地域の公園ボランティア活動を紹介する「となりの公園愛護会」。今回は、戦後間もなくの1950年に公園愛護活動をスタートし、大阪市の公園愛護会の先駆けとなったこちらのみなさんです。
樹木の緑でいっぱいの新森中央公園
大阪市旭区にある新森中央公園(しんもりちゅうおうこうえん)。大阪メトロ今里筋線 新森古市駅から北側へ4分ほど歩いた落ち着いた住宅街の中に位置しています。公園を訪れるとまず目を引くのが、たくさんの樹木で覆われた自然の緑で、夏は木陰でゆったりと、秋には落ち葉遊びを楽しめそうです。

また種類豊富な遊具と、ボール遊びができる大きめの広場もあり、さまざまな使い方ができそうな公園です。実はこの公園、大学時代に公園の使い方や利用ルール研究をしていた筆者の卒業論文の研究対象になった縁のある公園でもあり、取材を心待ちにしていました。

この日は、会長に就任してから10年程になる荒木淳子さんと退職を機に愛護会活動を始め5年目になる耕章さんにお話をお聞きしました。

設立から75年!大阪市の公園愛護会の先駆け
戦前の区画整理事業で1932年に完成した新森中央公園(当初は森小路公園という名称でした)。戦後の混乱状況のなか荒廃した公園を復興すべく、1950年に新森小路公園と名称が改められると同時に愛護会が設立されました(公園の名称はその後1972年に現在の新森中央公園となりました)。その後、運動会や素人のど自慢大会・青空映画会などのイベントも開催され始め、盆踊りは今もなお受け継がれているとのこと。(参考:大阪市 旭区地域史より)
公園の定期清掃が始まったのもこの頃とのことで、70年以上経過した現在も続けられています。なんと当時は会則に女性のみで活動を行うことが記載されていたそうで、戦後間もなくに設立した歴史を感じさせてくれます。定期清掃は、現在も多くの人が関わる形で、毎週日曜日に行われています。
6つの町内会をダブルローテーション!
いつもの定期清掃には愛護会に加えて、頼もしい味方である町内会がいます。ここでは公園をとりまく6つの町内会が協力。6つのうち3町会は、第一・第三日曜、あとの3町会は第二・第四日曜に活動するという、”隔週担当制”を採用しています。これにより大きな負担になることなく、毎週の清掃が続けられているようです。
さらにこちらの公園は約9,000m2と広いことから、3町会をそれぞれ3つの清掃エリアに分けることで、効率良く清掃するという工夫もしていらっしゃいます。実際にこの日も20名程の人数でありながら、30分で清掃が完了しました。


落ち葉は一定間隔に集める”新森スタイル”
新森中央公園では樹木が多い分、落ち葉の数も多く、落ち葉集めが大変です。そんな中、目にとまったのは落ち葉の回収方法。それは、落ち葉を一つの場所に集めるのではなく、一定間隔に落ち葉を集めた小さいスポットを作るものでした。

これにより、無駄な往復を防ぐことができ、効率よく落ち葉かきができるようになっていました。人によって落ち葉を集める場所の間隔や量に違いがあり、少し情緒的なものを感じさせてくれます。この工夫については、どなたが始めたかもわからず、知らぬ間にみなさんに浸透していたようです。このような工夫が愛護会を75年続けられてきた要因なのかもしれません。


公園をきれいにすることで街がきれいに!
新森中央公園での清掃活動には、さまざまな創意工夫が凝らされています。しかしこの広い公園を守り育てていくためには、コンクリートの隙間から生える雑草の処理や芝生の管理など、悩みごとは少なからずあるといいます。
それでも、公園で子どもたちが元気に遊ぶ姿を見たり、「お疲れさま。いつもきれいにしてくれてありがとう」と声をかけられたりすることが、大きなやりがいになっていると、荒木さんと耕さんは話します。
また荒木さんからは「公園が荒れると街全体が悪くなってしまう」との力強い言葉をいただきました。この言葉には私も共感するとともに、荒木さんの公園の愛護活動に対する強い誇りと使命感を感じました。
新森中央公園愛護会の活動が、地域の人たちの手によってこれから先も何十年と続くことを願って、設立から100年経つ瞬間を私も楽しみにしています。




【基本情報】
団体名 | 新森中央公園愛護会 |
公園名 | 新森中央公園(大阪市旭区) |
面積 | 8,809 m2 |
基本的な活動日 | 毎週日曜 朝8:30-9:00 |
いつもの活動参加人数 | 15-20名程度 |
活動内容 | ごみ拾い、除草、落ち葉かき、低木の管理、花壇の管理、植物の水やり、新メンバーの募集や勧誘、遊びの見守り |
設立時期 | 1950年 |
主な参加者 | 愛護会、町内会、地域の有志 |
活動に参加したい場合は | 活動日にぜひお越しください |