季節になると、掃除が特に大変だというお話もありました。地域の人に愛される花壇や木々も、愛護会のみなさんの尽力のもと、維持されているのですね。

(子どもたちの遊び場となる公園中心部には、ドングリの木が植えられています。今の子どもたちはどのようにドングリで遊んでいるのか気になってきました)

周囲のマンション住人もみんなで公園掃除

周囲にマンションがそびえたつ金塚ふれあい東公園。マンションごとに町会があり、町会で毎月当番を回して公園を掃除しているそうです。参加されるメンバーのみなさんは町会の役員さんが主体とのことですが、マンション内の広報で知って参加されたという方も。同じマンションの住人でも、この公園での愛護活動がきっかけで知り合った人が多く、マンション内での交流の機会にもなっているようです。

また、この公園はマンションの人が中央通りへ出る際の通り道としても利用されており、通りがかる地域の人が活動している人に話しかける場面も見られました。

ラジオ体操の前にごみ拾い、毎日の習慣に

金塚ふれあい東公園では、毎朝、30人ほどが集まってラジオ体操が行われており、その前に会長の福井さんを含む数人のメンバーでごみ拾いなどを行っているそうです。愛護会の集まりとしてだけでなく、生活の一部、習慣として自然に公園を綺麗にする活動を地道に行われていることに、感銘を受けました。

他のメンバーさんにも「地域のために自分ができることをしたい」という想いから活動に参加しているとおっしゃった方もおられました。それぞれが無理のない範囲で「自分にできること」を持ち寄ることで、公園が清潔で心地よい場として維持され、更にその積み重ねが地域の人々の想いをつなぎ、継続性を生む。その姿に、地域づくりの原点を見たように思います。

(お隣のスポーツセンターには時計と鐘が。ゆったりと流れる時間の中で、音を響かせて時の流れを思い出させているのかもしれません)

【基本情報】

団体名金塚ふれあい東公園愛護会
公園名金塚ふれあい東公園(大阪市阿倍野区)
面積5,001 m2
基本的な活動日毎月第2日曜 8:30- もしくは 毎月20日
いつもの活動参加人数8人ほど
会の会員数20人ほど
活動内容ごみ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、花壇の管理、利用者へのマナー喚起
設立時期20年ほど前
主な参加者ご近所の方、町内会の役員さん
活動に参加したい場合は活動日に公園におこしください!

取材・執筆
取材・執筆
北西 愛

地元をより良くしたい!という思いから町づくりに興味を持ちました。現在は大学でランドスケープを専攻し、緑地の利活用やデザインについて勉強しています。そんなに公園でで遊ぶ子どもではなかったのですが、大学での学びやレポーター活動を通して目を向けるきっかけになりました。公園を舞台に、人々の活動やストーリーをお伝えできたらと思います。大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究グループ所属。

地元をより良くしたい!という思いから町づくりに興味を持ちました。現在は大学でランドスケープを専攻し、緑地の利活用やデザインについて勉強しています。そんなに公園でで遊ぶ子どもではなかったのですが、大学での学びやレポーター活動を通して目を向けるきっかけになりました。公園を舞台に、人々の活動やストーリーをお伝えできたらと思います。大阪公立大学大学院 農学研究科 緑地環境科学専攻 緑地計画学研究グループ所属。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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