みんなどう考え、どうしてる? 公園愛護会の今
公園ボランティア実態調査2021
公園ボランティア編

一般社団法人みんなの公園愛護会では、公園愛護会、公園アダプト制度ほか、様々な制度で行われている市民の公園ボランティアに関して、各地で活動する担い手団体を対象に、活動内容や人数、メンバーの属性、やりがいや課題などのアンケート調査をしました。

調査の趣旨
各自治体で行われている市民の公園ボランティアに関する実態と現状を多角的に把握し、高齢化および担い手不足が課題とされる公園ボランティアや、住民による地域の公園への積極的な関わりをサポートするための、参考にする。
調査方法
期間:2021年9月~12月
方法:アンケート用紙郵送およびインターネットフォーム
対象:全国37自治体 2292の公園ボランティア団体+インターネットによる自由参加
(参加自治体:紋別市、釧路市、登別市、石巻市、名取市、富谷市、福島県、小山市、足利市、千葉市、鎌ケ谷市、栄町、豊島区、目黒区、荒川区、葛飾区、三鷹市、狛江市、茅ヶ崎市、小田原市、綾瀬市、寒川町、加賀市、福井市、敦賀市、安曇野市、江南市、東郷町、三重県、滋賀県、大阪市、大東市、三木市、大牟田市、佐賀市、大分市、姶良市)
回答数と回答率
回答数:1319 件
回答率:57.5%(うちインターネットからの回答5.7%)
目次

調査の結果

1活動内容ついて

Q:どのような活動をしていますか?(複数選択)

公園ボランティアの活動内容として最も多かったのは、除草(87.7%)、ゴミ拾い(87.6%)、落ち葉かき(80.0%)の3つで、回答のあった団体のうち約8割以上がこれらの活動をしていることが分かった。次に花壇の管理(45.4%)、施設の破損連絡(40.8%)、低木の管理(40.6%)、植物の水やり(38.9%)と続いた。地域のイベントや子ども向けイベント、高齢者など地域の声かけ、遊びの見守りなど、清掃以外に、公園を利用した地域の交流活動が行われていることも分かった。また、新メンバーの募集や勧誘、愛護会活動のPRといった公園ボランティア仲間を増やす活動も行われている。この2年はコロナ禍で活動が難しいというコメントも多く、出来ることをそれぞれ工夫しながら活動していることがわかった。

2活動の頻度について

Q:基本的な活動の頻度はどのくらいですか?

毎月1回(34.7%)が最も多く、2週に1回(21.8%)、毎週1回(13.6%)と続いた。ほぼ毎日活動している団体や週3-4回活動している団体もあり、全体の約87.8%の団体が、月1回以上活動していることが分かった。2-3ヶ月に1回、半年に1回という団体もあり、それぞれのペースで活動していることが分かる結果となった。

Q:そのほか個人的な活動がある場合、その頻度はどのくらいですか?

団体としての基本活動以外に、個人的な活動をしている人も、71.1%いることがわかった。その頻度は、ほぼ毎日(20.7%)や毎週1回(16.6%)など、団体としての基本活動の合間に個人で活動をしているケースが多い様子。
これらの個人活動は、行政への報告書には記載されない活動の実態と見られる。花壇の水やりや気がついた時のゴミ拾いなど、不定期にやっているという声もあった。

3工夫していること

Q:活動の中で、工夫していることや、力を入れていることは、どのようなことですか?(複数選択)

雑草取り(78.3%)が1位で、多くの団体が最も力を入れていることが分かった。次に、花壇づくりや花の管理(38.8%)、ゴミのポイ捨てを減らす工夫(32.1%)と続いた。メンバーが楽しく活動できる工夫(24.1%)、高齢者の健康促進(22.4%)、公園利用者とのコミュニケーション(20.5%)、個人の負担になりにくい工夫(18.5%)や初めてでも参加しやすいような工夫(11.7%)など、団体の運営方法に関する工夫や、より充実した公園利用に関する工夫も、一定数見られた。

4活動メンバーについて

Q:活動をしているのは、どんなメンバーですか?(複数選択)

公園ボランティアの担い手として母体になっているのは、自治会・町内会の有志(34.2%)が最も多いことがわかった。次に自治会・町内会の役員(23.4%)、近隣住民の有志(22.6%)、老人会(20.8%)、自治会・町内会の全員で(20.2%)、自治会・町内会で当番制(17.9%)と続いた。自治会や町内会といった地縁団体の名前で活動しているという場合でも、その年の役員が担当する/全員で/当番制で/一部の有志が継続して活動するなど、様々な活動の実情が明らかになった。地縁団体以外では、スポーツや趣味の団体(8.4%)として、グランドゴルフやラジオ体操のサークル、少年野球チームが担っていたり、学校や保育園、企業、福祉施設、商店会が活動しているケースも見られた。

5活動している人数

Q:活動に関わっている人数を教えてください。毎回の平均参加人数は何人くらいですか?

最も多かったのは、6-10人(24.3%)で、次いで11-15人(19.8%)、1-5人(17.2%)と続いた。有志で結成されたグループは、15人以下の比較的少なめの人数での活動になっている傾向が見られた。また自治会町内会の全員で活動している団体では、毎回100人以上で活動する。

Q:この1年間で活動に1回でも参加した人の数は何人くらいですか?(同じ人が何回参加しても1人と数えて回答)

活動に関わっている人数として1年に1回でも参加した人の数を聞いた設問では、回答者の56.8%が、前の設問よりも多い人数を選んだ。その結果、100人以上(19.8%)が最も多く、次いで11-15人、51-100人(ともに13.3%)、6-10人(13.0%)と続いた。一方で、常に5人以下で活動をしている団体もあった。

6やりがい

Q:活動のやりがいや、やっていて嬉しいことは、どのようなことですか?(複数選択)

公園ボランティアのやりがいや嬉しいことで、最も多かったのは人と集まったり話す機会がもてる(54.6%)であった。次に、地域でひとつの役割をもてる(45.6%)、地域に貢献しているという手応え(42.9%)、公園利用者に感謝されること(41.2%)と続いた。同時に、子どもの喜ぶ顔や遊ぶ姿が近くで見られる(34.0%)、外出や体を動かす機会がもてる(33.2%)、顔見知りや友だちが増える(33.1%)というように、自分の楽しみや健康のためといった声もあった。花を熱心に育てている団体では、花や緑が好き、園芸の知識や技術を活かす場所があるなどの回答や、グランドゴルフチームなどでは、自分たちの趣味の活動で公園利用がしやすいことなどの回答も多く見られた。一方、やりがいや嬉しいことはない、義務感で行っているというコメントもあった。

Q:参加している他のメンバーの、やりがいや参加理由はどのようなことだと思いますか?(複数選択)

こちらでも最も多かったのは、人と集まったり話す機会がもてる(58.6%)となった。傾向としては代表者のやりがい回答と似た結果になったが、声をかけてくれる人がいるから(16.4%)という声もあった。

7活動している上での課題

Q:活動している上での課題は、どのようなことですか?(複数選択)

ポイ捨てゴミが減らない(50.6%)、メンバー高齢化で活動に支障がある(48.8%)、新しい参加者の呼び込みに苦戦(28.0%)、ペット関係のトラブルや糞対応(25.4%)、メンバー減少で活動に支障がある(22.8%)と続いた。
高齢化問題は実に約半数の団体が、活動に支障があるとしているが、新し参加者も増えず、メンバーも減少するという複数の要因が絡み合っていることが分かる。この2年間はコロナ禍で思うように活動が出来ていないという声が多かったが、年々参加者が減っているという声や、義務感でやるしかないという実情、ゴミに関しては、タバコの吸い殻やペットの糞・飲食後のゴミの放置が多いことなど、多くのコメントが寄せられた。

8メンバーの年齢構成

Q:活動メンバーはどのような年齢の人で構成されていますか?

各世代ごとにメンバーの有無を聞いた設問。70歳代のいる団体が最も多く、回答のあった団体のうち89.1%に70歳代がいることがわかった。次いで、60歳代(79.8%)、80歳代以上(63.7%)と続いた。0-10歳代がいるのは、全体の中で18.9%で、公園を最も利用していると考えられる子ども世代も一定数活動に参加していることが見える。
大規模な自治会・町内会のように、全世代がいる団体もあれば、70代と80代だけで構成されているシニアの団体、~10代と20代・30代・40代で構成される子育て世代中心の団体など、様々であった。

Q:1番人数が多い年代、2番目に多い年代は?

活動メンバーの中で人数の多い世代を聞いた設問。1番人数が多い年代は70歳代で、回答のあった団体のうち50.2%が該当した。次いで60歳代(25.2%)、80歳代以上(8.1%)となった。2番目に人数の多い年代は、60歳代(33.6%)、70歳代(26.3%)、80歳代以上(17.7%)と続いた。70歳代と60歳代が活動の中心を担っている団体がとても多いことがよくわかる結果となった。子育て世代や子ども会のようなグループでは、~10歳代が最も多いという回答もあった。

9新しい参加者

Q:一番最近、初めて参加した人がいたのは、いつですか?

最も多かったのは、半年以内(29.1%)で、1年以内(21.7%)、1ヶ月以内(16.4%)と続いた。全体としても、67%の団体で、1年以内に新しい参加者がいたことがわかった。一方で、5年以上新しいメンバー人が参加していないという団体も一定数存在することがわかる。

10公園利用者との対話や参加の呼びかけ

Q:公園利用者が活動を知ったり、参加しやすいよう、工夫していることはありますか?(複数選択)

最も多かったのは、清掃道具を常設(53.6%)で、半数以上の団体で、公園利用者を含む様々な人が気づいた時に使える道具を用意しているという工夫であった。次に回覧板で活動日を紹介(33.2%)で、自治会・町内会での活動のひとつとして地域で定番化している様子がわかる。また、活動中に公園利用者に声をかける(19.0%)、いろいろな大きさの道具を用意(18.1%)、掲示物で活動日を紹介(17.4%)という回答もあった。活動中に利用者と会話をしたり、掲示や回覧で呼びかけたり、誰でも使える道具を用意したりといった工夫のほか、ホームページやSNSで情報発信をしている団体も一定数あることが分かった。

11あとどのくらい永続できそうか

Q:高齢化や担い手不足が課題であると多くの自治体で耳にします。
団体としてあとどのくらい永続できそうだと思いますか?感覚で結構ですのでイメージを教えてください

回答者の41.5%が問題がなければ永く活動できそうと答えた。このほか、10年後には難しい状態になりそう(20.6%)、あと5年くらい(20.1%)、あと2-3年なら(11.2%)となった。現在活動存続の危機(6.1%)、既に活動停止中(0.5%)という団体もあった。
詳しく見ると、大規模運営の自治会町内会系の団体よりも、少人数の有志の団体の方が、見通しが悪い割合が高い傾向にあったものの、全体的に漠然とした不安感の現れとして、複数箇所にチェックの回答も見られた。

12他団体との交流

Q:他の公園ボランティア団体との情報交換や交流について、どう思いますか?(複数選択)

回答者のうちの51.4%が、他の公園ボランティア団体との情報交換や交流の必要はとくにないと答えたが、課題にみんなどう対処しているのか知りたい(24.2%)、活動ノウハウなどの情報が知りたい(16.9%)、共感できる仲間の存在が見えるのは嬉しい(15.5%)という意見もあった。
インターネットからの回答者は、情報交換や交流に対して積極的な意見が多く、約70%が何らかの情報交換や交流を求める傾向にあった。他で活動されている内容の共有が有れば参考にしたいというコメントもあった。

13気づきや喜び「これは伝えたい!」

Q:公園でのボランティア活動を通しての気づきや、喜びを感じたエピソード、また今後に向けての課題や思いなど、「これはみんなに伝えたい!」ということを、ぜひお聞かせください。

続けてきた活動の紹介、公園の自慢、日常のささやかなエピソード、困りごとや、ボランティア活動への思いなど、597件ものコメントがあった。中には、写真や紹介された記事の切り抜きを添付される方や、活動記録、お手紙をつけてくださった方もあり、多くの方の様々な思いが溢れたアンケートになった。

毎月1回の集まりですが、皆が楽しく会話しながら清掃をしていて、これは大切な月1回のイベントになっています。
近所の方が来られて「このコロナ禍の気持ちが落ち込んでる時にここにきたら花がきれいで、それはとってもきれいで」と目を輝かせて、お礼を言ってくださった時には、皆で喜びました。
中学生の男の子のひとりが、帰る途中で戻って「いつもありがとうございます」と、ペコリと頭を下げて言って下さった時は感動しました。慌てて「どう致しまして、こちらこそありがとう」と…忘れられない想い出です。
色々な方が散歩されています。いつも綺麗にしていただいてありがとう。その言葉が励みになります。やってて良かったなと思います。あと何年位できるかな?頑張ります。
活動を終えて皆んなでお茶とお菓子を食べながら世間話を出来ることが楽しい。
公園ボランティアとして活動している理由は、地域に憩いの場所を作りたいと思ったからです。
公園がきれいになると、公園で遊ぶ子どもの数が増えてくる。公園で遊ぶ子を見るとやりがい感じる。草取りがきれいに出来ると、公園に土の上に、お絵描きが始まる。子どもも喜ぶ、書いてある絵を見て大人も喜べる。
活動前までは交流のなかったご近所の方々と知り合い、おつきあいする様になって大変良かった。
自分の庭を持っていない集合団地住まいの私にとって、公園を掃除したり、花だんの手入れする時間帯はとてもうれしく貴重です。
近くの小学校の校長先生から、生徒に苗植え等体験させてほしいとの依頼があって、子ども達と一緒に楽しく苗植えや水やりが出来た事。これからも子ども達と接して行きたい。
ミントを育てていますが、増えすぎたので苗にして配ったら喜ばれました。近くの会社の方からチューリップの球根をたくさんもらっています。春にはたくさんのチューリップが咲きます。
毎朝ラジオ体操のみんなの為にと始めて早や17年目です。朝一番暗い冬場はやはりきびしい時もありますが、早寝、早起きの為か、今だに医者知らず、人の為より自分の為になっているような現状です。
「清掃」と言うと抵抗をもたれる方もいるので、体を動かすための運動であり「心地よい汗をかいてみませんか」そして「公園も綺麗」になり、一石二鳥ですよと呼びかけております。
高齢化が進み、現在公園清掃に参加できない人も増え、参加している人への負担が大きくなっている。できる限り頑張りたいが、あまり長くは続かないのではないかと不安になる。
秋口の落ち葉拾いのあとの、落ち葉で焼いた焼きイモ配りは、子ども達に人気がある様です。
公園の活動が楽しければ参加者も増えるであろうが、楽しくないので義務としてやっている感じである。
身体的な衰えもあり、思う様に活動が出来ない。コロナ禍で更なる支障も重なり存亡の危機状態となっている。

調査を終えて

全国自治体調査に続き、公園ボランティアの担い手アンケートでも、今回初めてエリアを拡大して全国各地の担い手の声を集めることができました。昨年の神奈川県での取り組みから、さらに広く現状を知ることができたと思います。

全国共通点と地域の実態にあった活動

公園ボランティアの活動内容や人数、メンバーの多くが高齢化で活動に支障が出てきていることなど、大きな傾向や課題感は、地域によって大きな差がある訳ではなく、全国で共通していることが分かりました。一方で、フリーコメントを始め、細かい部分では地域差が出ていて、地域ごとの公園や活動の実態が伝わってきました。たとえば、ペットの糞対応や投棄ゴミの内容に加えて、猫やハトへのエサやりやその後始末に困っていること、観光含め地域外の人の利用に関すること、自然保護や野生動物への対処など、様々な公園の日常の風景が垣間見られ、各地域の環境や文化・人々の生活実態に密接した活動になっていることが改めてよく分かる結果となりました。

やりがいとモチベーション

人の役に立ちたい・地域や公共のためにといった、地域貢献や社会参加の気持ちが、活動へのエネルギー源になっているケースは多くあります。同時に、今回のアンケートでやりがいについて聞いた設問では、人と集まったり話す機会がもてることが最も多い回答でした。コロナ禍で人と会う機会が極端に減ったこともあるかもしれませんが、自分たちの喜びや楽しみ、そして健康のために活動を続けているという声も多く聞こえてきました。地域のボランティア活動継続のためには、社会的なやりがいの他にも、自分自身の楽しみになるなどの、内的な動機もとても大きな要因になるのではないかと考えます。公園利用者からの感謝や、地域の人々とのコミュニケーションも、やりがいに大きく繋がっているようです。コメントでも、様々な人からの感謝の言葉が、喜びや活動への意欲に直結する様子が多く伝わってきました。逆に日々の活動が誰からも評価されなかったり、義務感や不公平感だけがあって、やりがいはないといった残念な声も一部ありました。ボランティア活動に対し、感謝の気持ちが可視化されたり循環するようなことが起きていけばいいなと思います。

公園ボランティアのこれからを応援

新たな担い手として、公園を利用する子育て世代や、学校、企業などの存在も見えてきました。また、地域の団体と保育園や福祉施設などの協働の例も見られました。公園ボランティアの担い手の裾野を広げるためにも、私たちはこれから様々な事例を取材し紹介することで、多くの皆さんの活動のヒントになったり、より充実した気持ちで活動できるような情報を共有をして、活動を応援していこうと考えています。

公園ボランティア実態調査 2021
〈公園ボランティア編〉
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