2025/11/7

地元の建設会社が「公園応援団」として地域に貢献

下到津公園(北九州市)

各地の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、北九州市で行われている「北九州市公園応援団」の認定企業として公園での除草・清掃活動をされている株式会社月形のみなさんです。公園応援団としての活動内容や企業としての取り組みについてお聞きしてきました。

北九州市公園応援団についての記事はこちら

地元の建設会社(株)月形が応援、幅広い世代が集う下到津公園

北九州市小倉北区にある下到津公園(しもいとうづこうえん)。JR小倉駅からバスで25分ほど、近隣には九州栄養福祉大学や東筑紫短期大学、幼稚園、住宅、商店などがある、まちの中の街区公園です。JR九州の小倉工場や、動物園がある到津の森公園からも比較的近い地域です。見通しの良い園内には、遊具、ベンチ、テーブル付きのあずまや、健康遊具、トイレもあります。

(手に鳩をのせた少女の銅像が出迎えてくれる下到津公園)

目の前に幼稚園があるため、地域の子どもたちはもちろん、降園後の親子やお友達同士で遊ぶ園児たちで賑わうほか、大学生が学校に向かうための通り道として利用したり、ランチタイムや休み時間の息抜きなどにも使われるなど、多くの人に親しまれているようです。

(大きな砂場の中には魚をモチーフにしたかわいい遊具が!)

こちらで公園ボランティア活動を行っているのは、株式会社月形のみなさんです。取締役専務の月形直貴さんと取締役常務の山村聖さんにお話をお聞きしました。

株式会社月形は、1979年創業の建設業で、防水工事をはじめコンクリート構造物の補修・補強工事を中心に事業を展開されています。

(左から、専務の月形さんと常務の山村さん:株式会社月形の本社でお話をお聞きしました!)

「入札加点よりも地域貢献」ホームページから始まった応援団活動

北九州市や福岡市の仕事を行うこともあり、入札関連の情報収集のため市のホームページは定期的にチェックされている中で、北九州市公園応援団の存在を知り、地域貢献のひとつとして参加を決められたそうです。

入札の加点というメリットはあるものの、加点狙いというよりも、地域貢献の意味合いの方が大きいといいます。

月形のみなさんは、北九州市公園応援団の他にも、国土交通省 北九州国道事務所による「みち灯りプロジェクト」(民間による道路の照明灯の設置)にも参加されており、市内でも最も交通量の多い三萩野交差点の安全と安心の確保のために照明灯を設置し維持管理するという取り組みも行っていらっしゃいます。(協定締結式の様子

(北九州市公園応援団の認定書を見せてくださいました!)

活動公園をマッチング、公園の用具庫も引き継いで使用

公園応援団として活動するにあたり、目の前の公園には公園愛護会が既に活動していたため、市に同じ小倉北区内にある下到津公園を紹介され、活動することになったそうです。(余談ですが、目の前の公園の愛護会の担い手は、株式会社月形の会長さんだったそう。公私にわたって長年地域に貢献されてきたことが伺えます!)

下到津公園には、かつて活発に活動されていた公園愛護会がありましたが、現在は解散しています。公園応援団の活動を始めるにあたって、市役所から地元の皆さんにお話を持っていったところ「月形さんなら大歓迎!」ということになったそうです。

下到津公園は、株式会社月形の事務所から車で5分ほどの距離にありますが、公園のサイズもちょうど良く、身の丈にあっているのでよかったというお話も。

公園内には愛護会が活動していた当時の用具庫が残されており、除草用の刈払機をはじめ保管されていた道具も全て、公園応援団の月形さんが引き継いでいらっしゃいます。最初に道具が揃っているのはありがたく、始めやすかったとおっしゃっていました。

(解散した公園愛護会から引き継いだ用具庫、立派です!)

地域の人たちに配慮しながら、気持ち良い公園づくり

活動は、基本的には月1回、公園内の除草とゴミ拾いに注力されています。勤務時間内に、行ける人が2-3人で行くということですが、目の前に幼稚園もあるので、安全のため朝と夕方の送迎時間は避けて作業を行うという配慮も。

公園愛護会から引き継いだガソリン駆動の刈払機に加えて、会社にある充電式の刈払機も持参して、2時間ほどかけて草刈りをされているそう。1回で終わらない時は、2回・3回と分けて何度も公園に足を運び作業をされることもあるんだとか。地域への愛があってこそできることですね。

月形のみなさんの公園応援団活動は、地元の人たちからも期待が大きいようです。先日も、地元の方からのリクエストで伸びたアジサイの枝を剪定したんだとか。作業をするとすぐに反応があるそうです。

(草刈りは大変です、地元の人からのリクエストで剪定したアジサイも)

夏の除草に続いて、冬は落ち葉の季節です。園内には大きな樹木も多いので、落ち葉も大量です。園内の落ち葉を掃き集めて袋に入れるのも一苦労です。

(冬は落ち葉清掃! 写真提供:北九州市)

作業服とヘルメット姿での活動は、ボランティアというよりもプロのお仕事のようにも見えます。委託された業者ではなく、善意のボランティア活動だと知ってもらえるように、市で共通の「公園応援団 ボランティア活動中」などと書かれた置き看板なんかがあると、地域とのコミュニケーションがさらに良くなりそうというアイデアも出ました。

「喜んでもらえることが一番」、地域との連携も

公園応援団として活動を始めて1年。「やってみると大変ですね、夏はとくに。」と話してくださったお二人。夏の酷暑の中、重い機械を使った長時間の作業は、かなりの体力が必要とのこと。公園愛護会のみなさんもこれまできっと大変だったんでしょうね、と振り返ります。

人がいない時間に活動しているので直接的な接点は少ないけれど、地域住民に見てもらっている実感はあるそうで、「近隣のみなさんとふれあう機会が増えてきたのも、良いことだと思っています。一番の志は社会貢献。喜んでもらえれば嬉しいですね」と月形さんと山村さん。

地域との連携が生まれることで、今までお会いしなかった方にお会いすることも増えているとのこと。公園応援団として活動することで、地域の人々に会社のことを知ってもらい、地元の評判になることは、目に見えない効果となり、今後仕事につながっていくこともあるかもしれないとも、話してくださいました。

地元企業の社会貢献としての公園応援団活動、これからも応援しています。

(走り回るのにもピッタリな広場)
(あずまやとテーブル・ベンチもあるので、ゆっくりランチもいいですね)
(花壇にお花も咲いていました)

【基本情報】

団体名株式会社月形
公園名下到津公園(北九州市小倉北区)
面積2,030 m2
基本的な活動日月1回
活動内容除草、ゴミ拾い、落ち葉掃き
設立時期北九州市公園応援団の登録は 2024年8月から
主な参加者従業員のみなさん
取材・執筆
取材・執筆
椛田 里佳 代表理事

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

子どもの頃から公園好き。母になってからは、子どもたちの声であふれていた近所の公園に、仲間同士で公園愛護会をつくりました。もっと楽しく明るく居心地の良いみんなの公園になるよう、ゆるやかに実験中。大手上場企業を経験した後、上海暮らしや、社会人向けスクール「自由大学」の学長を経て、子どもたちと家族中心の暮らしにシフト。夫を難病で亡くし、公園に関わる仕事に。京都大学農学部卒、名古屋市生まれ。

取材・執筆
みんなの公園愛護会の書籍紹介 学芸出版社

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

みんなの公園愛護会初の書籍。「推しの公園を育てる!公園ボランティアで楽しむ地域の庭づくり」が学芸出版社から刊行されました。全国各地の推しの公園活動やボランティア運営のヒントが紹介されています。ぜひ手にとってお読みください。https://park-friends.org/books/book1/

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