みんなどう考え、どうしてる? 公園愛護会の今
公園ボランティア実態調査2022
全国自治体編

公園愛護会、公園アダプトほか、さまざまな制度で⾏われている市⺠の公園ボランティアに関して、全国の⾃治体を対象にその取り組みを調査しました。

調査の趣旨
公園愛護会はじめ各自治体で行われている市民の公園ボランティアに関する実態と現状を多角的に把握し、高齢化および担い手不足が課題とされる公園愛護会など住民による地域の公園への積極的な関わりをサポートするための参考にする。
2021年の調査で、全国の⾃治体における制度の有無や公園ボランティア⽀援に関する概要を取りまとめた。今回の調査では、公園ボランティア制度のある⾃治体を対象に、⽀援に有効な情報や担い⼿拡⼤のための取り組みについてアンケートを⾏った。
調査方法
期間:2022年7⽉〜8⽉
方法:インターネットフォームおよびメール
対象:公園ボランティア制度を有する全国の310⾃治体公園ボランティアに関わる担当者
回答数と回答率
回答数:230件
回答率:74.2%

調査の結果

1公園ボランティアの活動支援について知りたいこと

Q:公園ボランティアの活動支援について、どんな知見やノウハウが知りたいですか?3つまでお答えください。

公園ボランティア活動の支援について、どんな知見やノウハウを知りたいか?を聞いたところ、半数以上が「新規の団体の結成が増える方法」を選択。「既存の団体に新しい参加者が増える方法」とともに、新しい担い手をどのように増やしていくかに注目していることがわかった。加えて、地域住民に限らない担い手層の拡大や、既存団体の活動満足度向上、連絡の効率化についてもニーズがある。高齢化等による担い手不足が深刻な問題であるといったコメントも多く見られた。

2担い手拡大のヒント地域住民以外の担い手の存在

Q:公園ボランティアの担い手に、地域住民以外の方はいますか?

地域住⺠の関わりが⼤きい公園ボランティア。担い⼿を拡⼤する取り組みのひとつとして、地域住⺠以外の存在について調査した。
最も多かったのは、企業(65.6%)。84⾃治体で企業が公園ボランティアの担い⼿として活動していることがわかった。次に、社会福祉施設、⼩中学校、保育園・幼稚園、商店会と続いた。⼀⽅で、担い⼿は地域住⺠のみで、それ以外の担い⼿はいないという所も多い。

3企業からの⽀援や関わりについて

Q:担い手以外の関わり方として、企業からの支援や関わりはありますか?

地域住民以外の担い手として最も多かった企業。
担い手として特定の公園でボランティア活動を行う以外の関わり方についても調査した。企業からの支援がある場合の詳細としては:

  • 樹木や花苗などの寄付
  • 軍手やボランティア用ゴミ袋の寄付
  • 公園ベンチの寄付
  • ベンチや遊具の塗装、施設修繕など
  • 公園ボランティア活動を支える基金への寄付 など

地域の企業が、さまざまな形で、地域の公園を良くするための活動を行っていることがわかる。

4既存の団体への参加者を増やすサポートについて

Q:既存の団体への参加者を増やすサポートとして行っていることを教えてください

既存の団体への参加者を増やす取り組みとしては、「⾃治体のホームページで各団体の活動や参加⽅法を紹介する」が最も多く、「公園に活動を紹介する看板を設置」「⾃治体の広報誌で紹介」と続いた。⾃治体SNS、地域FM、バスや駅での広告など⾃治体主導で広報するほか、公園の掲⽰板やスマホアプリで公園情報や愛護会の活動を担い⼿から発信しやすい環境を構築しているという⾃治体もあった。広報の充実に積極的に取り組む事例がある⼀⽅で、コロナ禍のため広報は⾃粛中というコメントもあった。

5多様な⼈が担い⼿として参加できるための取り組みについて

Q:より多様な人が担い手として参加できるようどのような取り組みを行っていますか?

担い⼿拡⼤・公園ボランティア参加の裾野を広げる・より多様な⼈が担い⼿として参加するための取り組みとしては、「町内会の許可がなくても登録できる」が最も多く、登録⼈数や活動回数の規定がない緩やかな制度で活動開始へのハードルを下げている⾃治体が多いことがわかった。⽴ち上げサポートの充実や、市⺠ボランティア講習、体験の場づくりや連携の⽀援など、活動の具体的な第⼀歩を⼀緒に踏み出せる取り組みも⼀定数ある。スマホアプリやメールを活⽤して、平⽇⽇中の電話連絡が難しい⼈でも簡単に連絡やコミュニケーションができるようにしたという例もあった。⽇本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語など多⾔語で案内チラシを作成し配布しているというコメントもあった。

6担い手を増やすための施策

Q:公園ボランティアの担い手を増やすために行った施策を教えてください。
以下に、実施した項目があれば、内容をお答えください。(R2、3、4年度)

回答数

1位/WEBサイトに掲載 : 81件
どこに? ▶︎ 公園課、公園での活動やみどりの取り組みのページ、ボランティアページ
なにを? ▶︎ 制度・参加⽅法・実施要項、愛護会がある公園/ない公園の⼀覧を掲載、団体の活動を紹介
2位/広報誌に掲載 : 50件
どこに? ▶︎ 市の広報誌、区⺠版、課の広報誌、町広報、社会福祉協議会の広報誌
なにを? ▶︎ 愛護会制度紹介と募集、愛護会活動紹介、イベントやボランティア養成講座、都市緑化月間に緑のまちづくりへの参加を呼びかけ
頻度は? ▶︎ 年1回、毎年4⽉/5⽉/8⽉/3⽉、みどり特集の時期、年2回 定期的あるいは不定期
3位/チラシ配布: 30件
どこに? ▶︎
役所関係 : 役所1階・各課窓口・チラシコーナー・支所、土木事務所、公園事務所
市民活動支援センター、地域コミュニティーセンター、公民館、住区センター、社会福祉協議会
学校、図書館、文化センター、ボランティアセンター
各連合自治会、子ども会、回覧、全戸配布
ショッピングモール、観光施設、駅、バスの待合所情報コーナー
4位/イベント: 17件
ボランティア登録者対象 ▶︎ 園芸講座、樹木剪定講座、スキルアップ実践講座、視察研修会、健康づくり講習会、公園愛護会表彰式、公園愛護のつどい
一般市民対象 ▶︎ 公園で植栽イベント、収穫体験、種からの花づくり、花壇管理イベントを実施しながらボランティアの担い手も募集
対象限定なし ▶︎ 活動内容を紹介するパネル展、緑化啓発イベント
5位/ポスター掲示 : 14件
どこに? ▶︎
公園(大きな公園、活動のある公園、活動のない公園、愛護会掲示板)
町会掲示板、地区ごとの掲示板
役所(PRスペース、課の窓口)、支所、市民センター
駅、港、バスの車内
エピソード ▶︎
公園掲示板や町会掲示板、社会福祉協議会の広報誌等を通じて会員募集を行ったところ、興味を持った同じシニア世代の方が活動に参加してくれた
6位/SNS : 6件
ツールは? ▶︎ Facebookページ、Instagram、Twitter、公式ブログ
運用単位は? ▶︎ 市の公式アカウント、局の公式アカウント、課の公式アカウント
その他
  • 実証実験(学校等新たな担い手による活動、新たな担い手と既存団体のマッチング)を実施
  • スマホアプリPARKFULで公園情報や愛護会の活動を発信できる環境を構築している
  • 市民大学で「みどりのボランティア講座」を実施し、ボランティアを始めるきっかけとしている
  • 自治会長や公園の近隣住民に直接制度概要を説明し、登録を呼びかける
  • 頻繁に公園を利用される団体に呼びかけをしている

7公園ボランティアに関するgood news、良かった取り組み、担当としてうれしかったこと

コメントから一部を紹介
愛護会の清掃活動で公園がきれいに保たれている。
定期的、自主的に花苗植栽。除草等に取り組むなど、積極的に活動している団体が多い。
活動する公園に愛着をもつボランティアの⽅が、⽇々の公園の清掃・除草作業だけでなく、⾒回り・施設の破損状況等も随時報告してもらえるので、いつも助かっています。
地域住民の公園への関心が向上した。
日々の清掃などの取り組みのみならず、花植えや樹名板の設置など発展的な取り組みを行う団体もあり、地域の交流拠点として公園を有効活用しているように感じた。
「みどりの愛護」功労者国土交通大臣表彰の推薦、これまで複数団体が受賞し喜ばれている。
花苗配布による緑化活動で町内の広い範囲で季節の花が楽しめた。
刈払機や芝刈機等の機器を貸し出し、愛護会の皆さんに除草作業を行っていただいている。
公園ボランティア情報誌の発⾏:取材に対して、⾃分達の活動を知ってもらえるとやりがいを感じてもらえたこと、発⾏を楽しみにしてくれる市⺠が増えたことも。
ミックス球根の配布:球根ミックスによる花壇づくりの普及により、子どもたちや親、新しい住民の活動への参加につなげる。
緑の基本計画に愛護会活動を掲載したところ、活動が活発な愛護会の方々に大いに喜んでいただけた。
人数が減り活動継続に不安があった団体と地域住民及び町内会が連携し、継続的な活動に発展したこと。
公園の設計から地域と一緒になって考え、開園に合わせて清掃、除草、花壇づくりだけではなく、遊び道具の貸し出しや見守りイベントなど幅広い活動を行う愛護会が誕生した。
ボランティア団体と一から花壇の植栽を行ったことで、担当されている公園への思い入れを作るきっかけになったように感じました。
水辺守の継続的な協力、現地で多様な水草が再生し、カイツブリの繁殖開始、絶滅危惧種のミズアオイの再生など成果がでたこと。
市ではあまりできないようなイベントを開催してもらったお陰で、普段よりも多くの方に公園を利用していただけた。
「公園の花壇が美しい」と地域の方々が喜んでおり、愛護会の方々のモチベーションも上がっているとのお話を聞いたとき。
植栽完了の写真に、楽しそうに花植えをしている写真があったとき。
⾃分が清掃している公園をきれいですねと褒めてもらえ、今では公園清掃が⽣きがいになっていますと、ボランティアの⽅からお聞きできたのは担当者としてうれしかったです。
ボランティアの方から活動が生きがい等の実際の声を聞き、公園ボランティア制度の重要性を再認識できた。
登録の呼びかけをした結果新規の団体登録があったこと、活動立ち上げから相談のあった団体の活動が軌道に乗ったこと。

8他の自治体の取り組みについて、良いなと思ったこと

コメントから一部を紹介
物資の提供や機材の貸し出し。
横浜市の公園愛護会等コーディネーター。
横浜市や大阪市の公園ボランティア情報誌を参考に誌面を作成しています。
ボランティアポイントの活用。
横浜市の職員による公園維持管理に必要な機器の操作や、道具の扱い方などを学ぶための講習会は活動の幅を広げたり、モチベーションアップにもつながるため、参考にしたい。
大阪市の公園利活用事業「パークファン」を事例に今後公園利活用のメニュー内容を考えていく上で参考にしています。
東京都中央区の花咲く街角事業の「中央区花咲く通信」の取り組みでは、活動紹介や草花管理の方法を紹介をされており、各団体のやる気につながる良い取り組みだと思いました。
公園の動植物の観察会や公園マナー啓発は、普段、公園を利用していて気にかけなかったことを知るいい機会だと思った。都内の多数自治体で事例あり。
神戸市みなとのもり公園:高架下の公園とニュースポーツを組み合わせて、賑わいを生み出している。清掃から補修まで管理運営委員会が行っている。

9公園ボランティアについての優先度や取り組み状況

Q:自治体行政において「公園」の優先度はどのくらいですか?

市長のマニュフェストや議会の施政方針、自治体の総合計画や実施計画などの取り扱いを参考に、自治体行政における公園の優先度についてを聞いた設問。①②あわせて32%の自治体が公園の優先度は高いと回答。③の整備の優先度は高めも含めると約半数(48%)が公園に対して積極的な姿勢であることがわかった。③からは、整備に比べて維持管理が後回しにされているという実態が一定数あることもわかる。最も多かったのは、④高くも低くもなく、現状維持(48.5%)であった。

Q:上記の取り組み状況について、
担当者としてどのように感じていますか?

自治体の取り組み状況に対する担当者の思いとして最も多かったのは、②課題はあるが、おおむね満足している(35%)であった。満足しているとは言えない場合でも、やっていきたい思いがあったり、現状を変えるべきだと感じる現場担当者は多い。

Q:「公園ボランティア」についての取り組み状況はいかがですか?

公園ボランティアについての自治体の取り組み状況。約2割の自治体が優先度高めで前向きな姿勢で公園ボランティア活動の充実に取り組んでいることがわかった。最も多かったのは、④現状維持だけで精一杯(46.6%)。次に、③優先度は中程度、課題は見えているがどうしていいか分からない(24.7%)という回答が多かった。様々な主体と協働を進めたいと考えているものの、他の業務も多く人員に余裕がないといったコメントや、コロナの影響により活動が縮小してきているというコメントもあった。公園ボランティアにどこまで求めるのか?その目的や目標を改めて明確にして、公園の維持管理を考えていく必要があるといったコメントも見られた。

調査を終えての考察は、
公園ボランティア編の最後に
掲載しています。

公園ボランティア実態調査 2022
〈全国自治体編〉
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