公公益財団法人 東京都公園協会「2025 年度公益事業推進課 ボランティア活動レポート作成業務委託」として、一般社団法人みんなの公園愛護会が取材・執筆を行った記事です。
面積も広く、利用する人も多い都立公園。活動している公園ボランティアの方々の活動テーマも多彩。まさに「推しの公園」活動として行われている公園ボランティアのあり方を知っていただければと思います。
新宿区の大学や医療機関が集まる文教地区の一角に広がる、緑豊かな戸山公園。その一角で、子どもたちが土や水、火、木といった自然の素材とふれあい、自分の責任で自由に遊ぶ「プレイパーク(冒険遊び場)」が27年にわたって開かれています。運営するのは「NPO法人新宿・戸山プレイパークの会」。地域の子どもたちの「心の安全基地」として、なくてはならない存在となっているこの場所の魅力と、活動を支える人々の思いに迫りました。
冒険遊び場、プレイパークとは?
プレイパークとは、子どもたちがやりたいと思ったことができる遊び場です。最大の特徴は、泥だらけになって遊んだり、水遊びを思いっきりしたり、焚き火をするなど、子どもたちの自由な遊びが守られていること。ここには、子どものやりたいことを見守る遊びの専門家プレイリーダーが常駐しているため、危険なことにも挑戦できる環境があります。ただし、遊びをリードするのはプレイリーダーではなく、子どもたちのやりたい気持ちです。

「あり続けること」が、子どもたちの安心に
住宅や学校が立ち並ぶこのエリア。ここには、0歳から高校生まで、多国籍な子どもたちが集います。地域の多様性を凝縮したようなこの場所は、一人ひとりが「その子らしく」過ごせる、大切な居場所です。
1998年の設立当初は週1回の開催でしたが、現在はニーズの高まりを受け、週5日へと拡大しました。台風の日でも、誰かしら子どもがやってくる。「あそこに行けば誰かいる」という日々の積み重ねが、子どもたちの安心感につながっています。
「卒業式や入学式の後に報告に来てくれる子も多い。大きくなって『まだやってんのか!』と顔を見せに来たり、結婚して自分の子を連れてきたり。やり続けていると、たまにいいことがあるんですよ」と、プレイリーダーの橋川尚尭さんは笑顔で語ります。
そしてついに、ここで育った卒業生が社会人となり、活動を支える会員として戻ってきてくれました。かつての「遊び手」が、時を経て「支え手」へ。この場所のかけがえのなさを知る経験者が仲間になってくれたことに、大きな喜びと希望を感じています。


親にとっても、大切な「子育て支援の場」
プレイパークは、子どもだけでなく、親にとっても大切な場所になっています。
「ここでは、ママ友同士が気兼ねなく悩みを吐き出せます。いろんな世代の人がいるから、子育てのヒントをもらえたり、ネットワークが広がったり。孤立しがちな都市部の子育てにおいて、重要な役割を担っていると感じます」と代表の永見紅花さん。
「助けて」と言える大人が周りにいる環境は、親子の心の安定にとって不可欠です。プレイパークは、子育てを地域全体で支える温かいコミュニティの核となっています。

専門性と愛情で見守る「プレイリーダー」
子どもたちの自由な遊びを支えるのが、「プレイリーダー」です。彼らは子どもたちの「やってみたい」という気持ちを尊重し、遊びを禁止したり、手取り足取り教えたりはしません。ただ、子どもの一番の味方として、怪我や事故が起きないよう、細心の注意を払いながら「子どもたちが安心して失敗できる環境」を作っています。
また他のプレイパークとの連携や、専門家を招いた研修などを通じて、日々スキルアップに努める専門職でもあります。
一人ひとりの成長に寄り添い、子どもたちとの信頼関係を築く彼らの存在が、この場所の温かい雰囲気を作り出しています。

公園との連携で、体験の幅を広げる
プレイパークの活動は、日常の「遊び」の枠組みをさらに広げています。公園を管理するサービスセンターとの強い信頼関係が、子どもたちに特別な体験をもたらしています。
「子どものための野外上映会」は、公園を管理するサービスセンターと、新宿区立戸山図書館、NPO法人新宿・戸山プレイパークの会との共同で実現した人気イベントです。サービスセンターの壁に白いシートを張って、夜の公園で映画を鑑賞するという特別な体験は、子どもたちにとって忘れられない思い出になります。なんと上映は近くにある戸山図書館の16mm映写機(操作も映写技師の資格を持つ戸山図書館職員の方)で行われたそうです。夏休みの最後に、映写機の「カラカラ」とリールが響く音を聞きながらの野外上映会。忘れられない思い出になりそうです。

「サービスセンターの方々がとても協力的で、いつも助けられています。物理的な距離だけでなく、心理的な距離も近いんです」と代表の永見さんは話します。

四半世紀の転換期。センターとともに乗り越える
25年以上続いてきた活動ですが、大きな転換期を迎えています。プレイパークのメインの活動場所であった「のびのび広場」が大規模改修工事のため、現在閉鎖されています。
これまでのようなダイナミックな泥遊びやウォータースライダー、人気の「ハイジブランコ」も、今は使うことができません。しかし、このピンチを支えたのも、長年築いてきた地域との絆でした。
戸山公園サービスセンター長の波多江剛さんは語ります。「プレイパークはなくてはならない場所。センターとしても代替地としてセンター前の噴水周りや新宿スポーツセンター前の芝生広場などを使ってもらって続けられるようにサポートしています」
プレイリーダーの橋川さんは「閉鎖されたときは子どもたちが動揺するだろうと、どう伝えるかなど話し合って対応しました。でも、子どもたちの適応力はすごいですね。新しい環境で、工夫して遊んでいます。」
センターとの密な連携のもと、代替地での活動を継続しています。お互いを尊重し、公園をより良くしていこうという共通の思いが、困難を乗り越える力になっています。
東京都公園協会の助成金も、通常は「のびのび広場」の土を購入していたのですが、本年は道具やおもちゃなどを移動するツールや雨の日や夏に使うテント購入に活用したそうです。


活動継続への課題
地域にとって不可欠な存在となっている一方、運営には課題もあります。活動の要であるプレイリーダーの人件費は新宿区からの助成金で賄われていますが、会の運営や事務作業は、世話人のボランティアによって無償で支えられているのが現状です。
「社会インフラとなっているこの活動を、個人の善意だけで続けていくことには限界があります。本年度からNPO法人化し、持続可能な運営体制を模索しています」と代表の永見さんは語ります。
地域の子どもたちの未来のために、「あり続けること」を選ぶ。その強い意志と愛情が、戸山公園プレイパークの活動を支えています。
(公園で許可なく焚火をすることは禁止されています。プレイパーク内での焚火は、子どもたちに火のつけ方、消し方について安全に学んでもらうために実施しています。実施に当たっては消防署、東京都へ届け出をし、戸山公園サービスセンターとともに安全確認を行っています)
■取材後記
プレイパークは、地域に住む子どもたちにとっての放課後の居場所以上の場所。親や教師以外の第三者である大人とつながれる「ナナメの関係」が構築できる場であり、心の安心基地でした。こんな尊い場がボランティアで運営され、想いをもった大人たちが支えていることこそ、豊かな社会であることの現れだと思いました。(跡部)
都会の子どもたちの居場所、プレーパークはもはや地域のインフラ。プレイリーダーや支える大人たちの存在が、安心できて楽しい空間を生み出していました。場所の変更を余儀なくされても、「居場所は『場所』だけじゃなくて『人』。そこに行けば誰かいることが大事だと改めて実感する機会になった」と前向きに捉えて、子どもたちのために日々を営み続ける力強い姿が印象的でした。(椛田)
団体情報
| 公園名 | 戸山公園 |
| 団体名 | NPO法人 新宿・戸山プレイパークの会 |
| 設立 | 1998年 |
| 活動内容 | ・みんなでつくるプレイパーク(冒険遊び場)の開催 ・プレイパークの人材育成や学生ボランティアの受け入れ ・プレイパークの広報とイベント企画 ・プレイパーク活動団体とのネットワーク作り ・子どもの遊び・育ちに関する啓発活動 |
| 活動日 | 2025年度 ■開催曜日 ・4~6月、9~12月、3月:週 5回 (火曜~土曜) ・7月、8月:週4回(火水金土) ・1月、2月:週4回(火水金土) ■開催時間 ・火曜・木曜・金曜・土曜 10:30~17:00 ・水曜 13:00~17:00 ※12月と1月は16:30終了 |
| メンバー数 | 会員数 【正会員】 28人 【賛助会員】6人 (令和7年12月現在) |
| ボランティア活動に参加するには? | ■遊びに行くには? 登録はいりません。無料で遊べます(イベントなどの場合、材料費をいただく場合があります) ■支援するには? 活動を支える会員・寄付を募集しています。詳しくはリンクのページをご確認ください |
| 助成金情報 | 公益財団法人 東京都公園協会では「都立公園事業に参加協力する都民への助成金」を設けています。詳しくは以下のリンクをご確認ください https://www.tokyo-park.or.jp/public/volunteer/about/ |