2021/6/15

子どもたちと一緒に公園を育てていく

師岡打越第三公園(横浜市)

様々な公園ボランティアを紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。皆さんにお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしています。第9回は、小さな子どもからシニアの方まで、自由に楽しく参加するこんな愛護会。

LINEがきっかけでお話を聞くことに

ある日、みんなの公園愛護会公式LINEにメッセージが届きました。

メッセージの送り主は、長年やってきた方から最近公園愛護会をバトンタッチしたという子育て中の女性。公園愛護会について調べていたらこの「みんなの公園愛護会」を知り、メッセージを送ってきてくださったというのです。お話を聞けば、「ご近所のファミリーで公園愛護会を受け継ぎ、Facebookで活動をオープンに発信している」など色々模索して取り組んでいる様子!ということで、お話を伺ってきました。

横浜市港北区にある師岡打越第三公園(もろおかうちこしだいさんこうえん)。丘の上の住宅街にある小さな公園です。斜面を生かした複合遊具と園の中心には大きな丸い砂場があります。砂場に沿うように大きな花壇があったり、複合遊具の周りは木々が茂り、緑も多く、近年は周辺の保育園の散歩ルートとしても利用されています。

こちらの公園ボランティアをしているのは、ご近所に住む有志の皆さん。中心メンバーの寺田さん(集合写真でお子さんを抱っこされている方)と参加されていた皆さんにお話を伺いました。

基本的な活動は、花だんの管理、除草など。毎月1回ほど活動日を決め、集まって作業しています。毎月の活動内容や、子どもたちも楽しく参加している様子、球根や宿根草を上手に使ったナチュラル系花壇のことが愛護会のFacebookページから伝わってきます。

公園内でもFacebookでも活動を発信しています!

師岡打越第三公園愛護会は、Facebook上で「師岡みんなの花しごと」というページを作り、活動の様子や告知を載せています。ロゴがあったり、活動告知もただ文字が並んでいるだけでなく、暖かみのあるデザインが目を惹きます。

「誰かに見て欲しいというよりは、まず活動の備忘録として始めました。去年の今頃、花壇どんな様子だったかな?とか分かるといいなと思って。イラストを添えたりデザインを凝ったのは、どうせやるなら素敵にしたいな〜と思ったからです。」

園内にある愛護会物置にも印刷物が掲示されています。これまでの活動内容が「花しごとだより」としてまとめられ、次回の活動日も分かるようになっています。

「素敵なデザインだよね〜。こういうのが貼ってあると活動のことを知ってもらえるし、実は気になってた人とかも参加しやすくなるよね。」とメンバー間でもとても好評な様子。

実際に活動に参加する近所のファミリーは段々増えており、活動が地域に広まりつつあるようです。

(かわいいイラストと押し花まで掲載されています!)

雑草抜きをゲームのように楽しむ子どもたち

3歳から中学生まで、色んな年代の子どもが参加する活動には楽しい工夫が沢山仕掛けられていました。好評だったのは何ですか?と聞くと

「看板かな!今日の活動内容を事前に書き出しておいて、会の始めに共有すると何をやるのか分かって皆作業しやすいみたい。あと、子どもが雑草抜きをしやすいように飲み終わった牛乳パックを使って、抜いた雑草入れを作ったりもしました。牛乳パックは子どもが持つのにちょうどいい大きさだし、なんか使えないかな〜と思っていたんです。」

(専用ホワイトボードを作って今日の活動内容をまとめてお知らせ)

子どもたちも慣れた手つきでスコップを握り、率先して雑草を抜き始めます。土から幼虫が出てくれば、虫が苦手な子に変わって平気な子が避けてあげたり。なんとも楽しそう。

「子ども達も戦力として期待しているので、遊ぶように楽しんで活動できればいいなと思っています」

ワイワイと子ども同士おしゃべりしながら、ゲームのように雑草を探す姿が印象的でした。

(それぞれできることでお手伝い)

30年続く公園愛護会が世代交代

もともと1989年に公園が誕生して翌年、公園愛護会も結成され、花壇をつくるなど活動されていました。近年になって公園周りに新築の住居が増え、ファミリーが多く住み、少しずつ新規住民も活動に参加するようになっていきました。みんなで公園掃除をしましょうと呼びかけがあり、終わった後に一緒におにぎりを食べるというお楽しみもあったそうです。そして昨年、設立時のメンバーから愛護会役員を引き継いで欲しいと言われ、バトンタッチすることに。コロナ禍の自粛もあって、遠出をせず近所の公園で過ごす時間が増えたこともあって、花壇の再整備をすることにしました。

「バトンタッチするといっても活動には設立メンバーの方もまだまだ参加してくれていますし、一緒に引き継いだご近所のファミリーと一緒に行なっています。また悩みごとがあれば区のコーディネーターさんに相談し、フォローしていただいてとっても助かってます!」

横浜市は区ごとに「公園愛護会等コーディネーター」がおり、活動に関して相談することができ、希望すれば花壇づくりや機械の講習などの技術支援も受けることが出来ます。取材に訪れた日は、園内にあるツツジの剪定講習が行われていました。花壇については近所の園芸屋さんやガーデナーさんにアドバイスを頂いていますと、うまく周りの人を巻き込みながら活動しているのが分かります。

(道具貸出から取り扱い説明までサポートされていました)

また、引き継いで活動するにあたって気をつけたこともあるそうです。

「花壇を再整備するにあたって、前とは随分変わっちゃったね〜と残念がられないように、以前から生えているものを一部残して、新しい植物とも馴染むように植え替えしています。またご近所に住むシニアの方が参加してくれた時は、活動日に撮った写真を現像し、次回活動日のお知らせとともにお届けしています。」これは以前寺田さんが活動に参加したての時に、設立メンバーの方からいただいて、とても嬉しかったので行なっているとのこと。

細やかなことですがそこにはお互いを思いやる、暖かい思いやりの連鎖が見えました。

(お花をどう植えるかみんなで相談中)

活動の楽しみとモチベーションは何ですか?

「みんなで話し合えるのが楽しみになっています。植物の成長もあるけれど、誰かと楽しくおしゃべりしたり、子ども達が遊んだりもできる自由な場であることがモチベーションに繋がっていると思います。」と寺田さんは話してくれました。

実際に、平日在宅で仕事をしているというメンバーの方は、体を動かす貴重な機会なんです!とおっしゃりつつ、もくもくと作業してもいいし、おしゃべりしてもいい、子どもは遊び走り回っていてもいい、そんな空間なので、気兼ねなく参加できていいですよね〜と気軽に参加できることに感謝されていました。

(作業したり、おしゃべりしたり、遊んだり。)

「公園を育てていく」という趣味を見つけました

公園愛護会の活動に参加し始めたことで、花壇に植えた植物の成長が楽しみになったり、地域の方との交流の場になったり、公園が子供の遊び場としての存在だけではなくなっていく。寺田さんご夫婦は、「生涯を通じて楽しめる趣味ができたね」と話しているそうです。街の小さな公園でこういった活動が出来ることを知らない人は多いだろうけど、すごい可能性を秘めていると思います!とも語ってくれました。

公園をより素敵な場所にしていこう!と積極的に、楽しそうに活動する姿は人を惹きつけるものがあり、公園を地域の場としてより魅力的にしていると感じました。

(みんなでばらまいた球根が3月ごろ見事に咲きました)
(4月の後半にはシラーと三寸あやめの青紫色が綺麗な花壇に。植え替えなしでガラリと景色が変わる姿には圧巻!)

【基本情報】

団体名師岡打越第三公園愛護会
公園名師岡打越第三公園 (横浜市港北区)
面積568m2
基本的な活動日毎月1回(相談して決め、園内掲示とSNSでお知らせ)
いつもの活動参加人数20人くらい
会の会員数11世帯31人
活動内容ゴミ拾い, 除草, 低木の管理, 花壇の管理, 植物の水やり, 施設の破損連絡,子ども向けイベント,遊びの見守り
設立時期1990年(平成2年)
参加者イメージ子ども / 子育て世代 / その他大人

取材・執筆
取材・執筆
高村 南美

大学生の時に公園にはまり、豊島区南池袋公園マルシェにキャストとして参加するなど。初めての街に行く時は待ち合わせより少し早くついて近くの公園に行くのがちょっとした趣味です。公園専門メディアPARKFULメンバー。公園の維持団体向けサービス「PARKFUL Watch」のユーザーサポートとしても公園愛護会のみなさまに接点あり。

大学生の時に公園にはまり、豊島区南池袋公園マルシェにキャストとして参加するなど。初めての街に行く時は待ち合わせより少し早くついて近くの公園に行くのがちょっとした趣味です。公園専門メディアPARKFULメンバー。公園の維持団体向けサービス「PARKFUL Watch」のユーザーサポートとしても公園愛護会のみなさまに接点あり。

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