2022/7/26

地域に誇れる萩•桜の植樹と公園美化で、みどりの愛護功労者国土交通大臣表彰

小出川堤防、向田緑地、萩園走内公園、萩園西公園(茅ヶ崎市)

各地の公園ボランティア活動を紹介するコーナー「となりの公園愛護会」。今回は、連携協定を結んでいる茅ヶ崎市で、市内初となる、みどりの愛護功労者国土交通大臣表彰を受けた、公園愛護会の皆さんをご紹介します。

50年先の子ども達に豊かな自然を残したい

毎年、全国みどりの愛護のつどいで表彰が行われている、みどりの愛護功労者国土交通大臣表彰。第33回となった令和4年度は、全国で81の団体に国土交通大臣から感謝状が贈られました。茅ヶ崎市からは、特定非営利活動法人 萩桜会(しゅうおうかい)の皆さんが受賞。公園愛護会制度に登録する茅ヶ崎市内の団体が受賞するのは初めてとのことです。

当会は「50年先の子ども達に豊かな自然を残すこと」を目的に設立しました。15年前に植樹した小出川沿いの桜や萩は、春は桜、秋は萩が咲き誇ります。訪れた方が気持ちよく歩く憩いの場になってほしいとの思いから、堤防の除草・清掃活動を始めました。その後隣接する向田緑地や萩園走内公園、萩園西公園等の地域性や環境など、異なる特性に合わせた樹木の手入れ、除草・清掃活動、植樹、トイレ清掃に努めています。(受賞団体紹介より抜粋)

今年の全国のつどいは奈良県で行われましたが、コロナ禍で県外からの参加は見送りに。今回、市長からの受賞伝達式が執り行われるということで、私たちも取材させていただきました。

(受賞伝達式の様子:茅ヶ崎市役所の皆さんの夏の正装はアロハシャツとのこと、さわやか!)

受賞伝達式では、佐藤市長から萩桜会の皆さんに、表彰状と記念品が授与され、お祝いの言葉や挨拶が述べられました。

2007年に活動を始めて15年、桜や萩の植樹、川の堤防の除草と清掃、そこから近くの緑地や公園にも活動の幅を広げていったこと、2011年にNPO法人となりより発展的な活動を行うようになり、畑や田んぼのイベントを行ったこと、2014年に茅ヶ崎市の公園愛護会制度のスタートに伴い、公園愛護会に登録し、ここまで活動を続けて来られたことなどが、語られていきました。

当日はタウンニュース茅ヶ崎の記者さんも取材されていました。
タウンニュース茅ヶ崎版(2022/7/8):国交大臣の表彰状を伝達

伝達式のあと、萩桜会の会長 小島勝己さん、朝倉英夫さん、森貞明子さん、和田満雄さんにお話をお聞きしました。

(タウンニュースのカメラに向かって笑顔の皆さん:左から、佐藤市長、朝倉さん、小島さん、森貞さん、和田さん)

地域と未来に誇れるまちにしたいと桜を植樹

萩桜会の活動がスタートしたきっかけは「未来に誇れるまちにしたい、地域に誇れるものがほしい」という思いから。

それは地域の伝統や文化を大事にしながら、みんながいいなぁと思うもの、ということで、世代を越えた様々な年代の方の意見を聞き、その結果、子どもも高齢者もみんなが楽しめるよう「小出川沿いに桜を植えよう」ということに。

地域の人々の協力や寄付で実現できたことや、そして当時県議だった佐藤市長が県の土木事務所に働きかけてくれたというエピソードも懐かしく語られていました。

萩園の地名にちなんで萩も植えようと、春は桜、秋は萩が美しい場所になったということでした。

そして、地域の人が気持ちよく散策できるよう、川の堤防の草刈りや清掃を行うように。その後、隣接する向田緑地(むかいだりょくち)や、少し離れた萩園走内公園(はぎそのはしりうちこうえん)、さらに萩園西公園(はぎそのにしこうえん)にも活動の場を広げていったということでした。

さらには、地域の畑や田んぼを借りて、野菜やお米を育てたり、稲刈りや餅つきなど季節に合わせたイベントをしたり、と活動の幅も広がります。桜の季節には桜まつりを開催。みんなで桜を囲んで楽しむことはもちろん、中学校のブラスバンドやコーラス部、地域の和太鼓クラブやフラダンスサークルがステージで活動発表する場を作るなど、地域のさまざまな団体とも良い繋がりが育まれていったそうです。そのような地域活動を盛んに行うことで、世代を超えた地域の人たちの居場所となっていった萩桜会。

このようにして増えていった会員は200人。現役を終え、地域のことをやろうという皆さんが主力となって、この地に住んでいて良かったと思えるような活動を続けて来られたそうです。

(毎年の地域の楽しみになっている小出川沿いの桜並木、今年もよく咲きました!:森貞さん撮影)

スタートから15年、やりがいや続ける秘訣は?

「地域の喜びは、私たちの喜びですよ」と笑顔で話す小島さん。

川の土手の草刈りは、面積も広く、植物の伸びる勢いも凄いので、決して楽な作業ではありません。大型機械2台や刈払機10台を投入するなど、本格的。そして川以外にも公園や緑地など、環境や植生の異なる場所の除草や植樹を行ってきた皆さん。

年に4-5回、朝からみんなで集まって作業し、休憩の時にお弁当を食べながらする世間話の楽しさ、お手製の漬物やよく冷えた飲み物などのちょうど良い差し入れのありがたさ、終わった後にお茶を飲みながらおしゃべりする気持ちよさ、通りかかった人の「ありがとうね〜」の言葉の嬉しさなど、皆さん口々におっしゃっていました。

緑地でラジオ体操をする人たちが「いつもキレイにしてくれて、ありがとう。私たちも一緒にお手伝いさせてください。」と活動に加わったり、地区の社協のボランティア仲間、ゴルフ仲間など、クチコミで少しずつメンバーも増えているそうです。

活動を続けることで、15年前と比べて、ゴミも減ったそうです。昔は川に、家電やバイク、布団などが捨てられていることがあったそうですが、定期的な除草・清掃で環境が良くなりゴミを捨てる人が減ったのではないか、と大きな手応えを感じていらっしゃいました。

(草刈り活動の合間のひととき、みなさん良い笑顔!:萩桜会より提供)
(男性も女性もそれぞれ得意なことを生かして活動、暑い中おつかれさまです!:萩桜会より提供)

植生や環境の異なる場所も、幅広くお世話

市役所公園緑地課の吉野さんと姫野さんにもお話をお聞きしました。

「萩桜会の皆さんは、小出川沿いの堤防に、向田緑地、萩園走内公園、萩園西公園と、地域の中の複数の場所で活動されていて、それぞれ植生や環境が違う中、よく管理されていると思います。機械も揃えておられるので、活動の幅が広い上に、川沿いに1カ所だけあるトイレの清掃も行い、いつもキレイにしてくださっているので、安心して歩けるという人が増えています。」と、萩桜会の皆さんの素晴らしいところを話してくださいました。

公園のトイレをキレイに保つのはとても手間のかかることですが、不具合があるとすぐに連絡を取り合って、行政の支援とお互いの協力で、良い状態が保たれているというのは、利用する市民としてもきっと心強いことでしょう。

吉野さんと姫野さんは、普段から愛護会の人たちのモチベーションをどうやって上げていくか?について考えていらっしゃるそうですが、そんな中、今回の国土交通大臣表彰については、市から初めての推薦でした。

「表彰されて多くの人々の目に留まるのは、活動の自信に繋がると思います。ひとつの目標になっていってもらえれば、良い循環が生まれるかもしれないと思うので、今度もなるべく推薦していきたいです。」とおっしゃっていました。

市長からも、お祝いと感謝のメッセージ

市長に会える貴重な機会、公園愛護会の価値についてお聞きすると:

「事業者が行うと、どうしても効率化や見栄えが優先になってしまうけれど、地元の人たちが入ると、萩と桜のように、地域の歴史や思いのエッセンスが入ってくるでしょう。茅ヶ崎市は6km四方の小さな市ですが、自然をこよなく愛している皆さんの活動に心より敬意を表したいと思います。これからもよろしくお願いします。」と話してくださった佐藤市長。

緑や公園のことは、行政だけでできることではなく、萩桜会の皆さんはじめ、公園愛護会の皆さんのおかげで緑があるということを、おっしゃっていました。

(握手を交わす小島さんと佐藤市長)
(これが国土交通大臣表彰の感謝状!おめでとうございます!)

【基本情報】

団体名特定非営利活動法人 萩桜会
公園名小出川下流の堤防、向田緑地、萩園走内公園、萩園西公園 (茅ヶ崎市)
面積小出川下流の堤防:9,960m2
向田緑地:1,801m2
萩園走内公園:1,477m2
萩園西公園:349m2
基本的な活動日大規模な除草は年5回、ゴミ拾いなどは毎週
いつもの活動参加人数20人くらい
会の会員数200人
活動内容ゴミ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、トイレ清掃、施設の破損連絡、地域のイベント、他団体を連携したイベント
設立時期2007年(公園愛護会としての登録は2014年から)
参加者イメージアクティブシニア、その他大人
活動に参加したい場合は萩桜会の事務局にご連絡ください
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

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