みんなどう考え、どうしてる? 公園愛護会の今
公園ボランティア実態調査2020
市民団体編【神奈川】

調査の趣旨
公園愛護会はじめ各自治体で行われている市民の公園ボランティアに関する実態と現状を多角的に把握し、高齢化および担い手不足が課題とされる公園愛護会など住民による地域の公園への積極的な関わりをサポートするための参考にする。自治体向け調査に続き、市民団体を対象に調査を行った。
調査方法
期間:2020年9月~11月
方法:アンケート用紙郵送 および インターネットフォーム
対象:神奈川県下 8自治体 1175の公園愛護会等市民ボランティア団体代表者
   (川崎市、三浦市、厚木市、藤沢市、茅ヶ崎市、伊勢原市、寒川町、大磯町)
回答数:678件
回答率:57.7% (うちインターネットからの回答 9.0%)
調査結果の概要
公園愛護会など市民の公園ボランティアを担っているのは、主に自治会・町内会を中心とした地域の組織、加えて近隣住民の有志で結成される少人数のグループであることがわかった。その他にも、子ども会や老人会、スポーツや趣味の団体、NPO、学校や福祉施設、企業など多様な担い手が存在している。年代としては70歳代が多いが、子どもたちや子育て世代はじめ様々な人の関わりがある。地域でひとつの役割をもてることや、利用者に感謝されることがモチベーションとなり、活動を支えている。公園清掃や花壇の活動、様々なイベントを通して、地域の人々の間で交流が生まれているケースも多く、公園ボランティアが地域のコミュニケーションの場となっていることも見える結果となった。

調査の詳細

1人数と活動規模

団体のタイプは、大きく2種類:一つは自治会・町内会などを基盤に仕組み化されて運営している大規模団体、もう一つは有志が少人数で活動している団体に分かれていることがわかった。30人以上の大規模団体は全体の35%で、数百人規模のところもある。年間計画で活動したり、当番制にしているなどシステム化されていることが多い。55%が20人以下の団体で、2-3人で活動している団体から、十数人程度のグループなど多様。自治会の中でも数人の有志が公園活動をしているパターンも多い。毎回の活動の参加人数は、約半数が6-15人程度であった。町内会の大規模タイプでも参加者が固定されているというコメントも目立った。活動は、多くが基本の活動としては毎月1回。その他、花壇や落ち葉清掃など内容や季節によって、高頻度で活動している団体もあった。公園清掃を日課にして毎朝活動している人の存在もある。

2会の成り立ち

結成時期については、1960年代から活動している団体もあり、最近新規登録した団体もあった。全体の31%が10年以内、58%が20年以内にできた団体であることがわかった。結成の経緯については、公園の美化活動を希望して(28%)が最も多く、次いで自治体に依頼されて(26%)、公園ができた時に合わせて(22%)、既にボランティア活動をしていたが制度を知って(12%)と続いた。

3メンバーの年齢構成と新規加入

会員の年齢構成について、会員はどのような年齢の人で構成されていますか?と年代別に人数を聞いたところ、70代が突出して多い結果となった。自治会町内会系では、70代が中心となって活動しているが、40-50代も確実に存在していることがわかった。70-80代のみで構成されている老人会の団体は、高齢化の時代でも会員数が減って60代の入会がないというコメントが複数見られたりもした。また、一番新しいメンバーが加入した時期については、回答のあった61%の団体で1年以内に新しいメンバーの加入があったことがわかった。

4活動内容

どのような活動をしているかについては、除草とゴミ拾いが最も多く、次いで落ち葉かき、半数以上の団体が低木の管理、花壇の管理まで行っていることがわかった。地域のイベントや子ども向けイベント、他団体と連携したイベントを行っている団体も一定数いた他、遊びの見守りや、高齢者など地域の声がけなど、地域の交流や防犯に貢献している団体もあった。公園清掃をメインにしつつ、多様な活動が行われていることがわかった。

5コミュニケーション

会のメンバー同士のコミュニケーション方法について(複数回答可)は、直接会って(61%)が最も多く、ついで電話(46%)、メール(26%)、LINE(10%)と続いた。その他、自治会や町内会など組織の定例会議や、回覧、手紙などもあった。公園利用者への活動の告知方法については、回覧板(36%)が最も多く、町内や公園の掲示板の利用もあった。お知らせしていない団体も25%あった。少数ではあるものの、ホームページや、Facebook、LINEで活動PRをしている団体もあった。

6活動のやりがい・よろこび

活動のやりがいや、やっていて嬉しいことはどのようなことですか?(複数選択可)という設問に対して、最も多かったのは地域でひとつの役割を持てること(57%)。次いで、公園利用者に感謝されること(55%)、地域に貢献しているという手応え(53%)と続いた。この他にも、公園や地域の環境美化、防災に役立つ、普段話すことのない近隣の人と話す機会が出来ること、毎日会話できることがうれしい、高齢の方の様子が確認できる、子どもの遊び場をきれいで安全にしたい、きれいになると気持ちが良い、子どもたちが楽しんで遊んでいる姿がうれしい、健康に役立つ、など様々なコメントがあった。一方、やりがいなど全くないという寂しいコメントもあった。

7活動している上での課題

活動している上での課題はどんなことですか?(複数選択可)という設問に対して、回答者のうち68%がメンバーの高齢化を挙げた。次いで、新規加入者がいない(32%)、一般参加者の呼び込みに苦戦(24%)と続いた。メンバーが減って活動に支障が出てきていることや、個人の負担が大きいことなども課題として上がっていた。新しい人が入らないため団体全体が高齢化して活動が難しくなっていることや、会長など役員のなり手がいないため継続が困難というコメントが共通してあった。高齢化に伴って、活動できる量が減り、新しい人を迎え入れたいが、どうしていいかわからない状況が見て取れる。ゴミの投棄やペットの糞被害等に関するコメントも一定数あったが、全体的には活動の内容よりも、継続・存続に課題が多い傾向があった。

8あとどのくらい活動できそうか

「高齢化や担い手不足が課題であると多くの自治体で耳にします。会としてあとどのくらい永続できそうだと思いますか?感覚で結構ですのでイメージを教えてください。」という問いに対して、回答者の42%が問題がなければ永く活動できそうと答えた。24%が10年後には難しい状態になりそう、19%があと5年後くらい、10%があと2-3年ならと回答した。現在存続の危機を迎えている団体や、既に活動停止をしている団体もあった。詳しく見ると、組織的に活動ができているタイプの団体は、永く活動できそうと回答しているのに対し、新しい人の参加もなく長期間限られた少人数で活動している団体は、見通しが良くない傾向にあった。

9助かるサポートと要望

行政からのサポートで助かっているものは、報奨金など(79%)、花苗の提供(38%)、ゴミ袋の支給(33%)と続いた。行政のサポートに対する要望は、現状満足しているのでとくになし(25%)が最も多く、それ以外には、ゴミ袋などの消耗品の提供(報奨金が多少減っても物品希望)(22%)、報奨金等の増額(現状すでに活動費が不足しているため)(21%)、ゴミの回収(15%)、事務書類の簡素化(15%)、清掃道具の提供(報奨金が多少減っても物品希望)(15%)、一般参加者を増やすためのサポート(13%)と続いた。

10今後の活動でやってみたいこと

今後の活動として、できたらいいな、やってみたいなと思うことは何ですか?(複数回答可)という問いに対して、最も多かったのは、新メンバーの勧誘活動(34%)だった。次いで花壇の活動(29%)、高齢者の健康促進(24%)、清掃のレベルアップ(22%)、樹名板の設置(16%)、と続いた。防災イベントや子どもの遊びイベント、地域の交流イベントなど、清掃以外のイベント活動にも意欲的で、公園再整備に関することにも積極的な団体が一定数存在することもわかった。現状維持、特になしや類似する回答もあり、とにかく現在の活動を継続することにフォーカスしている団体もいることが見えた。

公園愛護会“みんな”の生の声

嬉しいこと

公園が常に清潔にされていると、ゴミを捨てたりすることが少なくなることがよく分かりました。以前は陰気だった公園が花壇を整えることにより、華やかな景色に変わりました。花壇の花の種類を季節毎に変えたりして、画一的にならない様に工夫しています。こぼれ種から咲く花も毎年少しずつ増えてくるのが喜びの一つになっています。
季節の花を地域の方にきれいだと褒められて、活動が地域に認められる充実感があり、手入れにも熱が入る。清掃を始めてから、タバコやごみの投げ捨てがずいぶん減ってきたが、まだ散見するのが残念。
公園で幼い子どもたちの笑いや声を聞くだけでも良いものです。たまに「ご苦労さん」と声をかけられた時はうれしい。相変わらず犬のおとしものは減りません。
公園掃除は平日働く私やママ友にはとても貴重なおしゃべりの時間です。子どもたちも10~20分くらい手伝ってからドッジボールなどをやって楽しんでいます。あまりしっかりやろうとしすぎると大変なので、できるところで楽しくやってます。
今年5年目の愛護会ですが、公園清掃を通じて町内会の人々が顔見知りになり、普段なかなか顔を合わす事ができないパパ達が清掃後に『オヤジ飲み会』をするようになりました。小さな公園ですが、町内会のみんなで楽しく清掃できています。
公園でのボランティア活動としての除草・低木の管理・落ち葉かき等は成果がすぐに見え、達成感を得られる。身体を動かして心地良い汗をかくことが出来るので、健康的である。地域内の顔見知りが増える。新しい交流が生まれる。以上が、公園のボランティア活動を通して得ることが出来た主なメリットだと思っています。地元の公園は地域住民のボランティア活動で整備出来ることが沢山あるし、自分達で整備することによって公園に対する愛着もわくと思います。
自分の「居場所づくり」に最適な活動だと思います。地域とのつながりがもう少し欲しいと思う方にもおススメです。
清掃が終わった後の雑談会がコミュニケーション増と楽しみになっている。
90才のおばあちゃんとペアを組んで週2回(月7回)散水、雑草取り等しています。お互い身体の事を言い出したらやってられない状況ですが、彼女は、気持ちがあれば地域の為になり、それが自分の為でもあるのを身体を使って教えてくれています。
子どもたちが自分たちの遊んでいる公園を清掃しているのでゴミを捨てないようにしたり、公園をきれいにしたいという思いが日々(ボランティア活動中以外も)持ってくれていたことがとてもうれしかったです。会員以外の子も、自分たちの使用している公園としてボランティア活動に携わってくれたいいなと思っています。
高校のボランティア活動として位置付けており、2019年10月より活動しています。毎月有志のボランティアを募り、15~20人ほどで清掃活動をしたり、子どもたちと交流したりしています。なかなか交流するのが難しい世の中になっていますが、企画してやっていきたいと考えています。
近隣の保育園児たちとの植栽、園児からも喜んでお花の開花を楽しみにしてもらえる。
障害者の通所施設なので、外に出る機会と、地域の役割が出来ること、そして活動を施設外にもつ事で、障害への理解を広めることが目的として、市の協力を得ながら、細々とですが、活動しています。今後も、自分達のような施設が活動の1つのメニューとして、地域に役立てる事があれば、是非、参加していきたいと考えています。
私たちの活動する公園は住宅の中の小さな公園です。赤チャンから老人など、年令は幅広く来園され楽しんでいらっしゃいます。花があることで皆さん笑顔で話しかけられ、十数年努力して来てよかったと思います。夜中にやってくる若者達には花を抜かれたり、ゴミを投げ入れられたり苦労されましたが、皆なで助け合い、がまんし努力し無理無く、工夫して花作りにがんばり、沢山の人々に笑顔をお届けしてよかったと思います。特に今年のコロナ感染を経験し、花だんから花が消え、公園が草だけになり、殺風景な様子につくづく花のありようを思いました。心の安らぎの大切さを感じました。
水まき等していると、小学生くらいの子供さんが「おばあちゃんお手伝いさせて」と云って来ました。その時は手伝ってもらいました。子供さんの生き生きとした姿に心から嬉しく思いました。この手伝った経験は、お子様の成長過程でとても役に立つのではないでしょうか?又、ご近所で住んでいる若い奥様からは、きれいな花を咲かせて頂き有難うございます等云われました。その内に私もお手伝いさせて下さい等おっしゃってくれました。公園が、心豊かな場所になります様、癒しの場として代々につながってほしいと願っております。

困っていること

高齢化に伴い、除草活動が難しくなってくる。除草が済んだ後に遊びに来た家族に、きれいになったね、と云われた時、次も頑張ろうという気になる。
場所場所により、どんな植栽が適正か(花の大きさ、寿命、施肥、花後の後片付けの時期、どう処理すればいいか)。今のところ、植栽したらしっ放し、枯れたら枯れっ放し、誰もその後の面倒をみない。どんな花が手間もかからず、長持ちし、その場所に合う花か指導を。
経験ない所からのスタートなので、知らない事/効率の悪い事がまだまだ多い。公園メンテナンスについて詳しい方に簡単に相談できる環境ができると非常にありがたい(特に、芝生/樹木のメンテについて)
年末清掃では多数の参加者があるので清掃用具を貸し出してほしい。
公園内に清掃用具入れがあれば助かります。剪定機材を家から持ち運びしているので、公園内にあればと思います。きれいにするようになったら子供達がいっぱい集まってきて元気に遊んでいる公園になりました。
16年活動してきた中で最小限の道具類もあり何とかなっており、報奨金を限度に活動する形は出来ているが、とにかく参加者が広がらず将来の運営メンバーが育たないのが一番の問題。
ルールを守り、缶やペットボトル、電気製品等の投げ捨てはやめてほしい。
公園ボランティア実態調査 2020
〈市民団体編 神奈川〉
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