こんにちは。暑いですね。みんなの公園愛護会理事の跡部です。
8月2日に、横浜の星天qlayで行われた「鏡祭2025」にお邪魔してきました。暮らしに関わる企画プロデュースやタイニーハウスの活用・施設運営、まちづくり支援などを行なっているYADOKARI株式会社が年に一度やっているお祭りです。
会場となった星天エリアも、YADOKARI株式会社がプロデユースした相鉄本線(星川駅から天王町駅)高架下という遊休地を活用したエリアになります。
今回の「推しの公園を育てる人を推したい!」では、このイベントのトークセッション(YADOKARIの原点と自由な暮らしの未来)を聞いて感じた「公園ボランティアとの共通性」をまとめておこうと思います。
◾️YADOKARIの原点と自由な暮らしの未来
・NPOグリーンズ共同代表 鈴木菜央さん(写真右)
・YADOKARI代表取締役 さわだいっせいさん(写真中央)
・YADOKARI代表取締役 上杉勢太さん(写真左)
この日話されたのは、「タイニーハウス」や「コミュニティビルド」という方法は単なる住居の選択肢や建築方法にとどまらず、一つの生き方、哲学として捉えられるという話でした。
タイニーハウスとコミュニティビルドが示す新しい生き方
タイニーハウスは所有からの解放

タイニーハウスは、文字通り「小さな家」を意味します。特に、不動産ではなく可動産として動かせる小屋という意味でも話されていました。大きな家を所有することで生じる多額のローン、維持費、そして「そこに縛られる」という精神的な負担からの解放を強調していました。モノを所有する代わりに、時間、経験、そして自由に使える資金を増やすことを優先する生き方です。これにより、人はより身軽になり、仕事や居住地を自由に選択できる柔軟性を手に入れようという考え方です。
コミュニティビルドは消費者から創造者へ
コミュニティビルドは、参加者たちが協力して家や建物を建てるプロセスのこと。この取り組みの根底には、「自分たちで何かを創り出す」という喜びがあります。設計から建設まで、プロの職人から学んだり、お互いに教えあいながら、自らの手で家を形にしていく経験は、単に完成した家を購入する「消費者」では決して得られない深い満足感をもたらします。特にこの日のトークセッションで強調されていたのは、一緒に創る仲間ができるというメリットでした。
公園ボランティアとの共通性
タイニーハウスやコミュニティビルドの哲学は、公園ボランティア活動と、驚くほど多くの共通点を感じました。公園ボランティアは、地域の公園を維持・管理する活動。植栽の手入れ、清掃、花壇づくりなど、一見地味に思える作業が多いかもしれません。しかし、この活動の醍醐味は、以下の3つの観点でタイニーハウスやコミュニティビルドが提供する価値観と重なるのです。
1. 消費者から創造者への転換
多くの人々にとって、公園は「利用するもの」です。公園は公共のものであり自分では所有できません。ベンチに座ってくつろいだり、遊具で遊んだり、散歩をしたり。これらはすべて「消費者」としての公園との関わり方と言えるかもしれません。しかし、公園ボランティアとして活動を始めると、公園は「利用するもの」から「自分たちで育て、作り上げるもの」へと認識が変わります。
例えば、生い茂った草木を刈り、すっきりした花壇を前にした時、参加者は深い満足感と達成感を得られます。自分たちの手で公園の美しさや機能性を高めたという、「創造者」としての喜びです。この感覚は、コミュニティビルドで家を完成させた時の喜びに通じるものがあります。
2. コミュニティ形成の喜び
公園ボランティアは、個人では成し遂げられない大きなタスクを、皆で協力して行います。世代や背景が異なる人々が、共通の目標(美しい公園づくり)に向かって汗を流す中で、自然と会話が生まれ、互いの存在を尊重する関係性が築かれていきます。
草むしりをしながら近所の年配の方と地域の昔話に花を咲かせたり、新しい苗を植えながら子育て世代と情報交換をしたり。こうした交流を通じて、参加者は単なるボランティア仲間以上の、かけがえのない「地域コミュニティ」の一員となります。この深い人とのつながりこそが、多くの公園ボランティアが活動を続ける最大のモチベーションとなっています。
3. 精神的な豊かさ
公園ボランティア活動は、「コミュニティビルド」と同じうように精神的な豊かさをもたらします。公園を美しく保つという活動は、直接的な金銭的報酬を生みません。しかし、活動を通じて得られる達成感、人とのつながり、そして地域社会への貢献という「無形の報酬」は、物質的な豊かさとはまた違った、心を満たす喜びを与えてくれます。
また、植物や土に触れることは、五感を研ぎ澄ます貴重な時間となります。四季の移り変わりを肌で感じ(最近は自然の激しさを感じ)、生命の循環に寄り添うことで、心が穏やかになり、日々のストレスから解放してくれます。
生き方としての「公共」への関わり
タイニーハウスやコミュニティビルドが、「個人の生活空間」を自分たちの手で作り、そこから精神的な豊かさやコミュニティを得る生き方であるならば、公園ボランティアは、「公共の空間」を自分たちの手で育み、そこから同じような価値観(創造の喜び、人とのつながり、精神的な充足)を見出す生き方と言えるでしょう。
これらは単なる趣味やボランティア活動ではありません。それは、自らの手で、より良い環境とコミュニティを創り出すという、主体的な生き方そのものです。
公園ボランティアという身近な活動の中には、タイニーハウスやコミュニティビルドの哲学に通じる、新しい生き方のヒントが隠されているかもしれません。個人的にはこのような視点は、新しい層が公園ボランティアに興味を持つ切り口になるんじゃないかと思っています。