公園ボランティア
実態調査 神奈川

みんなどう考え、どうしてる? 公園愛護会の今
自治体編

調査の趣旨
公園愛護会はじめ各自治体で行われている市民の公園ボランティアに関する実態と現状を多角的に把握し、高齢化および担い手不足が課題とされる公園愛護会など住民による地域の公園への積極的な関わりをサポートするための参考にする。
調査方法
期間:2020年9月~11月
方法:インターネットフォームおよびメール、電話
対象:神奈川県下33自治体 公園管理に関する部署の担当者
調査結果の概要
神奈川県下33の自治体のうち24(72.7%)に、公園愛護会もしくは類する公園ボランティアの支援制度があることがわかった。また、制度がある自治体のうち8割は、報奨金その他活動のためのお金が支給されており、残り2割の自治体は、必要な物品を提供するという形の支援であった。両方の制度を併用している自治体も存在した。制度がない9自治体は、公園の維持管理をすべて市町村で行っていたり、自治会やシルバー人材センターに委託しているケースが多かった。市民ボランティアは、県内5227の公園で、4854の団体が活動していることがわかった。1つの公園に複数の団体が存在する場合や、1団体で複数の公園を担当しているケースもある。

調査の詳細

1制度の開始時期

もっとも早くから公園ボランティアの支援制度を設けているのは、横浜市で1961年から。土地区画整理事業に伴った急速な公園増加に対し、住民に維持管理の協力を要請したのが始まりとのこと。その後、70年代・80年代に、平塚市、川崎市、鎌倉市、藤沢市、秦野市、厚木市と続いた。2000年代に入り、物品支援を主とした逗子市のアダプト制度など、多くの自治体で多様な制度が整備されていく。最近では、2019年の松田町、2020年の寒川町と制度化が始まっている。既に公園ボランティアを行っている市民をサポートするために制度を整えたという例もある。

2サポート内容

報奨金等を交付する自治体が最も多かった。報奨金の他、交付金や委託費などの名目もあったが、金額の算出方法は、どちらも面積に応じて決められる場合が多かった。並行して、ゴミ袋などの消耗品や花苗・土や肥料の提供、道具の支給や貸し出し、団体用倉庫の設置など、物品支援がある自治体もあった。また、研修や講習会、個別支援など技術支援の充実を図っている自治体もあり、支援の方法や内容には、自治体ごとの個性が出る結果となった。その他にも、活動PRのための看板や帽子の支給、公園への掲示板の設置、相談窓口、表彰、保険の加入、公園利用手続の簡素化など、市民の活動しやすさをサポートする支援内容もあった。

3公園愛護会がもたらしている効果や価値

「公園愛護会等がもたらしている価値や効果についてどのようなことがありますか?もしも、なくなってしまったら、どのような損失がありますか?」という質問(複数回答可)に対して、回答したうちの73%の自治体が、街区公園の維持管理のコスト削減に有効だという結果であった。そのほか、地域住民による公園利用の活性化(68%)高齢者の健康維持やご近所見守り効果(59%)、周辺地域の防犯(50%)や、地域における多世代交流(41%)、老朽化しつつある設備の点検や小修繕(27%)、公園利用者や近隣住民のトラブル防止効果(23%)と続いた。除草や落ち葉清掃などコスト面のメリットともに、住民同士の交流の機会になっていること、また、住民自らが地域に関わることで地域の愛着形成にもなること、地域の目があり人の手が入っていることで街の美化と防犯にも寄与していることが改めて確認できた。

4公園愛護会が抱える課題

公園愛護会などの公園ボランティアが抱える課題(複数回答可)について、回答した自治体のうち80%が構成者の高齢化を選択。次いで会員の新規加入がない(57%)、愛護会との連絡・相談・広報などの人員不足や業務負荷(48%)、解散等による愛護会の減少(43%)、新規結成の減少(38%)、活動の停滞・減少(33%)と続いた。その中で最も困っている課題について1つ挙げる設問でも、4割以上が構成者の高齢化であった。既存の愛護会員の高齢化が進むと同時に、会員の新規加入も少ないため、愛護会の活動が減少していること、さらには活動が存続できず解散に至る例も増えている現状が見える。また、行政側の人員および予算不足のため、研修や講習会等の技術支援等のサポートが難しいことや、各団体との情報共有の難しさ、自治会・町内会以外の新たな担い手探しについても言及があった。

5自治体として力を入れていること

公園愛護会等に対して、自治体として力を入れていること、工夫していること(複数選択可)については、回答した自治体のうち48%が新規結成に向けた呼びかけを選択した。その他、市民にもっと愛護会を知ってもらうための広報活動(29%)、市民の気軽なボランティア機会の創出(10%)など、愛護会の減少に対して、新たな担い手の掘り起こしを目的とした内容が多かった。一方、愛護会への支援内容の充実(19%)、既存愛護会への加入者を増やすための支援(19%)、愛護会同士の交流の促進(15%)、愛護会相談窓口の強化(10%)といった、既存愛護会へのサポート充実に注力した内容も一定数あった。年1~2回の連絡会を開催し愛護会同士の交流や情報共有を図ったり、活動の様子や活動マニュアルをホームページで公開したり、表彰制度を設けたりする自治体もあり、独自の工夫が見られる。最も注力している事については、およそ4割が新たな担い手の掘り起こしに関する内容、また3割が既存愛護会への支援関連、残りの3割が現状維持・特にないと回答した。

6新規結成と解散の数(過去3年間)

愛護会等団体の最近の新規結成の状況について、回答のあった自治体のうち78%で、2020年に新規結成された団体があることがわかった。過去3年間の数増減について、新規結成数と解散/登録解除の数を比較すると、新規結成(154件)、解散(94件)で、新規結成の方が多い結果となった。ここ1年間(2019/10-2020/9)と3年間(2017/10-2020/9)について、公園数を基準に算出した。回答のあったうちの6割が、解散に比べ新規結成が上回る結果となった。高齢化に伴う活動減少が叫ばれているが、多くの自治体で新しく団体を結成して活動を始める人々がしっかりと存在していることが分かる結果となった。

7担当としての課題や困りごと

担当としての課題や困りごとについて(複数選択可)は、高齢化や担い手不足にどうサポートしていいか分からないが最も多く、回答者の50%が課題に挙げていた。その他、新規結成を促進する方法が分からない(23%)、新規結成しても継続しない(5%)という、活性化支援に関する課題がある一方で、担当公園数が多過ぎる(32%)、対応する業務範囲が広すぎる、書類業務が煩雑(IT化できれば助かる)、予算不足(各27%)、リソース不足(専門的・技術的なサポート体制)(23%)、行政全体の中で公園愛護会の重要性が低い(18%)といった、行政サイドの課題も多く挙がっていた。また、わがままな相談への対応(18%)や愛護会と公園利用者のトラブル(9%)といったコミュニケーションにまつわる内容も見られた。業務課題に関しては、愛護会団体等との報告書や相談等やりとりのほとんどが、郵送や対面、電話での対応になっており、ほとんど全ての自治体でIT化されていないこともある。

8担当として注力していること

担当として力を入れている支援について(複数選択可)は、個別相談への丁寧な対応(48%)が最も多かった。次いで、新規結成に向けた呼びかけ(43%)、できる限り多くの愛護会への対応(24%)、事務仕事の簡素化(19%)、愛護会同士の交流(10%)と続いた。幅広い業務を少人数で行う中でも、日々丁寧に対応し公園愛護会等のサポートに創意工夫している様子が窺える。

9担当のやりがい

花苗や支援物資の配布などで愛護会団体に喜んでもらえること、また公園利用者からの声かけで愛護会の担い手が嬉しそうに活動していること、愛護会活動を通して地域の活動が活性化したり多世代での交流などが生まれていることが見えることが、担当としての喜びに繋がっているとの声があった。

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