公園愛護会、公園アダプト制度ほか、さまざまな制度で⾏われている市⺠の公園ボランティアに関して、
各地で活動する担い⼿団体を対象にその取り組みを調査をしました。
Q:活動しているのは、どんなメンバーですか?
公園ボランティア活動の担い手の大多数は「自治会・町内会」と言われているが、その中でも誰が活動しているのか?まで含めて聞いた設問。最も多かったのは、自治会・町内会の有志やOB。次に、全員で、老人会、役員と続いた。当番制で回している所や、子ども会、婦人会・青年会など、自治会の中でも公園活動への関わり方は様々である。自治会とは別で、近隣住民の有志・友人同士で活動する人々も一定数いる他、グランドゴルフやラジオ体操などスポーツや趣味の団体で活動をする人々もいる。様々な人が一緒に活動するケースも多い。NPO・ボランティア団体や、学校や保育園、企業、社会福祉施設など、地域住民以外の活動もある。
Q:どのような活動をしていますか?
80%以上の団体が、除草とゴミ拾いを行っている。落ち葉かきや花壇の管理、低木の管理、施設の破損連絡を行う団体も多い。地域のイベントや、高齢者など地域の声かけなど、公園の中だけでなく、公園を中心とした地域のコミュニティづくりに繋がる活動をしている団体も存在している。中には、雑草や落ち葉の堆肥化、里山や竹林・池管理、畑や農などのコミュニティガーデンといった発展的な活動を行う団体もあり、担い手の意欲や工夫が活動内容を広げていることがわかる。
Q:公園でのゴミ対策や掃除に関して、工夫していることを教えてください
公園のゴミ対策や掃除に関する工夫としては、「定期的なゴミ拾い」が最も多く82.4%の団体が実施。「見通しを良くしてゴミを捨てにくくする」「誰でも使える掃除道具の設置」「ゴミ持ち帰りの案内掲示」「利用者への直接の声かけ」などの工夫も行われている。ゴミは見つけたらすぐに拾う、常にきれいにしておくことや、ゴミ拾いしている姿を見せることで、ゴミを捨てにくくするというコメントも多数あった。
Q:花壇づくりや緑育てに関して、工夫していることを教えてください
花や緑に関する工夫としては、「季節を楽しむ花壇づくり」が最も多く、「水やりの工夫」「多年草や球根の活用」と続いた。花好きの人が活躍し、自治体から年2-3回提供される花苗を活用する団体が多いが、多年草や宿根草・球根を活用して、植え替えの手間を削減しながら、いろいろな植物を育てたり、増えた植物をおすそ分けするという、緑のコミュニケーションが生まれているケースもみられる。ゴミのポイ捨て対策や、防犯対策として、花は有効というコメントもあった。一方で、花壇が荒らされてしまう、水場などの設備がないので難しい、花壇はない、という公園もあった。
Q:公園の除草に関して、⼯夫していることを教えてください
除草に関する工夫としては、「定期的な除草作業」が最も多く、「刈払機など機械の導入」「除草時期の工夫」「広く声をかけてみんなで楽しく作業」と続いた。とにかくこまめに根っこから抜く、種が落ちる前に抜く、雨の後はチャンスと思って作業をする、先に少人数で機械を使って一気に草を刈った後にみんなで草を集めるといった時間差や役割の分担など、さまざまな工夫のコメントがあった。夏の暑さや、高齢化による人数不足、公園の広さに追いつかない等の課題も多いが、行政からの道具の支給や貸出、業者除草などの援助も有効のようだ。
Q:団体の運営に関して、楽しく活動するために、工夫していることを教えてください
団体の運営や楽しく活動するための工夫としては、「作業時間を決めている」が最も多く、「規則的な活動日程」「年間計画で予定を共有」と日程や時間に関する項目が上位になった。次に「参加者同士の会話を大切にしている」や「無理なく続けるための工夫」「お茶タイムをつくっている」などの、お楽しみ系の工夫が続いた。地域の人々の情報交換や交流の場になっているというコメントが多かった。おしゃべりなど交流の時間を大切にし、季節のイベントや食事会を行っているという団体も多い。同時に、コロナ禍でお茶やお菓子を持ち帰りにしたなど、さまざまな工夫がある。無理しない、強制しない、義務化しない、遅刻早退欠席OKなど、とにかく負担が少ないようにしているというコメントも多数あった。
Q:多くの人に活動を知ってもらう、仲間を増やすために、工夫していることを教えてください
仲間を増やすための工夫としては、全体回答数があまり多くなかったものの、「回覧板で活動日を紹介」がトップ。自治会町内会から回覧で町内の人に活動日や内容を周知しているケースが多い。直接声をかけたり、公園内や公園の周辺に掲示を行う等の地道な活動を続けている、ラジオ体操やグランドゴルフの仲間に呼びかけているというコメントも見受けられたが、コロナ禍で例年続けてきた地域イベントが中止になったり、思うように声をかけられないという声もあった。
Q:日常的な活動の報告や相談・要望について、どのような連絡方法が望ましいですか
各団体から⾃治体への報告や相談・要望について、どのような連絡⽅法が望ましいか?を聞いた。「書類の郵送」が最も多く、「電話とFAX」の⼈気も⾼い。相談や要望をする際は、直接話したいというコメントも。時間を気にせず連絡ができ、写真などの添付もできるメールや、連絡機能に加えて既読確認や定型フォームでの⼊⼒送信などの機能もあるスマホアプリを使ったコミュニケーションも⼀定の⽀持があった。
Q:自治体からの連絡やお知らせについて、どのような連絡方法が望ましいですか
自治体からの連絡やお知らせについては、書類の郵送が最も多い結果となった。自治会・町内会の役員が毎年交代していくことを考えると、誰もが受け取れる郵便が良いというコメントもあった。
Q:郵送で提出している活動報告書が、もしも電子化(メールもしくはスマホアプリ・WEBフォームから提出)されるとしたら、どう思いますか?対応は可能ですか?
年度末や半期に1度など、定期的に提出する活動報告書の電子化について聞いた設問。10.0%の人が「既に利用している」と回答。利用方法としては、報告書や活動中の写真をメールで提出しているという声が多かった。また、18.6%が「歓迎!すぐにでも希望」と回答。説明会や講習会があれば、メンバーの協力があれば、移行伴走期間があればなど、何らかのサポートがあれば、全体の57.1%の人が、活動報告書の電子化に前向きであることがわかった。一方、31.3%が必要かもしれないが対応は難しいと回答。高齢の担い手が多い現状で、デジタル対応は難しいというコメントも多かった。また、電子化の必要はないも11.6%であった。報告書類のペーパーレスや電子化には、賛成/反対双方にそれぞれさまざまな意見が寄せられた。代表が高齢の場合は事務担当者をおくなど、代表だけに負担が集中しないためのアイデアや、行政担当者とのコミュニケーションの充実、担い手拡大のために平日日中仕事をもつ人でも関わりやすい方法の必要性など、多くの声が届いた。
Q:普段の生活でスマホやパソコンはお使いですか?
Q:回答いただいている方の年代を教えてください
回答者の半数以上が70歳代で、80歳代も20%に上った。普段の生活でスマートフォンやパソコンを利用している人は、年代を問わず、それぞれに活用していることもわかった。
Q:皆さんがこれまでの活動で得たノウハウや知恵を集めています。
例えば、はじめたばかりの他の公園ボランティアに教えてあげたい活動や作業のコツ、ちょっと自慢できる出来事など、「これはみんなに伝えたい!」ということを、ぜひ教えてください
Q:公園でのボランティア活動を通しての気づきや、喜びを感じたエピソード、なかなか言えない困りごと、また今後に向けての課題や思いなど、「これは言いたい!聞いてほしい!」ということそ、ぜひお聞かせください
今年度は、全国⾃治体調査、公園ボランティアの担い⼿アンケート共に、取り組みの⼯夫や知恵をお聞きし、全国の⾃治体や、各地の公園ボランティアの担い⼿から、とても多くの声を集めることができました。活動実態や課題をまとめた2021年の調査からさらに⼀歩踏み込んで、より充実した活動を続けていくためのヒントが⾒えてきたと思います。
地域住⺠が主役になり、企業や学校との協働も含め、年代や⽴場などより幅広く多様な⼈が関わることができる公園ボランティア活動。活動を続けるためには、楽しく活動すること、無理はしないことが⼤切だという声が多くありました。そして、活動を楽しく続けるために、さまざまな⼯夫がされていることもわかりました。時間を決めて区切ることや、お楽しみのお茶タイムをはじめ、具体的な⼯夫を重ねながら、メンバー同⼠の会話や、公園を中⼼とした地域のコミュニケーション、世代を越えた交流を⼤切に、多くの公園ボランティアの皆さんが地域の公園を⽇々守り続けていることが⾒えてきます。コツコツ地道な美化活動も、周囲からの「ありがとう」の⾔葉とともに、楽しいからこそ続けられること、無理をしないからこそ続けられることを、改めて多くの皆さんに教えていただきました。
⾏政とボランティア団体とのコミュニケーションについても、IT化を軸に広く意⾒を集めることができました。公園ボランティアと⾏政担当者が直接話すことが、より良い公園づくりや、より充実した活動への⼤切なポイントであることが確認できたのと同時に、効率化できる部分の⼿間とコストの削減がとても重要であることが⾒えてきました。担当が不在で電話がつながらない、連絡が役所の開庁時間に限られるなどで、連絡に⼿間がかかっていた状況も、メールやスマホアプリを使えば、お互いの都合や時間を気にせずに⽤件を連絡しておくことができ、効率的に事務連絡ができます。また、活動報告がスマホで簡単にできることで、コミュニケーションも活性化し、 ⾃治体側はボランティアの活動内容を⾃然に知ることができ、ボランティアは⾃分たちの活動がきちんと⾒守られ認められているという安⼼や喜びが⽣まれることも⾒えてきました。事務連絡を徹底的に効率化することで、捻出された時間とコストを、公園をより良くするためのコミュニケーションに充てることができるよう、有効なIT化が進めばと思います。
継続的な課題である「担い⼿不⾜」の背景には、公園ボランティアの存在や活動が市⺠にあまり認知されていないことも要因の⼀つではないかと考えられます。地域の⼩さな公園が、公園ボランティアの⼈々の⼿で守られていること、そしてそれは誰でも参加できること、楽しく活動している⼈が年齢を問わず多くいることが、社会の当たり前になり、公園ボランティアが気軽に参加できる活動になっていくことを願い、これからも公園ボランティアの活動を応援していこうと思います。