A Talk in the Park 01 @中目黒公園

公園と愛護会の活動は
多くの可能性を秘めている

公園ボランティアは人との繋がりを生む

 公園事情や愛護会の活動などに詳しい人に、私、椛田里佳が気になるお話をお伺いするこのコーナー。記念すべき第1弾では、“公園大好き国交省職員”としてご活躍の一言太郎さんにお越しいただきました。15年前に造園職という主に公園を専門とする職種で入省されました。学生時代、ご自身も公園ボランティアをしながら、“住民参加による公園づくり”や“公園ボランティアとコミュニケーション”についての研究をされていたんですよね。 「はい、その舞台となったのがこの中目黒公園で、公園を作る前段階の住民参加のワークショップをきっかけに公園にがっつり関わっていきました。ボランティアが行われていることで公園の違反行為が大幅に減っていることを明らかにしたり、住民間で様々なコミュニケーションが発生しているというデータを取るなどの研究もしていました」

公園スペースは一人当たり6畳超

 公園や公園管理について伺っていきたいと思います。
「はじめに、公園の可能性について触れておきましょう。昭和35年に都市公園法が作られて以来、日本の都市公園の面積は増え続けています。平成24年には国民1人当たりの公園面積が10平方メートルを超えました。これは、6畳を超えるスペースをみなさんが日本中のどこかの公園に持っていることになります。だから、管理の仕方やルールの工夫など、公園の使い方を上手にデザインしていくことで、みなさんの日々の生活が劇的に変わる、公園にはそのポテンシャルがあると思っています」
 現状は、禁止事項のイメージが先行してしまい、良いアイデアを思いついてもやっていいのか分からない、進め方がわからないという人が多いように思います。
「公園の利用上のルールは、法律ではなく地方公共団体の条例で定められていますが、公園を汚してはダメという基本的なことです。よく禁止だらけだと言われるものは、公園ごとのルールであることが多いです。こういったものは、公園ごとに考えて変えていくことができます」
 地域の公園のルールを住民が自分たちで変えることができるのは民主的ですね。
「そのための仕組みとして、行政、指定管理者、愛護会などで協議会を組織して、公園のルールづくりや整備計画の策定などをできる公園協議会制度を法律で定めました。このような仕組みを活用しながら、公園は自分たちのものなのだ、と地域の人の意識が変わっていくことも、この制度が作られた狙いのひとつだと思います」

みんなの取り組みや情報を共有する

 今回、神奈川県の全ての自治体の公園担当課と、8つの自治体で活動する愛護会団体の皆さんにアンケートにご協力いただき、様々な声が集まりました。やりがいや実情、リアルな現場の課題が見えてきました。
「『今後の活動としてやってみたいこと』という設問(下のグラフ)では、イベントがいくつか挙がっていますね。こういうイベントは、新メンバーの勧誘活動など課題解決や次の展開へのきっかけに位置づけることが大切です。ただ、それを愛護会のみなさんが単独でやるのは難しいかもしれません。そんなとき、コミュニティデザインができる人のアドバイスや他の愛護会の事例が参考になるはずです。『みんなの公園愛護会』には、小さな公園が地域にとっての新しい価値を生み出していることを明らかにし、具体的にどうやって実現していったのかというストーリーが可視化される場となることを、期待しています」
 そうですね。まずはどんな人たちが、どんな取り組みをしているのか、情報が増えるだけでも、いいことが起こりそうですよね。では、最後に公園ボランティアの皆さんにメッセージをお願いします。
「アンケートでは、行政側から維持管理コストの削減が愛護会の効果として挙げられていました。行政側から見たらそういう面もあるでしょう。でも、それは愛護会のみなさんのモチベーションにはなりにくいのでは?と思います。個人レベルでも地域社会レベルでも、愛護会活動の中にご自身なりの価値を見出して楽しんでいただきたい。それが、行政側にもコスト低減以上の価値を気づかせるきっかけになると思います。そのために、ぜひ他の公園にも興味を持ってください。公園により多くの人が興味を持ち、人々の関係が深まり、活動を通じて地域の主体性や公共性が高まっていく。そんな社会づくりの入口として公園がイキイキと使われるようにしていきたいです。今後もそうした目線や感覚を、愛護会のみなさんと共有していけたら嬉しいです」
 ありがとうございました。公園を自分ごとに楽しむ人が増えるように、『みんなの公園愛護会』も頑張ります!

今後の活動として、できたらいいな、やってみたいなと思うことは何ですか?(複数回答可)という問いに対して、最も多かったのは、新メンバーの勧誘活動(34%)だった。次いで花壇の活動(29%)、高齢者の健康促進(24%)、清掃のレベルアップ(22%)、樹名板の設置(16%)、と続いた。防災イベントや子どもの遊びイベント、地域の交流イベントなど、清掃以外のイベント活動にも意欲的で、公園再整備に関することにも積極的な団体が一定数存在することもわかった。現状維持、特になしや類似する回答もあり、とにかく現在の活動を継続することにフォーカスしている団体もいることが見えた。

「みんなの公園愛護会タブロイド VOL01」PDFをダウンロード
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