地域の公園ボランティアを紹介する「となりの公園愛護会」。様々な活動をする皆さんにお話を伺って、その知恵やアイデア・情熱をシェアしています。今回は、地域の皆さんと子どもたちで行われた新しい遊具のお披露目会のお話です。
街区公園で新しい遊具のぷちお披露目会
公園遊具のリニューアルに伴って、保育園児と保護者や地域の人が集まって新しい遊具のお披露目会が行われるというお知らせをいただき、お伺いしてきました。
茅ヶ崎市の東海岸南第七公園(ひがしかいがんみなみだいななこうえん)。茅ヶ崎海岸や、野球場のある茅ヶ崎公園に近い、住宅地の中を少し入ったところにある街区公園です。コンパクトな公園の中には、遊具のほか花壇や防災倉庫もあり、子どもたちの遊び場としてはもちろん、地域の防災拠点としても大切な地域の場所になっているとのこと。
公園の主役とも言える複合遊具が老朽化し、市の公園施設長寿命化計画の遊具改修工事が行われることに。新しい遊具が入るということで、いつも散歩で訪れている保育園児、公園愛護会や花壇の活動をしているボランティアグループの皆さんで、遊具のお披露目会が行われました。
このイベントを企画されたのは、近くの保育園にお子さんを通わせている小野祐太郎さんと杏子さんご夫妻です。
「身近な公園の遊具が変わる機会はめったにないので、せっかくだから子どもたちと地域の人とみんなで一緒にお祝いしたいと思い、企画しました。」と祐太郎さん。
子どもの頃、いつも遊んでいた公園の遊具が新しくなって、「いつの間に!?」と驚いた経験があることを話してくださいました。公園の遊具が変わるってすごく特別なことで、とても嬉しいけれど、知らない間にただ普通に使えるようになっていて、もっとみんなで歓迎やお祝いをしたかったという、はがゆい気持ちを同時に味わったというご自身の経験も話してくださいました。
そこで、お子さんがいつも遊びに来ているこの公園で、すまいるステーション保育園の園児たちや、公園愛護会など地域の皆さんに声をかけ、新しい遊具のお披露目会が企画されました。
紅白幕やくす玉を用意して、みんなが集まれば、いよいよお披露目会がスタートです。紅白幕で覆われた新しい遊具を前に、子どもたちは、ドキドキ、ワクワク。
新しい遊具には、お祝いのくす玉が用意されていました。紅白幕もくす玉も、祐太郎さんが職場の上司からこの日のために借りてきたとのこと。たくさんの人の協力でステキなこの場が出来上がっていることを感じます。
子どもたちが、1本ずつテープを手に持って、みんなで一斉に引っ張ると、くす玉はパカっと割れました!中からは「あたらしいこうえんよろしく」の文字が。子どもたちでも読めるよう、ひらがなで書かれています。
とても嬉しそうな子どもたち。大人たちも笑顔です。どこからともなく温かい拍手が巻き起こっていました。
愛護会から防災のお話
イベントはこれだけでは終わりません。東海岸南第七公園愛護会の皆さんが、特別に防災倉庫の中を見せてくださいました。いつも気になっていた謎の箱の中身が見れることに、子どもたちも大興奮。
東海岸南第七公園愛護会は、東海岸南一丁目自治会が母体で、地域全体を守る自治会が公園も一緒に守っているそうです。会長の丸山泰さんと防災担当の川瀬丘さんが、お話をしてくださいました。
地震や災害があった場合、地域の人たちがこの公園に集まること、この倉庫の中には、避難や救助に必要なものが入っていて、みんなで大切に使っていることなどを、子どもたちに優しく話していらっしゃいました。
この第七公園は、子どもたちが楽しく遊ぶための場所でもあり、地域の防災拠点として地域の人たちを守る場所でもあります。
防災倉庫の中は、ガソリンやガスボンベなど、毎月1回点検をしているそうです。また、南一丁目自治会では、全世帯に防災ヘルメットと安否確認タオルを配っていて、町内全体で年に2回、各家庭でタオルを出して、防災班でその数を数えて確認、という訓練を行っているとのこと。その「安否タオル確認訓練」の際には第七公園が防災本部になっているそうで、まさに地域の防災拠点です。
ヘルメットや車いすを出して、実際に使ってみながらの、体験型の学びの時間になりました。
保育園からプレゼントした花を公園花壇に植え付け
この第七公園では、丸山さんたち公園愛護会が毎週火曜日の朝に公園清掃をしている他にも、「茅ヶ崎ハーブを植える会」の皆さんが花壇の活動をしています。
この日は、チューリップを花壇に植えようというお楽しみもありました。保育園から公園にプレゼントされたチューリップの苗を、ハーブを植える会の林和美さん、竹中祐子さん、林安美さんと園児たちで一緒に植え付ける作業が始まりました。
まずはどんなふうに並べるかを相談して、苗が入る深さの穴を掘り、ひとつずつ入れていきました。ひとりひとり、みんな真剣な表情でシャベルを使って作業に集中。最後にたっぷりお水をあげたら完成です!
公園に遊びに来る楽しみがまた一つ増えますね。
茅ヶ崎ハーブを植える会は、30年近く活動を続けるボランティアグループで、市内の公園にハーブなどの草花を植え育てているそうです。かつては、市内のいくつもの公園で活動したり、ハーブの講習会をやっていたこともあるんだとか。第七公園の花壇にも、10種類ほどのハーブが育っていました。会員さん手づくりのネームプレートには、ハーブの名前と一緒に学名も書かれていて、ハーブへの情熱が伝わってきます。
保育園と地域のつながり
この日参加した子どもたちは、すまいるステーション保育園のきりん組とぱんだ組の園児たち。第七公園は、お散歩でよく遊びにくる公園だそうです。
遊具の難易度も少し高いため、自分の力で登るなど身体の発達の側面からも、思いっきり体を動かして遊ぶ場所として、よく利用しているとのことでした。新しい遊具も、よじ登るコースがいくつかあり、子どもたちは早速あれこれ試して遊んでいました。
すまいるステーション保育園は、地域の人たちとの繋がりも大切にしていて、自治会にも入っているそうです。
「回覧板も子どもたちに回してもらっていますよ。」話してくださったのは、園長の飯島若菜さん。
今回のイベントで、遊具のお披露目はもちろん、防災倉庫の中を見せてもらったり、花壇に一緒に花を植えるという体験ができて、たくさんの人たちのおかげで子どもたちが公園で遊べていることを改めて感じたそう。
「花壇もどんな方が育てているのか知れて、親近感がわきました。子どもたちにも感謝の気持ちが育てばいいですね。」と笑顔で話してくださいました。
思い出に、そして公園について考えるきっかけに
このイベントを実施するに当たって、小野さんご夫妻はいろいろと準備をされていました。新しくなった遊具のお披露目会のようなイベントは、近隣ではあまり例がないものの、ネットで他の地域の参考事例などを調べていったそうです。
祐太郎さんは茅ヶ崎市役所の職員で、企画経営課で公園や下水道などの土木分野を担当されているとのことで、お子さんたちにパパのお仕事を紹介する良い機会にもなりました。
子どもが喜んでくれることをやりたい、公園について考えたり、大切に使おうと思うきっかけになれば、という思いで、今回は市役所としてではなく、地域で暮らす子どもの保護者としてイベントを主催。行為許可の申請を行い、保育園や公園愛護会・ハーブを植える会にも連絡をしながら準備を進めてきたそうです。
そんな小野さんご夫妻の熱意に呼応するかのように、保育園からは、チューリップの苗や、子どもたちからの公園へのお手紙のプレゼントがあったり、公園愛護会の皆さんが防災倉庫の中を見られる機会をつくったり、ハーブを植える会の皆さんと一緒に花植えをしたり、みなさんの交流が生まれ、良い時間になっていたのが印象的でした。
この日、小野さんご夫妻は、子どもたちのためにバルーンアートも用意していました。風船でハートやウサギ、剣などをつくってもらった子どもたちは、大はしゃぎ。
新しい遊具のぷちお披露目会は大盛況。
「みんな喜んでくれてよかったです。またいつか振り返って思い出してくれたらいいですね。」と話してくださった小野さんご夫妻。
子どもたちにとって、新しい遊具を迎える楽しい行事になったことはもちろん、公園を守ってくれている人を知る良い機会となったことも有意義だったと振り返っていらっしゃいました。暮らしに身近な街区公園だからこその、地域の人がつながる温かいイベントとなりました。
地域の多世代が集まり、みんながいつも使う公園に仲間入りした新しい遊具を楽しく迎え、交流する。とてもステキな時間が流れていました。
【基本情報】
団体名 | 東海岸南第七公園愛護会、茅ヶ崎ハーブを植える会 |
公園名 | 東海岸南第七公園 (茅ヶ崎市) |
面積 | 357 m2 |
基本的な活動日 | 毎週火曜日 朝7:45-8:15(清掃)、毎月1-2回(花壇) |
活動に参加するには | 花壇の活動は茅ヶ崎ハーブを植える会にご連絡ください |